今秋発売予定の新作『Chronoscript: The Endless End』(クロノスクリプト:エンドレスエンド)は、探索型のアクションアドベンチャー。小説の世界に飲み込まれた編集者が、千年続く“終わりの続きの物語”を巡る謎に迫るべく、不思議な世界を探索していく。 開発は、膨大な量の鉛筆画を手描きアニメーションをメインに制作するという、常軌を逸した作り込みで話題を呼んだ『RPGタイム!~ライトの伝説~』のデスクワークス。さらに、3Dキャラクターデザインに『ベヨネッタ』や『大神』の島崎麻里氏、音楽に『クロノ・トリガー』や『ゼノブレイド』の光田康典氏が参加するなど、豪華スタッフが関わることでも注目を集めている。
そんな本作の先行試遊版をプレイする機会を得たので、リポートをお届け。おどろくほど細かく描かれた絵本風背景に見惚れているとすぐさまやられてしまう、骨太アクションを堪能できた。

息をのむ美しい原稿世界は油断ならない危険地帯
物語は、とある編集者が山奥の洋館を訪れるところから始まる。蚊に血を吸われた途端、なぜか意識を失った編集者。目覚めるとそこは、洋館の主“千年生きる吸血鬼”が書き進めている原稿用紙の中だった。そこから主人公は、物語の内容を彷彿とさせる不可思議な原稿世界の中を、ページをめくるように冒険することになる。

導入のストーリーパートなど3Dのイベントシーンも。編集の依頼を受けた主人公は洋館へと向かう。

そこにいたのは怪しげな女性。出会った瞬間に意識を失った主人公は……

姿かたちを変えられて原稿世界の中で目を覚ます。
まず注目したい特徴は、舞台の描かれかた。原稿用紙に描かれた世界で戦うという設定もさることながら、2D(2次元空間)と3D(3次元空間)が融合した不可思議なビジュアルがプレイヤーの目を引く。
冒険のメインとなるのは原稿用紙の中。吸血鬼が著す物語が、2Dのメトロイドヴァニア風アクションで描かれる形だ。その一方で原稿用紙が存在するのは3次元の現実世界。原稿用紙は洋館の中に散らばり、重なるように配置されているため、プレイヤーは3次元的に重なった2D世界を旅することになる。この2Dと3Dが入り混じる形でストーリーが進んでいくので、見た目からくるインパクトは大きい。
また、この2Dの物語世界と3Dの現実世界は相互干渉しているため、この関係性を活かしたギミックが用意されているのも大きな特徴だ。

いまいる場所は女性の机の上にある原稿の中。隣り合った原稿間ならシームレスに移動できる。

マップを上から見るとこのような形になる。メトロイドヴァニアよろしく、かなり広大なマップになりそうだ。そのうえで、通ってきた原稿が可視化されているのは非常に親切。
たとえば2D世界で発生した大きな振動は3D世界にも波及し、原稿用紙が動いたりする。試遊版では、これによりボス戦中にステージが大きく動くギミックが搭載されていたが、製品版では新たに行ける場所が増えたりもするだろう。
またこの2D世界と3D世界は何かしらリンクしている箇所もあるようで、2D世界でコウモリを倒すと、3D世界のコウモリが原稿に落下してくるという現象も起きていた。

2Dコウモリを倒すと、突然3Dコウモリが原稿の上に落下。

3Dコウモリはアイテムだったようで、吸収すると新アクションが解放された。
グラフィックにも、並々ならぬこだわりを感じる。過去のインタビューでは、2D部分は手描きであると語られていた。試遊版では最初のステージである洋館のロビーを探索できたのだが、積まれている本に本棚、木製の床、柱に至るまで、細緻に描き込まれている。そのデザインは、海外絵本のような雰囲気をまとっていた。

私はクリエイターではないが、2D世界の作り込みが半端でないことぐらいはわかる。

2D世界が幻想的に描かれているからこそ、リアル寄りな3D世界との対比が映える。
そのうえで考察しがいのある多めのテキストもあり、世界観をより重厚なものへと仕立て上げている。
2D×3Dのマップ構成による新鮮な感覚も相まって、歩くだけでも「つぎのページはどうなっている?」とか、「いま行けない上のページが気になる!」といった気持ちを呼び起こし、プレイ意欲をかき立てられた。

だが、この幻想的な背景にほだされて、のほほんとした気分で探索してはならない。本作にはハードなアクション要素も含まれているのだ。
基本的な行動は移動、ジャンプ、攻撃、各種スキル、回復ぐらいでシンプル。しかしステージ中に新たな能力を手に入れていく要素や、能力強化の要素もあり、能力強化には敵を倒して得られる経験値を消費した。
ただし経験値は、プレイヤーキャラクターが死亡してしまうと、死亡位置に持っているすべてをドロップしてしまう。道中にいる敵をすべて倒す必要はないので、状況によっては敵を無視して体力温存を図るのも重要となるだろう。
システム自体は非常にシンプルだが、全体的に昨今の高難度アクションらしい仕様は各所に見受けられる。歯応えあるアクションを求めている人には、新たな注目作となるだろう。

探索中の敵との戦闘。攻撃するときには赤い光を出す予兆で事前に教えてくれる。道中のザコ敵とはいえ、受けるダメージは大きいのでしっかり回避しよう。
とくにボス戦はハードで遊びごたえがある。ボスの激しい攻撃を避け、たまに見せる隙にこちらの攻撃を叩き込んでいくのが基本戦略となる。しかし、攻撃時に「あと一撃!」と欲張ると手痛い反撃を受けるので深追いは厳禁だ。また敵を追い詰めればパターンが変化するため、バトルは非常に刺激的。敵の行動を見極めて駆け引きしながら戦う、緊張感のあるボス戦が楽しめた。

最初のボス戦。体力は右下のゲージで表示されている。

戦闘中に原稿がひらひらと落下すると、ステージが上下反転するオシャレな演出も。
なお、今回の先行試遊版ではいちばん最初に戦えるボス“愚読の司書虫”と、製品版の道中のどこかで戦えるであろうアイアンメイデンを模したボス“断罪の歌劇団長”の2体と戦闘できた。
愚読の司書虫はチュートリアルボスなので比較的簡単なほうだ。しかし、断罪の歌劇団長は攻撃が多彩で対応に苦労した。なかには避けかたがわかりづらい攻撃もあるので、初見は苦戦を強いられることだろう。

断罪の歌劇団長との戦闘。下からトゲを生やしたり、上から降ってきたりなど、上下左右からバリエーション豊かな攻撃を仕掛けてくる。

追い詰められると3Dのギロチンで全体攻撃してくる。じつはギロチンを使ってくることは、背景で示唆されている。なかなか芸が細かい。
試遊版ながら、手描きの原稿世界を舞台にした独創的な世界観と、高難度アクションの両面を十分に体験できる内容だった。とくにアクションは操作レスポンスが良好。ストレスなく再挑戦できたので好印象だ。
製品版ではいろいろなスキル、特殊アクションも追加されるようなので、そのあたりにも期待したい。『Chronoscript: The Endless End』(クロノスクリプト:エンドレスエンド)はプレイステーション5(PS5)、PC(Steam)にて2026年秋発売予定。
