ふと思い出したことを書く。2025年7月の暑い日、京都に行った。目的はビットサミット。もともと有給休暇を取って会場内をふらふらし、知り合いのインディーゲーム作家さんに挨拶したり気になるゲームがあったら趣味で記事を書こうと思っていたところ、編集長の世界三大三代川から「それ仕事じゃん」とぐうの音も出ないほどに論破され、出張費を出してもらえることになった。会社、サンキューな。
新幹線で京都駅についたら在来線に乗り換えて会場最寄りの東山駅へ。京都丸出しの情景を抜けてみやこメッセに向かう。
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到着した7月18日はあいにくの雨模様。これは晴天に恵まれた翌日の写真。
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京都感あるなー。
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到着。
ビットサミットの展示スペースは2フロア構成。個人(あるいは小人数)制作やメーカー各社のゲームがぎゅうぎゅうに詰まっていた。協賛メーカーのブースはきれいに飾り立てられていてとても目立つ。商業イベントなので正しい姿ではあるものの、情念がにじみ出るような個人制作ゲームがもう少しフィーチャーされてほしいなあと感慨にふけりながら歩く。
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ずらっとブースが並んだこのコーナーが好きだった。(左)/京大・吉田寮の関係者が作った吉田寮のゲーム。(右)
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ドット絵表現が美しいRPG『Sacrifire』。(左)/個人的に気になっているサンドボックスシミュレーション+RPG『歴史の終わり』。(右)
奥まで行くと、とあるブースが目に留まった。京都の玉乃光酒造さんだ。ゲームではなく日本酒を展示している。
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「お顔、写っても大丈夫ですか?」と確認し忘れたのでボカしておきます。
新しいお酒『350+』を使った350×プロジェクト
僕は京都在住の友だちとお酒を送り合っていて、彼は玉乃光酒造さんのお酒がいちばん好きと言っていた。前回送られてきたのはたしか純米吟醸酒。米のうまみと華やかな香りが共存するタイプのお酒だ。
なお、僕らはこのやり取りを“おっさんの文通”と呼んでいる。
ブースの写真を撮り、話を聞こうとしたらいきなり「試飲どうですか?」。渾身のストレートを叩き込まれた気分だ。取材開始から10分で飲酒する荒くれ者みたいな生き方にも憧れるが、仕事中なので遠慮し、帰る前にまた寄ることにする。もう1回すすめられたら落ちていた。
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真っ白いボトルがまぶしい『350×』シリーズ。
玉乃光酒造さんは350年以上の歴史を持つ酒蔵だ。伝統に胡坐をかくことなく挑戦を続け、2024年には“伝統的酒造り(※)”をベースに新商品『350+』を開発。アートやゲームのクリエイターとコラボする“350×”プロジェクトを始動させた。『350+』のラベルをクリエイターに描いてもらうという施策である。
※伝統的酒造り:古くからあるこうじ菌を用い、近代科学の普及以前から杜氏や蔵人が経験によって築き上げてきた技術のこと。2024年にユネスコ無形文化遺産に登録された。 シンプルに、日本酒へのタッチポイントを増やしたいのだと思う。京都で開催されるビットサミットにはインディーゲームを通した伝統文化の振興的な側面もあるだろうし、出展する意義もわかる。なるほどなー。
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これまでにSeries 1とSeries 2の2種類を醸していて、どちらも岡山県産の米(雄町)と米こうじを使用。Series 2のアルコール分は13%の低アルコールタイプ(一般的な日本酒は15%ほど)だった。
アルコール度数が低いということは雑菌が繁殖しやすい。それなのに、昨今は酒造業界の技術向上もあって低アルタイプが増加中。酔うのが好きではない僕からしたらありがたい話だ。
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いったんホテルの朝食の写真をどうぞ。
今回のBitSummit the 13thは7月18日(金)~7月20日(日)の3日間開催で、僕は19日(土)まで。帰る前に玉乃光酒造さんのブースへ。酒を飲むためである。
小さいカップに少しだけ注いでもらい、くっと飲み干す。
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うん、すっきりしている。つぎは度数の低いSeason 2をくっと飲み干す。
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うん、すっきりしている。すっきりしている。すっきりしている。
これくらいしか書けないのは、咳止め薬の副作用で味覚障害が起きていたからだ。香りは楽しめるのに味がしない。悔しいので買って帰る。
『350×』Series 2は6種類のコラボラベルがあり、その中から『ぎるぐる』を選んだ。せっかくなのでゲーム系がいい。
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350×プロジェクトは『ぎるぐる』パブリッシャー・Skeleton Crew Studioとの共同事業。どちらも京都の会社だ。
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京都を発つ前に鱧を食べた。夏の京都では鱧を食べないといけないからね。
さて。日を改めて自宅で飲む。パーティーが始まるのか? 始まるよ!
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我ながら生活感のある部屋だな。
味覚障害があったときに飲んだ印象と全然違う! 当たり前である。
バナナやメロンのような爽やかで甘い香り。口に含むと米のたしかな甘さを感じ、かといって重くはなく、すっきりと切れていく。お酒は“飲みやすさ”を評価されがちだけど、きれいすぎると物足りなさを感じるので、米っぽさがある方が僕はうれしい。味覚、最高!
これはたいへんだ。あれがないとやっていけない。本能が叫んでいる。
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山形のだしを豆腐に乗せたやつ。
夏の常備菜として山形のだし(※)を大量に作っておいてよかった。なかったらどうにかなっていたかもしれない。
※山形のだし:山形県の郷土料理。きゅうりやなす、香味野菜などを細かく刻んで調味料で和え、ほかほかのご飯にかけると超うまい。日本料理人・笠原将弘さんのレシピがおすすめ。 しょうゆベースのキリっとした塩味を豆腐が受け止め、食欲減退サマー真っ盛りでもぱくぱく食べられる。『350×』とも相性いいんだこれが。少ししょっぱいからと、ご飯を食べたくなる口に米の味を感じられる飲みものを運ぶ……。So Happy。So Happyが出ました!
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もう1回載せておこう。野菜たっぷり&豆腐なので栄養満点です。
日本酒の味は要するに米の味。米に合うものはたいてい合うと思っている(ただし、カレーみたいな香りの強い料理は難しい)。日本酒のつまみというと冷奴やお刺身、おひたしなんかを想像しがちだけど、肉にも合うことを知ってほしい。
そこでつぎはこれ。
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まくわうりと生ハムを合わせて、オリーブオイルと黒こしょう。ペースト状のチーズを添えてもうまそう。
日本酒には果物と同じ香り成分が含まれているので、こういうペアリングもありだろう。まくわうりはメロンの仲間。上品な甘さがあって、メロンときゅうりの中間みたいな食感が楽しく、そこに生ハムで塩気と肉っぽさをプラス。勘で作ったらおいしかった。また作ろう。
当然のように『350×』とも合う。白ワインを思わせる酸味もあるので、洋食っぽい料理と合わせるのもおもしろい。
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お米感の残っている『350×』には意外と焼肉も合うんじゃないかと思う。飲み切る前に試してみるか。そしてこの写真、ヒステリックグラマーのコースターの主張が強いな。
ところで、『350×』は種別を公開していないようだった。日本酒には“特定名称酒”という分類がある。純米酒とか大吟醸酒とか本醸造酒とか、そういうやつのことだ。
きっと自由に飲んでほしいのだろう。情報を開示すると「純米酒だから味がしっかりしている」や「吟醸系だから香りが華やか」など、固定観念に引っ張られてしまう。楽しんでほしいのは情報ではなくお酒の味だろうから。
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ビットサミットでは京都府のキャラクター・まゆまろに会える。かわいいね。
ゲームやアニメとお酒のコラボは増えている。350×プロジェクトは玉乃光酒造さんが特定のテーマのもとに日本酒を醸し、ラベルをクリエイターに作ってもらう取り組みだ。
仮に今後もビットサミットやインディーゲームと関わっていくのなら、もう一歩踏み込んでもらえないだろうか。わがままを言うと、ゲームを題材に日本酒を醸してほしい。インディーゲームのためにお酒を作ってほしい。一部の大企業を除いて日本酒は年に何度も仕込めるものではないから、難しいのは承知のうえのお願いだ。
きれいなだけではなくて、一見とっつきにくくて、でもきらりと光るものがあって、奥底で衝動が低いうなり声を上げているような。そこにインディーゲームのよさが隠れていると思っている。世間で評価される飲みやすい日本酒とは真逆になりそうだけど、そういうお酒を飲んでみたい。
そしてそれを記事にしたい。お酒の記事を書くのが好きなので。
※お酒は20歳になってから。飲み過ぎには注意して適量で。お酒関連記事