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『天穂のサクナヒメ~ヒヌカ巡霊譚~』の取材をしたら稲作体験だけで時間が溶けた。種もみ消毒に代かき、中干しの期間に水量設定……こんなにも農業シミュレーターでいいのか

『天穂のサクナヒメ~ヒヌカ巡霊譚~』の取材をしたら稲作体験だけで時間が溶けた。種もみ消毒に代かき、中干しの期間に水量設定……こんなにも農業シミュレーターでいいのか
 「米作りってこんなにたいへんなの……?」
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 筆者は『
天穂のサクナヒメ』(てんすいのサクナヒメ)をプレイしていない。「ガチの米作りが楽しめる」とか「農林水産省がいちばんの攻略サイト」とか、そういう噂は聞いたことがあるけど、実際に触れたことはなかった。

 だからこそ、スマートフォン・PC向けに展開予定の『
天穂のサクナヒメ~ヒヌカ巡霊譚~』(以下、『ヒヌカ巡霊譚』)に触れたときは新鮮に驚いた。噂には聞いていたけど、これほどか、と。
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なんですか、種もみの消毒とは。
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田おこしとはなんだ。町おこしとは違うのか。
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攻略情報が欲しくて“i”マークを押したら丁寧に解説してくれた。田おこしのことはよくわかったけど、けっきょく俺はどうすればいいんですか。
 今回は企画・制作・配信を手掛けるTOHO Gamesさんにて試遊させていただくことに。その場にいたスタッフの方に話を聞いたところ、「米作りに関しては本家より深く掘り下げています」と、マジの目で言われた。スマホ版に合わせて簡略化とかじゃないんだ。

 もちろん稲作のみではなく、ちゃんとキャラクターを動かすアクションパートもあるのだが、こちらは見下ろし&SDキャラによる簡単操作に落とし込んである。つまり“スマホでの展開”に特化するために、アクションよりも稲作に重点を置いたわけだ。
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新主人公である“ヒヌカヒメ”。「米を作ることがかように骨が折れる仕事とは……」。いや、本当だよな。
 『ヒヌカ巡霊譚』に関しては、以前ジャイアント黒田さんが全体的なプレイフィールをまとめている。こちらの記事も参考にしていただきつつ、筆者としてはとくに関心した“稲作”中心に書かせていただければと思う。

固定化した攻略は通用しない。トライ&エラーで自分だけの正解を

 『ヒヌカ巡霊譚』は『天穂のサクナヒメ』の続編的な世界観を描くもの。プレイアブルキャラクターとして実装される新たな神様や独自の要素を実装するにあたり、各種設定や物語を原作元である“えーでるわいす”と共同創作しているそうだ。原作元が監修だけではないというのは頼もしい。

 つまりは決して、単なる『天穂のサクナヒメ』のスマホ移植ではない。その違いの最たる部分が、より深化した“稲作”システムなのだろう。
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メインシナリオはフルボイス。突如発生した“謎の群島”を舞台に物語がくり広げられる。
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いわゆる“拠点”の要素があり、ゲーム内で物資を得るための設備などを建設可能。
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建設にはそれぞれ時間がかかる。ゲーム内通貨などを使っての短縮も可能だ。
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稲作もこの拠点で行う。作業風景がかわいい。
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稲作用にパーティーを編成して、いざ田んぼへ。“稲作用にパーティー編成”って言葉、このゲーム以外では使わないだろうな。
 やってみた感覚を率直に述べるなら、ほぼ“稲作シミュレーター”である。条件を設定して稲作を行い、その設定がどう稲に作用したかを見てつぎの稲作へと活かす。がっつりトライ&エラーをくり返してよりよい米を作るゲームだ。

 当然、一筋縄ではいかない。
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項目が多い! 多いよ!
 稲作は4段階(四季)に分けて行われる。まず冬に種もみの準備をして、春には土を耕して田植え、夏には溝切りや中干しに水量の調整、秋には収穫した稲をどれぐらい天日干しするかを選び、ようやく新米が完成する。ひとつの季節にかかる時間は1時間半で、稲作を完了するには6時間が必要となる。

 そして前述のとおり、設定する項目はスマホゲームとは思えない量。たとえば冬。ひとえに種もみの準備といえど、設定はあまりにも多い。「どれだけ種もみを選別するの?」「消毒はどれぐらいの期間やる?」「じゃあ消毒の水温は?」「あと浸種ってのもあるけどどうする?」「じゃあどれぐらい漬ける?」……と、怒涛の選択肢が迫ってくる。
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設定はプリセットとして登録することも可能。この画面に表示されているのは冬だけだが、季節によってはさらに項目が多くなる。
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春にやる田植えもただ“植えるだけ”じゃない。稲と稲の間隔も大事。
 さらに、考慮すべきは種もみの種類や季節だけではない。当然ながら気温や天気も影響する。春や夏は田んぼに水を入れるのだが、気温が高いときに田んぼに入れる水量が少ないと水温が上がってトラブルが起きそうだし、多すぎても発育に影響が出る。雨が降れば乾燥の必要な工程は影響が出るかもしれない。

 さらにさらに、当然ながら種もみにも種類がある。熱さに弱い種類、寒さに弱い種類、病気になりやすい種類……それぞれの特徴も考えながら、環境を整える必要がある。実家が稲作農家の担当編集によると「コシヒカリは病気になりやすいから育てるのが難しいのでは」とのこと。

 その成否がわかるのは、ひとつの季節が終わった後(1時間半後)。“この気温と季節でこれぐらい水を張ったとき、稲の様子がどうなったか”は、終わってみないとわからない。
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季節が終わると、米のステータスや病気がどの程度進行したかがわかる。病気はゲージが右端までいけば発症する。
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設定の影響も細かく確認可能。次回への学びにつなげられる。
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種もみの種類は本当にたくさん。自分で配合して増やすほか、後述するフィールド探索でも入手が可能だ。
 つまるところ、必要なのは経験の蓄積。トライ&エラーがよりよい“米”を作っていく。

 あまりにも変数が多すぎるため、「いわゆるwiki的な、固定化した攻略って通用するんですか?」と聞いてみたところ、たぶん無理とのことだった。硬派すぎるぞ『ヒヌカ巡霊譚』!
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ちなみにアイテムを使えば稲作を短縮可能。しかし四季全部をすっ飛ばすので設定の影響を細かくチェックすることはできなかった。経過を見たければ地道に待つ必要があるらしい。
 しかしながら、この硬派さが心地いい。というかやっていて超楽しかった。ゲームとしてのおもしろさをここ(稲作)に詰めるという気概を感じられるようだ。制作陣の魂である。

 間口を広げるために、稲作を単純化することもできただろう。しかしそれをしなかった。“米を作る”ことから逃げなかった。まるでインディーゲームのような、一点突破の作りこみである。
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米が無事に採れたときのうれしさはひとしお。初めてつくったお米(黄金晴)は、量と味と香りが高いお米になりました。
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同時にアビリティ継承などに使える“ぬか”も取れる。米の隅から隅まで使うのである。
 稲作の完了に6時間かかるシステムも、スマホで遊べばそこまで大きな問題ではないかもしれない。用事の前に設定して待機し、結果を確認してまた別の作業、また結果を確認して……と、自身のライフスタイルに合わせて遊べば、そこまで“待たされている”感覚にはならないはず。

 設定をいじったときの変化も、スクショなりメモなりがあれば記録しやすい。“実際の農業だとどうするのか”といった専門的な知識も調べてしまえばいい。

 今回は試遊ということもあり、実際に6時間待機したわけではない。そのため正確な評価とは言いづらいが……面倒に感じる部分は、スマホとの相性で解決できるように感じている。
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季節ごとに設定を変えず、一括で設定する機能もあれば、
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おまかせ指示で簡単に作ることもできる。もちろんすべて自分が操作して、個別に設定するほうが理想のお米に近づけやすいが、楽をするための配慮はしっかりと用意されている。
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米をいっぱい作れば田んぼの“格”も上がる。格が上がればよりよいお米が作れるように。

米を装備していざ探索! 稲作と戦闘のループにハマりそう

 苦労の末に作り上げたお米は、キャラクターたちの装備品となりアクションパートで活躍する。できたお米の“味”や“量”など、各種ステータスに対応した数値が上がる仕様で、たとえば量は生命力(体力)、味は攻撃力を上げてくれる。

 稲作に慣れてくれば「いまこのパーティーには体力が欲しい」となればお米の量を気にしながら米作りしたり、「このキャラクターの攻撃力を上げたい」となれば味を、「いやいや防御力が」となればまた別のステータスを……と、自分の目的に合わせて育成できそう。
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パーティーはこんな感じ。プレイアブルキャラクターを4人と、支援してくれる“稲の精霊”を編成する。
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キャラにさっき作った黄金晴を装備させてみた。“量”が多かったので、生命力が大きく上昇しているのがおわかりだろうか。
 アクションパートでは、『ヒヌカ巡霊譚』の舞台となる“謎の群島”を探索する。スライドとタップだけの簡単な操作でフィールドを駆け回り、敵を倒しながらステージごとの目的を達成していく。

 編成するキャラクターは4人だが、自分が動かすのは1キャラのみ。ほかのキャラクターはすべてオートで動いてくれる。操作量が少ないため、基本的には本格バトルというより、探索をメインにしつつ適宜敵を倒していくというイメージだ。
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戦闘は非常にシンプル。ちっちゃいSDキャラが躍動する様子がかわいい。
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通れない足場をフックで飛び越えつつ探索。意外と動きが機敏。
 戦闘特化の、歯ごたえあるボス戦もある。こちらはしっかりとキャラクターを強化していないと苦戦する。もちろんキャラクターの強化以外にも、ちゃんと稲作をしていいお米を作らないと突破は難しいだろう。

 探索の結果次第では拠点の強化やキャラクターの成長素材などを入手できるほか、新たな種もみを発見することができる。米を作ってキャラを強化し、強化したキャラで探索。持ち帰った種もみでまた稲作へ……というループになっている。ハマるとどこまでもやれてしまいそうだ。
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青いゲージが満タンになると必殺技が使える。筆をザッと走らせたようなカットインがかっこいい。
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黄金晴は探索で入手できる種もみ。動物の形態をしているが、これは“稲の精霊”としての姿となる。
 装備品が稲作によって作られる米ということは、ある程度“(現時点での)理想の米”が作れてしまう日も来るはず。そうなった際「以降は環境を更新しない限り、まったく米を作る意味がなくなるのか」と思い聞いてみたのだが、スタッフいわくそうではないとのこと。

 『ヒヌカ巡霊譚』では、だいたい月に1度ほどのペースで、作ったお米を納品してアイテムなど有用なものに変えられるイベントなどを実施予定。余ったお米などはそこで消費できるため、気がねなく作り続けてほしいとのことだった。
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入手した種もみを配合して、新たな種もみを作ることも可能だ。
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こちらはヒノヒカリの稲の精霊。配合などで品種を開放すれば自動的に獲得できる。

キャラは買い切り、“深さ”を求めるゲームプレイ……いい意味でソシャゲらしさがないタイトル

 いわゆる基本プレイ無料系のタイトルなので“ガチャ”もある。しかしプレイアブルキャラクターは配布や買い切りの形式となるため、ガチャで排出されるのはキャラクターの神階昇進(いわゆる限界突破や凸のこと)用のアイテムと、心想神画と呼ばれる装備となる。

 ちなみに、キャラクターの購入には有償通貨だけではなく無償通貨も利用可能。「このキャラクターを使いたい!」という思いで懊悩とすることはなさそうだ。

 心想神画はテレビアニメ『天穂のサクナヒメ』の場面写を流用したものを中心に、P.A.WORKS描き下ろしのイラストも多数収録予定とのこと。『ヒヌカ巡霊譚』から初出のキャラも多数いるため、原作のファンにとっても新たな出会いの場になってくれるだろう。
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ガチャ画面ではカムヒツキさまが登場。巻物を持って我々に心想神画などを届けてくれる。
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こちらは描き下ろしの一枚。ヒヌカヒメを見守る様子がいいですね。
 筆者的にかなり「おっ」となるキャラもいた。買い切りや配布でもらえるというのはありがたい。
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この人。その名もヒヒカカヒメ。
 筆者が気になったのはヒヒカカヒメ。『天穂のサクナヒメ』を作ったえーでるわいすのこいち氏によると、「いたいけな青少年の感性を歪ませてください」と指定したとのこと。なんてことを。

 ゲーム内で広告を視聴して報酬を得たり、時間のかかる工程を省略するのも基本プレイ無料ゲームではあるある。『ヒヌカ巡霊譚』もその例に漏れず、広告の視聴により稲作の省略などが行える仕様となっているのだが、本作の場合は内容をコントロールして、お米や農業、食に関するものや『天穂のサクナヒメ』関連の広告のみになるようにする予定らしい。

 (広告で)米を見ると、(ゲーム内で)米ができあがるわけである。『天穂のサクナヒメ』らしさを感じるユニークな施策だ。
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 などと偉そうに書いたが、前述のとおり筆者は『天穂のサクナヒメ』自体は未プレイ。しかし「とにかく米にガチ」なタイトルであることはわかっているつもりだ。

 筆者が『ヒヌカ巡霊譚』から受けた印象も同じ。米、および米作りに対して非常に真摯なタイトルである。とくに稲作に関しては、間口を広く取るよりもこだわりを優先したような印象を受けるが、それは『天穂のサクナヒメ』を背負ううえでは決して切れない部分だったのだろう。
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 いい意味で“スマホゲームらしさ”を感じさせないタイトルであり、個人的にはとても好印象。実際、ここまでしっかりとトライ&エラーにより稲作をする体験はほかのタイトルでは味わえないだろうし、やっていてとても楽しかった。『ヒヌカ巡霊譚』の配信は2026年2月5日予定とのことだが、執筆時現在(1月下旬)からすでに、予習のため農林水産省のホームページで米作りに関する文献を調べているレベルだ。

お米 作り方:農林水産省

水稲の技術情報のページ:農林水産省

 こうやって調べることで、ゲームと現実の知識が繋がる感覚はとてもおもしろい。この“おもしろさ”が日本中に伝播する、配信の日が楽しみだ。
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