“日本ホラーゲーム大賞”を手掛ける“百室”こと“全領域百鬼夜行観測室”は、エンターテインメント領域における、さまざまな怪奇なる「表現」の発露を観測し続けてきた組織。
本アワードではユーザー投票に加え、ホラーゲームにとどまらず、ホラー小説やホラー映画など「ホラー全領域」で活躍する数多くのクリエイターが審査に協力。専門家としての視点から、審査員として意見調査に参加している。
以下、各部門賞の受賞作を紹介しよう。
ホラーナラティブ・演出賞
ノミネート作
- 『??がつくった映画館』
- 『CARIMARA: Beneath the forlorn limbs』
- 『近畿霊務局 - Kinki Spiritual Affairs Bureau』
- 『SILENT HILL f』
- 『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』
- 『まだ猫は逃げますか?』
- 『REANIMAL』
受賞:『REANIMAL』

選定コメント
覆面の子どもたちが戦争で荒廃した世界で襲い来る脅威から協力しながら逃走を目指す本作。数多くの審査員から「2人プレイの不気味さ」「作家としてジェラシーを覚えるほどの表現やライティング」「人物と動物のモチーフとメタファー」「寓話的だが社会的もあり、大人と子どもの間にある強力な暴力性と支配性、抑圧性」を強く感じるとの評価を集めたほどの、戦争で荒廃した地獄のような世界の圧迫感、そして巨大で群生する獣たちからの闘争劇を、言葉を排して描きだして見せたことが大きな評価を集め、受賞となりました。
受賞コメント
物語を語ることは私たちの創作の中心にあり、スタジオ全員が担う責任でもあります。見た目、動き、振る舞い、音、すべてが物語の一部です。
ゲームの隅々から物語が滲み出し、「語られるもの」ではなく「感じるもの」になることを目指しています。
日本のゲームと文化は、スタジオ設立当初から私たちの作品づくりに息づいており、今回の受賞は大きな喜びです。
チーム一同、心より感謝申し上げます。
Tarsier Studios
Narrative Director(ナラティブディレクター)
David Mervik(デイビッド・メルヴィック)
ホラーアート・映像表現賞
ノミネート作
- 『Amanda the Adventurer 3』
- 『The Midnight Walk』
- 『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』
- 『Necrophosis』
- 『Bye Sweet Carole』
- 『FAITH:The Unholy Trinity』
- 『REANIMAL』
受賞:『零 〜紅い蝶〜 REMAKE』

選定コメント
双子の姉妹・澪と繭が迷い込んだ廃村・皆神村を舞台に、射影機で霊を撮影しながら探索を進める本作は、多くの審査員から「抜群のオリジナリティが現代水準で楽しめる」さらには、「夢は普段自由にできていることが、なぜかできない——その閉じ込められているようなもどかしさが再現されているような感覚」「カメラ、写真は時間を固定し、村自体も過去を想起する」「怪談のような語り、語られ方のような味わいがある」との独自の評価を集めました。
心霊体験をゲームで再現して制作されたというシリーズ伝統の霊の表現は、現代の技術によって視覚・音響ともにより深みを増し、その唯一無二の佇まいは多くユーザーからの支持を集め、受賞となりました。
受賞コメント
和の美しさと恐怖が織りなす独自の世界観や、細部までこだわって表現した物語の空気感を、このような形でご評価いただけたことを、開発チーム一同大変光栄に思っております。
『零 ~紅い蝶~ REMAKE』 ディレクター 中島秀彦 柴田誠
ベストホラークリーチャー賞
ノミネート作
- 『伊藤潤二『マニアック』・果てしない呪縛:富江』
- 『AUTO-CRISIS:車の怪物/正式名称不明』
- 『恐怖の採点 -Score the Fear-:ゆ~君』
- 『Dread Flats:正体不明の老婆/正式名称不明』
- 『No, I’m not a Human:来訪者』
- 『バイオハザード レクイエム:The Girl』
- 『BrokenLore: DON’T WATCH:ヒャクメ』
- 『Poppy Playtime - Chapter 5:ハギーワギー』
受賞:『No, I'm not a Human:来訪者』

選定コメント
さまざまな理由で寝る場所を求めてやってくる人々の中には、人間に擬態した来訪者と呼ばれるクリーチャーが混じっている。
本作の「来訪者」が醸し出す笑顔やムードのデザインについては、審査員からも「不気味な笑顔は、玄関のレンズ越しにいたら一番嫌なデザインを引き当てており、人ではない何者かが擬似的に人の形をとり、コミュニケーションを図ろうとしているデザイン」との評価を集めました。
また一度見たら忘れられない姿はユーザー投票でも支持を集め、拮抗したクリーチャー部門の受賞となりました。
受賞コメント
ベストホラークリーチャーに選んでいただき、本当にありがとうございます!
この怪物は、孤独な死というイメージから生まれた存在です。他の怪物よりも上位に立ち、凌駕する強さを持ちながら、独自のルールに従って行動します。
私たちの怪物にこれほど注目していただけたのが、本当に嬉しいです。この部門を受賞できて最高です!
サイコロジカルホラー賞
ノミネート作
- 『EMOTIONLESS: The Last Ticket』
- 『KARMA: The Dark World』
- 『Cronos: The New Dawn』
- 『SILENT HILL f』
- 『Dead Take / デッドテイク』
- 『不安ごと』
- 『Luto』
受賞:『SILENT HILL f』

選定コメント
多くの審査員から「昭和を描く時代考証と美術表現や、昭和×セーラー服のビジュアルイメージ」「おぞましく変容していく町」と内面を外面化する表現が高く評価を集め、サイコロジカルホラー賞の受賞となりました。
受賞コメント
「SILENT HILL」シリーズはサイコロジカルホラーの代名詞として展開しているシリーズですから、この受賞は大変うれしく思います。
本作は1960年代を生きる若い女性の視点で、女性に降りかかってくる様々な抑圧や偏見に抗っていく物語であり、一人の女性が葛藤し、悩み、自分だけの答えを出すまでの精神の旅を描いた体験です。
未プレイの方はぜひ精神の旅をご体験ください。
コナミデジタルエンタテインメント 「SILENT HILL」シリーズプロデューサー 岡本 基
サバイバルホラー賞
ノミネート作
- 『Into the Dead: Our Darkest Days』
- 『Cronos: The New Dawn』
- 『窒愛SUFFOCATE』
- 『Tormented Souls 2 (苦悶の魂2)』
- 『バイオハザード レクイエム』
- 『Look Outside』
受賞:『バイオハザード レクイエム』

選定コメント
FBI分析官・グレースと体験する、震え慄く恐怖——。そして、歴戦のエージェント・レオンと共に、死を打ち倒す爽快感——。
二人で対をなすゲーム体験と、二人を中心に渦巻くやめどきのないドラマの設計の妙は、多くの審査員から「グレースとレオン、各パートのスイッチが異なる緊張感を生む」「グレースパートの心細さと、戦闘能力の低い主人公がもたらす役割の再確認」「サバイバルホラーならではの判断を迫られる」「非常に高い満足度」「失ったものを改めて向き合うことを強いた“鎮魂歌”という切ないテーマ性が、ラクーンシティーへの帰還をより一層エモーショナルにしている」といった遊びからテーマに至るまでの非常に高い評価を集めると同時に、ユーザー投票でも圧倒的多数の支持が寄せられての受賞となりました。
受賞コメント
『レクイエム』では、シリーズが大切にしてきた「恐怖」、そして「恐怖を乗り越える爽快感」を改めて見つめ直し、グレースとレオン、二人の主人公で二つの全く異なる「サバイバルホラー」をお届けしたいという思いで開発しました。そんな「バイオハザード」を作る我々にとって、「サバイバルホラー」という名のついた賞をいただけるのは、やはり特別に嬉しいです。
「バイオハザード」は30周年を迎えましたが、これからもぜひ、我々の「サバイバルホラー」にお付き合いいただければ幸いです。本当にありがとうございました!
『バイオハザード レクイエム』プロデューサー 熊澤 雅登
マルチプレイホラー賞
ノミネート作
- 『Whisper Mountain Outbreak』
- 『GONE Fishing』
- 『Species: Unknown』
- 『人喰ノ檻 - KLETKA』
- 『MISERY』
- 『MIMESIS(ミメシス)』
- 『YAPYAP』
受賞:『MIMESIS(ミメシス)』

選定コメント
擬態する存在とのマルチプレイについては、審査員やメディアからも「擬態が本当によくできている」「擬態を入れ込むというアイデアが秀逸」「学習して弁明までするので、より疑心暗鬼になる点」など、やはりアイデアについて多くの評価を獲得しての受賞となりました。
受賞コメント
同僚の声と行動を模倣するAIが生み出す恐怖と笑いの瞬間を、日本のプレイヤーの皆様にお楽しみいただけて、大変嬉しく思います。今後もMIMESIS独自の驚きと楽しさをお届けいたします。
ReLU Games / MIMESIS Director / Ahn JaeHong (アン・ジェホン)
神話伝承・宇宙的恐怖賞
ノミネート作
- 『家へ帰れ、アニー:SCPゲーム』
- 『Cult of the Yellow King』
- 『The Sinking City Remastered』
- 『Static Dread: The Lighthouse』
- 『ひとつ目のリーホ』
- 『ROUTINE』
- 『Worshippers of Cthulhu』
受賞:『家へ帰れ、アニー:SCPゲーム』

選定コメント
加えて審査員からも「クトゥルフ神話の神々は知覚する狂気に陥るために本来は描くのが困難だが、SCPは超越存在を人間が管理する構造のため、ビジュアル表現がいい」「SCP的オブジェクトは怖がるだけでなく、性質を利用する展開が描ける」点など、SCPという題材ならではの要素が特に評価され、受賞となりました。
受賞コメント
日本のプレイヤーの皆様は、Steamデモ版のプレイ回数が世界で最も多く、最初期から私たちと共に歩んでくださいました。
私たちのスラブ系のテーマとSCPユニバースの融合が、皆様の心に深く響いたことを大変嬉しく思います。
そして、皆様からの反響をきっかけにパブリッシャーであるNordcurrent Labsの目に留まり、『Go Home Annie』で描きたかったビジョンを余すことなく実現することができました。
この度は素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございました!
Misfit Villageチーム一同
現実と非現実の間(あわい)賞
ノミネート作
- 『事故物件鑑定士試験』
- 『しずかなおそうじ』
- 『Dyping Escape』
- 『Dead Format』
- 『No Players Online』
- 『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』
- 『Log.in』
受賞:『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』

選定コメント
物語や状況を俯瞰して選択を変えて多彩な結末に到達しようとするADV作品のプレイヤーの存在を取り込むメタな構造を鮮やかに利用した仕掛けも、審査員からは「現実の伝承から描く世界観がオカルト的なムードを醸し出す」「プレイヤーの存在と、馴染みのある要素を使ったメタな謎解きの秀逸さ」「メタ要素が謎解きに絡むことで生まれる没入感」など評価を獲得し、受賞となりました。
受賞コメント
この「パラノマサイト」シリーズは、日本の伝承やオカルトテーマをゲーム作品ならではの表現方法で、ホラー好きな方含め、多くの人に楽しんでもらえるように作った作品です。そんな我々が、ホラー作品が一堂に会す、このようなコンテストで栄誉ある受賞ができたこと、本当に嬉しく思います。
この受賞をきっかけにさらに多くのみなさまに本作品を遊んでもらえたら大変嬉しいです!
株式会社スクウェア・エニックス 「パラノマサイト」シリーズ プロデューサー 奥州 一馬
クリエイター審査員(※敬称略 50音順)
コナミデジタルエンタテインメント所属、『SILENT HILL』シリーズプロデューサー。
オカルトエンタメカンパニー
心霊、怪談、都市伝説、UFO、UMA、予言など、ありとあらゆるオカルトをテーマに、その怪しさとロマンを、その道の専門家たちが知的かつエンターテインメントに発信するYouTubeチャンネル。
ガッチマン
ホラーゲームをメインに実況するYoutubeチャンネル「あまり驚かないガッチマンはホラーゲームばかりやっている」で、数多のホラーゲームの実況動画を配信。
金子一馬
コロプラ所属。長年に渡り悪魔や神々を描き続けてきたゲームクリエイター。キャラクターデザインのほか、深い神話伝承知識をもとにしたコンセプトプランナーも担当。最新作は『KAZUMA KANEKO'S ツクヨミ』。
木村祥朗
『RULE of ROSE』、『moon』などを手掛ける。最新作は『ストレイチルドレン』。Onion Games代表。
黒史郎
小説家。『サイレントヒルf』や『深夜廻』をはじめとする、数々のホラーゲームノベライズを担当。
柴田誠
コーエーテクモゲームス所属。『零』シリーズディレクター。自らの心霊体験をゲームで表現することでも知られる。最新作は『零 ~紅い蝶~ REMAKE』。
人生つみこ
ホラーゲーム専門Vtuber。デビュー以来7年間、メジャー、インディーを問わず国内外のホラーゲームを毎日配信・実況している。ホラージャンル全般を応援するホラーエンタメ情報バラエティチャンネル『Fear's Hole』を運営。
高橋美貴
Bokeh Game Studio所属アーティスト。『SIREN』シリーズ、『野狗子:Slitterhead』クリーチャーデザイン。
外山圭一郎
Bokeh Game Studio代表。初代『サイレントヒル』、『SIREN』シリーズ、『野狗子:Slitterhead」ディレクター。
ハフハフ・おでーん
墓場文庫所属。ドットグラフィックやシナリオ構成を担当。『和階堂真の事件簿』シリーズ、『都市伝説解体センター』。オカルトや怪談を愛する。
バミューダ3(佐藤直子/背筋/西山将貴)
『SIREN』シナリオ担当の佐藤直子、『近畿地方のある場所について』の作者、小説家の背筋、ホラー映画『インビジブルハーフ』監督、西山将貴によるホラーユニット。
藤澤仁
ストーリーノート代表。第四境界 総監督。『人の財布』、『かがみの特殊少年更生施設』、『Pain Pain Go Away!』。
藤田翼
株式会社闇所属。同社が立ち上げたゲームレーベル YAMI GAMESプロデューサー。『たろうくんはいってきました』『報連喪症候群』を開発中。
溝上侑
日本一ソフトウェア所属。『夜廻』シリーズのディレクター、グラフィックデザイン、シナリオを手がける。最新作は、ほのぼの生活シミュレーション『ほの暮しの庭』。
望月哲史
ムー編集部所属。webムー編集長。
Andrés Borghi
映画監督、ゲームクリエイター『Tenebris Somnia』。
Mason Smith
Airdorf Games代表。『FAITH(FAITH: The Unholy Trinity)』ディレクター。

















