歩兵はつらい。そして偉い。軍隊は歩兵なしでは成り立たない。『サドン ストライク 5』で改めて痛感した。

歩兵は地味? いやむしろ戦場の中核なのだ。
カリプソメディアからPC(Steam、Microsoft Store、Epic Games Store)ならびにXbox Series X|S向けに発売中のミリタリーRTS(リアルタイムストラテジー)『サドン ストライク 5』。2026年5月21日(木)にはプレイステーション5版、ならびにプレイステーション5パッケージ版『サドン ストライク 5 デラックスエディション』が発売される。
第二次世界大戦のヨーロッパ戦線やアフリカ戦線をリアルに再現した本作。それでいて遊びやすさも兼ね備えており、新要素“スマート分隊”システムによりゲームパッドでも快適にプレイできるようになっていた。

RTSは時間との勝負。一瞬で操作部隊を切り替えたり、簡単に登録し直したりできるスマート分隊システムがありがたい。
戦車や飛行機など、さまざまな新兵器が驚くべき速さで開発、運用された世界大戦。そんな中でも歩兵が戦場の主役であり続けたのはなぜか、リアルな本作がこれでもかときびしく教えてくれた。
今回は本作をPC版、PS5版の両方でプレイさせていただいたレビューを通じて、本作のリアルさと歩兵の大事さをお伝えしていきたい。
歩兵がいないと近代兵器も役に立たない
まずは本作『サドン ストライク 5』がどんなゲームか解説しよう。本作は第二次世界大戦下のヨーロッパ、ならびに北アフリカ戦線をおもな舞台としたミリタリーRTSゲームだ。
本作のメインとなるキャンペーンモードでは、ドイツ軍、連合軍、ソ連軍のそれぞれのキャンペーンが用意されている。各勢力の特徴的な戦車や軍用機といった兵器も多数登場し、実際の戦史に名を刻むさまざまな戦場をミッションで体験できる。

難易度はステージごとに選択可能。ステージごとに司令官を選択でき、さまざまなボーナスが得られる。

司令官にはそれぞれ独自の能力があり、ゲームを進めていくと“ドクトリン”などでさらに能力を選んで追加できる育成要素がある。
ゲームの流れとしては、増援で呼び出した歩兵ユニットを中心に、自軍ユニットを選択して任意の地点へと移動。これをくり返して進軍し、マップ上にある敵の各拠点を攻め落としていく。
RTS(リアルタイムストラテジー)なので、時間経過とともにマップ上の全敵ユニットもリアルタイムで行動するという非ターン制である点も重要。変化し続ける戦況に、部隊を指揮して対応していく。

増援で呼べる空挺歩兵部隊は、短機関銃兵や衛生兵など各種歩兵がワンセットになっている。
本作では全ユニットに、耐久力以外にも弾薬や燃料といったリソースがある。戦い続けると消耗して、やがて無力化してしまうわけだ。
各拠点で手に入る補給物資や、歩兵の増援や偵察機、爆撃機といった航空支援を呼ぶのに有効な“名声ポイント”を使い、部隊を維持しつつ敵をせん滅しなくてはならない。

拠点ではリソース以外にも、放置された戦闘車両が発見できる。強力だが燃料や弾薬をかなり早く使い切ってしまうので、補給の大事さが身にしみる。
ぶっちゃけて言うと、本作の難度はかなり高い。難易度イージーでも、何も考えず突撃をくり返せば部隊員がばったばったと倒れていく。増援を呼ぶためのリソースが限られているので、“詰み”の状況があっさりと発生する。

ヘタすると一瞬で包囲、せん滅されることも。とくに敵戦車は、こちらに有効な武器の残弾や航空支援が残っていないとどうしようもない。
本作のユニットは、とにかく脆い。歩兵はちょっと銃撃されただけでダウンし、衛生兵の治療もまず追いつかない。さらに強固なイメージがある戦車も、側面や背面から先制攻撃されるとあっというまに爆発炎上する。

彼我戦力が有利と思って突撃してみたら……。

横から敵の車両部隊が突っ込んできて、大損害を被った。敵のAIが優秀すぎる。
しかもこちらの名声ポイントには限りがあるのに、相手は“検問所”が健在なら一定時間ごとに兵員を補充してくる。早めに検問所を占拠しないと、たいへんなことになるわけだ。だが検問所はたいていの場合敵陣の奥深くにあるので、焦って突撃すればあっさり玉砕となる。

検問所や港を占拠して、敵の増援を防ぐのが非常に重要。ときには占拠すると味方増援が来てくれることも。

そもそも飛行場を確保しないと、増援要請や航空支援が使用できない。非常につらい戦いを強いられる。
とくに歩兵は脆い。脆すぎる。そもそもふつうの人は歩兵と聞いて、軍隊における下っ端のようなイメージを持つことが多いかと思う。世界大戦当時では戦車や飛行機、現代ではヘリやドローン、さらには大陸間弾道ミサイルまである時代に、なんで生身の歩兵が前に出なくてはならないのか。
何より大きな理由は、“高度な判断ができる”からだ。

人間の目と頭が、戦場ではいつの時代も最重要なのだ。
建物内に民間人がいるかもしれない。そもそもそこが敵拠点という情報が間違いかもしれない。こうした判断をミサイルのような戦術兵器ができるわけもなく、またドローンや無人遠隔探査機は、通信障害などで使い物にならなくなる可能性もある。
手足がある人間だからこそ、現地で柔軟に対応できる状況がある。ガレキをどけたり、怪我人の手当てをしたり、さらには相手を説得したりと、生身の人間にしか器用にできないことが山ほどあるのだ。

本作でも歩兵には対戦車装備や狙撃銃など、さまざまな武器を持つ兵種が用意されている。手に持つ装備を変えるだけで柔軟に役割を変えられるのも、歩兵の特権だ。
本作でも歩兵の判断力の高さはしっかりと再現されている。まずなにより、視界が広い。本作では味方拠点やユニットが視認できない範囲は霧状のエフェクトで覆われており、そこにいる敵ユニットは攻撃どころか位置確認すらできない。
世界大戦時の戦車は当時としては非常に強力だが、ハッチを閉めて戦うあいだは車内からの視界が極端に狭いという大きな欠点を持つ。近代のようなレーダー装備やGPSが存在しないのだから、当然といえば当然だ。その視界を歩兵の別動隊で補ってこそ、長射程の砲撃を活かせる。

戦車や迫撃砲を持つ歩兵は、非常に長い射程を持つ。短機関銃兵など、機動力がある歩兵を先行させて視界を確保さえすれば……。

この通り、一方的に敵陣地を爆撃することも可能。発砲すると発見されやすくなるので、あえて攻撃せず偵察に徹する部隊も用意したい。
また、強力な航空戦力も、この時代では対空砲に対してあまりに脆弱。相手の対空砲台を歩兵や戦車で潰しておかないと、機動力が低い重爆撃機などはあっさり撃墜されてしまったりする。
まずは歩兵で状況確認。本作でも歩兵の最重要となる役割が、このように戦局を分けていく。歩兵はいつの時代も、戦場の中核なのだ。

そもそも戦車も元をたどれば、歩兵の進軍を援護するために誕生した兵器。歩兵こそ戦場の主役と理解するのが、本作攻略の第一歩だ。
スマート分隊で史実以上の戦略を生み出せる
歩兵部隊による偵察、それを待っての火力部隊の一斉攻撃など、本作では部隊を複数に分けて運用するのがつねとなる。そもそもリアルタイムで戦況が変わっていく本作では、せっかく占拠した拠点を敵ユニットにふたたび奪われたりすることも珍しくない。各地点に防衛用の部隊を残したりと、部隊がどんどん細分化していく。

重要な局面で、いきなり航空支援が使用できなくなり「なんで!?」と焦る筆者。

それもそのはず、飛行場を絶妙なタイミングで敵に奪還されていたのだ。防衛部隊をしっかり残さないと、このようにたいへんなことになる。
部隊が増えていく中で役立つのが、本作で追加された新システム“スマート分隊”だ。選択したユニット群をショートカットに登録し、PC版なら数字キー、コンシューマー版なら方向キーの左右を入力するだけで、操作する部隊を切り替えられる。

敵正面に主力部隊を展開し、左右から別部隊で挟撃。こんな難しい部隊展開も、簡単に実現可能だ。
スマート分隊の登録操作も、思った以上に簡単だった。PC版ならユニットを選択後、ctrlキー+数字キーを押すだけだ。
PS5版の場合は、ユニットを選択後にL1+R3(右スティック押し込み)でそのユニット群をグループ化し、そのあとにR1+R3で登録。ユニットを細かに選択すると時間がかかるが、そもそも本作では“タクティカルポーズ”で無制限の時間停止ができるので、RTSではあるが部隊編成はじっくり時間をかけて行なえる。

できれば歩兵の中でも、射程ごとに部隊は分けて移動させたい。そんな要望を、スマート分隊なら簡単に実現できる。
PC版とPS5版の両方をプレイしてみたところ、このスマート分隊のおかげでPS5版でもかなり快適にプレイできた。ゲームパッドでの操作はPCのキーボード&マウス操作ほどRTSには向いていないものだが、本作ではその差をあまり感じない。

R2ボタンを押すことで支援のリングコマンドが出たりと、直感的な操作が可能。PC版と比べてPS5版だから苦戦した、というような場面はなかったと思う。
そもそも本作はPC版かコンシューマー版か、キーマウかゲームパッドかなどという次元では語れないくらいに歯応えがある。タクティカルポーズがあるので、操作系統の違いもほぼ関係ない。そしてこうしたハードの差を感じさせないくらいに、敵AIが容赦なさすぎる。

たとえばこの橋。敵が展開しているので、射程的に橋の上で立ち止まってしまったところに……。

橋が敵の砲撃に巻き込まれて崩壊。向こう岸に分断された兵員は集中砲火で即全滅。筆者の指揮も悪いが、相手の動きも的確すぎる。
RTSに慣れていない人には、問答無用で難易度イージーを選択することをオススメしたい。大丈夫、イージーでもふつうに詰む場面が多いくらいなので恥ずかしいことは一切ない。どこでも任意にセーブ&ロードができ、試行錯誤をくり返して攻略していくのが基本となる。
とくに筆者の記憶に残ったのは、連合軍キャンペーンのまさかの最初のステージ“レティムノの戦闘”。いきなりドイツ軍に完全包囲された状況から始まり、こちらの兵はわずかなのに制空権を取られているので増援も呼べない。そのぶん突破できたときには、喜びのあまりリアルにガッツポーズが出た。これが本当に1面なのか。

初見で心が折れそうになったが、何度かいろいろと試していくうちに打開策が見つかっていった。戦場で包囲されると、こんなに絶望的なんだなぁ。
また、本作の各ステージはマップがかなり広い。そのぶん敵拠点や、ところどころに隠れている敵ユニットも多いので、慎重に攻略することになる。最初のステージをクリアーするのに、筆者はまだ慣れていなかったとはいえ、セーブ&ロードをくり返しつつ、3~4時間を費やした。
この歯応えとマップの広さから、本作のプレイボリュームは想像以上。キャンペーンひとつずつを、1ヵ月単位でじっくり腰を据えて攻略していきたいレベルだ。それでも時間を忘れて集中し続けられるのは、スマート分隊をはじめ操作方法がかなり簡略化されており、リアル志向ながらプレイしやすさも際立っているからだろう。

移動指令のボタンを長押しするだけで移動と同時に部隊を整列させることができたりと、RTSとして非常に遊びやすい。
また、史実で活躍したさまざまな兵器が登場するのも大きな魅力。シャーマン戦車やメッサーシュミットといった有名どころを始め、ソ連のコミンテルン牽引車など、そんなものまでと思わせる兵器も登場する。
こうした兵器と戦ってみると、よりリアルな世界大戦時代の感覚が味わえる。実際、筆者は敵に回した戦車、とくにマチルダやティーガーに何度も心を折られかけた。シルエットが見えた瞬間にポーズをかけたり爆撃機を呼んだりしていたほどだが、けっこうな数が出てくるので絶望感がすごい。それでいて味方にするとすぐに駆動系がやられて移動不能になったりするのが、じつに史実らしい。


各勢力ごとの車両など、ミリタリーマニアの心をくすぐる要素も序盤から多数登場。これもまたプレイのモチベーションになる。
リアルさを追求しつつも遊びやすいという、戦史RTSのお手本のような本作。わかりやすいうえで歯応えは想像以上かと思うので、ハードなゲームに挑戦してみたいという読者諸兄にはぜひ挑戦してみていただきたい。
そしてミリタリー好きの皆さんには、実在した第二次大戦時の兵器が活躍するだけでなく、改めて歩兵の重要さが身をもって確認できるゲームとしてもオススメしたい。歩兵を守ってくれる防御設備・塹壕(ざんごう)のすばらしさを、塹壕の基礎理念が生まれてから数千年以上経った現代でも噛みしめていこう。

誕生から数千年以上経っても、塹壕は必要だった。敵の塹壕は容赦なく迫撃砲で吹き飛ばそう。
『サドン ストライク 5』製品概要
- 対応プラットフォーム:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC
- 発売日:Xbox Series X|S版とPC版は2026年4月23日発売、プレイステーション5版は2026年5月21日発売
- ジャンル:シミュレーション
- 発売元:カリプソメディア
- 開発元:Kite Games
- 価格:7990円[税込]※
- 対象年齢:CERO 15歳以上対象/IARC 12歳以上対象
- 備考:Xbox Series X|S版とPC版はダウンロード専売 ※Steam、Epic Games版は7250円[税込]