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新作『マジカルクラフト 猫と魔法のドレス』は“カワイイ”を詰め込んだドレス作り&着せ替えゲーム。「服を見てほしいからオート移動」なるほど。猫は17匹登場

by梅園ウララ

新作『マジカルクラフト 猫と魔法のドレス』は“カワイイ”を詰め込んだドレス作り&着せ替えゲーム。「服を見てほしいからオート移動」なるほど。猫は17匹登場
 2025年11月6日発売予定のイマジニアとシンソフィアのタッグが贈る期待の新作『マジカルクラフト 猫と魔法のドレス』(Nintendo Switch向け)は、ドレス作りに特化したシミュレーションとして、新たな“カワイイ”の形を打ち出している。今回はそんな本作の開発に携わっている4人のキーマンへインタビューを実施。実機プレイ映像とともに、知られざるゲームの詳細をうかがった。
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 なお、本稿は週刊ファミ通2025年8月21・28日合併号(2025年8月7日発売)掲載のインタビューの先出し完全版となる。誌面では載せきれていない情報や裏話も含まれているので、ぜひ本作の魅力をたっぷりと感じ取っていただけたら幸いだ。
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本白水義大 氏もとしろみず よしひろ

イマジニア・コンシューマーゲームチーム

曽田圭 氏そだ けい

イマジニア・コンシューマーゲームチーム

金谷有希子 氏かながい ゆきこ

シンソフィア・シニアクリエイター/アートディレクター

滝田哲朗 氏たきた てつろう

シンソフィア・トップクリエイター/ディレクター

――本作は完全新作とのことですが、企画が立ち上がった経緯をお聞かせください。

滝田
 これまでシンソフィアは着せ替えゲームを多く作ってきましたが、“カワイイ”にはまだ別の表現があるのではという話になり、企画が立ち上がりました。その発端はシンソフィア社長である吉田(秀司氏)の企画書で、職人の手によるドレスづくり、美しい景色の中にかわいらしい少女と猫がいる、というビジュアル中心の企画でしたね。まあ、最初は南フランスのようなきれいな場所にかわいい服を着た子と猫がいたら、そりゃ“カワイイ”よね、くらいの企画でした。

――確かにかわいい要素しかないですね。そんな本作では、皆さんはどんなお仕事をなさっているのでしょうか。

本白水
 私は、パブリッシャーの視点でシンソフィアさんの得意な“カワイイ”を広めるには、どう強調したらいいのかと、ともに企画を練っていきました。

曽田
 私はプロモーションを担当しています。イマジニアの広報チームは資料向けの画面撮影のときも「ここ、かわいい」、「このコマのほうがもっとかわいい」と、皆こだわりを持って楽しくお仕事させていただいています。
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金谷
 私はキャラクターとドレスのデザインを担当しています。今回は世界観や雰囲気に沿ってクラシカルなドレスのデザイン案を出していきました。さらにアートチームとして「リボンやポケット、レースもつけたいです」と、盛り盛りで希望を挙げていきました。

滝田
 私はディレクターと、ゲームデザインを担当しています。金谷たちデザイナーから上がってきたキャラクターや衣装をゲームとして設計する部分を担っています。かわいいもの、きれいなものをゲームの形にして遊べるようにするお仕事をしています。
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――本作は“ドレス作りシミュレーション”とのことですが、読者へ向けて簡単にゲームの流れをご説明いただけますでしょうか。

滝田
 フルーヌ村という小さな村で暮らす主人公・リリアが魔法を使ったドレス作りに目覚めて、村人たちと交流しながら、一流のドレスメーカーを目指していくというのが基本的なお話の流れになっています。

金谷
 プレイヤーはそんなリリアの成長を見守るスタイルになります。リリア自身の体型や髪型などは“彼女らしさ”としてそのままですが、ドレスの他に帽子や髪飾りも変えることで印象や雰囲気を変化させる楽しさを味わえます。

滝田
 リリアはデフォルト名ですが、好きな名前に変えることもできますよ。
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――そんなリリアちゃんはとても若く見えますが、ドレスを自分で作れるってすごいですね。

滝田
 最初は簡単なドレスアレンジから学んでいくのですが、やがてドレスを作成し、さらに装飾して豪華なドレスを作れるようになります。着せ替えゲームというよりも、ドレスを作ってアレンジすることが楽しさの中心になるゲームです。
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滝田
 ドレスを作る以外にも、村の中を散歩して、ドレスの材料を買ったり採集することができます。また、作ったドレスを着ていると、村人に「あなたのドレスどうしたの?」と声をかけられ、お仕事が舞い込むこともあるんです。村人たちに作った服を渡すと、ちゃんとそれを着てくれるんですよ。

――それはうれしいですね。リリアちゃんは、伝説のドレスメーカーを目指しているそうですが、具体的な目標はありますか?

滝田
 リリアはおばあちゃんから裁縫魔法を教わることで、作れるドレスの幅も広がっていきます。そして、村の人からの注文を達成すればドレスメーカーとしての“評判”が上がります。評判が一定値になるとつぎのランクに上がり、またおばあちゃんから新しい課題をもらうというサイクルになっています。
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――村の人から請けたお仕事に期日はありますか?

滝田
 期限はあるのですが、過ぎてしまっても怒られないし、期限内にやれば評判がボーナスとして入るので間に合うならやったほうがいいくらいの感じです。村の皆さんはカリカリすることもなく、いつまでも待っていてくれます。

――やさしい……。

滝田
 そもそも、企画当初から「やさしいお話にしたい」という思いがありました。現代にはもっとやさしさが必要だよね、というような思いが強めな文章を企画書に書いていたんです(笑)。

本白水
 そういえば、書いてありましたね。私としても、絶対マイナスの要素は入れたくないよねと。ストーリーの構成を考えるときにアップ・ダウンはつきものですが、ちょっとでも負の要素を垣間見せたくないですし、ずっとやさしい世界でのんびりしていただきたいと思っています。

滝田
 忙しかったり、ストレスの多い世の中ですが、プレイヤーさんには、のんびりとドレス作りでもして暮らすひとときを味わっていただけたら、と。

――癒しの時間になりそうです。ちなみに、エンディングはあるのでしょうか。

滝田
 物語としてのエンディングはありますが、その後もゲームは続いていきます。

実機プレイで垣間見えた猫の楽園

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――実機映像を拝見しましたが、移動は自動で行先まで歩いてくれるリニア式なんですね。

滝田
 はい、作ったドレスを着てお散歩できるので、リリアの顔が見えたほうがいいなと。また、狭い路地もあり、カメラの挙動や3D酔いの懸念もあるので、この形式になりました。フルーヌ村は丘の上にあるので、見晴らしもいいですよ。お花もいっぱい咲いています。ここは年中、花が咲いているような地域なんです。

――フルーヌ村は南フランスをイメージされたとおっしゃっていましたが、どこかモデルとなった村があるのでしょうか。

滝田
 実在する場所というより、その地域のよさを取り入れた形ですね。南フランスだけじゃなくていろんな地域を混ぜたいというのもあって、プロヴァンス地方、コート・ダジュールなど、いろんな地域や街について調べました。動画はもちろん、図書館で古い資料を見たり。そのおかげで小さい村の名前をたくさん覚えました(笑)。

――その知見がフルーヌ村に詰まっているのですね。歩くだけでも楽しそうです。

滝田
 お出かけするときはアイコンから目的地を選ぶのですが、マップ上から直接、選ぶこともできます。マップ上ではカーソルを合わせると村にいる人たちが確認でき、ここで表示されるフキダシは村人たちからの要望のヒントになっています。お散歩の道中では気になるものを調べたり、村人に話しかけたりもできます。ボタンを押せばいちばん近いものに対してアクションするので、のんびり眺めながらポチポチしていれば、目的地まで簡単に進められます。
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――村の人との会話は、お仕事を請けるほかにも、クエストやイベントがあったり?

滝田
 そうですね、お手伝いのお願いや、お話が進むイベントが発生します。それと、本作は時間の経過があるのですが、リアルタイムではなく、何か行動することでゲームの中の時計が進んでいきます。会話などをする度に時間が進んでいくので、やり過ぎると門限になってしまって、おばあちゃんを心配させてしまうということがあります。

――時間配分も大事なんですね。そういえば、リリアちゃんは何歳くらいの設定なのでしょうか。

曽田
 11歳なので、小学校高学年くらいですね。

――それはおばあちゃんも心配しますよね。

滝田
 一応、お出かけするときには飼い猫のジャムが主人公を心配して後ろからついてきてくれます。村の中にも、猫があちこちにいるんですけど、おやつをあげたりもできますよ。猫が懐いてくれると、つぎに会うときにアイテムをくれたりするんです。
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――たまりませんね……。猫は何匹くらい登場するのでしょうか?

本白水
 17匹ほどでしたよね。

金谷
 プレイヤーさんがお気に入りの猫を見つけられるよう、たくさん登場させました。

曽田
 猫を飼っている方は「この猫、ウチの子に似てる」と思うこともあるんじゃないかと。メインビジュアルの中にも猫ちゃんをたくさん描いていただいていますので、ぜひ探してみていただきたいです。
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本白水
 そして、この村には猫の不思議なお話があるとかないとか……。

――物語も気になります。魔法がある世界ですし、飼い猫のジャムちゃんがしゃべったりは?

滝田
 ふつうの猫なのでしゃべらないですが、プレイヤーに向けて説明をしてくれますね。

曽田
 ジャムは眉毛がかわいいですよね。

金谷
 じつはウチの飼い猫が困り眉で(笑)。
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――ジャムちゃんのモデルになっていたんですね。タイトルにも“猫”がつきますが、そもそも、どうして猫を登場させることになったのでしょうか。

滝田
 社長の吉田(秀司氏)からは「猫、いいよね」としか説明がなかったんですけど、僕としても“カワイイ”に、説明が必要だとは思っていなくて。猫のかわいさには抗えないですよね。ちょうど今日の服も猫と花の柄なんです(笑)。

――まさに本作らしいシャツですね。
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どうやってもかわいくなっちゃう!?

――本作の画面は水彩画を思わせますね。ドレスの質感も村の雰囲気にマッチしています。

金谷
 そうなんです。水彩画のように色ムラを出したり、にじませたり。チェック柄も線がよろけているように描いていたり、ドットも正円ではなくて一個一個、形が違うんですよ。
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滝田
 本作のテキスタイルは基本的に手描きなんです。生地は、マルシェで買うこともできるんですが、物語を少し進めると、染織魔法を使える少女・ライラに作ってもらえるようになるんです。ライラは主人公にとって相棒のような存在ですね。手に入れた素材をライラに渡せば生地を作ってくれるのですが、組み合わせる素材によって柄が細かくなったり、色が変わったりします。持っている素材から適当に入れてみて何ができるのか試すのも楽しいいですね。作る生地は、メニューで種類を赤やチェックといった色柄で絞り込めるんです。

――すごい数の柄があるんですね!

本白水
 僕もこの物量を見たときには圧倒されました。最初から全部作れるわけじゃなくて、次第に増えていくんですけどね。
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金谷
 テキスタイルは、テクスチャーを一枚用意すれば、別に3Dモデルの作成が必要なわけじゃないから、「いくらでもできるなあ」と。ドレスの基本の型と、襟と袖の数は、吉田(秀司氏)から「この数で」と言われていたのですが、「テキスタイルやリボンの数は別に何も言われてないし……」って(笑)。それでどんどん種類が増えていったという経緯があります。

滝田
 増えすぎたら僕が止めるんですけど、いつもそこでちょっとしたバトルがありますね(笑)。生地については、基本となる模様にモチーフ柄を重ねることもできるんです。

 村の外れ、麓のアトリエに住むネムは、芸術魔法を使う画家で、モチーフとなる物を渡すと生地に柄を描いてくれるんです。彼は自分の描きたい意欲を満たすためにモチーフを探していて、たとえばスプーンを渡せば、紅茶の柄を描いてくれたり……。こうすることで生地に柄を乗せられるんです。
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――ネムさんは近所の憧れのお兄さん的な感じでしょうか。それにしても生地の自由度がすごい……!

金谷
 柄やリボン、テープのほかに刺繍もできますよ。刺繍にも種類がたくさんあります。

――そんなに!? これだけアレンジが可能だと、プレイヤーのセンスが問われませんか?

金谷
 大丈夫です、どうやってもかわいくなりますから!

滝田
 ファッションゲームには、アイテムの位置や大きさを変えたり、カラースライダーを調整して作り込めるものもありますが、結局、多くのプレイヤーさんはそこまで細かくやらないというか、機能があってもしなくなっちゃうんですよね。本作では、どう組み合わせてもかわいくなるようにとリボンをつけるにしても程よい位置に自動で調整されますし、ドレスの型によって位置や大きさが微妙に変わっているんですよ。

金谷
 簡単にイイ感じになるので、センスに自信がない人でも、遊ぶと「私センスあったかも」と思えるはずです。

本白水
 それは私も思いました。自分はぜんぜんセンスないなと思っていたんですけど、やってみると「あれ?」って(笑)。作っているときは「かわいくなったと思うけど、どうかな……」と不安でしたが、リリアが着て歩く姿を見ると「やっぱりかわいいな」と思えたので。自分も案外イケるもんだなと(笑)。

金谷
 リリアのモーションもこだわって作られていますので、なおさらかわいく見えると思います。
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滝田
 実際にドレスを作ってみましょうか。今回は広場にあるマルシェの生地屋さんから、生地を買いたいと思います。僕はワンちゃん柄の生地が好きなので、これで作ろうかな。

 そしてアトリエで作るわけですが、これがベースのドレスの型です。いま、袖や襟がない状態なので、どうアレンジしようか……。
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金谷
 袖は同じ生地にしてもいいし、違う生地にしてもかわいいですね。

滝田
 テープでクマちゃんを重ねてみたりもできます。このドレスはシンプルな型ですが、後々作れるようになる豪華なドレスですと、それぞれの位置の生地が変えられるんですね。フチにレースを取りつけたり、めいっぱいリボンをつけたり……、それらが全部簡単にできるようになっています。

――ドレスイメージの一例を拝見しましたが、クラシカルな装飾のデザインも豊富ですね。本作では、かわいらしいデザインが主軸となるのでしょうか?  たとえばほかに、着物などの伝統衣装風のものがあったりとか……?
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金谷
 世界観的にも、今回はクラシカルなドレスデザインに絞るというコンセプトがあったので、和風の柄は見送りました。

滝田
 子どもから大人まで楽しんでいただけるようにしています。ということで、レーティングも全年齢対象を想定して作っています。
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滝田
 ちなみに、ゲームを進めていくと、ドレスを買うこともできるようになります。これはゲームの進行に関係ある部分ではなくて、スタッフが作ったドレスをみなさんの参考にしてもらえればというような、オマケ要素です。ただ、基本的にはプレイヤーさんに自由に創造していただければと思っています。

本白水
 そうですね。簡単に作れる部分と、本気でこだわれる部分の両方があるので、プレイヤーさんによってドレスにかける時間も、遊びかたも変わってくるゲームなんだろうなって思っています。

滝田
 遊びかたで言うと、ゲーム内のお仕事って「この形の赤いドレスが欲しいな」くらいのオーダーなんですよ。先ほど実機でお見せしたとき、生地を赤で絞り込みましたが、表示されていた柄は全部“赤”として認めてもらえるんです。ですから、ゲーム内の効率を重視するなら、いちばん安い生地で「この赤でいいでしょ」と作ってもいいわけなのですが、私たちの作品を遊んでくださるプレイヤーさんの中には「このキャラクターに似合う赤だと、これがいいかなあ」と考えて遊ぶ人も多くいらっしゃる気がします。私たちとしても、ファッションの楽しさって人によって幅があっていいよねと思っていますので、記号的な解釈にならないように心がけています。

自分の好きなものを、じっくりと

――作ったドレスをお披露目する機能はありますか?

曽田
 ゲームの公式Xアカウントで、お披露目の機会を検討しています。ただ、あまりプレイヤーさんの順位をつけたいとは思っていないので、このドレスがいちばんすごい、というような内容ではないです。たとえば「今回はお花がモチーフのドレス」とテーマを設けて、投稿いただいた中から何名かのプレイヤーさんのドレスをピックアップするという形でしょうか。せっかく時間をかけてこだわりのドレスを作ったら、やっぱり誰かに見せたくなるものですから、こういう共有の場はつくっていきたいですね。

滝田
 こだわると本当にあっという間に時間が過ぎていっちゃうんですよね。吉田(秀司氏)の企画の段階で、「プラモデルみたいに時間をかけて作る」というのが書かれていたんですけど、ちまちまと作っていくものって愛着が湧くし、手仕事のよさってあるよねと。そういう背景もあって、今回は自分の好きなものを、ひとりでじっくり作っていくというゲームになっています。

曽田
 いまこの場で実感したのですが、イマジニアはひとりでコツコツやるゲームが多いですね(笑)。『Fit Boxing』(フィットボクシング)や『スマート対策』シリーズなどの勉強ソフトもそうですし。『Fit Boxing』は「今日も運動がんばりました」という成果を、プレイヤーさんがキャプチャしてアップしていたりもします。本作のプレイヤーさんも「今日もがんばってドレス作り上げたぞ、みんな見て」となるとうれしいですね。

本白水
 タイムラインにいっぱいドレスが上がったらすてきですよね。

曽田
 「今日はこんな日だからこのドレス」というふうに、ファッション誌の一週間コーデみたいなのも楽しそうですね。

金谷
 いいですね。ドレスだけど、無地などを使えば普段着っぽくもできたりするので、あえての引き算をするプレイヤーさんもきっといらっしゃるんだろうなと思います。
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滝田
 ゲームを進めていくと、村人がプレイヤーの作ったドレスを着てくれるようになり、やがて村中に広がっていくわけですが、ベースがクラシカルな服でも生地やアレンジ次第でガラッと変わるかなと思います。

曽田
 統一感を出して村ごとプロデュースもできますよね。

本白水
 プレイヤーさんの好みやこだわりが出た村になっていく、というのがいいですよね。リリースされたら、皆さんの村がどんな風に変わっていくのか楽しみです。

――リリアちゃんの印象やドレスの作例から、本作は光のゴシックかなと思っていたんですが、黒やダークカラーを基調にすれば、ゴシック調にもなりますか?

金谷
 ええ、ゴシック調にもできますので、黒が好きな方も楽しんでいただけるかと。レースをゴテゴテにつけていただくこともできます。それに、村中を黒にしたっていいんですから(笑)。そんな黒が好きという方のために、黒にも何種類かご用意していますので。

滝田
 何種類どころじゃないんですけどね……(笑)。ちゃんと生地の風合いが出るいい黒が用意されています。ふだん、色柄モノは着ない人、逆にモノトーンは着ないという人も、ゲームの中でいつもと違った服を着てみるというのもいいんじゃないかと思っています。
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――生地やドレスの型を決めていく過程で、参考にされたものはありますか?

金谷
 この企画よりもずっと前のことですが、DCブランドの展覧会があったんですね。そこで“カワイイ”の普遍性に衝撃を受けました。老舗と言えるブランドなんですけど、シンソフィアのアートチームとして勉強になりそうだからみんなで行こうよとなりまして。そしたらもう、すごくて! 「テキスタイル1枚作るのに、こんな手間が……!」と。そのときの感動が今作にも影響して「ああ、こういうものが作りたい」、「テキスタイル、このくらいまで描き込みたいね」と、本当に楽しく制作させていただきました。
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滝田
 いろいろな“カワイイ”がありますけど、今回は普遍的なかわいさといいますか、花とかリボンとか、いつの時代もかわいいって思えるもの。花を見るときれいだなと思うように、変わらない“カワイイ”を真ん中に置いて制作しましたね。

金谷
 そうですね。昔の服のデザインなんだけど、いま見ても「かわいいです!」となるもの、変わらずにある“カワイイ”のど真ん中を突き詰めました。制作にあたり、ゴシック系のブランドは海外のものも含めて一通り見ています。「こういうところが大事な要素なんだな」というのを押さえたかったので、クラシカルなブランドに限らず、まんべんなくすべて見たうえでのど真ん中ですね。

ゆったり遊んだり、猫と戯れたり

――開発において、挑戦的な試みとなったことをお聞かせください。

曽田
 イマジニアは『Fit Boxing』のイメージが強いかな? と思うのですが、昨年ファミ通さんにもご紹介いただいた『ミステリーの歩き方』に続くゲームらしいゲームになっています。そういう意味では挑戦ですね。シンソフィアの皆さんにもいろいろ相談しながらやってます。
 ちなみに、『
Fit Boxing 3』もシンソフィアさんに作っていただいたのですが、それを知ったプレイヤーさんから「あ、だから『Fit Boxing 3』の女の子の衣装がかわいいんだ」というコメントをいただいたんですよ。それに、シンソフィアさんのファンの方から「シンソフィアが作っているなら『Fit Boxing 3』買うわ」という声もいただいていて。絶対的な信頼感があるんだなと感じました。

滝田
 なかなか完全新作を作れる機会が巡ってこない時代なのですが、今回はイマジニアさんがいっしょにやってくださるということで、がんばっています。まだまだ“カワイイ”にもやれることがあるんだなと。ただ、最初に吉田(秀司氏)から「ドレスを魔法で作る、バトルのないRPGみたいなの」と聞いたときには、正直どうしようかと思いました(笑)。

金谷
 ゲームシステムの中に争いが組み込まれていないのは、挑戦的でもありましたね。今回は誰かと競争するのではなくて、自分のこだわりを詰めた服を仕立てるということに焦点を絞っているので、ここの部分は意外と独自性が高いかなと思います。服を仕立てることに絞っているゲームも、これまでそんなになかったかなと。
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滝田
 そのうえで“カワイイ”を軸にするなら没入感が大事かなとも考えました。違和感や異物感をどう消すかは、僕の中ではいちばん気を遣ったところですね。気になるところがちょっとでもあれば、イマジニアさんからもご意見をいただきながら整えて、ただただ“カワイイ”に純化させるための作業をしていました。

本白水
 世界設定や、こういう“カワイイ”にしようと決める過程でも、たくさん話し合いましたね。「コレ!」と決めてからは、絶対ブレないようにしようと。そのおかげで、その後は“カワイイ”に注力して進められたと思っています。シンソフィアさんには、本当にいろいろ試行錯誤して作っていただいて……。

滝田
 こちらを信じて任せてくださっているので「まだまだ鋭意制作中です」という状況でも、心を広く持っていただいて……。私たち開発のワガママを限界まで聞いてくださっています。

――本作を作られていく中で、どのような点に注力されましたか。

滝田
 プレイで疲れないようにすることも意識していました。僕はヘビーゲーマーなのですが、“ながら”でやることも多かったりするんです。本作は操作などで忙しく要求されることがないので片手間に何かしながら遊ぶこともできます。ゲーム内の時間はあるけれど、何か行動をしない限り進まないというシステムになっていますので。

本白水
 ゆったりと遊べるゲームというのは意外と少ないのかなと思っています。本作の移動のところを見ていただければわかるかと思うのですが、自動で歩いてくれるので「ああ、ドレスかわいいな」と眺めているあいだに目的地に着いていたりします。
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滝田
 今回、オート移動のシステムを作ってみて思ったんですが、眺めながらボタン押すだけだったらそれほど手間はかかっていないから、おっくうに感じることもありませんでした。

 やはり、操作できるからおもしろい、というわけでもないなと思いまして。僕は昔の『
クロックタワー』とか、『ワンダープロジェクトJ』とか、近年だと『Machinarium』(マシナリウム)のように、リアクションを見ているだけでもおもしろいなと思っていて。

 でも、今回は画的に間が持つかという懸念もありまして、それなら猫もいっしょに歩いたらどうかと。そういうのもイマジニアさんとのキャッチボールの中で出てきたところでした。

曽田
 ええ、昨年の冬くらいにイマジニアから「飼い猫を入れてほしいな」というワガママを言いまして……。

滝田
 最初は猫はその辺にいて戯れられるくらいだったのですが、もうちょっと猫を前に出したいよねとなりまして。
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――それで猫との交流や、ジャムちゃんの“見守り”が盛り込まれたのですね。では、本作に注目している皆さんへメッセージお願いします。

滝田
 本作にはきっと誰が見てもかわいいと思えるものが詰まっています。「かわいいもの、きれいなものっていいよね」と、まっさらな感性で楽しんでいただけたらうれしいです。

本白水
 現代は情報が多くて忙しないですが、このゲームで自分のドレスを作って、ゆったり遊んでいただけたらなと思っております。

曽田
 お子様から大人まで、自分の好きなようにこだわりのドレスが作れるのが本作の魅了だと思っています。私は子どもがいるのですが、お子様にも遊んでいただきたいですし、シンソフィアさんのファンの方にも絶対に楽しんでいただけると思います。公式SNSでは皆さんのドレスをお披露目するキャンペーンを実施予定ですので、お楽しみに!

金谷
 とにかく画面の中がかわいいです。自分でも「かわいいものが作れて幸せ」と思いながら仕事をしています。私は「かわいいのが楽しいんだ」といつも言っているのですが、やはりそれがいちばんだなと実感しています。ぜひ、私たちが考えた最高の“カワイイ”を楽しみにしていただけたらなと思っています。
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集計期間: 2025年08月11日16時〜2025年08月11日17時