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『Routine』レビュー。淡々とスタイリッシュにクソ怖いホラー謎解きADV!! ステルスしながら謎を解く圧がヤバすぎ【BRZRKのうるせー洋ゲーこれをやれ】

byBRZRK

『Routine』レビュー。淡々とスタイリッシュにクソ怖いホラー謎解きADV!! ステルスしながら謎を解く圧がヤバすぎ【BRZRKのうるせー洋ゲーこれをやれ】
 洋ゲーライターBRZRKがさまざまな海外ゲームに挑む連載“BRZRKのうるせー洋ゲーこれをやれ”。今回は発表から13年を経ていよいよ発売されるホラーアドベンチャー『Routine』をフィーチャー。

 対応機種はXbox Series X|S/Xbox One/PCで、日本時間の2025年12月5日0時より発売予定となっている。
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 ドモー。気付けばもう12月って恐ろしいなと思うと同時にThe Game Awardsもそろそろであり、未発表タイトルを含めた多数の初出トレイラーが出るのが待ち遠しい次第。今年のゲーム・オブ・ザ・イヤーは何になるんだろうか。

 今回紹介するのは、Lunar Softwareが開発しRaw Furyがパブリッシングを担当するSFホラーアドベンチャーゲームの『
Routine』だ。ゲームとしては『エイリアン アイソレーション』をコンパクトにした感じの、謎解き要素強めな一人称視点ステルスのアドベンチャーゲーム。“何かに常に追い回される緊張感に身を置きながら解を探すため右往左往する”という圧迫感が好物なのであれば、大いに楽しめるタイトルだろう。
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沈黙した月面基地を探索し、事態を収拾せよ

 本作の舞台となるのは1980年代SF風のレトロフューチャーな月面基地。何らかの原因により完全に沈黙したこの基地で、エンジニアである主人公が調査と事態の打開のために探索を始めるところからゲームが始まる。

 まぁ、「何か秘密裏に行われていた実験が問題を引き起こしたらしい」というよくある感じの設定なんだけども、多くを語らずに淡々とスタイリッシュに体験させられるストーリーテリングが割と独特なので、刺さる人にはグサグサと来るんじゃないだろうか。
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「まさに月面!」というパノラマビューだが、基地内はそれどころじゃない事態になってたりする。

利用できるギミックの存在すらもプレイヤーに発見させるストイックな構成

 さてこのゲームの最大の特徴は、謎解きに使うギミックの存在そのものもゲーム世界の中からプレイヤーに発見させるというストイックな構成。ツールの使い方もいちいち教えてくれないし、HUDもほとんど表示されないので、つねに周囲に注意して手掛かりを発見していく必要がある。
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ゲーム画面はマジでこんな感じで、HUDが極限まで削ぎ落とされている。ターミナルなども主観視点のまま近づいて利用するのだ。
 その中で重要な役割を果たすのが、月面基地でのメンテナンスなどに使用される支援工具のC.A.T.(コスモノート支援ツール)だ。C.A.T.にはさまざまな機能があるのだが、すぐにわかるのは銃のように電撃を飛ばす機能ぐらい。これだけでも警備ロボットを一時的に無力化したり、配電盤をショートさせてドアの開閉制御をリセットするといったことができる。

 でもC.A.T.にはそれ以外にもいろいろボタンがあるし、さらに追加モジュールをセットすることで機能拡張もしていける。探索でそれらを入手したり、新機能を実際どう使って何ができるのかトライ・アンド・エラーで発見していくのも本作の謎解きの一部というワケだ。
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C.A.T.にはいろいろボタンが付いていて、主観視点からそれらを押せる。どっかに説明書いてないかな?
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C.A.T.にはモニターが搭載されているのだが、フレームレートの低さがかなり昔っぽい味を出しててたまらん。
 というわけでプレイヤーはC.A.T.を片手に探索を進めていくことになるんだけど、セーブや現在の目標の確認、収集した情報のリプレイといった、普通はメニューボタンですぐにアクセスできそうなゲーム的機能も本作では一筋縄ではいかない。なくはないんだけど、それもまた自分で発見するものなのだ。

 ちなみに本作はちなみに本作は1プレイにつき1セーブしかできないため、複数セーブを作って色々試すといったことはできない。まぁセーブできる端末は結構多く配置されているし、完全に詰みの状況は意外とないので、1セーブで困ることは一切ないけどね。
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追加モジュールにはブラックライト機能なんてものも。
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情報アクセス可能な端末自体は多数配置されているので、ガンガン使ってしまうが吉

敵ロボやクリーチャーを避けながらの謎解きの圧がキチぃ!

 そんな暗中模索の探索の中で最大の障害となるのが、敵性キャラクターの存在だ。最序盤こそ敵が出現しないのでゆっくりと謎解きや情報収集をしながらゲームの進め方を把握していけるが、いざプレイヤーを害そうとする存在が現れるとそんな余裕はゼロになる。

 序盤に登場する敵性キャラクターは旧型ターミネーターみたいな警備ロボットで、ガシャンガシャンと歩行音を奏でながら通路を徘徊しているか、通路の脇でスリープ状態になり停止している。

 しかし、ひとたびその視界内に入ってしまうと光学センサーを起動し、見失うまでプレイヤーを追い回して攻撃を仕掛けてこようとするのでかなり厄介な存在。端末を操作しようとしている時に遠くから少しずつ歩行音が聞こえた時の緊張感はかなりエグく、かなりプレッシャーを感じる。
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スリープ状態のロボがこちらを検知した場合、再起動状態になるまで少しだけ時間を要する。その隙に走って逃げちまおう。
 で、物語を進めていくと別の敵も現れるようになるのだが、基本的にやることは一緒だ。ただ、こちらはうめき声みたいなのを上げて徘徊していたり、常軌を逸した挙動を取ったりするので、ロボとは違うベクトルのプレッシャーが。まぁほんと気持ち悪いことこのうえないんで自分の目と耳で異様さを感じてほしい。

 これらの敵はC.A.T.の電撃で一時的に行動を阻害できるが、あくまで逃げて隠れる隙を作り出すためのもので、一般的なサバイバルホラーとは異なり撃退はできないのがポイントだ。
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ロボのセンサーで探されてる状態。テーブルの下や荷物の裏など、身を隠せる場所はかなり多い。ピンチになったら駆け込める場所を探しておくといいだろう。
 さてこんだけ便利なC.A.T.なわけだが、いろいろな機能を利用しているとバッテリーの消費がかなり激しく、初期装備の電撃だと3回も撃てば電力不足で利用不可になる。対処方法としてはそのへんに落ちているバッテリーを拾って補充するという形なのだが、割とそこらじゅうに落ちているので困ることは無いだろう。

 さらにセーブデータをロードし直せば再配置もされていたので、このあたりもサバイバルホラーと違って、それぞれの機能をバカスカ使ってもリスクを上げない設計なんだろう。まぁ使えるものはガンガン使っておこうぜ! ってことで。
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命綱とも言えるバッテリーだが、オプションでヒントのハイライトをオンにすると、近づいた時に輪郭が光るようになり多少見つけやすくなる。

完璧ではないが密度の高いユニークなSFホラー体験

 肝心のアドベンチャー要素のところなんだけど、基本的にほとんどヒントが無い中で探索を通じて必要な情報を探り当て、わかったら解錠キーなどをターミナルに打ち込むと次のエリアに進むという流れ。頭を使って難解なパズルを解くような謎解きは意外とないんだけど、まぁいろいろな場所で読めるテキストをちゃんと読んだうえで自分の行動した記憶を辿らないと少し詰まりやすいかなぁ。

 筆者は本作のクリアまで途中詰まりながらも9.6時間ほどで、コンスタントに進められていれば恐らく実質的に7~8時間くらいで攻略できるだろう。コレ数字だけ見れば若干物足りないかもしれないけど、閉鎖空間で常に襲撃の気配に怯えながら右往左往して謎解きしていくプレッシャーがハンパなくて正直お腹いっぱいである。つか、これ以上は耐えられん。
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こういうのは結局はなんか数字を入れりゃいいんだけども、なんの数字なのか、どうすりゃわかるのかを考えていく感じ。「そういえばそんなこと言ってるメモあったわ!」となることも多々。
 難点はちょっとあり、グラフィック的に結構美麗で動作も軽めだが、ライティングの有効距離が短めなのか、ドアなどのオブジェクトに対して一定の距離まで近付かないと光源が表示されないなど、製品版で改善してほしいポイントもある。

 謎解き周りにも少々不満はあって、C.A.T.で使用するモジュールの使用頻度のバランスが悪く、後半になるとほぼひとつの機能しか使わない。もっとこう、いろいろな場面で異なるモジュールを組み合わせて少しずつ謎を解いていくという感覚がほしかったのだが、割と一辺倒になってしまう点は残念だった。
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なんだかんだ言ってもC.A.T.のデザインは秀逸なので、用もなくADSしちゃったり。うーん、このレトロフューチャーなのたまらん!
 全体のストーリーは、探索中に入手した断片的な情報や節目で起こるフラッシュバック的な映像の示唆なども含めて解釈していくという、核心についての考察がはかどりそうなタイプ。配置されている文章をちゃんと読んでオーディオログなどを聞いていけば、ある程度は事態を把握できだろう。個人的には、本作の結末とタイトル名の関係に「やるじゃん」と素直に感心した。

 ボリューム的にもそこまででかくないので、集中すれば数日で一気に遊べる本作。最近ホラゲ成分が足りないという人や、圧迫感を感じながら何かを成し遂げたいというガッツのある人であれば十分に楽しめるタイトルだと言えるだろう。
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時にはエアロックを抜けて月の地表を歩くなんて場面も。地球を見上げて歩く貴重な体験が可能だ。
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著者近況:ブラック・フライデーのセール価格がセール前より少し上がっているのを見てニヤニヤする楽しさ
編集近況:ネットショッピングで決済した瞬間、さっきまで適用されてたブラックフライデークーポンが外れてるのに気がついた
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