
外伝と名付けられたことに納得の物語
で、本作はどうだったのか、という話に移ろう。まずはストーリー面から。『龍が如く』と言えば、いい意味でリアルではない演出はあるものの、現代劇の象徴みたいな作品。それなのに、海賊モノをやろうと言うのだから、正直、どんなものになるのかという予測が立たなかったわけだ。そりゃあ、『龍が如く8』であれだけのハワイのマップを作っているのだから、それをもう一度使わない手はないし、主人公の真島吾朗の見た目は海賊として似合いそうだから納得はするけれど、「それって出オチじゃね?」的な一抹の不安があったというか。まあ、実際は心配をするほどのものではなかったのだけれど。
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結果、ひと通り終わった後の筆者の感想は、「おもしれえ! これ、実質“真島吾朗、記憶を失って海賊の世界に来ちゃいました”的な異世界転生モノじゃん」というものだった(筆者は異世界転生モノにそこまで詳しいわけではないので語弊があるかもしれない)。
「おもしれえ」とは言ったものの、別にメインストーリーがコメディー的なおもしろさだという意味ではない。真島が記憶喪失になったがゆえに、これまでにない真島のパーソナリティーを垣間見られるのだが、それで真島らしさが失われているわけでもなく。というか、大事なところの“いつもの真島”感は外していない。男のカッコいい生き様が熱いドラマ描かれるという意味では、なんらこれまでの『龍が如く』と変わっていないのだ。
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ただ、ある種のブッ飛びかたはしていて、筆者としては、そういう面も加味しておもしろいと感じたわけだ。もちろん、『龍が如く』シリーズでは過去に金ピカの城やサテライトレーザーが出てきたこともあるほどなので、ミュージカルをしているなどの1シーンを切り取ってブッ飛んでいるとかそういう話ではない。海賊を主軸に据えていることも含め、裏社会絡みなんだけれど、ファンタジーでもあるというか……。言えないことも多いが、あくまでも作品全体を通したニュアンスで、の印象だ。
ある意味、『龍が如く7外伝 名を消した男』より外伝感が強い作品にはなっているし、物語以外も含め、「“外伝”なのでここまでやってOK」という指針を示した作品でもあったように思う。ネタバレ配慮を考えると、このへんまで語るのが精一杯なので、あとはお察しください。
ここに来て極まったアクションバトル
もちろん、主人公が真島だからということで、このスピード感のあるバトルにできたのだとは思う。ジャンプができるのも「桐生だとちょっと似合わないね」という理屈もわかるし。ただ、スピード感が増しているなか、100人規模で出てくる敵をボコスカ殴ったり、バサバサ斬っていくなんていう“俺TUEEEE体験”をしてしまうと、純粋なアクションとしてちょっとこれまでの『龍が如く』のバトルに戻れない気もしてしまうのだ。もちろん、一撃の重い重厚感のあるバトルもいいのだが、そこは個人の嗜好として。
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ディレクターの上原氏によれば「シリーズのアクションの集大成」ということだが、“まさに“という感じ。“簡単操作で爽快なアクション”というコンセプトで考えると、その言葉の通りだと思う。それでいて、ある程度複雑なコンボを生み出す余地もあるという作りになっているのも白眉。プレイヤーとしてはありがたい限りだが、「退路を絶っちゃいましたけど大丈夫ですか?」感も……。まあ、あの龍が如くスタジオだから、大丈夫にするんだろうけれど。
そして、本作の注目ポイントのひとつでもある、海賊船どうしによる“海賊バトル”もすばらしく、難産だったという甲斐あってか、わかりやすく楽しいデキ。ここで言うバトルはいわゆる白兵戦に持ち込む前段階の、船どうしの“砲撃戦”のこと。操作説明に“ドリフト”や“ターボ”と書かれていて目を疑ったが、フタを開けてみれば操作説明が示す通り、レースゲーム的な操作感覚を持ち込めるような仕組み。コツさえつかめばそう難しいものではないと感じた。
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そんな砲撃戦では、敵の船に対して有利な位置取りをしてバンバン大砲を撃っていれば、基本はOK。船を強化して大砲で相手を状態異常にすれば、強い敵も倒していけるようになる。開発陣によれば「あえてガチ海戦にしなかった」ということだが、これは本当に正解だと思う。海戦モノに『龍が如く』の方程式を当てはめてくれたおかげで、(お約束のバカバカしさはあるものの)とても遊びやすく爽快になっている。ゲームにおける「ただリアルに作ればおもしろいわけではない」のいいお手本だ。
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プレイスポットを含めた寄り道要素は、もしかすると過去最高クラスかも?
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さらに『龍が如く』シリーズに収録されていたプレイスポットもちょっとしたチューニングを施されて実装されているのだが、その数も過去最大級。あまりにもやりすぎだ。プレイヤー目線で考えても、そうそうすべてを遊びきることはできないし、それを強要するゲーム性でもないので、思い出したときに遊べばいいか、とは頭ではわかっているのだが……いい意味でちょっと引くレベルではある。
それだけ豊富なプレイスポットを用意しつつ、ちゃんと新しいものを入れてくるのもまた龍が如くスタジオらしい点。本作では、“バンバン・バッティング”がそれに当たる。基本は真島と縁深いバッティングセンターの派生なのだが、ちょっとしたパズル要素も組み込まれていておもしろい。とくに終わりのない“エンドレス・バンバンコース”などは、がっつりハマる人も多そうだ。
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もうひとつの新要素としては、『龍が如く 維新! 極』以来となる料理。今回は“ゴロゴロキッチン”という名で遊びの性質もチューンナップして収録されている。遊びとしてはシンプルなのだが、調理後にでき上がるのが回復アイテムなどの役立つものばかりで、ついついそれを目当てに遊びたくなるヤツだ。
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なお、当初筆者は“ミナト区系女子”をプレイスポットの一環だと予想していたのだが、こちらは実際に遊ぶとサブストーリーに属するものだった。事前に中途半端な情報だけ得ていると、筆者と同じ轍を踏みそうなので、念のため報告しておく。言い換えれば、ミナト区系女子は何度も遊ぶタイプのものではないので、そのサブストーリーを進める際にはトイレなどを済ませ、準備をしてプレイしていただきたい。こと実写パートは、ロバート秋山氏のネタみたいな部分が楽しめるので。
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こういったプレイスポットやサブストーリー以外にも、寄り道要素的なものがある。たとえばそれは仲間との会話を楽しむ絆会話であったり、強敵と戦ってお金を稼ぐ“賞金首”、船員を集める要素などなど。そんな中でも筆者がもっともお気に入りだったのが、個人的に財宝集めと呼んでいる要素だ。
財宝集めは、その名の通りハワイ周辺にある“宝島”や、ホノルルシティにある財宝を探す遊び。サクッとクリアーを目指すだけならスルーしていいものなのだが、探すのが財宝というだけあり、報酬が豪華かつ、バトルに役立つものも豊富。財宝を見つけるほど真島の育成もラクになるのだ。さらに、“財宝図鑑“という項目が存在し、見つけていないものの数がわかってしまったりするので……ついつい物語の進行をさておき、探したくなるという仕掛けが施されている。
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初回は仕事でプレイしたこともあり、サッサとクリアーを目指さなければならなかったので、財宝集めに本腰を入れたのはクリアー後。もし趣味でプレイしたとしたら、絶対に全部見つけてからクリアーしないと気が済まなかったはずだ。それを加味すると、実際のクリアー時間はさらに数時間かかっていておかしくなかっただろう。こういうコレクタブル要素にはとことん弱いタイプの方は、その弱さに応じてクリアータイムが延びると想定していただきたい。
と、いろいろ書き連ねてきたが、結果どうだったのかと言えば大満足の1本だった。こと、真島ファンであれば、かなり満足度は高いと思う。また、いち『龍が如く』シリーズファンである筆者の個人的な意見ではあるが、本作において目立ったマイナス要素がほぼ見当たらないとも感じた。『龍が如く8』のときような「これ、とんでもねえな!」感こそないものの(逆に『龍が如く8』がなかったら別の評価になったかもしれない)、よくできた秀作だと感じている。みなさんはプレイした後にどう思われるだろうか?
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商品概要
- 商品名:龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii
- 対応機種:PlayStation5 / PlayStation4 / Xbox Series X|S / Xbox One / Windows / PC(Steam)
- 発売日:2025年2月21日(金)発売予定
- 希望小売価格:パッケージ版・デジタル版 6,300円(税込6,930円)、パッケージ限定版真島吾朗コンプリートボックス 18,000円(税込19,800円)、デラックス・エディション 7,900円(税込8,690円)
- ジャンル:アクションアドベンチャー
- プレイ人数 :1人
- 発売・販売 :株式会社セガ
- CERO:D区分(17歳以上対象)
- 出演:宇垣秀成、ファーストサマーウイカ、青木崇高、秋山竜次(ロバート)、谷田歩、大東駿介・松田賢二