2025年7月18日~7月20日まで京都・みやこめっせで開催されるインディーゲームの祭典“BitSummit the 13th(ビットサミット ザ・サーティーンス)”。
同イベントにて『I Write Games Not Tragedies』を試遊する機会があった。このタイトルは、スウェーデンのインディーゲームに特化したマーケティング会社Neon Noroshiが立ち上げたゲームパブリッシャーYotsuba Interactive(ヨツバ・インタラクティブ)の初パブリッシングタイトル。ロンドンの大学に在籍していたふたりの女性、ジュリア・マスチェッティさんとヴィッキー・ウォンさんからなるStudio Wifeの作品となる。
AI翻訳の力を借りて訳してもらうと、“私は悲劇ではなくゲームを書く”(直接的な表現)、“私が書くのはゲームであって、悲劇ではない”(より自然な日本語の表現)となる『I Write Games Not Tragedies』は、主人公アッシュの若き日々を描くアドベンチャーだ。
本作の特徴のひとつとして挙げられるのが、ビジュアルノベルとリズムゲームが融合した一作であるということ。本作では、プレイヤーがノベルパートを進めていると適宜リズムパートが現れ、リズムに合わせてボタンを押すことになる。加えて、歌を歌ったり、シャウトしたりするシチュエーションも。
その世界観とビジュアル、ビジュアルノベルとリズムゲーム(シャウトおよび歌唱含む)の要素に思わず心惹かれてしまう一作だ。
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リリースによると、「2000年代、未熟な「ベビーバット」だった主人公のアッシュ。2010年代はアルコール依存症と向き合い、2020年代には「エルダーエモ(古参エモ勢)」として、しがない人生に生きる意味を探し求める。プレイヤーはユーモアと恋愛、人生への違和感とともに、アッシュの人生を追体験していく」とあるが、BitSummitの会場でプレイできたのは、おそらくは物語の序盤ではないかと思われる、学生時代のアッシュの日常を描くひとコマ。ちなみに、“ベビーバット”は検索してもよくわからず、くだんのAIに聞いてみると、“ライフスタイルに慣れていない初心者”ではないかとのこと。
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デモでは、思い悩むアッシュが学校から帰ってきて、「音楽を聴けば、ちょっとは現実に耐えられる」と、音楽を聴くシーンに。ここで挿入されるのがリズムパートで、音に合わせてキーボードを叩いていくことに。そのあとはシャウト。そして、ゲームが進むことになる。今回はシャウトだったが、歌を歌うシチュエーションもあるようだ(歌を歌ったりシャウトをしなくてもゲームは進行するとのこと)。
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試遊バージョンでその後描かれたのは、パーティーに出かけていったアッシュが、同級生のAdeとやり取りをするくだり。人気者のAdeが自分に話しかけてくることにとまどいながらも、アッシュが徐々に打ち解けていくくだりは、なんとなくほろ苦くて、いい年をした記者もついキュンときてしまう。最初はちょっぴり胡散臭かったAdeの人となりが少しずつわかっていくにつれ、つい記者も好感を抱いてしまった。
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ストーリー中は適宜選択肢が出現する。
その後、パーティーを抜け出したふたりは、ふたりでしばし時間を過ごすあいだに、アッシュは、Adeの態度から、彼が自分に好意を抱いているのではないかと思うにいたり、困惑することに。そんなこんなで、話をしているあいだに、ふたりはつい終電を逃してしまった。Adeは叱られるからと、父親にクルマで迎えにきてもらうことに抵抗するが、最終的にはアッシュの説得に応じて父親に連絡を取ることになる。
描かれるのはリアルな高校生の日常で、この先ふたりはどうなるんだろう……とすごく気になりつつも、デモはここで終了となった。翻訳もとてもいい感じで、世界観を盛り上げるのにひと役買っていたと思う。
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開発者&パブリッシャーに直撃
試遊後、『I Write Games Not Tragedies』を開発するStudio Wifeのヴィッキー・ウォンさんと、同作をパブリッシングするYotsuba Interactiveのサマンサ・ロウさんに話をうかがった。
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Studio Wife ヴィッキー・ウォンさん(右)、Yotsuba Interactive サマンサ・ロウさん(左)。
リリックミュージック的なものにしたかった
――本作開発の経緯を教えてください。
ヴィッキー
Studio Wifeは、私とジュリアという友だちのふたりで立ち上げたユニットになります。私たちはロンドンの大学でいっしょに勉強していまして、卒業制作としてゲームを作ろうと思ったのがきっかけですね。ジュリアがおもにライティングを、私がおもにアートを担当しています。プログラミングは半分半分ですね。ゲームの制作がスタートしたのはちょうど1年前の2024年7月になります。
最初から何を作りたいかということがけっこうはっきりとしていました。
――デモをプレイして、アッシュとAdeの今後がすごく気になりました。
ヴィッキー
本作は男性どうしの友情を描いていますが、プレイヤーの判断に委ねているところもあります。エモ系の音楽を通じて、友情が芽生えたりするストーリーです。
――男の子の友情が本作の大きなテーマのひとつなのですね。
ヴィッキー
主人公のアッシュは、エモ系の音楽を好む人たちに共感していただけるのではないかということで、こういうキャラクターになっています。
一方のAdeに関しては、なぜ男の子にしたかというと、世間的には同性愛者に対する拒絶感がまだまだありますので、それを壊したいとの思いもありました。男ふたりでも友情が芽生えるという関係性を描きたいと思っています。
――ふたりがどうなるのか、気になりますね。
ヴィッキー
「これはBLですか?」(日本語で)とは、よく聞かれます(笑)。が、ネタバレになるのでお答えできないです。
――なぜ、ビジュアルノベルとリズムゲームを合体させることにしたのですか?
ヴィッキー
ああ、なんとお答えしたらいいか! ジュリアさんと何を作りたいか考えたときに、ふたりともそこまでゲーマーではないので、アクションやFPSはそこまで得意ではありません。そこで、ビジュアル系のゲームを……ということで、ビジュアルノベルにしました。
ビジュアルノベルだとストーリー重視で行けますからね。それで、リリックミュージック(歌詞を前面に押し出したミュージックビデオの一種)的なものを強調したくて、プレイヤー自身がリリックミュージックを見ているように、音楽に浸ってくれるように……ということで、リズムゲームの要素を入れることにしたのです。
――それで、音ゲーの要素とシャウトの要素を入れることにしたのですか?
ヴィッキー
そうです。ちなみに本作にはカラオケの要素もありますので、ポジティブな気持ちでいこうという内容になっています。シャウトして、歌いながら楽しんでほしいです。ベリー楽しいです(日本語で)。
――ヴィッキーさんがアートでこだわった部分を教えてください。
ヴィッキー
プレイヤーがシャウトするときに、炎が燃え盛ったり、別のステージではビルが重なったりと、盛り上がる演出を盛り込んでいるところですね。プレイヤーがシャウトするたびに何かが起きるのではないかと期待していただくことで、さらに気持ちが盛り上がってくださるといいなと。シャウトの場面はいちばんこだわっています。
――ちなみに、先ほどおふたりはゲーマーではないとおっしゃっていましたが、なぜゲームを作ろうと思ったのですか?
ヴィッキー
最近は、複雑で規模の大きいゲームがたくさんあるのですが、もっとゲーム的なものを通じて、ストーリー重視のコンテンツを広められたらと思ったのです。ゲームのことは好きなので、ゲームを通してもっと広められるのではないかと思いました。
私は劇をやっていたのですが、ゲームは劇に近いもので、ゲームを通してもっと考えてもらえるものを……ということで、作っています。
――ヴィッキーさんは、いま学生さんなのですか?
ヴィッキー
卒業して香港に帰りまして、いまは劇を管理する仕事をしています。ジュリアはイギリス人なので、イギリスにいます。開発はリモートで行っていました。ただ、ゲームは作り続けたいと思っています。インディーゲームの世界は新しいので、ゆっくりと進んでいきたいです。
――最後に、『I Write Games Not Tragedies』のことを気にしている日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
ヴィッキー
恥ずかしがらないで、いっしょに叫びましょう!
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世代や地域を超えて共感できるタイトル
――Yotsuba Interactiveの初パブリッシングタイトルとして、『I Write Games Not Tragedies』を選んだ理由を教えてください。
サマンサ
今年(2025年)の台北ゲームショウで出展されているときに見て、個人的にとても共感していいなと思いました。ほかのメンバーと本作のことを共有したら、とてもいいという話になり、パブリッシングを決断しました。そして、日本のゲームファンにも親しんでいただけるのではないかということで、日本での発売も決定しています。
ゲームをプレイした方の反応を見ると、好きな人はその反応がすごく大きくて、“好きな人はすごく好き”という感じなんです。日本でもすごく好きになってくれる方がいらっしゃるのではないかという思いでいます。
――好きな人にはどのようなところが響くのだと思いますか?
サマンサ
人それぞれではありますね。30歳から40歳の方たちは、「こういう思春期をあったな」という感じのようです。若い人たちは、パンク系やヴィンテージ系の音楽やファッションに共感していただけるようです。舞台はロンドンですが、国際的に共感できるようです。
――世代や地域を超えて共感できるということですね。
サマンサ
そうですね。ニッチなジャンルではありますが、世代や地域を超えて共感していただける作品です。
――日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
サマンサ
Yotsuba Interactiveは、「これは自分のためのゲームだ」と思える一作に出会える場を作ることを目標にしています。『I Write Games Not Tragedies』は、まさにそんなことを感じさせるタイトルです。感覚が鋭く、奥深いゲームを探している方はぜひ体験していただきたいです。
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