
プレイヤー心理を完全に読み切ったステージ設計&システム設計に脱帽
しかし、ただそれだけのゲームではビットサミットにプレイアブル出展なんかしないわけですよ。
本作の特徴、それはタイトルにもある通り“10秒”というものがキーワード。勘の鋭い方はお察しいただけるだろう、各ステージに設けられた制限時間はすべてたった10秒なのだ。
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ステージはどれも1画面に収まるように作られているのだが、その構成が絶妙。ちょっと詰まればギリギリゴールできるかできないかという設計になっている。
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ちなみに各ステージには宝箱も用意されている。宝箱に触れれば金の卵が手に入るのだが、これはべつにゴールに必要なアイテムというわけではない。ただ、取れるとうれしいというだけのもののようだ。
この宝箱がニクい!
べつに取らなくてもゴールはできる。それはわかっている。わかっていても用意されている要素ならフルコンプしたくなるでしょ? だってゲーマーだもん。それに「あれ、これ俺のテクなら取れるんじゃね?」「とっても10秒切れるんじゃね?」という、ゲーマー心をくすぐる絶妙な場所に配置してあるのだ。そんなんもう、ゲーマーへの挑戦状みたいなもんでしょ!
ということで、ゲーマー心をくすぐられて宝箱に挑んだ結果どうなるか。
宝箱を触りに行って、そのままミスしてゲームオーバー。もしくは宝箱を取りに行って時間切れでゲームオーバー。
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これが本当に、本当にちょーっとだけ難しい。だからこそ何度でも挑戦したくなる。これはもうステージ設計者に拍手ですよ。ゲーマー心理を読み切り、その上で微妙に難しく、そして制限時間ギリギリでゴールできるようにオブジェクトを配置したステージ設計者、お見事。
でも俺負けてねぇから、あと1プレイする時間あったら宝箱取ってゴールしてっから!
プレイヤー心理を深く理解しているからこそのバランス調整が高い中毒性を生む
ただゴールを目指すだけ、そしてそこに10秒という時間制限と、ついつい取りたくなる宝箱というスパイスが加えられたゲーム設計がなされている本作だが、ここにもうひとつ、ゲームをよりおもしろくする要素が用意されている。
それがステージ開始前の待ち時間だ。この待ち時間中ではステージの全容を満足するまでじっくり観察できる。つまりはステージ開始前に“どういうルートでゴールを目指そうか”とイメージトレーニングができるようになっているのだ。
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この開始前のルート検討時間は本当に大事。急にステージにぶち込まれ、いきなり10カウントが始まるとなると、あまりにも忙しすぎて疲れてしまう。しかし本作ではこの検討時間が設けられることでスタートタイミングをプレイヤーの任意で決められるようになっているほか、休憩時間としても活用できるようになっているのだ。
まぁ、だからこそしっかり練ったプランでうまくゴールできなかったときに「ムキーッ」となってしまうわけだが。
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冒頭で記したアクションの種類の中に、空中ダッシュというものがある。これが本作で用意されたアクションでもっとも重要なもの。空中アクションはただ前方に進むのではなく、そのとき左スティックを倒している方向にダッシュする仕様となっている。
つまりスティックを下に向けてダッシュすれば下方向に一気に移動できるし、上方向にダッシュすればただジャンプするよりも遥かに高い位置に到達できるというわけだ。
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正直、かなり使い勝手もさわり心地もいいアクションだ。ただ、それも10秒という制限がなければの話。本作でステージ攻略に費やせる時間はたったの10秒。だからこそ空中ダッシュの向かい先は、余裕を持って安全に着地ができるところに、なんてことはやっていられないのだ。いや、実際にはその余裕があるステージも多い。
ちょっとなら余裕がある。これも頭ではわかっているので冷静に進めたいところなのだが、心がそれを許さない。0.1秒でも早くつぎのアクションにつなげてゴールを目指したくなってしまう。そうなると、当然空中ダッシュで狙う通過点・着地点は、到達できるブロックの角ギリギリ、敵の頭上ギリギリ。焦りの中でそんなプレイをするのだから、そら何度も奈落の底に落ちていきますわな。ハッハッハ! ちくしょう!
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そういえば今回の試遊ではお目にかかることさえできなかったが、ステージを進んでいくとスキルが手に入るらしい。スキルは1マスのみ壁を通り抜けられるものや、通常では通り抜けることのできない高さ1マスの隙間を転がって抜けるもの、敵を凍らせて動きを止めるものなどが用意されるそうだ。
スキルを使えば、よりスタイリッシュなプレイが可能になるだろう。そしてスタイリッシュなプレイをついついしたくなるゲーマーは、ムダに華麗なアクションをしようとして、また奈落の底に落ちていくことになるんだろうなぁ。
このゲーム制作者は、本当にゲーマー心理、プレイヤー心理を理解している。そして理解したうえで手のひらで転がしてくる。悪いお人やで!
ちょっとコントローラー貸せよ! と言いたくなる配信向きタイトル
画面を見ているだけだと、本当に簡単なゲームに見えるのだ。実際にはめちゃくちゃ奥が深く、難しいところは難しいのに。でも、他人のプレイを見ていると「あー、俺ならいけそうだな」と思えてしまい「ちょっとコントローラー貸して」と言いたくなってくるのである。
きっと本作をゲーム配信したら応援コメントと達人コメントであふれかえるんだろうなぁと想像できた。配信者のみなさん『十秒奪取!』やってみません? ストーリーもあるし、ステージも100ステージあるらしいので、ボリュームも緩急もしっかりありますよ。