
何を考えているかわからない大胆な行動が特徴で、おかしな状況を楽しむ豪快な人かと思いきや、急にスイッチを切り替えたようにまともな面も見える。危うさの中に寂しさや切なさを秘めているような、そんな男だ。
歓楽街を舞台に、熱い男たちの活躍を描く本シリーズ。その奥には“生き様”がある。真島は最新作で初の単独主人公を担当し、記憶を失い、さらに海賊になってしまった。
大海原へ飛び出す真島。記憶を失うことで最凶の元極道という肩書きから解放(?)された途端に変わりすぎだろとツッコミたくなるが、現在は極道を引退しており、彼もいまや60歳。好き放題に暴れられる場所が用意されたのは何だかうれしい。これはもしかしたら還暦祝いなのかもしれない。
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「真島には好きに生きてほしい」というメッセージを感じ取ってしまった。彼の軌跡にはそう思わせる何かがあるに違いない。彼を印象付ける要所を取り上げつつ、どうして真島吾朗に惹かれるのか、語らせてほしい。
また、真島の魅力を語るうえで『龍が如く』シリーズ作品のネタバレも含まれるため、未プレイの人は留意していただきたい。
“狂犬”の名にふさわしい荒れっぷり。だけどどこかまっすぐな男
その中で登場する真島吾朗は、東城会直系の嶋野組内真島組組長という立場にあった。荒事の際には特攻役を任されるほどの超武闘派で喧嘩好き。佇まいからしてただ者ではなく、眼帯と蛇柄ジャケット、独特な関西弁が特徴だ。傍若無人な暴れっぷりから“嶋野の狂犬”の異名でも知られている。
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このころはサブキャラクターとしての立ち位置で、出番もそれなり。しっかり主役として活躍するのは1作目より過去の話を描いた『龍が如く0 誓いの場所』(以下、龍が如く0)だ。主役のひとりとしてゾンビと戦う『龍が如く OF THE END』もあるが、スピンオフ作品のため割愛。
話はいったん1作目の『龍が如く』に戻る。最初は桐生と知らずに絡んだ子分を傘で滅多打ち。これは“子への躾”なのだという。命を張った喧嘩を心から楽しみにしており、桐生と勝負できればほかはどうでもよさそうにするほどの異常な執着。そこから再び桐生と出会ったときは、理不尽に子分を痛めつけるなど、一度スイッチが入ると止まらない恐ろしい場面を見せられる。
ちなみに、リメイクにあたる『龍が如く 極』では、セリフの追加や演出の調整が加えられている。リメイク前から遊んでいる人とそうでない人では彼に対する印象が若干変わるかもしれない。
ほかにもトラックで建物に突っ込んだり、少ない出番の中でも「メチャクチャな人だなぁ……」という印象を抱いたことを覚えている。
それなのに、一応はライバル関係である桐生をかばって重傷を負うことも。桐生を仕留めるのは自分じゃないとダメだそうで、執着心もここまでくると恐怖を感じる。
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では、真島もそういうトリックスター的な存在なのかと問われたら、それも少し違う。好戦的な性格かと思いきや、まったく話が通じないわけでもなさそう。ソープ嬢を人質に取るシーンでは「どや、俺の女にならんかぁ?」と誘うものの、「好きな人がいる」と断られるとあっさり手放していた。個人的にそこはこう、「なんやと!?」とか逆上するのかと……。正直に答えたところが彼にとって好印象だったらしい。
きっと根っからの悪人ではないのだろうが、軸がどこにあるかわからない。これを“狂気を感じる”のひと言で片づけていいのだろうか。正直なところ、筆者にはわからない。この“わからなさ”がプレイヤーの心をかき乱す。
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真島は組織に背いた罰として東城会から追放されていた。再起のチャンスとして殺しの依頼を受けたが、それもひと筋縄ではいかない。奇妙なめぐり合わせから、彼は殺すべきだった標的を守ることを決心し、当初の目的を異にすることもあった。いままでのシリーズのようなおちゃらけた様子はなりを潜め、カタギの身で飼い殺しにされ、にじみ出る焦りと迷い。いま思うと人間的な弱さを見せる真島は新鮮だが、当時はこの状況からどうやって東城会に戻るのか……とにかく先が気になったことを覚えている。
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近江連合も手を焼くトラブルメーカーの組織・鬼仁会の会長。己の欲望に忠実で、強いヤツを目にすると興奮し、強者との戦いに飢えた危険な男である。その立ち振る舞いはこれまでのタイトルでプレイヤーが目にしてきた真島吾朗を彷彿とさせるもので、抗争内で真島と衝突することとなる。
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喧嘩のためにわざと強盗のフリをしたり、仕事の話抜きで真島との勝負に執着する姿は自由奔放そのもの。出会い方が違えばいい関係になれたんじゃないかと思うと本当に惜しい。少ない出番ながらも、西谷が言い放った「思いっきり暴れたらええ! 思いっきり楽しんだらええ!! ヤクザなんぞ、どうせ早よ死ぬんや。なら後先考えんと、自分の道、前に進めや……なぁ?」という言葉は、現状に抗う真島とその光景を追うプレイヤーの芯をとらえ、大きな衝撃を残した。
『龍が如く0』での事件は、目的遂行のために強い執着心を見せる佐川から“諦めないことの重要さ”を学び、ヤクザ者として強者との戦いを楽しむ西谷の生き様から影響を受け、暗く醜い争いに終止符を打つために真島は檻を破った。狂犬への覚醒だ。その姿はこれまでのシリーズで見てきた“いつもの真島”と重なる。まだ完全ではなく片鱗程度の段階だが、何かやってくれるんじゃないか。そんな期待をしてしまう。
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もちろん、秘密裏に進められていた解散に組員が納得できるわけがなく、その場で乱闘が始まり、真島もノリノリで参加するのだが……。事がすべて終わった後の「けど、これで全部しまいか。近江も東城会も泡と消えるわけやな」というひと言には彼の本心が隠されているように思えた。この感情は何だろう。諦め? それとも“寂しさ”だろうか。
もともと事情があったとはいえ、『龍が如く2』で一時的に極道をやめていた人だ。それでも心の底から楽しめるような喧嘩の機会はこの先減るだろうし、真島がどういう風に生きていくのかは想像がつかない。思う存分暴れられるような場所はあるのだろうか……?
……あった。用意されていた。『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』だ。
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海外の大海原、無法者たちの楽園、伝説の財宝の噂、悪党どもがにらみ合う一触即発の世界。記憶喪失になってしまった真島吾朗……いや、ゴロー船長が混沌の世界へ飛び込んでいく。極道のしがらみはちょうどよくなくなっているので、いちばんノリノリな真島と出会える舞台なのかもしれない。
引退するのはまだ早い。まだまだ遠慮せず、思う存分生き様を魅せてほしい。なんにせよ、これまで“真島吾朗”を追いかけてきた身をしては、楽しそうにふたたび暴れてくれるだけでうれしいのだ。期待が高まる。
正直、「次作は真島が海賊になります!」なんて想像もできなかった。はっきり言ってメチャクチャだが、困惑している暇はない。「極道を引退してそのままフェードアウトしないでほしい」というファンの率直な気持ちは、このような形で結実した。枯れない彼の姿を追い続けられる、それだけで思わず頬が緩んでしまう。
作品紹介では「失った記憶を取り戻すため」と書かれているように、おそらく記憶が戻ったときになにか波乱があるのだろう(この原稿はクリアー前に書いている。我慢できなかったので)。カタギの真島吾朗か、海賊のキャプテン真島か、彼の中で“これからの答え”は見つかるのか。どういう決着がつくのか楽しみにしている。
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