

「ソウルキャノンって、気軽に何度も撃てていいのか?」IPを預かるプロの作法

プレイヤーが好きなキャラクターを選択して出撃し、弾の種類などキャラクターごとに異なる性能を持たせた作品だ。
プレゼンターの学生は、原作の究極兵器である“ソウルキャノン”の仕様についてこう説明した。
「ソウルキャノンは貯めたゲージを消費して、Qボタンを押したら発射できるようにしています」
しかし、この仕様に対して松山社長から容赦のない指摘が飛ぶ。
「シューティングゲームとしての作法がまるで入っているように感じない。ダメージ演出もないし、画面の4割をUIで潰してしまっている」とゲームの手触りについて言及したうえで、こう言葉を続けた。
「ゲージを消費して何度でも撃てるソウルキャノンは、ソウルキャノンじゃない。原作のソウルキャノンは子どもたちの命を代償に放つものじゃないですか」
松山社長が指摘したのは、IPを借りてゲームを作る際の重みについてだ。
「ファンの人は、“タラニスに乗れるなら、あの凶悪なソウルキャノンがあるんだよね”と期待する。そこで何度もソウルキャノンが撃てますと言われたら、ファンは“わかってないな”とがっかりしてしまう」
IPを借りてゲームを作る以上、ただキャラクターのガワを被せるだけではいけない。
世界観にシステムを落とし込み、プレイヤーに「なるほどね」と思わせること。それがファンの期待に応えるゲーム作りにおける、いちばん重要なポイントであるというきびしい作法が叩き込まれた。
“不安からの足し算”はするな。そして、君たちのゲームは誰に届くのか?

キャラクターやアイテムをスペースの限られたバックパックに詰め込み、配置によるシナジー効果などがバトルに反映される仕組みだ。
このチームの学生は、今後の開発予定についてこのように語った。
「今後の実装予定として、新しいピースの追加や、それに伴うシナジーの拡張、さらに徹甲弾などの属性機能、ボスステージなどを考えています」

「これから先、不安だからといっていろいろな要素を足し算しようとしてしまうかもしれない。しかし限られた時間の中で磨かないといけないのはゲームの根幹のシステムです。真ん中にあるシステムさえしっかりしていておもしろければ、不安な足し算は必要ないです」
開発中に行き詰まると、クリエイターは不安から機能や要素を増やしてしまうことがある。
しかし、コアとなるおもしろさを磨くことこそが重要だと指摘する。さらに松山氏は、学生たちにこう問いかけた。
「世の中の人たちにどれくらい喜んでもらいたいのか。たとえばSteamで無料で配信するとして、何ダウンロードされたら報われるのか。YouTubeで何回再生されたら報われるのか」
プロの現場ではいくら時間をかけたかではなく、世の中にどれだけ評価されたかという結果が求められる。
ゲームを作るときは、無駄な足し算をする前にコアのシステムを完成させ、自分たちの中で勝ち負けの基準を決めてやりきること。それが、クリエイターとして成長するための鉄則として語られた。
「きびしい世界だ」。ボコボコにされてから始まるクリエイターの第一歩

「開発現場に甘い言葉はない。当たり前のようにダメ出しを受けるのが日常茶飯事です」と、きびしさを伝えたうえで、こう締めくくった。
「でも、これはいいことです。我々が”成長を見たい”と言っているということですよ。今回で終わりにしないで、これを自分の糧として活かし、クリエイターとして世の中に還元できるようになってほしい。いくらでも協力しますし、指導もしますので、これからのがんばりに期待しています」
本物のデータに触れ、容赦のない本気のフィードバックを浴びた学生たち。
いろいろな課題点を挙げられてまたイチからスタートかもしれないが、プロからの愛のあるエールを胸に、彼らがこれからどんなゲームを世に送り出すのか。
次世代クリエイターたちの今後に、期待したい。

















