集英社ゲームズより、2月5日にジェムマッチローグライト『ANTHEM#9』(アンセム・ナンバーナイン)がリリースされた。
本作は場に出したジェムの色により出る技が決まる、パズル要素が加わった内容。BitSummitをはじめ、さまざまなインディーゲームイベントに出展され、その都度「おもしろい」とインディーゲームファンから高い評価を得ていた作品だ。
4年間の開発期間を経て、ついに製品版として登場する本作について、開発者のkoeda氏と集英社ゲームズのプロデューサー森田 航氏に話をうかがった。
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写真左:森田氏、写真右:koeda氏
プレイアブル版からUI/UXを大幅刷新、最終版は見た目も操作性も向上
――これまで各種イベントでプレイアブル版を出展され、Steamではベータ版も公開されていましたが、そこから大きく変わっている点はありますか?
koeda
もっとも変わったのはUI(ユーザーインターフェース)やビジュアル面ですね。2025年の3月には、3Dモデルを一新して見た目が大きく変わりましたが、今回はさらにバトル画面のUIに大きく手を加えました。
それまでのバージョンでは、ユーザーさんから操作しづらいという指摘もいただいていたので、その意見を踏まえ、最後のブラッシュアップとしてUIを更新し、それによってUX(ユーザーエクスペリエンス)の向上も図っています。
――私も過去にプレイさせていただきましたが、そのときには操作しづらいという感じはしなかったように思います。具体的にどういった点を更新したのでしょうか?
koeda
ベータ版ではスキルデッキが画面上部に、ジェムを選択する箇所が画面のいちばん下に表示されていました。このゲームはスキルの発動条件となるジェムの色を見ながらジェムを出していくゲームなので、そこが遠いと単純にプレイしづらくなってしまうんです。
見た目の収まりがよかったのでそういったデザインにしていたのですが、視線が上下し続けるゲームになってしまっていたので、そこを調整しています。じつはこの問題は最初期からわかっていて、初めてプレイされる方からは「どこを見て何をすればいいのかわからない」という意見もいただいていました。ずっと直したいと思ってはいたのですが、ビジュアルとしてのまとまりを保ちつつ、どうレイアウトを調整すればいいのか。その正解が見えなくて。
そこで、正式版となる前に最後に調整をしようと集英社ゲームズさんに相談し、UIデザイナーさんにご協力をいただいて解決しました。
森田
そのほかにも「ここは説明されないと、ちょっとわかりづらいかも?」というデザイン課題もまとめて調整しました。
『ANTHEM#9』はアメコミからインスピレーションを得てデザインしている部分が多く、カットインやエフェクトもそれに寄せられています。そういったトンマナに合わせて、バトル画面全体を調整しました。セットしたスキルが吹き出しから出ているようにデザインされ、よりスタイリッシュにブラッシュアップされています。
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リリース版のUI。ジェムが並ぶエリアの直上にスキル候補が配置され、わかりやすくなっている。
――正式リリースを迎えるいまのお気持ちをお聞かせください。
koeda
開発を開始したのが2021年の11月ですから、もう4年以上開発していることになります。集英社ゲームズさんとタッグを組んでからも2年半が経過しているのですが、こうして振り返ると長い道のりでしたね。
もはや開発はライフワークのようなものになっているので、まもなく完成すると言っても実感が湧いていません。だからそわそわもしておらず、このまま淡々とリリース日を迎えそうです。もちろん楽しみではあるのですが……。体験版ではうれしい評価をいただいていますが、製品版としてリリースされた際に皆さんからどういった反応をいただけるのか、不安もあります。
森田
2年半という時間が経って、このゲームはかなり変わりました。とくにコンボの面は大きな変化を遂げています。当初は10コンボくらいを出すゲームだったのに、現在のバージョンでは100コンボ、200コンボと出すことも可能です。
koeda
集英社ゲームクリエイターズCAMPのコンテストで、開発プロデュース本部・本部長の山本さんから「このゲームは何コンボくらい想定しているの?」と質問され、「10とか20くらいじゃないですか」と答えたのをいまでも覚えています。当時の設計では、それくらいいけば十分うまいプレイになる作りだったのですが、いまではそこから10倍くらいインフレしました。
――なぜ当初の設計から、100コンボ、200コンボが出るようなシステムに設計変更がなされたのでしょうか?
koeda
本作はベースシステムがジェムを使ったパズルなので、ジャンルこそ違えど『ぷよぷよ』を参考にしていたところがありまして。『ぷよぷよ』って10連鎖もできればすごいじゃないですか? だから『ANTHEM#9』でも「10コンボもいけたらすごい!」という設計にしていたんですね。
でも集英社ゲームズさんとやり取りする中で、社内の方々がコンボ体験の気持ちよさを評価してくださることが多かったんです。最初はコンボそのものにそこまでの魅力があるとは気付けていなかったのですが、森田さんと相談をして、フィードバックを活かすように爽快感を伸ばしていくことにしました。
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ゲームに不慣れでも、デッキをうまく作れれば大量のコンボが生み出せる。これは気持ちいい!
森田
koedaさんのゲームはコンテストや企画書の段階から完成度が高かったので、プロデューサーとしては、すでに出来上がっているものを少しずつブラッシュアップしていくという方針でいました。ですがコンボの部分が社員から大きく評価されたので、見た目にもゲーム体験にも気持ちいいコンボにしてみようと、いろいろ考えた結果、このような形になりました。
koedaさんにわざわざ東京まで来ていただいて、一日合宿のような形で「こういうのが気持ちいいんじゃないか」と議論したのを思い出しますね。
――プレイヤーとしてはうれしい変更ですが、コンボ数の桁数を上げるとなると、ダメージの成長曲線やゲームバランスの調整はたいへんだったのではないですか?
koeda
それはもう(笑)。さっきは美談のように語りましたが、じつはコンボをそこまで伸ばすことには、最初は反対だったんです。自分としては詰将棋のようにしっかりダメージ計算をして、敵を少しずつ追い詰めていくような体験を目指してゲーム設計をしていたので、膨大なコンボやコンボボーナスまで入ったらプレイヤーが未来を正確に計算(予測)できなくなる、それでは目指していたゲーム体験が損なわれると懸念していました。
ただ当時はまだ1ステージしか作っていないタイミングだったので、コンボシステムに合うようなバランス調整をしてステージを作り直してみたところ、好評だったので、ならいいかと。
――ゲームバランス的には、終盤で100コンボとかを出さないとクリアーできない難易度なのか、それともそこまで出さなくてもクリアーできるのか、どちらになりますか?
koeda
具体的な数字は言えませんが、設計としては各難易度でボスを倒すのに何ターン、何コンボ必要かという想定はあります。ただ通常のミッションであれば、100コンボまでいかなくともクリアーできるように調整しています。
とにかくコンボを出すファニー、重い一撃を放つベニ。新キャラクターの特徴にクローズアップ
――製品版ではふたりのプレイアブルキャラクターが追加されますが、それぞれのデザインコンセプトを教えてください。
koeda
最初から登場しているルービットというキャラクターは、毒を使うメガネのお姉さんで、かなり癖のあるキャラクターです。そのインパクトに負けないようにするため、追加キャラとなるファニーはロクでなしのギャンブラーにしました。ただのイケメンキャラにまとめてしまうとルービットに存在感で負けてしまうので、ギャンブルに強がる快楽主義のガンマンという設定にしています。
プレイするとボイスがとても気持ちよくて、コンボをたくさん出すとどんどんファニーのテンションが上がっていくところを楽しんでいただければと思います。
もうひとりのベニという女の子は、3人の中でいちばんまともなキャラクターです。素直ないい子なのですが、子どもゆえに強すぎる正義感を持っていて、少し危うい感じもあります。元気な子なので、マスコットキャラクター的な存在にもなっています。
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最初から使えるキャラクター、ルービット。
――ルービット以外のキャラクター2名のプレイスタイルはどんな感じになっていますか?
koeda
ファニーはギャンブラーでガンマンという性格そのままに、とにかく手数を増やすスタイルです。ジェムがどんどん溜まっていき、ブレス(アイテム)をうまく使ってトリッキーな動きでジェムを増やしていきます。シナジーを使ってハンドをガンガン回す、カードゲームのようなプレイスタイルになるので、カードゲームをよくプレイする方に好まれるキャラクターになるでしょう。一発一発は弱いですが、手数で圧倒します。
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ファニーは独自効果により、スキル組みとジェム回しさえうまく管理できれば、一気にコンボ数を増やせる。
koeda
一方のベニは、自身が属する民族の守護神に祈りを捧げ、バフを得て自身を強化して戦うスタイルです。ベニはジェムを犠牲に攻撃力を上げたり、シールドを増やしたり、HPを回復したりします。自分をどんどん強化して重い一撃を与えるタイプですね。
ベニを先行プレイした方からは“もっとも万能”と評されることもあります。守りも攻めもできるので、慣れてくれば扱いやすい性能だと思います。
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ジェムを消費して自身の能力を高められるが、ジェムを使いすぎてしまうとスキルが放てなくなってしまう。どこまでジェムを消費するかがキモになりそう。
――初心者におすすめのキャラクターはいますか?
koeda
初めてプレイする方にはルービットがおすすめです。ジェムトレード(ジェムの色を変える)という能力がシンプルに使いやすいので、まずはルービットでゲームシステムに慣れ、そこからファニーやベニを試すことをおすすめします。
森田
おもしろいことに、ルービットは毒を使ういやらしい性能なのに、いちばん扱いやすいんですよね。
――たしかにゲームにおける毒使いって、ドットダメージでジワジワと敵を削るテクニカルなキャラクターというイメージが強いですね。
koeda
先程お話した通り、ベニも慣れれば使いやすいキャラクターです。ただ相手の攻撃に備えてどれだけシールドを張っておくかなど、随所で先を見据えての計算が必要ですし、ジェムをどれくらい犠牲にするか、どこまでを攻撃として使うかという判断が求められます。万能ですが、頭は使うキャラですね。
森田
私は圧倒的にファニーが好きですね。ギャンブル性は高いですがジェムを増やせますし、コンボで画面が埋め尽くされる光景は一見の価値ありですよ! この体験・快感が得られるのはファニーだけなので、強烈なコンボが好きな人には彼を推したいですね。
――ちなみに、森田さんが出したコンボの最高記録はどれくらいですか?
森田
具体的な数字は覚えていませんが、200は超えていると思います。ただ300コンボには届いていないので、200以上300未満くらいですね。ただ、公式Discordサーバーにいる猛者たちの中にはもっととんでもないコンボを出された方もいます。それは想定外の形でブレス(アイテム)を使った結果ではあったのですが……。とはいえ、調整後の製品版でもファニーはコンボ数に夢を見られるキャラクターなので、楽しみにしていてください。
koeda
製品版がリリースされて以降も、我々がデバッグで見つけられなかった組み合わせをユーザーさんが見つけてくるだろうなと思っています。かなり念入りに見てはいるのですが組み合わせがあまりにも膨大なので、そこは楽しみでもあり、恐怖でもありますね(笑)。
――koedaさんの好きなキャラクターは誰になりますか? そのキャラクターを使ったロマンあふれるビルドも教えてください。
koeda
私はベニが好きなので、ベニのビルドのひとつであるチャージ軸を紹介しますね。チャージ(ジェムをひとつ失う代わりにバフを得るベニの固有行動)は本来、自分を強化するための能力なのですが、特定条件を満たした上でチャージを行うと同時に自動でセットされるスキルが存在します。自身を強化しながら相手も削れるという、めちゃくちゃ強いデッキ軸です。
これを軸にすると、ジェムを1個も使わずにチャージだけでボスを倒すこともできるんです。デモ版の時に配信でプレイしましたが、この“フルチャージ縛り”でどこまでいけるか、製品版でも試してみたいと思っています。
森田
このゲームはいろんな縛りプレイができそうですね。
koeda
縛りプレイはおもしろいと思います。まずはふつうにクリアーして、それからいろんな遊びを試してもらえるとうれしいです。
デッキ型ローグライトが初めての人でも遊びやすい工夫
――ここ数年、デッキ構築型ローグライト(ローグライク)が流行していますが、「デッキを組む」という点に難しさを感じ、食わず嫌いをしている方も多いと思います。初心者向けのガイドやシステムはありますか?
koeda
基本的なチュートリアルは実装しているので、どなたでもゲームの流れを理解できるように設計しています。『ANTHEM#9』の基本は色を合わせてスキルを出すだけなので、どんな方でも遊べるシステムだと考えています。
つぎにどのジェムを入れたらスキルが出るかというガイドもつねに表示されているので、ガイドに従ってジェムを選択していればスキルを出すことは可能です。また、負けたときにはTIPSが表示されるので、そこでスキルの出しかたを学んでいただき、以降のプレイに活かしていただければな、と思っています。
それと、賛否両論あるとは思いますが本作ではローグライトとしては珍しく、リトライ機能を実装しています。最後のボスまで行って、ちょっとしたミスで負けてしまったとき、最初からまたやり直すのって、けっこうストレスだと思うんです。そこへの対策も入れているので、このジャンルの中では初心者の方でも遊びやすいシステムになっているのではないかと思います。
森田
ただし、バトルの最初からやり直すだけなので、デッキは変えられません。敵の行動パターンも決まっているので、デッキが悪ければリトライしても勝てないときは勝てません。このように調整しているので、ローグライトファンの方にも納得いただける仕様になっていると思っています。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
koeda
『ANTHEM#9』は4年以上かけ、多くの方にご協力をいただき開発してまいりました。2026年2月5日にリリースされますが、しっかり遊べるボリュームになっていると思います。製品版が出たら、ぜひさまざまなビルドを試して、Xに投稿したり配信したり、コメントしたりして、皆さんがどんな遊びかたをしたのかをぜひ見せてください。
森田
過去のインタビューでもお話していますが、このゲームはkoedaさんのデビュー作なんですよね。あまりにもおもしろく、そうとは信じられないクオリティですが、本当です。ぜひ読者のみなさんにもkoedaさんの才能を見ていただき、ゲームを楽しんでいただきたいです。応援よろしくお願いいたします。