濃厚なシナリオが話題に
この『ドラッグ オン ドラグーン』は剣と魔法、ドラゴンや精霊が存在する王道ファンタジー世界が舞台であるものの、主流の作品とは異なる陰鬱なシナリオが特徴。過激なシーンも多いため、CEROレーティングの表記が追加されたアルティメットヒッツシリーズでは17歳以上対象になりました。
筆者は、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』で知られるスクウェア・エニックスの作品ということで、「尖った作品であろうと、ある程度は万人に受ける作りになっているんだろうな」と考えていたのですが、実際にプレイしたところ、想像以上に特定の層のユーザーを狙い撃ちするような作りかたをしていることに驚きました。
本作でヨコオタロウ氏の名前を覚えて、作者買いをするようになった人は多いでしょう。筆者もそんなひとり。ヨコオ氏の作品はプレイしていて悲しくなる展開も多いのですが、根底には愛が描かれているため、自分の中の大事な作品のひとつになります。
カイムとレッドドラゴンの声を務めるのはピーターこと池畑慎之介さんで、カイムを池畑慎之介として、レッドドラゴンをピーターとして2役を担当しています。声優でなく俳優を主役に起用するのはなかなか勇気のあることだと思いますが、池畑慎之介さんの芝居はすばらしく、見事に世界観に溶け込んでいました。むしろ池畑慎之介さんなくして『ドラッグ オン ドラグーン』の魅力は完成しないでしょう。
ほかにも山寺宏一さんや、林原めぐみさん、宮村優子さんなど豪華なキャスト陣を起用。意外なキャスティングだと郷里大輔さんですが、どんな役なのか説明するとネタバレになってしまうので、ぜひプレイして確認してみてほしいです。きっと驚きますよ。
バトルはカイムを操作して剣による斬撃と魔法を駆使して戦う地上モード、上戦でレッドドラゴンを召喚して群がる敵を一掃する低空モード、レッドドラゴンに騎乗してモンスターや帝国軍の戦艦と戦う上空モードがあり、それぞれ違った雰囲気の戦いを楽しむことができました。
独特なのが“ウェポンストーリー”。敵を撃破することで武器のレベルが上がり、その武器の背景となるストーリーを読むことができるというものですが、設定がバラエティーに富んでいてとてもおもしろかったです。このウェポンストーリーは『ドラッグ オン ドラグーン』シリーズだけでなく、『NieR』シリーズにも取り入れられ、ヨコオタロウ氏の作品ではおなじみとなりました。