市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く

市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
 スクウェア・エニックス在籍時に『ドラゴンクエスト』シリーズなどのビッグタイトルを世に送り出してきた市村龍太郎氏。氏は2023年に、ゲームのみならずさまざまなエンターテインメントをプロデュースする新会社、ピンクルを設立した。
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 ピンクルは2025年末にアクションパーティ―ゲーム『プリッとプリズナー』を発売し、2026年5月には設立3周年を迎えた。そこで今回、市村氏にこの3年を振り返っていただくインタビューをお届けする。
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く

ピンクル設立から激動の3年、そして“これから”を市村氏が語る

 設立当初はNetEase Gamesの支援を受けたピンクル。しかし、ゲーム業界を激震させたNetEase Gamesの投資戦略転換により、同社が投資を行っていた有名クリエイターを擁するいくつかのスタジオへの資金提供が停止することになった。その荒波はピンクルにも容赦なく押し寄せる。

 しかし、市村氏はそんな大ピンチな状況の中でも、新たなパートナーを見つけることに成功。彼らと新体制を築き上げ、2025年12月には第1弾タイトルとなる『プリッとプリズナー』を無事にリリースさせた。
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
 『プリッとプリズナー』は開発とパブリッシングをピンクルが手掛けたタイトルだが、そのリリースにはInitiate Games Inc.(イニシエイト ゲームス/以下、Initiate Games)の協力があった。このInitiate Gamesこそ、ピンクルの新しいパートナーだ。

 そんなピンクルは、前述のとおり2026年5月に創業3年目を迎えた。今回実施したインタビューでは、市村氏と彼を支えたパートナー企業であるInitiate GamesのAnthony Borquez(アンソニー・ボルケス)氏とThomas Vu(トーマス・ブー)氏に、ピンクルとタッグを組むことになった経緯やお互いに求めたもの、そして今後の展望について語ってもらった。なお、トーマス氏はリモートでの参加となっている。
(聞き手:ファミ通グループ代表 林克彦)
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く

市村龍太郎いちむら・りゅうたろう

ピンクル代表取締役社長。スクウェア・エニックスにて『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』、『星のドラゴンクエスト』、『超速変形ジャイロゼッター』など、数多くの作品をプロデュース。2023年に独立して株式会社ピンクルを設立し、2025年12月25日にピンクル第1弾タイトル『プリッとプリズナー』をリリースした。

Anthony Borquez(Initiate Games Inc.)アンソニー・ボルケス

ARとVRを専門にするGrab gamesやモバイルゲームの開発会社Blue Labei Games(のちにKONAMIに売却)などを創業、複数のファンドを運営している起業家・投資家。Initiate Gamesの設立者で、ビジネス的な部分を担当している。

Thomas Vu(Initiate Games Inc.)トーマス・ブー

アンソニー氏とともにInitiate Games Inc.を設立。長い業界歴の中でいくつかのゲームメーカーを渡り歩いたクリエイターで、現在はBehaviourのボードメンバーを務めるなど、起業家・投資家としても活躍。10年ほど勤めたRiot Gamesでは『League of Legends』のエグゼクティブプロデューサーやプロダクトディレクターを担当。また、エミー賞を受賞した『ARCANE』のエグゼクティブプロデューサーを務めるなど幅広く活躍する。

ほぼ完成していた『プリッとプリズナー』がピンクルを救う!

――ピンクル設立から3年が経ちました。当初の想定とは大きく異なる、激動の3年間だったと思いますが、改めて振り返ってみた感想はいかがですか?

市村
 本当に激動でした(笑)。立ち上げ時点から衝撃的なことが多くて、その経緯はファミ通さんにもインタビューしていただきましたけれど。NetEase Gamesからの支援を受けてスタジオを立ち上げたものの……いろいろとニュースにもなりましたが、ウチも漏れなく支援が打ち切られることになりました。

 スタジオを立ち上げたときからいずれ来るかもしれない未来だと覚悟はしていたのですが、思いの外早かったですね。じつはその段階で3タイトルのゲーム開発が進行していたのですが、もっとも開発スピードの早かった『プリッとプリズナー』でも、完成直前というタイミングでした。

 そのほかのタイトルに関しては長期的な開発が必要だったので、プロジェクト自体がキャンセルとなりました。完成が見えてきていた『プリッとプリズナー』だけはなんとか発売したかったので、じつは支援打ち切りという話が正式になる前から、最悪の状況を見越して「自分たちで支援してくださる会社さんを探すことにしよう」と決め、各方面から投資家・パブリッシャーの方々を紹介していただきました。

 多くの方々と会話を積み重ねていった結果、いまの親会社となるInitiate Gamesのもとに行き着いて、『プリッとプリズナー』をリリースできた……というのが、これまでの流れです。

――そのお話がまとまったのはいつごろだったのですか?

市村
 2025年初頭のNintendo Switch 2本体の発売に伴い、PCとNintendo Switch 2、およびNintendo Switchでの同時発売戦略へ切り換えたことで、結果的に2年ほど開発にかかってしまいました。本当はもう少し早く発売するつもりだったのですが。

――以前のインタビューでは、「小規模タイトルは1年半くらいで形になる」とおっしゃっていましたね。

市村
 そうですね。でも、Initiate Gamesさんのおかげでなんとか発売にこぎつけて、無事に会社としても3年を迎えられることになりました。今日のインタビューに大事な親会社のふたりに加わってもらったのは、会社としての体制がきちんと整ったことが公にできるようになったからなんです。

――体制というところで、もう少しピンクルのお話をうかがわせてください。3年が経過して、ピンクルはいま何人くらいの会社になったのでしょうか?

市村
 立ち上げ時は4名だったのですが、すぐに2名が合流して、しばらくは6人体制でやっていました。そこから少しずつ人が入ってきて、いまは9名ですね。この9名の仕事内容は、プロデュースワークと開発がほぼ半々です。

 開発にはエンジニアが2名、プランナーが1名、デザイナーが1名いるので、協力会社さんをコントロールしながら最低限のことはやれるメンバーとなっています。今後はもう少し人数を増やして、社内でベースを作れる体制にしたいと思っています。

――親会社がInitiate Gamesに変わったことで、人員的な変更はあったのでしょうか?

市村
 メンバーは変わらず、です。我々のやりたいことを理解してもらったうえで、そのまま受け入れてもらえました。ただ、Initiate Gamesにもやりたいことはあるはずなので、ピンクルはなるべくそれに寄り添えればと思っています。

――苦労もあって、ピンクルとして初のタイトル『プリッとプリズナー』をリリースできたわけですが、これによって得られたものはありましたか?
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
市村
 “発売できたこと”がめちゃくちゃ大きかったですし、開発のラインナップに小規模タイトルを入れておいて本当によかったと思いました。

 逆に言うと『プリッとプリズナー』がある程度できていて、それをInitiate Gamesのふたりが見てくれて、触って評価してくれたからこそ、いっしょにやることを決断してくれたんです。『プリッとプリズナー』がなければ評価するものがないので、我々の実力を伝えることができなかったと思います。

 また、『プリッとプリズナー』を発売したことで、いまの体制でやれる範囲はここまでだったということがわかりました。さらに足りない部分も明らかになりましたし、今後それをどう埋めていくのかという課題も浮き彫りになりました。

――なるほど。本当に大きい1本だったのですね。

市村
 そうなんです。僕自身の経験として“Steamでモノを売る”ということが初めてでしたし、「インディーゲーム市場でどう動くべきなのか」という部分も手探りでした。『プリッとプリズナー』を出したことでわかることも多くて、すごく勉強になりましたし、今後への改善案もたくさん出てきたという感じです。

――この先のタイトル開発にもつなげられる大切なことですよね。

市村
 はい。インディーゲーム関連の人脈も広がりましたし。とてもおもしろい経験ができたと思っています。
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お互いの印象とタッグを組むことにした決め手

――では、いまの体制についての詳細を、Initiate Games のおふたりの紹介を含めてお願いします。

市村
 僕から紹介するのも何なので、本人からどうぞ。

アンソニー
 トーマスといっしょに、Initiate Gamesという会社を3年くらいやっています。ゲーム業界には20年以上関わっていて、2003年くらいにモバイルゲームの開発から事業を始め、Blue Label Gamesという会社を作った後、2006年にKONAMIに売却しました。そこから4年ほどはKONAMIで働いていましたね。以降は、複数の投資会社を運営しています。
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トーマス
 私は25年以上ゲーム業界にいて、デザイナーやプロデューサーなど、さまざまな業種に携わってきました。いちばん長く在籍したのはRiot Gamesで、10年くらいでしょうか。『League of Legends』にも関わっていて、e-sportsの企画を旗揚げしたほか、研究開発や音楽にも携わりました。

 またNetflixで配信されている『League of Legends』に関連するアニメ
『ARCANE(アーケイン)』(Riot GamesとNetflixが提携して企画・製作したアニメシリーズ)という作品が、同社で携わった大きなコンテンツです。
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トーマス
 いまも多くのゲーム会社には投資家という形で関わっているのですが、日本のメーカーへの関わりはアンソニーほどなくて。今回、初めて日本の会社と働くことになります。

――ありがとうございます。Initiate Gamesのおふたりがピンクルを子会社とすることにした経緯について教えてください。

アンソニー
 そもそもNetEase Gamesとは懇意にしていて、彼らといっしょに投資などもしていますし、最初に投資会社を作ったときに彼らから投資をしてもらったりもしています。そんな関係性もあり、NetEase Gamesが戦略を変えるとなったとき、彼らに紹介してもらうことになったのが、大きなきっかけになります。

――ピンクルの最初の印象はどのようなものでしたか?

アンソニー
 まず、市村さんのこれまでの経歴を見て興味を持ちました。トーマスは『Dead by Daylight』にも関わっているのですが、『プリッとプリズナー』はその雰囲気こそ違うけれど、どちらもマルチプレイのゲームですし、ゲームとして『Dead by Daylight』に近しい部分があります。そんなメカニクスの部分を見て、「これはいい」と思ったのが最初の印象ですね。

――市村さんから見たときの、Initiate Gamesの最初の印象は?

市村
 多くのパブリッシャーさんなどを紹介していただいている中での1社だったのですが、投資会社というのは珍しかったので、探り探りではありました。日本に来てくれたタイミングで、制作中のものはすべて見せたうえで必死にプレゼンをしたのですが、それを親身になって聞いてくれたという記憶があります。

 その場で、先ほど彼が言っていた
『Dead by Daylight』の話も聞いて。ゲームのことをわかっている人が『プリッとプリズナー』に対して「興味深い」という言葉をかけてくれたうえで、検討をしてくれたのはうれしかったですね。なので、金銭的な面というより、作品をしっかり見てくれたという印象が強いです。

 また、作品の評価はもちろんですが、「我々はIPを作ろうと思っているから、ピンクルとマッチしそうだ」と将来的なビジョンも含めて話していただけたこともあり、とてもポジティブな気持ちになれました。
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――最初の出会いから、お話がまとまるまで、どれくらい時間がかかったのでしょう。
市村
 契約のやり取りなどもあるので、ある程度の時間はかかってしまうのですが、わりと早かったと思います。昨年のまだ寒い時期に最初の話し合いがあり、検討期間を経て春くらいから「お互いに前向きにやっていこう」と具体的に動き始めて。2025年10月には着地しました。

――Initiate Gameがピンクルを子会社化するにあたっての決め手は、どこにあったのでしょうか?

アンソニー
 いくつかの要因がありますが、そもそも我々はIPに興味があるファンドです。日本のゲーム業界に魅力を感じつつも、大きなゲームメーカーにはなかなか投資できませんでした。そんな中で、市村さんが作った『プリッとプリズナー』というゲームとチームの規模感は我々にマッチしていると感じました。それが大きな決め手になりましたね。
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Initiate Gamesとはどのような会社なのか?

――Initiate Gamesが投資会社だというのはわかったのですが、それ以外も含めた事業の中身や、将来的に目指していることを教えてください。

アンソニー
 ベースは投資会社ですが、これからパブリッシャーとしてもやっていこうと思っています。アフリカやインドなど、これから発展するであろうマーケットにも興味があって、IPを作り上げ、それをどうやって各地に広げていくかをコアビジネスにしていくつもりです。

 これからさらに開発スタジオは増えていくと思いますが、ピンクルは我々にとっての最初の開発スタジオであり、アジアの拠点になります。

――欧米やアジアだけではなく、いまはまだゲームが盛んでない地域、これから伸びていく地域も含め、ピンクルを筆頭とした開発スタジオで作ったIPを広げていきたいわけですね。

アンソニー
 その通りです。なので、プラットフォームは問わずにIPを創出していければと思っています。

――ピンクルがInitiate Gamesに参加して半年が経ちますが、現状に対する率直な感想はいかがですか?

市村
 Initiate Gamesの皆さんは、謎の……驚くような人脈をたくさん持っているんです(笑)。それを活かして化学反応を起こすと、おもしろいことができそうだなと思います。

――言えないかもしれないですが、“謎の人脈”というのが気になります。

市村
 あまり表に出ていないゲーム業界の要職の方とのつながりや関わりがあるようなんです。僕の経歴では会えないような方たちだったり(笑)。

――へええ! スゴそうですね(笑)。

市村
 そんな彼らもアジアのコネクションはそこまで太くないので、そこは僕がフォローできそうだなと思っています。彼らに欠けたピースとして選ばれたのは、そういう面もあるのではないかな、と腑に落ちました。

 Initiate Gamesの一員になったのが『プリッとプリズナー』のマスターアップ直前ということもあり、2月にやっとInitiate Gamesの本社(米・ロサンゼルス)に行けました。そこで彼らと長い時間を過ごして、目指していること、我々がやるべきことをようやく消化できたという感じで……そこから数ヵ月というのが現状ですね。

――これからのゲーム作りについては、どのような話をされているのでしょうか?

アンソニー
 大きくは3つあって、ひとつは『プリッとプリズナー』のさらなる展開です。さらにいろいろなプラットフォームでリリースし、IPとしての展開をより大きくしていくことです。ふたつめは、ピンクル発信のIPを作ってもらうことですね。

 3つめですが、我々がアドバイザーになっていたり、投資をしていたり、パートナーを組んでいたりする会社の持っているIPで、アメリカや欧州で成功しているもののアジアでは成功できていない、もしくはこれから挑戦しようとしているものがあります。それをピンクルと協力して広めていくことができないかと考えています。

――アジアでIPを広げるというのは、その役割をピンクルが担うということですか?

アンソニー
 作品のローカライズやカルチャライズ、あるいはマーケティング……細かいところで言うと東京ゲームショウで存在感を出すことだったり……そういうことをピンクルにやってもらえるとうれしいなと思っています。
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
――ピンクルがこれまでにやったことのないものも、たくさん含まれているような気がします。
市村
 そうですね。それを聞いたときはけっこうビックリしました(笑)。ただ、Initiate Gamesの一員になり、彼らに寄り添うというのはそういうことかな、とも思っていて。逆に言えば、彼らの資金で我々は東京ゲームショウ2025に出展することができていますし、発売時のプロモーション支援もしてもらいました。

 そういった、パブリッシングにまつわる業務の中で初めての経験することも多く、それでひと通りのことをやらせてもらいました。この経験は活かすべきだとは思っていたので、「やってやろうじゃないか」という意気込みはあります。とはいえ、どんなIPに協力することになるのかわからないので、ドキドキしているんですけれど(笑)。

――これまで扱ったことのないような、たとえばスポーツゲームといった可能性もありますよね(笑)。トーマスさんからも、ピンクルに期待することがあればうかがいたいのですが。

トーマス
 『プリッとプリズナー』はIPとしてもすばらしいので、これからも拡大していくことを期待しています。とくにキャラクターをカナヘイさんが担当していることもあり、コミックやアニメにも広げていきたいです。理想を言えば、現代版の『ハローキティ』になってくれるといいな、と思っています(笑)。
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
トーマス
  また、私は投資やアドバイザーという立場を通じて、多くのIPにアクセスできる立場にあります。それらを日本やアジア圏に広めたいと思ったとき、市村さんとそのチームにはマーケットに対する理解があると思うので、協力してさまざまな取り組みができることを期待しています。

 『プリッとプリズナー』では、アートをカナヘイさん、音楽をTeddyLoidさんにお願いしていますが、それができるのはセンスも含めてピンクルのチームならではだと思っています。その感覚には期待していますし、同作をモバイルで出すことが決まったので、うまく広げていってくれればなと思っています。
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――『プリッとプリズナー』を今後よりグローバルに、そしてもしかするとメディアミックスも含めた展開をしていきたいと、両者が思っているようですね。
市村
 そうですね。そこはNetEase Gamesのもとで立ち上げたころから目指していたタイトルですし、彼らがそんな僕の想いに共感してくれたんだと思います。

ピンクルの今後の展望と“読者”へのメッセージ

――先ほど軽く話にも出ましたが、ピンクル発信の新たなIPが気になります。

市村
 じつは、僕もこの場を持って聞いてみたいところだったりします(笑)。今後も細かなアップデートはするのですが、『プリッとプリズナー』の大きなアップデートは5月いっぱいでひと区切りとなります。

 6月からは新規の企画に移行したくて、彼らにいくつかの企画書を提出しているんですが……なかなか返事が返ってこないんですよね(笑)。

――あはははは。

市村
 動いていいのかな?

アンソニー
 そこは、これからさらなる議論が必要かもしれないですね(笑)。もちろん新たな企画に期待していますが、いままでと同じようなことをやりたいとも思っていなくて。新しいジャンル、あるいはイノベーションがメディアを問わず必要となってくると考えています。

トーマス
 『プリッとプリズナー』はライフサービスのゲームですが、しっかり運用して成功まで持っていくのはなかなか難しいと思います。まずはそこに注力してほしいという気持ちはありますね。もちろん、いいIPが世の中にもっとたくさんあればいいとは思っているので、そこは積極的にやっていきたいと思っています。

市村
 なんかフワッとしていますね(笑)。

――(笑)。

市村
 たぶん忙しくて、まだ企画書を完全には見られていないと思うので、もうちょっと待たないといけないかもしれないですね。トーマスも言っていましたが、ピンクルとしてようやく出せた1本なので、ビジネス的な面もしっかりと考えたうえで動かなければいけないなとは思っています。

 あと大事なのは、『プリッとプリズナー』を出したことで、ピンクルという会社が業界に知られたことです。それによって、他社さんからオファーをいただけるようになったりもしていて。それがいいお話であれば、いっしょにお仕事をさせていただければと思っています。もともとピンクルの成り立ちは、企画・プロデュースの会社ですから。

――そうですよね。

市村
 予算さえあれば、外の会社さんと協力することで開発するタイトルの規模感を変えられるのも我々の強みです。もちろん、社内で作れるインディータイトルというのは、社員教育を含めた挑戦としてやっていくつもりです。

 ただ、もともと得意としているのはもう少し大きめの規模のタイトルなので、そういう企画を作って他社さんに持ち込むのもアリだと思っています。そのあたりはInitiate Gamesとも話をしてやっていきたいですね。それが彼らの言う新しいIPになる可能性もあるので。

――いまおっしゃっていたお話は、市村さんがピンクルを立ち上げた当初から公言していたものですよね。それが変わらずにできるようなったのは、安定した環境あってのことだと思うので、素直によかったなと思いました。

市村
 そうですね。本当に感謝していますし、そのためにもInitiate Gamesの面々がやりたいと言ったことには応えていきたいですね。お互いがWIN-WINの関係であるべきなので。

 だから、彼らがどんなIPを持って来ても協力するつもりですし、我々のやりたいことも遠慮なくぶつけられる関係性でありたいと思っています。

アンソニー
 そうですね。

市村
 なので……この記事を見ている業界関係者の方々、いまちょうどいいタイミングですので、大小さまざま、規模に関わらずお話をうかがいますので、ご興味がある方はお声がけをいただければと思います! 僕のほうから訪ねていくかもしれません!
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――ほかの会社向けの宣伝ですね(笑)。では最後に、皆さんから日本のゲームファンに向けたメッセージをいただけますか。
アンソニー
 市村さんを含め、 Initiate Gamesのコアメンバーはそれぞれ大きなゲームメーカーで働き、経験を積んだうえで集まっています。いまはスタートアップのような形ですが、どんなに大きな会社も最初は我々と同じようなスタートアップから始まっていますから。

 今後は新しい波に適応しながら、我々なりのイノベーションを起こしつつ、作りたいゲームをがんばって作っていければいいなと思っています。

トーマス
 いまは業界的にも新しいことを起こすにはいいタイミングだと思っていますし、Initiate Gamesとしても変革を起こしていきたいですね。

 とくに日本に関しては、アニメ作品のクオリティーは世界一だと思っていますし、そこは大きな強みだと思っています。私が
『ARCANE』で学んだのは、アニメ化したことで『League of Legends』に新たな広がりをもたらせたことです。そういったところもInitiate Gamesでやっていきたいですね。

 今後、我々から世界各地でさまざまなIPを発信していく予定です。ピンクルを含めてアジアでもがんばっていきますので、期待してください。また、我々はインディーゲームやそのクリエイターをサポートしていますので、興味があればアクセスしてもらえればと思います。
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市村
 いまゲーム業界は本当にたいへんなことになっていて、生き残ることすら難しいサバイバル状態です。独立して、そんな荒波に飛び込んでみたら、想像以上にたいへんだったんですけれど(笑)。いろいろな人に助けられながら、Initiate Gamesというパートナーが見つかり、なんとかピンクルが3周年を迎えられました。本当に感謝しています。

 これからやりたいこともたくさんありますし、やらなければならないこともいっぱいあるのですが……まずは3年生き残れたことをみんなでよろこび合おうということで、値上がりしたNintendo Switch 2を3名の方にプレゼントするキャンペーンを実施しようと思っています!

 さらに、僕たちのデビュータイトルである『プリッとプリズナー』をもっと多くの方に触れていただきたいと思いまして、90%オフのセールも実施します。124円という破格のお値段となっていますので、ぜひ遊んでもらって、少しでもピンクルという会社のことを知ってもらえたらと思っています。新しいステージと新しいキャラクター、対戦がさらにおもしろくなるスペシャルアイテムを追加した大型アップデートも実施しているので、「もう遊んでいるよ」という方も楽しんでください。
市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く市村龍太郎氏率いるピンクルが中国資本の打ち切りから新たなパートナーを獲得するまで。激動の時を経た『プリッとプリズナー』の発売、設立3周年後の新規展開を訊く
市村
 そして、これからのピンクルのことをお話しすると、最初のタイトルが『プリッとプリズナー』という変化球だったので、「そういうゲームを作る会社なのかな?」なんて思われるかもしれません。ですが、今後は僕の出自を感じさせるような、真っ直ぐなタイトルも作りたいと思っています。アンソニーさんたちにも、そんな企画を出していて。

 まだ企画が通るかどうかはわからないのですが、僕の気持ちとしてはそういうものをやりたいと思っています。また、これは『プリッとプリズナー』にも通じるところがあるような、ユニークな企画も考えていて。もちろん彼らが期待してくれている新IP、新しいジャンルと言えるようなおもしろいものもやっていきたいと思っていますし、中規模以上の作品を期待してくれているユーザーさんにも応えていきたいです。

 というわけで、今後は「ピンクルの市村はまだ生きているんだぞ!」という証明をしていくべく、がんばっていきたいと思います!
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