
『魔法少女まどか☆マギカ scene0』は『魔法少女まどか☆マギカ』で暁美ほむらがくり返した世界で起きていた物語として、2023年10月に『マギレコ』で配信開始。
2025年5月26日の公式配信番組では、『scene0』が前編、中編、後編の3回に分けて『まどドラ』で開催されることが発表。さっそく、5月30日には前編が開始されました。
また、『マギレコ』で実装された『scene0』のストーリーは、YouTubeでアーカイブ化されて配信されています。
下倉バイオ氏(しもくら ばいお)
ニトロプラス所属のシナリオライター。代表作は『スマガ』『STEINS;GATE』『魔法少女まどか☆マギカ scene0』など。文中は下倉。
『魔法少女まどか☆マギカ scene0 前編』について
シナリオはニトロプラス所属の下倉バイオ氏が担当、ニトロプラスさんが開発協力しており、総文字数20万字を超える、読み応えのある長編の物語がフルボイスで楽しめます。
『魔法少女まどか☆マギカ scene0 前編』ストーリーあらすじ
繰り返された世界で起きていた物語
見滝原中学校に通う“愛生まばゆ”は
『自分以外の時間が止まる』という現象に翻弄される
以来、まばゆはいくつもの不思議な現象に巻き込まれながら
時間停止の原因を探っていく中で、とある魔法少女に出会う
まどドラ:『scene0』インタビュー
“三人称のループもの”を目指した『scene0』は、最初はオリジナルアニメとして考えていた物語だった
最初は原因がわからなくて振り回されますが、その理由を探っているうちにだんだん魔法少女の存在を知り、自分も魔法を使えることがわかり魔法少女の世界に足を踏み入れていくというストーリーです。
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ただ、主人公のまばゆが第三者的な視点から物語に関わっていくキャラクターなので、そういう意味では『魔法少女まどか☆マギカ』の世界をあらためて理解しやすくなっている部分はあるかもしれません。
――『scene0』という名前や公式サイトなどに掲載されたあらすじからも『魔法少女まどか☆マギカ』の前日譚であるかのようなことが示唆されていましたが、最初からこのタイトルで進められていたのでしょうか?
『フェーズ0』や『ループ0』なども候補になっていましたね。そこから『scene0』と『フェーズ0』に候補を絞って、最終的にまばゆが好きな“映画”というキーワードを意識して、『scene0』になりました。
――タイトルに“0”がついているものばかりですね。でもしっくりきます。そんな『scene0』はどのような経緯で制作することになったのでしょうか?
PCゲーム『スマガ』のシナリオや『STEINS;GATE』の構成など、ループする作品に関わる機会が多くありました。その中で、ループに巻き込まれた人の視点で作られたストーリーはあまりないことに気づき、何かの機会で作品にしてみたかったんです。
そもそもループ系の作品の多くは一人称的なもので、自分自身がループする=ループしているという自覚があるものとなります。対して、少し特殊な見せかただったのが『魔法少女まどか☆マギカ』で、これは主人公自身がループするのではなく、身近な人物のループに巻き込まれることを物語構造に組み込んだものでした。いわば二人称的な見せ方で、とてもおもしろい演出でした。
では、そこから広げて“三人称のループもの”はできないかと考えていったものが、『scene0』の大元のアイデアです。
自分がループしていることを知っている(一人称)、もしくは相手がループしていることを知っている(二人称)ケースに対して、原因はわからないけれどもループに巻き込まれてしまったことだけを自覚している(三人称)という視点は、意外とないんじゃないかなと。
ループしているキャラクター自身の目的が世界を救うことなら、その目的を達成するために成功するまでやり直そうとがんばるわけですが、巻き込まれた第三者からしたら、脈絡もなく“時間が巻き戻った事実”だけがくり返されるわけです。
なぜループするのか法則や条件がわからないまま、混乱して日常がめちゃくちゃになってしまいますよね。
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そんなときにアニプレックスのプロデューサーの鳥羽洋典さんから「『魔法少女まどか☆マギカ』に関連したものでやってみるといいのでは?」という話をいただいて、それならいい企画になるかもしれないと思い、『マギレコ』というゲームの形で『scene0』を作ることになりました。
――『魔法少女まどか☆マギカ』の前日譚にあたるようなアイデアも、その段階から考えていたのでしょうか?
『魔法少女まどか☆マギカ』のファンならループしているという前提知識を持っているので、三人称ループという見せかたもより効果的に楽しんでもらえるかなと。
まばゆがいるループに気づくか先読みしながら楽しむとか、どのようにループに巻き込まれたのかを予想できるので、ユーザーさんが能動的にストーリーを読み解いていける、おもしろい体験になるんじゃないかと考えていました。
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シナリオ制作で苦労した点は? 『まどドラ』用の新エピソードも存在
自分はプロットを立ててからは迷わずに書けるタイプで、テキスト自体は順調に書けたのですが、プロットを準備するまでがたいへんでしたね。
――プロットの準備とはどのようなことをするのでしょうか?
――天気もですか?
エクセルで資料をまとめていきましたが、とんでもないボリュームとなりました。
――それは途方もないですね……。ちなみに『scene0』が『まどドラ』に実装されるにあたって、前編、中編、後編に分けられていますが、『マギレコ』で実装されたものとの違いはあるのでしょうか?
そのため、各編でイベント期間も1ヵ月くらいの長期になっていて、後日にはなりますが、いつでも読み返せるようにメインクエストとして実装されると伺っています。
――そうなると追加したシーンやカットしたシーンはないということでしょうか?
――それは楽しみです。シナリオを考えるなかで、悩んだ部分や没になった案があればお聞かせください。
愛生まばゆのキャラクター造詣について
――まばゆのキャラクター設定はスムーズに生まれたのでしょうか。
――さすがというのは?
――第三者という立場なので、いい意味で主人公感があまりない等身大のキャラクターですよね。
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原作を思い起こしながらも、違った角度から『魔法少女まどか☆マギカ』の世界を楽しんでいただければと思っております。どうぞよろしくお願いします。
【ネタバレあり】まどドラ:『scene0』インタビュー
ループする力を持たないからこそ、その周回を全力で
また、「前回のループはこういった理由で失敗したから、今回はこうしたほうがいいんじゃないか」といった世界全体を俯瞰して見るようなニュアンスがあったほうが、ユーザーさんの視点とシンクロできると思ったのも、まどかたちより年上にした理由のひとつですね。
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だから、失敗後にループしたとしても、すぐに意識を切り替えられるわけがありません。これは、ノベルゲームのようなフォーマットでキャラクターに感情移入していっしょに時間を過ごしていくからこそ実感しやすくなると思います。そういった部分が、まばゆというキャラクターと、ノベルゲーム形式の『scene0』からユーザーに伝わっているとうれしいです。
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もし平行世界がそのまま続くのであれば、時間を巻き戻したキャラクターは、平行世界の不幸になった人たちを見捨てているだけ、という捉えかたもできるんですよね。
正解にたどり着くと世界線が収縮するから“なかったことになる”みたいな解釈もできるんですけれども、時間を巻き戻す当人からしたら、どちらが採用されているかは判断がつかないわけで。
そういう不確かな状況で時間を巻き戻す悩みや苦しみも、表現できたら良いと思っていました。
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たとえば、アニメを見返してキャラクターのリアクションが少し大きいなと感じられたときに、その理由が何かあるのではないか、というようなところを深掘りしていった感じですね。
ただ、これまでの作品を経て、みなさんが共通して持っているキャラクターの性格や言動があるので、どんな行動やセリフなら大丈夫なのかを何度も確認しました。シナリオを書いていると、つい極端な行動を取らせてしまうんですよね。
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また、そういった“『魔法少女まどか☆マギカ』にとって何が正解か”については、ボイス収録時にキャストの皆さんに教えられることもありました。10年以上の歴史があることもあり、声優の皆さんはキャラクターとの付き合いが長いので、キャラクターの芯をつかんで演じられているんです。なので、それを見て「このキャラクターはこの場面ではこういったことを考えていたんだ」と教えられることもあって、シナリオの理解が深まったこともありました。
オリジナルキャラクターのまばゆだと、初回の収録時に微調整をしながら進めたのですが、最後まで収録した後に早見さんから「最初の方をやり直したい」という提案をしていただきました。収録中にキャラクターの芯をつかんでいったからでしょうね。その後の収録では、僕から言うことは何もないくらい、キャラクターに落とし込んでくれました。
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――魔法少女といえば魔法ですが、まばゆの魔法はどのように考えたのでしょうか。最初は光に関する固有能力で、だからこそ望遠やステルス能力なのかと思いましたが、記憶に干渉できる能力も出てきて、どれがまばゆの魔法の根本なのかわからなくなってしまいました。
また、まばゆは分岐する前の過去にさかのぼって記憶を切れるということで、『scene0』は時間の捉えかたが普通と違っています。
現代の人は時間が過去から未来へと直線に進むイメージを持っていると思いますが、昔の人は1日や四季など、循環するイメージを持っていたという話を聞いたことがあって、いま私たちが普通にイメージする時間の捉えかたは、絶対普遍ではないんだな、と。
映画は重要なシーンのアクションがスローになったり、不要なシーンがカットされたりしています。そういった映画に近いイメージで時間の流れを捉えている魔法少女、と考えていただければいいかもしれません。
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出来事をなぞっていくだけでは成立しないので、そこでどんなイベントを起こして、ストーリー展開を楽しんでもらうかということに力を注ぎました。厳密な時間の流れを理解できていなかったとしても、展開を楽しんでもらって、最終的な結末を受け止めてもらえれば、それで良いと思っています。
もちろん、整合性も大事で、整えるのに苦労したので、うまくできているといいのですが。
――すごく楽しめました! 最後に、あらためて『scene0』のファンへのメッセージをお願いします。
また、まばゆの視点を通じて、ストーリーのダイジェストの部分を実際に追体験して、登場人物たちの心の機微を感じてもらえたらうれしいです。ループに巻き込まれた三人称の視点だからこそわかるキャラクターの見えかたが、いちばん描きたかった部分となりますので。
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