メインストーリーである英雄の旅路の裏で、プレイヤーはアルビオンの世界でどのような生活を送り、住民たちと関わっていくのか。公開された実機プレイの流れに沿って、その内容をお届けしよう。
なお、デモプレイとほぼ同じ内容の動画がYouTubeにて公開されているので、そちらとあわせてチェックしてほしい。

まず、本作に登場するNPCは1000人以上におよび、すべて手作業で作り込まれ、リアルタイムのAIシステムによって個別のルーティン(仕事、娯楽、睡眠など)に沿って生活しているとのこと。このNPCたちとどのように関わることができるのかが、今回のデモで紹介された。
デモの舞台となったのは、イギリスの美しい田舎風景にインスパイアされた、のどかな農耕の町“シルバーブルック”。町の広場に足を踏み入れると、肉屋と子どもが言い争うところに遭遇する。なんと、肉屋がいままさに丸焼きにしようとしていたのは、人間の言葉をしゃべる特別な豚“コリン”だった。コリンはプレイヤーに向かって「ボクにはポテンシャルがあるんだ、串焼きにしないで!」と命乞いをしてくる。
ここでプレイヤーは、コリンを生かすか、肉屋に渡すかの選択を迫られる。デモではコリンを救う選択をし、肉屋に2000ゴールドの対価を支払って買い取ることで決着。この一連の行動により、プレイヤーは“抜け目のない”、“徳がある”、“慈悲深い”というローカルな評判を獲得した。ちなみにプレイヤーの選択次第ではコリンが死んでしまうこともあるそう。
このように本作では、あらゆる行動がローカルな評判に繋がり、そして、人々はその評判をベースに彼ら独自の道徳的基準でプレイヤーを評価するそう。しかも、本作の道徳性は、単純な善メーター悪メーターではなく、ある人にとっての善は、別の人にとっての悪になり得るという主観的で複雑なものとなっている。
たとえば、本作の大きな特徴として、世界に存在するあらゆる店舗やビジネス(パン屋、露店、パブなど)を購入できる経済シミュレーション要素が存在する。デモでは、街の人気パブ“シルバー・トロフ”を購入。オーナーに就任すると、従業員の管理や給与、商品の価格設定が行えるようになった。
プレイヤーはパブを買い取ったことで“金持ちの起業家”の評判を獲得。しかし、その状態で仕立屋の元へ向かうと、富や起業家精神を嫌う“謙虚な平民”である店員の“リアノン”からは、激しい嫌悪感を抱かれ、商品の価格を80%も上乗せされてしまった。このように、よかれと思って行った経済活動や変化したステータスが、別のNPCからは嫌われる要因になり得るという多面的な道徳性が表現されていた。
話をパブに戻して、パブのバーテンダーである“スーザン”は“思いやりのある性質”を持っている。そんな彼女の客あしらいのよさによってパブの収入に10%のボーナスが入るようなこともあるとのこと。順調かと思われたパブの経営だが、店は人手不足の状態。そこで主人公は、街頭でゴールドを恵んで親しくなった、失業中の“乞食のジャック”の元へ向かう。
主人公を信頼しているジャックは、パブのバーテンダーとしての雇用を快諾。ジャックのステータスは即座に“乞食”から“バーテンダー”へと書き換わり、彼は感謝の言葉を述べながら、自分の足でパブの職場へと出勤していった。このように、プレイヤーが与えた直接的な影響をNPCが記憶し、人生が変わる様がリアルタイムに描かれた。
ビジネスを拡大し、不労所得の金庫からゴールドを回収したプレイヤーは、かねてから目を付けていた雑貨屋の女性NPC“メーガン”へのアプローチを開始する。彼女は“野心的な平民”という性質を持っており、やり手な男を好む。
主人公が甘い言葉で口説くと、彼女は顔を赤らめるが、すぐに恋人になれるわけではなかった。メーガンと真剣に交際するためには、彼女の個性に根ざした“要求リスト”をすべてクリアーする必要がある。彼女の要求は以下の3つだ。
- 高級な服を身につけていること
- 起業家として世間に知られていること
- この街にマイホームを持っていること
パブの経営で“起業家”の評判は獲得済み、仕立屋では高級な服と靴も買い揃え(金額は上乗せされたが)、残るはマイホームのみ。プレイヤーは街の片隅にある、庭付きの風情ある家を見つけるが、手持ちのゴールドが少し足りない。そこで近くの“鍛冶屋”でアルバイト(ミニゲーム)に挑戦し、資金調達に成功。
さらに、家を購入したあとも『Fable』らしい選択が待っている。現在の住人を“通りに放り出す”か“立ち退き料を払う”か。前者を選択すると“冷酷”という悪評がついてしまい、せっかく築いたメーガンとの関係が台無しになってしまうため、今回のデモでは穏便に立ち退き料を支払うことに。そして、メーガンのすべての条件を満たし、彼女に花をプレゼントしてカップルとなることに成功した。
デモの終盤、開発陣は「もし、それほどいい奴ではなかったらどうなるか」という、『Fable』のもうひとつの醍醐味を実演した。
主人公は、たったいま恋人になったばかりのメーガンに「うまくいっていないんだ……」と冷酷に別れを切り出し、彼女の心を傷つけて“ハートブレイカー”の評判を得る。さらに自分のパブへ戻り、バーテンダーのスーザンを理不尽に即解雇。これを見た元恋人のメーガンからは“冷酷”だと完全に嫌われてしまう。
さらに悪行はエスカレートし、プレイヤーは街中で一般人に向けて容赦なく矢を放ち始める。悲鳴が響き渡る中、街のステータスは“無謀”、そして即座に“犯罪者”へと転落。街の衛兵たちが一斉に武器を抜いてプレイヤーを取り囲んだ。
ここで披露された戦闘シーンでは、力、スキル、魔法をシームレスに組み合わせる、非常にスタイリッシュなアクションを確認できた。しかし、犯罪を重ねるごとに首に懸かる賞金が跳ね上がり、衛兵がつぎからつぎへと押し寄せてきたため、デモではたまらず街から戦術的撤退を余儀なくされるところで幕を閉じた。
もしこのまま逃げ延びて罰金を払ったとしても、人々の記憶から“犯罪者”の悪評は消えないとのこと。


記事の最後にデモプレイの後に行われたQ&Aの模様をご紹介。
――デモの後半で、たくさんの衛兵やNPCを殺していましたよね。彼らはリポップするのでしょうか? それとも、その気になれば集落を完全にゴーストタウンにすることもできるのでしょうか?
これには本当に真っ当な理由があります。業界の考えかたとして「(NPCを殺したという)結果をそのまま残し、集落を永久にゴーストタウンのままにするべきだ」というゲームデザインもありますよね。それは一見クールに思えますが、実際、プレイしていく中では、集落が完全に機能しなくなることで、その後に繋がる多くのシステムへのアクセスが遮断されてしまい、プレイヤーにとってかなりストレスになってしまうだろうと考えました。そのため、私たちはNPCを再生成させるという決断をしました。
――犯罪者や嫌な奴になって、町の評判を最悪にすることもできるとのことですが、それを「努力して取り戻すことができる」とも仰っていました。プレイヤーがわざわざそれをやる動機は何でしょうか? 悪評のままだと、何か特定の要素からロックアウトされてしまうのでしょうか? あるいは、評判を戻すことで得られるほかのインセンティブがあるのですか?
また、これは経済システムにも繋がっています。ご覧の通り、私は評判のせいでリアノンの店で、80%の価格上乗せをされていました。もし私の評判が変わって、彼女が私のことを気に入れば、彼女が私に請求する価格は変わります。まぁ、もし望むなら、十分なゴールドがあれば、その仕立屋の店ごと買い取って、彼女をクビにしてしまうという強硬手段もあります(笑)。
――メインミッションにおいて、評判が原因で進行が制限されることはありますか? たとえば、評判が足りない(あるいは悪すぎる)ために、一度メインストーリーをストップして、評判を高めるための作業を強制されるようなことはありますか?
ただ、メインストーリーではなく、サイドコンテンツのレベルにおいては、ひとつおもしろい要素があります。トレーラーでもご覧いただいた“デーモン・ドア”がゲーム内に存在します。これはメインストーリーではなくサイドコンテンツですが、ゲーム内のあるデーモン・ドアは、プレイヤーが特定の評判を持っていることを要求してきます。
そこには、私たちが本日焦点を当てた“非凡な人生を築く”システムに関わる、本当におもしろい仕掛けがあります。なぜなら、あなたはゲームを通じて特定のアイデンティティを築いてきたわけですが、そのデーモン・ドアは、あなたに「それを(扉を開けるために一時的に)変えること」を要求してくるからです。ですので、プレイヤーはそこで「自分のアイデンティティを保つか、変えて扉の先を見るかの選択を迫られることになります。
――もしシルバーブルックの町で、すべてのNPCをクビにし、すべてのビジネスを買い、すべての家を買い、すべての人を追い出してクビにしたら、その町はどうなりますか?
ですので、もしあなたが集落の住民の大部分をホームレスにした場合、その集落のステータスが更新され、そこはホームレスの町として知られるようになります。もしすべての家を買い、全員をホームレスにしたら彼らはみんな通りで寝る羽目になります(笑)。
これについては、開発中に本当におもしろいエピソードがありました。レベルデザインチームがゲーム内に入って、「すべての集落において、もしプレイヤーが全員をホームレスにしたら、この何百人ものホームレスのNPCを、通りのどこに配置して寝かせるべきか」を、すべての集落ごとにいちいち割り出して設定しなければならなかったのです(笑)。とくに、シルバーブルックのような大きな町では、全員がストリートで寝るスペースを視覚的に確保するのは本当にたいへんな作業でした。
――ゲームエンジンは何を使用していますか?
ForzaTechエンジンは、信じられないほど高精細なグラフィックスを生成できるだけでなく、世界クラスのストリーミングが可能です。そのため、私たちにとって、このエンジンで『Fable』のゲームを作ることは非常に自然な流れでした。私たちはこのエンジンを熟知していますし、本日皆さんの後ろの画面でお見せしたようなゲームの構築に、本当に直結しています。信じられないほど素晴らしい見た目に仕上がっています。
このようなエンジンを、『Fable』を心から愛し、情熱を持っている才能ある開発者たちの手に委ねることで、本日ご覧いただいたようなゲームが生まれました。私たちはこれを非常に誇りに思っています。
――これまでレースゲームを手掛けてきたPlayground GamesがなぜRPGの『Fable』の開発を担当することになったのでしょうか? また、本作にシリーズの生みの親であるピーター・モリニュー氏は関わっているのでしょうか。
そこで、まず私たちは、素晴らしい信頼関係を築いていたマイクロソフトと話し合いを始めました。その対話のどこかの時点で、誰かが『Fable』の名前を出したのです。私にとって、それは「これだ!」という瞬間でした。『Fable』を作るチャンスがあるなんて、あまりにも夢のようだと感じました。それが始まりです。ちなみに、マイクロソフトによるPlayground Gamesの買収(2018年)は、この『Fable』のプロジェクトが始まった後のことです。つまり、私たちは買収される前から『Fable』の開発に取り組んでいました。
そして、ピーターはレジェンドですし、私たち開発陣の多くも、子供のころに彼のゲームをプレイして育ちました。ですが、彼は本作には関わっていません。今回は、あくまで「私たちバージョンの『Fable』」を作っています。そして、『Fable』のゲームであるとはどういうことかという核心に戻り、プレイヤー自身がなりたいヒーローになれる選択肢を提供するということをやっています。
――昼夜サイクルの長さはどのくらいですか? 今回のデモは30分間でずっと昼のままでしたが。
――メーガンを口説くのシーンで“要求リスト”がありましたが、あれは付き合うために必須の条件なのでしょうか? それとも、単にデートの成功確率を上げるための要素ですか?
開発チームが手作業で行ってきたこだわりとして、私たちはすべてのNPCをひとりの“一貫した人間”として描こうとしています。本日ご覧いただいたメーガンの場合、彼女は“野心的な性格”として設定されています。だからこそ、彼女のデートの条件は、すべて“富”や“地位”に関連するものになっていたのです。そして、これはアルビオンにいるすべてのNPCにおいて、それぞれの個性に合わせた条件が設定されています。
――過去作のように、プレイヤーの行動によって、プレイヤーの体に角が映えるといった身体的な変化はありますか?
理由をいくつか説明させてください。ひとつ目は、先ほどもお話しした通り、本作における道徳性は、主観的で、ニュアンスに富み、複雑です。単純な一本のメーターで測る善と悪ではありません。そのため、単純な善悪で見た目が変わるという仕様は、私たちが目指す『Fable』のビジョンとは合致しないのです。
そしてこれがなぜ重要かというと、あなたが新しい集落を訪れるたびに、そこはあなたのヒーローにとって“新しい自分を構築するための、完全に真っ白なキャンバス”であるべきだからです。そこでの行動次第で、まったく異なる体験ができるようにしています。もし、街に入った瞬間に頭から角が生えていたら、あなたがどんな人間であるかが最初から周囲に一発でバレてしまいますよね(笑)。そうすると、街に入った瞬間にあなたの評判が固定されてしまうため、私たちの目指すゲームデザインには合わないのです。
そしてもうひとつの理由もあります。かつての身体変化システムは、世界全体があなたを一律の善、または一律の悪として見るという前提の上で成り立っていました。しかし、私たちのモラリティへのアプローチは、より現代的で、複雑です。すべてのNPCが自分自身の道徳のレンズを持ってあなたを評価します。
そうなると、あるNPCからは善人だと思われ、別のNPCからは悪人だと思われている状態で、プレイヤーの見た目をどう表現すべきかという問題になります。NPC全員の評価をひとつの見た目に集約することは不可能なので、視覚的な表現としては機能しないのです。













