スクウェア・エニックスから2025年10月30日にNintendo Switch 2、Nintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Windows/Steam)向けに発売(※)された、HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』(以下、『DQI&II』)。
※Steam版は2025年10月31日発売。 2024年11月に発売されたHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(以下、『DQIII』)と合わせて、新たに描かれる“ロト三部作”は本作をもって完結を迎えることになる。
ご存じの通り、本作には新要素がたっぷり追加されている。『DQI』には精霊ルビスや妖精族が登場し、新しい“ロト三部作”のつながりを感じることができる新シナリオが展開。
『DQII』では4人目の仲間としてサマルトリアの王女が加わり、新たな舞台に海底が登場。海底に散らばる“世界の思い出”を集めることで、アレフガルドの知られざる歴史が明らかになるという追加要素も明らかになっている。
すでに多くの冒険者が旅立っていると思うが、今回はHD-2Dで“ロト”の伝説に新しい息吹を吹き込んだ早坂将昭プロデューサーと、「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親であるゲームデザイナー・堀井雄二氏の対談をお届けする。
『DQI&II』の新要素が生まれた経緯、ローラ姫を巡る旅路、サマルトリアの王女がパーティに加わった理由、そして“ロンダルキアへの洞窟”はどうなっているのか……。ファミリーコンピュータ版開発当時のエピソードまで話題が広がったロングインタビュー。これを読めば、新しい冒険がより楽しくなるはずだ。
また、本記事ではネタバレにつながる内容を含んでいるので、気になる方はご注意を!
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堀井雄二氏(ほりい・ゆうじ)
ゲームデザイナー。1986年、シリーズ第1作目となる『ドラゴンクエスト』を発表。その3作目となる『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』は社会現象を引き起こすほどの大ヒットとなり、以後、つねにゲーム業界の第一線で活躍をつづける。本作でもゲームデザインとシナリオを担当。
早坂将昭氏(はやさか・まさあき)
スクウェア・エニックス所属。『オクトパストラベラー』や『ブレイブリーデフォルト』、『ライブアライブ』などを手掛けた浅野智也氏が率いる制作班“浅野チーム”でプロデューサーを務める。HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』、『ドラゴンクエストI&II』でプロデューサーを担当。
――ついに『DQI&II』が発売されました。堀井さんが各所で「物語のつながりを楽しみにしてほしい」とおっしゃっていたので、そこが気になって仕方がなくて……。
堀井
あんまりネタバレしないように注意しないと(笑)。
早坂
そうですね、そこはご注意いただいて(笑)。
――まずはHD-2D版『DQIII』のお話から、お聞かせください。1988年にファミリーコンピュータで発売され、社会現象となった『DQIII』をHD-2Dでリメイクしただけでなく、新職業やさまざまな要素を加えて話題となりましたが、その反響はいかがでしたか?
早坂
多くの方に楽しんでいただけたようで、うれしかったですね。
堀井
もちろんマイナスの声もありましたが、たくさんの方から好評をいただいたと思います。
早坂
ラーミアと船の速度、試練の神殿(※)については、さまざまなご意見をいただいてアップデートを行いました。
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HD-2D版『DQIII』
※試練の神殿……HD-2D版『DQIII』でエンディングを迎えた後に挑めるようになるダンジョン。しんりゅうを倒し、5つの試練を達成することで多彩な報酬を獲得できる
――いまのゲームとしてアップデートが行われることはふつうなのですが、ファミリーコンピュータやスーパーファミコンで楽しんだ身としては「プレイを進めていたところで、ラーミアと船が速くなるなんて!」と驚いて(笑)。
早坂
HD-2D版ならではですね。原作を尊重してラーミアと船の速度はゆっくりにしたのですが、現代の忙しいプレイヤーにはなかなかじれったい形だったようです。
堀井
ラーミアに乗ったときに流れる『おおぞらをとぶ』の旋律に合うよう、優雅に飛んでほしくて原作の速度にしました。いまはいろいろと遊ぶものがあるし、早く先に進みたいという方が多くなったんだな、と思いました。
――HD-2D版『DQIII』がそもそも大ボリュームなので、とにかく先へ進みたいプレイヤーは「移動はもっと速く!」となったのかも。
早坂
そうですね。全体のスピード感をアップすることは考慮していて、バトルでは“ふつう”と“はやい”、“超はやい”の3段階から選べるようにして、ほぼ倍速で楽しめるようにしました。
堀井
“超はやい”は慣れると快適で。目が慣れてくると文字も瞬時に読めるようになるし、便利ですよね。
――『DQI&II』は発売前に何度か試遊させていただいたのですが、プレイできる時間が限られているので、さくせんを“バッチリがんばれ”、“ガンガンいこうぜ”にして、仲間の行動をオートにしました。そこで気づいたのですが、AIに任せても戦況に合わせた行動、「ここはこうしてほしい」と思う行動を取ってくれるんですよね。
堀井
AIで仲間が行動するシステムを最初に搭載したのは、1990年に発売された『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』です。そこからだいぶ経って技術が進化したのはもちろんですが、いままで積み重ねてきた知見もあって、いまのAIにつながっていますから。
早坂
AIの行動は、テストプレイの時から開発チームとやり取りを重ねて、かなり時間をかけて調整しました。そう感じていただけたのはうれしいです。
――新しい要素だけでなく、こういった部分も含めてHD-2D版は最新の「DQ」だと感じます。
堀井
昔は主人公だけAIを使えないようにしていたんですよね。ここは僕のこだわりで、プレイヤー=主人公なので、自分の手で戦闘を楽しんでほしかった。ただ、HD-2D版はいまの「ドラゴンクエスト」ですし、時代的に主人公もAIで動かせてもいいかな、と思いました。さくせんを使ったオートバトルを楽しんでくれる方もけっこう多くて。
――ただ、すべてをAI任せではなかなか勝てない強敵が出てくる。その緩急というか、「強い敵はナメてかかってはいけない」と気を引き締めるポイントがあるのも、いまの「DQ」を感じる要素のひとつかな、と。
堀井
レベルアップに専念したいときはAIを活用して、ボスや強敵は“めいれいさせろ”を選択する。これが定番の遊びかたになるかもしれない。
早坂
雑魚戦とはいえ、「油断していると危ないよ」と思ってほしいという狙いは、確かにあります。
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HD-2D版『DQII』
――HD-2D版『DQIII』でも気を引き締めるポイントはありましたが、勇者と武闘家の会心率上昇や、一部モンスターの行動を見直すといったアップデートで、バトルも細部まで調整されました。
早坂
発売後のプレイヤーの皆さんの反応を見て調整しました。何より“「ドラゴンクエスト」は誰もが楽しめるゲーム”なので、そこを目指しましたね。
――HD-2D版『DQIII』のユーザーからのフィードバックを受けて、この『DQI&II』に実装された要素はありますか?
早坂
マップの機能ですね。設定でオン/オフ可能ですが、マップを開いたときにダンジョンの宝箱の位置がわかるようにしたこと、ひみつの場所を表示できるようにしたことは、皆さんからのご意見を反映したものになります。
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HD-2D版『DQII』
――原作をプレイしているとダンジョンのマップは頭に思い浮かぶのですが、HD-2D版でプレイすると少し迷うというか、複雑になっていると思ってしまうので、宝箱の位置がわかるのはかなりうれしい。
堀井
HD-2Dになって見た目は変わるけれど、ルートは変わっていないよね?
早坂
そうなんです。真上から見たときの地図は原作から変わっていません。
堀井
迷って迷ってたどり着いたところや、地図を見て「ここに何かあるんじゃないか」と向かった先に宝箱があるとうれしくなるものです。でも、そこはいまのプレイヤーの感覚に合わせて、宝箱がある場所を地図で教えてあげるのもアリだと思いました。
――『DQI&II』には、ほかにもさまざまな新要素が加わっていますが、これらの内容はどのように決めたのでしょうか。最初からすべての内容を決めてから作っていったのですか?
早坂
作っていく中で生まれたものが多いですね。開発を進めるうちに生まれたアイデアを堀井さんに相談して、「これはいいけれど、ここはこうしたほうがいい」みたいな会話を重ねて、内容を詰めていきました。
堀井
もともとファミリーコンピュータの『DQI』で使える容量が64キロバイトしかなかったので、当時はできるだけシンプルに作りました。
それから『DQIII』を作ったときに、『DQI』や『DQII』でやりたかったけれど容量の関係であきらめた要素……パーティプレイのシステムや転職、セーブ機能などを実現できた。今回のHD-2D版はそんな『DQIII』から発売することに決めていたので、その後に続く『DQI』が拍子抜けにならないように新要素を決めました。
早坂
堀井さんから「HD-2D版は『DQIII』を先に出そう」と聞いたときは、正直悩みました。“ロト三部作”では『DQIII』が最新作となりますし、そもそも原作の『DQIII』にはたくさんの要素がある。その後に『DQI&II』を出すなら、『DQIII』に見劣りしないよう、どこまで膨らませないといけないのか? と。
堀井
いろいろなイベントを追加しましたね。『DQI』にはカンダタも精霊ルビスも出てもらって。
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HD-2D版『DQI』
早坂
とにかくHD-2D版『DQIII』に負けないようなアイデアをたくさん出して、堀井さんにたくさん相談しました。
――『DQI&II』の追加要素として出てきたアイデアの中で、堀井さんが「これはいいね」と思ったものは?
堀井
やっぱり『DQII』でサマルトリアの王女が仲間になることですね。くわしくは言えないのですが、『DQI』のローラ姫に関する物語のアイデアもすごくよかった。
――すごく気になりますね(笑)。
堀井
そもそも原作の『DQI』では、ローラ姫がさらわれたことは大臣がさらりと言うだけなんですよね。HD-2D版ではそこをちゃんと見せています。
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HD-2D版『DQI』
――『DQII』でも、ムーンブルクが魔物の襲来を受けたことは、原作ではあまり描写されませんでしたが、HD-2D版ではかなりドラマチックに描かれています。
早坂
原作を知っている方ほど、ムーンブルクのシーンはびっくりされると思います。スーパーファミコン版のオープニングでは襲来の様子が少し描かれていましたが、HD-2D版では導入でプレイヤーの没入感を増すためにも、映画みたいなシーンを目指しました。
――サマルトリアの王女が仲間になるアイデアを聞いたとき、堀井さんは率直にどう思われましたか?
堀井
「いいんじゃないかな」と。
早坂
すぐにオーケーをいただきました。
堀井
原作にも登場するし、お兄ちゃんを「のんきもの」と言うような関係性もあったので、おもしろいと思いました。
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HD-2D版『DQII』
――原作ではちょっとした会話しかなかったのですが、ファンのあいだでサマルトリアの兄妹は人気で、“ふたりのその後”を想像する人も絶えないので、今回の仲間入りはうれしい要素です。
早坂
HD-2Dでリメイクするにあたって、皆さんが喜んでくれる新要素は何だろうと考えたとき、やっぱり新職業や新キャラクター、新たなエピソードは外せませんよね。
『DQIII』にはまもの使いという新職業を追加したので、本作では新キャラクターがいいのでは……と考えた結果、原作から登場していて、かつロトの血を引いているキャラとしてサマルトリアの王子の妹がひらめいて、すぐに堀井さんに相談させていただきました。
――パーティメンバーとしてのサマルトリアの王女は、どのようなイメージで作られたのでしょうか? バトルでは遊び人のように、こちらの意図を越えた行動を見せたり……。
早坂
仲間たちの会話をより楽しくしてくれる存在として、物語を彩るイメージです。バトルで自由に行動するところは、彼女は“ロトの血を引く者”のひとりではありますが、いちばん年下で、勇者としてもまだ半人前であることを表現する狙いがあります。
また、単なる4人目の仲間とするとパーティが強くなりすぎて、3人パーティでのバトルを楽しめた原作のバランスが崩れてしまうのは避けたかったということもあります。とはいえ、物語が進んでレベルも上がってくると、彼女も成長を遂げてだんだん遊び行動はしなくなってくるんです。
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HD-2D版『DQII』
堀井
原作ではサマルトリアの王子に出会うまでは主人公ひとりで行動しますが、今回はサマルトリアの王女がついてきてくれて、旅路がより楽しくなります。『DQIV』の第一章でライアンがホイミンといっしょに旅しますが、あのイメージですね。
――最初はコマンドが選択できない一時的な仲間として行動してくれるけれど、どこかのタイミングでパーティの仲間に正式加入するという流れですか?
早坂
そうですね。そのタイミングは遊んでからのお楽しみということで。
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――原作の『DQI』はとてもシンプルなRPGです。そんな『DQI』をHD-2Dでリメイクするにあたって、新しいエピソードで肉付けをしていくという流れは自然に決まったのでしょうか?
早坂
まずは、いまのプレイヤーが遊びやすくなるようにレベルデザインを調整するところから始めました。
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HD-2D版『DQI』
早坂
原作の自由度は残しつつ、進行ルートをわかりやすく整えるという方向性で開発を進めていく中で、「ここに何かあったらいいよね」とダンジョンが増え、そこにまつわるエピソードが加わって……という流れです。
堀井
ドワーフの洞窟も含めて、ダンジョンはいくつか増えています。
カンダタがいる岩山の洞窟は、原作では行かなくとも物語は進むのですが、今回は物語に絡んでくる場所となって新しいシナリオが加わりました。岩山の洞窟は当時、ふつうのアイテムだけだとさびしいから呪いの装備の“しのくびかざり”を置いたんですよね。
――今回の『DQI』でもしっかりと存在していました。
早坂
そこは外せません。呪いの装備はきちんと用意しています。
――精霊ルビスを巡るエピソードも加わっていますが、『DQI』のプレイ時間はどれくらいを想定されていますか?
早坂
10時間〜15時間ぐらいになるかなと思います
堀井
すみずみまでいろいろと楽しんだら、20時間も超えるよね。
早坂
そうですね。原作にいろいろと加えていますが、ただ要素を増やそうとは思いませんでした。そのシンプルさも原作の『DQI』の魅力なので、それをただエピソードを増やしたりマップを広げたりして3倍・4倍のボリュームにすると、それは『DQI』ではなくなってしまう。なので、『DQI』のほうはそこまで大ボリュームにせず、原作のようなテンポ感が損なわれない範疇に収めました。
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HD-2D版『DQI』
――とはいえ、ファミリーコンピュータ版を64キロバイト(512キロビット)で作った堀井さんから見れば、考えられないボリュームですよね。
堀井
当時は使える文字を制限して7ビットに収めて、アイテムもひとつ4ビットで種類を作って。メモリをビット単位で計算していましたから。途中でプレイを止めても続きは遊べないのはRPGじゃないので、“ふっかつのじゅもん”としてパスワードを設定できるようにして……。いろいろ工夫しました。
早坂
データの制限はいまのゲーム開発でも重要ですが、なお制約のきびしい当時のお話を聞いていると、その工夫には尊敬しかありませんね……!
――ゲームとしてはナンバリングを重ねて進化していったと思うのですが、物語の時系列がなぜ『DQIII』から『DQI』、『DQII』となったのか……その理由をあらためてお聞かせください。
堀井
『DQII』を作れるとなったとき、そのあいだに何百年かの時間が経っていることにしました。開発期間が短かったこともあり、そのほうが前作を活かせるので。そんな『DQII』も人気になったので、『DQIII』を作ろうと。
でも、また何百年後の世界にするのは芸がないし、みんなをびっくりさせたいなと思って、過去の世界にすることを決めました。僕は人をびっくりさせるのが好きなので(笑)。最初からこの時系列にしようとは考えていませんでした。
――とにかくみんなを驚かせたかった。
堀井
『DQI』のりゅうおうのセリフも、りゅうおうに会ったときに何て言われたらプレイヤーが驚くだろうと考えて、あのセリフが生まれました。
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HD-2D版『DQI』
――「DQ」シリーズには昔から“はい/いいえ”の選択肢がよく出てきますよね。これも、“いいえ”を選んだときにびっくりさせたいという意図が……?
堀井
そうですね。主人公がしゃべらないので、“はい/いいえ”という選択肢だけでロールプレイをどこまで表現できるのか、その挑戦でもありました。
早坂
スーパーファミコン版では宿屋に戻されるだけですが、それでも驚きましたから。りゅうおうから迫られる選択は、もちろん今回もあります。その選択の結果がどうなるかは、お楽しみに。
堀井
HD-2D版でもちゃんとリカバリーできるので、安心して好きなほうを選択してください。
――ファミリーコンピュータ版の『DQI』には、りゅうおうの問いかけ以外にもたくさんの仕掛けがあります。ローラ姫を助けなくてもクリアーできるのは、いわゆるマルチエンディングでしたね。
堀井
そうですね。ただ、今回のローラ姫は精霊ルビスの声を聴ける能力を持っているので、助けないでクリアーすることはできません。
早坂
ストーリー上、ドラゴン戦は必須となります。
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HD-2D版『DQI』
――ローラ姫を助けると、主人公がローラ姫を抱きかかえるグラフィックになりましたが……。
早坂
もちろん残していますし、抱きかかえたままクリアーできます。
堀井
ファミリーコンピュータ版でも、本当に抱きかかえているように見えるグラフィックにしたかったんだけど、容量の関係でふたつのキャラクターを表示するのは難しくて。そこで、ふたりをまとめてひとつのキャラクターとして表示しました。
早坂
ここは絶対に手を抜いてはいけないポイントだろうと考えて、HD-2Dのグラフィックでしっかり表現しました。各イベントで専用のモーションも作ったので、すごく手間がかかりましたが(笑)。
――では、あの「ゆうべは おたのしみでしたね」のセリフも。
堀井
もちろんです。
早坂
原作の体験と新しい体験のふたつを提供することはHD-2D版の大前提なので。
――カンダタが『DQI』に出ることも話題となりましたが、あれは子孫……?
早坂
『DQIII』に出たカンダタの子孫ですね。HD-2D版『DQIII』のカンダタに起きたことを考えると、『DQI』に子孫が登場するのはおかしくないぞ、とひらめきました。
堀井
そうそう。あの流れなら『DQI』にカンダタがいてもおかしくないし、『DQI』にカンダタが登場したら、みんなうれしいだろうなとも思って、新しいシナリオを用意しました。
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HD-2D版『DQI』
――カンダタの子孫の話になったので聞いてしまうのですが、『DQII』にりゅうおうのひ孫は登場しますか?
堀井
原作に出ていたキャラクターは基本的に、今回も登場します。ただ、くわしい話はできませんね。
――そのあたりの話はいくらでも出てきてしまうので、話を戻します! 早坂さんが『DQI』のHD-2Dリメイクでいちばん注力したことは?
早坂
やはりバトルのバランスでしょうか。昨今は主人公がひとり旅をするRPGがあまりないので、単独行を経験したことのないプレイヤーでも戦闘がおもしろいと感じるよう、バランスは考えましたね。
シリーズでも『DQII』以降はパーティでのバトルになりますし、今回の『DQII』は4人パーティになるので、手触りは異なります。それでも、初めてRPGを遊ぶ方がすぐにバトルを楽しめるように、チュートリアルも含めてバランス調整を重ねました。堀井さんにも何度もテストプレイしていただいて。
堀井
1対多のバトルにとまどう方はいると思いますし、主人公を強くするための要素をゲーム内できちんと説明して、少しでも不安を取り除かないといけない。そのあたりは注意しました。
早坂
遊びやすさだけでなく、バトルでも「DQ」シリーズの第1作であることも感じてほしかった。敵の数が増えることもあり、結果として、バトルバランスは原作からフルスクラッチで調整しています。
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HD-2D版『DQI』
――『DQII』で4人目の仲間が出ることを知ったとき、『DQI』でも主人公以外にゲストキャラクターが戦闘に参加するのでは? と妄想を膨らませてしまいまして。
早坂
じつは、そのアイデアはあったのですが……。
堀井
やっぱり『DQI』はひとり旅にしようと。シリーズを『DQI』から始める方がいるのであれば、ソロプレイのほうがゲームに入りやすいでしょうし、『DQII』も最初はローレシアの王子ひとりでの旅から始まって、そこから仲間が増えていくという楽しさがあるので、『DQI』はそのままで行こうと思いました。
――新要素のひとつに“紋章”の意味が変わったことがあります。原作の『DQII』では物語を進めるための重要アイテムでしたが、今回は『DQI』と『DQII』の物語をつなげるものとなり、集めていくことでバフアイテムにもなる。
早坂
『DQI』は原作と同じひとり旅だけど、バトルでは複数の魔物を出したい。それでは冒険がたいへんなものになるので、仲間がいない代わりに、集めることで強化されていく要素が必要だろうと考えました。
そこで、原作では詳細が語られていない要素で、集めるという行動も楽しめて、『DQI』で作ったものが『DQII』につながるという流れを表現できる……まさに“紋章”がふさわしい! となり、アイデアを固めていきました。
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HD-2D版『DQI』
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HD-2D版『DQII』
堀井
集めるという行為って、単純に楽しいんですよね。集めることがプレイヤーの目的にもなるので。原作では集めるだけでしたが、今回は集めていけばさまざまな効果を発揮するので、冒険がさらに楽しくなると思います。
――“巻物”にもひとり旅の困難を緩和したいという狙いが?
早坂
巻物は少し違いますね。HD-2D版『DQIII』では10種類の職業があって、呪文と特技もかなり増えました。
あの楽しさは『DQI&II』でも表現しないといけないと考えましたが、『DQI』は主人公ひとり、『DQII』は4人というパーティメンバーに対して、レベルアップしたら『DQIII』で使えた特技と呪文を仲間が固定で覚えていくだけなのは、とりとめがないし楽しくないのでは? と堀井さんからご指摘いただきまして。
堀井
巻物という形にすれば、好きな仲間キャラクターに特技や呪文を振り分けることができるし、キャラクターメイキングとしての楽しさが生まれますから。
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HD-2D版『DQII』
早坂
もちろんレベルアップによって習得する呪文や特技もあるので、巻物と組み合わせて楽しんでほしいですね。紋章も含めて、キャラクターの育成の幅が増しているのもHD-2D版の魅力だと思います。
――特技や呪文が増え、『DQI』は1対多のバトル、『DQII』は4人パーティになったことで、原作には出てこなかったモンスターもたくさん追加されています。
早坂
世界観がつながっているので、『DQIII』に登場したモンスターが登場します。また、今回の『DQII』には海底が加わったので、いままでのシリーズで海にいたモンスターも現れます。
――海底のお話が出たので『DQII』についてお聞きするのですが、海の各所に船で潜れるポイントが点在しているのですか?
早坂
一部を除き、海底はすべて地続きになっていますので、沿岸部はほぼすべて潜れるようになっています!
――ということは、すべての海の下に海底世界が広がっている……?
堀井
そうです。相当広いですよ。キラキラポイントもあるので、隅々まで探そうとしたらけっこう時間がかかります。
早坂
地上にある大陸とほぼ同じくらいの広さなので。
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HD-2D版『DQII』
――それは広い! 海底では船を上下移動できますし、ちょっとしたダンジョン探索が楽しめるくらいのイメージでしたが、それどころじゃないかも。幽霊船の存在も明らかになりましたし。
早坂
幽霊船は海底のどこかをさまよっています。これは新しい遊びの要素ですが、海底はストーリー上で重要な場所なので、少しでも探索が楽しくなるように入れました。
堀井
新しい人魚の町も、がっつり物語に絡んできます。
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HD-2D版『DQII』
――海底も含めて新しいエピソードがどれだけ追加されているのか、気になるところです。
堀井
ボリュームはすごいよね。
早坂
原作のプレイ時間は20時間くらいだと思うのですが、今回は『DQII』だけで30~40時間はかかると想定しています。じっくり遊んだら50時間を超えることもあるかと。
堀井
お正月まで遊べますよ(笑)。
早坂
ストーリーに関しても、原作を文字にすると数万字だとしたら、今回は数十万字になっているイメージです。
堀井
精霊ルビスも含めて、原作で皆さんが気になっていたことが『DQI&II』では語られていますから。
――ちなみに、原作ではサマルトリアの王子となかなか会えなかったのですが……。
早坂
今回もそれなりに時間をかけて追っかけることになります。いまのゲームらしく、もうちょっと会えるタイミングを早めるか堀井さんに相談しましたが、「いや、あそこは変えずにいこう」と。
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HD-2D版『DQII』
堀井
道中はサマルトリアの王女がサポートしてくれるので、退屈しないと思います。あ、あれは言っていいのかな? アレフガルドの……。
早坂
マップの話ですね。今回の『DQII』のアレフガルドは当初、HD-2D版『DQIII』のアレフガルドそのままをベースにして作成したのですが、ものすごく広くなっちゃって。歩くだけでもしんどいぞ、となりました。
堀井
それに合わせて世界を作ってしまうと、サマルトリアの王子に会うまでの道のりがとんでもないことになるし、なんだかスカスカのフィールドになってしまうので、調整してもらいました。
――マップでいうと、『DQII』に新しい島があるのでは? と話題になりましたね。
早坂
原作になかった新しい島、あります。行けば、何かがあります。マップの画像を公開したとき、すぐに「あれは新しい場所じゃないか」と話題になったので、「ドラゴンクエスト」ファンはすごいと驚きました(笑)。
堀井
船で海を航海していて島を見つけたら、単純にうれしくなるでしょう。それもあって、新しい島が『DQII』にあるのも楽しいんじゃないかなと。
――今回の『DQII』にあたって、ロンダルキアへの洞窟がどのように変わっているのかが気になりました。ブリザードのザラキとか、たくさんの思い出がある場所で。
早坂
あの原作でのきびしさはそのままにしてほしいという意見も少なくないと思うのですが、さすがにいまのプレイヤーにとってはキツイということで、調整はしています。ただ、あの長さは健在なので、それなりにたいへんな場所ではありますね。
堀井
ちゃんと準備して、ある程度覚悟して進まないとたいへんかもしれません。あまり簡単にすると拍子抜けになっちゃうので。ただ、前は見えなかった落とし穴は、今回は見えるようになっています。
――それだけでも違いますよね。マップの機能も活かせば、探索しやすいかも。
早坂
だいぶ探索しやすくなっているのは間違いないのですが、手応えのあるダンジョンなのは変わりません。
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――本作の開発は、HD-2D版『DQIII』と同時進行だったのですか?
早坂
先に『DQIII』の開発が進んでいて、ある程度ゲームの内容が整ったら『DQI&II』の開発を進めていく、という流れでした。もちろん「『DQIII』ではこうやったから『DQI&II』はこうしよう」という打ち合わせは、早くから堀井さんと進めていました。
堀井
途中で同時進行になったので、たいへんだったよね。
早坂
そうですね。でも、そうしないと実現できなかった仕掛けもあるので、がんばってよかったです。
――ここまでのボリュームになることは想定していましたか?
早坂
いや、まったく想像していませんでした。『DQI』と『DQII』を合わせてHD-2D版『DQIII』と同じくらいのボリュームになることを目指していましたが、思いのほか新しいシナリオが増えまして。
――そのプロットも堀井さんが監修されて……。
堀井
そうですね。プロットはすべて監修しています。
――プロットの数はどれくらいになったのでしょうか?
早坂
お話の構成が全体的にわかるようなフローチャートを作って貼り出してみたのですが、ものすごく大きなものになりました。それを堀井さんにお見せしながら、いろいろと決めていきましたね。
堀井
それをもとに開発を進めて、テストプレイをして。
早坂
堀井さんにとってもなかなかたいへんな制作になったと思います。
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HD-2D版『DQII』
――新しいシナリオを決めるとき、堀井さんの中で“「DQ」はこうあるべき”という方向性やコンセプトはあるのでしょうか?
堀井
わかりやすさとか、楽しさとか、意表をつくものであるとか、そのあたりは気にしていますね。
――「DQ」のシナリオには、プレイヤーを驚かせたいという強い意志を感じることが多々あります。
堀井
意表をつくことは好きですね。
早坂
今回も、プレイヤーが驚く要素はちょこちょこありますから。もちろんいまは何も言えないのですが(笑)。
――本作で堀井さんがお気に入りの新シナリオはありますか?
堀井
ありますが、完全なネタバレになるので言えません。
――あの赤いロト装備も……。
早坂
めちゃくちゃネタバレです(笑)。ただ、きちんと意味があるものですし、メインストーリーを追っていけば、その意味は理解できます。
堀井
赤は●●●●●●●●って話だよね?
早坂
そこまでです!(笑)
――これも聞いてみたかったのですが、『DQI&II』のロゴデザインについて……あれはラーミアなんですか?
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早坂
それもいまは秘密なのですが、ロゴのデザインにはきちんと意味があることだけ、お伝えします。
――話が早すぎるかもしれませんが、HD-2D版『DQIII』では試練の神殿のような、メインストーリーのクリアー後も楽しめるコンテンツがありました。この『DQI&II』では?
早坂
すごく言いかたが難しいのですが……お楽しみはちゃんと用意しています、とだけにさせてください。
堀井
エンディングをちゃんと見てくださいね。
早坂
それ以上は……(笑)。
――『DQIII』から『DQI』、『DQII』とつながる流れだけではなく、これは『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』のネタバレになってしまうかもしれませんが、『DQXI』と“ロト三部作”とのつながりもありますよね。ここは意識されたのでしょうか?
早坂
開発チームとしても、同じくロトを描いた物語である『DQXI』を無視してはいけないと思いましたし、今回の新たな“ロト三部作”にも活かしたいと意識して開発を進めました。
堀井
『DQII』を最後までプレイすれば、いまの「『DQXI』も活かしたい」という言葉の意味がわかるかもしれません。
――もし『DQXI』をプレイしていない読者がいたら、遊んだほうがいいかもしれませんね。ここまで来たらいろいろと聞いてしまうのですが、マーメイドハープや人魚、ドワーフ族の登場で、もう『ドラゴンクエストVI 幻の大地』のことまで考えないといけないのか、となっていまして。
早坂
そうですよね。考察がはかどっていたらうれしいのですが、そこもゲームをプレイして確かめていただければと思います。また、堀井さんが以前からおっしゃっていたように、この新しい“ロト三部作”には驚きの展開があるのは本当です。
堀井
「こんなことがあるのか」とびっくりされると思います。
――そこはもう楽しみにするしかありませんね。そもそも、HD-2D版『DQIII』でもハーゴンに関する情報が明かされて、びっくりしましたから。
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HD-2D版『DQII』
早坂
『DQIII』と『DQI&II』をつなげる重要なフックとして、ハーゴンには活躍してもらいました。原作の時系列はご存じの方が多いので、そこにやはり驚きを提供しないといけないと思い、原作ではあまり語られていないハーゴンの物語を追加しました。
堀井
ハーゴンは魔物や魔王ではなく人間なので、そのキャラクターは活かしたいなと。でも、HD-2D版で初めてプレイする人が『DQI』から『DQII』、『DQIII』と遊んだらどう感じるんだろうね。
早坂
当時のプレイヤーはその順番で楽しみましたし、おもしろさが失われることはないと思います。むしろ、当時と同じ衝撃を受けられるのはうらやましいくらいです(笑)。
堀井
当時は『DQIII』が社会現象になったので、『DQIII』から入った人が多いんですよね。『DQIII』がおもしろかったから『DQI』と『DQII』をやってみるか、となった人がたくさんいて。なので、HD-2D版で初めて遊ぶ方も、あまり順番は気にせずに楽しんでほしいですね。
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HD-2D版『DQI』
――『DQI&II』をもって“ロト三部作”は新たな完結を迎えたといってよろしいですか?
早坂
はい。きれいに完結できました。
堀井
――そこは、また別の機会にお話をお聞きしたいと思っていたのですが(笑)。
堀井
ドールルックでまた表現方法が変わって。かなりかわいい感じで、実物の人形もすごくよくできている。町もジオラマ風のグラフィックですごくいいと思います。
――せっかくなので話を続けますが、ゲームと発売日の発表が同時だったのは、「DQ」シリーズでは初ではありませんか?
早坂
いままでなかったかもしれませんね。
――HD-2Dで新しい「DQ」を実現した早坂さんから見て、ドールルックの印象は?
早坂
めちゃくちゃおもしろい。とてもいい挑戦だと思いました。私も含めた浅野チームはグラフィックにこだわっていますが、それとはまた異なる視点の描きかたなので楽しみです。
――まずはHD-2D版『DQI&II』を遊んで、正月まで楽しんだら2月にドールルックの『DQVII Reimagined』を、という流れで(笑)。これで“ロト三部作”が完成したということで、堀井さんから早坂さんにメッセージがあれば。
堀井
たいへんだったけれど、よく作ってくれましたね。
早坂
ありがとうございます。これ以上ないお言葉です……!
堀井
ほぼ40年前のゲームをHD-2Dで生まれ変わらせて、いま完結したと考えると、すごいことだと思います。
――『DQI』は日本のRPGの原点であり、「DQ」シリーズの始まりです。そして続編として『DQII』が生まれ、『DQIII』でシリーズだけでなく、日本のRPG人気を一気に引き上げた。それが”ロト三部作“ですから。
早坂
たいへんではありましたが、このHD-2D版に関われたことは本当に光栄だと思います。「ドラゴンクエスト」シリーズで育ってきた自分が、その最初の作品である『DQI』から『DQIII』のリメイクに携われるなんて、願っても叶わないことですから。
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――HD-2D版“ロト三部作”の開発を通して、早坂さんはゲームクリエイターとしてどのような影響を受けたと思いますか?
早坂
堀井さんから学ばせていただいたことはたくさんあります。なかでも、とにかくユーザーファーストという姿勢をシリーズで貫かれていることに影響を受けました。
それに、“語らぬが華”というストーリーテリングの姿勢を大事にされていることも、すごく印象に残っています。すべてを語るのはいいことではない、余白も大事だという。想像させる余地という観点は、今後のシナリオ制作で役立つと思います。
堀井
ユーザー自身がいろいろ想像して楽しめることは大事です。つじつま合わせにこだわると、つまらなくなっちゃうんですよ。ユーザーに任しちゃっていいか、みたいな部分がある程度はあったほうがいいですね。
早坂
その余地が原作にあったおかげで、HD-2D版をここまで膨らますことができました。それでもまだ語っていないところがあるかもしれないので、そこはまたユーザーの皆さんに想像を膨らませていただいて……。
堀井
昔は学校や職場で話題になっていたと思うのですが、いまはSNSとかで盛り上がってくれるので、それを見るのも楽しみです。原作を遊んだ人はもちろんですが、新しいユーザーさんにいっぱい遊んでほしいですね。かなり遊びやすくなっているので。親御さんになったプレイヤーも、ぜひお子さんといっしょに遊んでいただければ。
早坂
英才教育を(笑)。ひらがなモードもふりがなモードも、死なないモードもあるので。
――キャラクターボイスでイベントの展開も理解しやすいですし、感情移入もしやすくなっています。
早坂
『DQII』では仲間どうしの掛け合いもたくさん収録しています。少年少女の物語として見ても、グッとくるやり取りが楽しめるので、ご期待ください。
その変わり映えっぷりを堪能できるという点では原作ファンのほうが驚くかもしれませんね。HD-2D版『DQIII』は、物語に関してはシステムと比べるとそこまで変化はありません。ただ、この『DQI&II』は物語の面で大きな変化があります。なので、原作を知っている方ほど驚きの幅がデカくなると思います。
堀井
まだ話していないことがたくさんありますからね。もうゲームをいつでも遊べるので、ぜひ楽しんでください。
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