伝説の武道館公演のセトリをもとにメンバーがカバーした曲を紹介
最初に紹介する『relations』をカバーしたのは、まずレトラさん。2023年のアイマス楽曲歌枠と3Dお披露目リレーで披露している。初期の歌唱ではかわいらしさが前面に出ていたが、3Dお披露目では苦手とするダンスを交えたパフォーマンスゆえか、緊張感がうまく作用して原曲に近い切なさが表現されていた。
宇宙さんは、2023年に行われたピアニストYouTuber・よみぃさんとのコラボ配信で同曲を歌唱。よみぃさんといえば、いちばん好きな2次元キャラクターに千早を挙げるほどの熱烈なプロデューサーである。かつてよみぃさんのピアノ伴奏で千早が『約束』を歌うという奇跡のコラボも行われたが、その彼との共演だ。ピアノソロ伴奏という、ごまかしの利かないプレッシャーの中でも、伸びやかな歌声で楽しそうに歌い上げていたのが印象的だった。
『眠り姫』は、宇宙さんが2023年に挑戦している。候補生時代に毎月行われていた公式レッスンの中から9月の企画として“総合力レッスン”にチャレンジした際のこと。10分間の持ち時間で自身の魅力やプロジェクトに対する思いをプレゼンし、後半で本曲を歌唱するという構成で進めていた。しかし、プレゼン中から溢れる想いが込み上げて、歌唱の途中で声が出なくなってしまう。本人にとっては悔しさの残る結果だったようだが、感情を揺さぶられた視聴者は多かったに違いない、記憶に残る配信となった。
なお、『眠り姫』は最終審査ライブ“PROJECT IM@S vα-liv LIVE -THE LAST STATEMENT!!!-”(以下、“LAST STATEMENT”)にて改めてソロ歌唱を行った。こちらは神々しさすら感じるダンスとともに世界観を見事に表現。かつての悔しさを糧に、見事なリベンジを果たしている。
『Snow White』をカバーしているのはレトラさんだ。2024年のクリスマスイブに行われた歌枠や、2025年の外部歌枠リレーなど披露回数も多い。さらに歌ってみた動画も投稿されており、千早が持つ切ない空気感を踏襲しつつも、元バンドボーカルらしい力強く芯のある歌声を響かせている。
『Light Year Song』が歌われたのは、2024年の宇宙さんの誕生日記念配信だ。18歳にちなんで18曲を歌うというハードな企画だったため、尺の都合上ショートバージョンが中心。EDM好きの宇宙さんがリスペクトするTaku Inoue氏の作曲ということもあり、終始テンション高く、楽しげなパフォーマンスを見せてくれた。
『アイヴイ』は、『学園アイドルマスター』の月村手毬のソロ曲を、千早がカバーした形だ。ヴイアライヴではまず宇宙さんが、プロジェクトのレーベルであるASOBINOTES楽曲の歌枠でカバー。原曲の力強さやメリハリのある歌いかたをしっかりとリスペクトしていた。
また、レトラさんも外部の歌枠リレーやイベントで同曲を披露している。こちらは原曲よりも歌声の伸びやスタッカートの強調が印象的で、彼女らしい『アイヴイ』を開拓している。
愛夏さんによるカバーは、冬のアイマス楽曲歌枠で歌われた『Little Match Girl』。切ない雰囲気やウィスパーな表現は本家に勝るとも劣らず、彼女の愛らしい歌声から醸し出される独特の情感で、愛夏さんらしい世界観を構築していた。
『SING MY SONG』は、レトラさんが“LAST STATEMENT”にて披露。先述の通り、彼女は表現の幅の広さが大きな武器だ。その歌による支配力は、最上静香とも通じるものがある。伸びやかで美しい歌声には、聴く者を圧倒する力があった。
同じく“LAST STATEMENT”では、『GR@TITUDE』を3人で歌唱。最終審査の結果発表直前ということもあり、見守る筆者も落ち着かない状況だったが、3人のハーモニーで届けられた“感謝”を意味する楽曲に、ぐっと胸を掴まれたことを覚えている。
武道館のセットリスト以外にも歌われた千早関連の楽曲もピックアップ
まずは宇宙さんがカバーした3曲。ひとつ目に紹介する『ダンス・ダンス・ダンス』は、ゲーム『アイドルマスター スターリットシーズン』で千早が参加している楽曲だ。アイマス楽曲歌枠だけでなく、3Dお披露目や誕生日配信など、宇宙さんはさまざまな場所で披露してきた。とくに3Dでのパフォーマンスは、キレのあるダンスと弾むような歌唱が相まって、視聴者の体も思わず動いてしまうような魅力がある。
ふたつ目は『アイドルマスター ミリオンライブ!』より『Blue Symphony』。こちらはよみぃさんとのコラボ配信や2024年の誕生日配信で歌われている。よみぃさんとの共演では、ピアノ伴奏に合わせた即興のディレクションに即座に対応する、高い適応力も見せつけた。
3つ目は冬のアイマス曲歌枠での『メリー』。疾走感溢れる曲調に、彼女のキュートな歌声が抜群にマッチしている。宇宙さんの持ち曲はEDMや透明感のあるポップスが多い印象だが、こうしたカバーでキュート全開な一面を見られるのも楽しみなところだ。
同じく冬のアイマス曲歌枠では、レトラさんが『Large Size Party』を披露した。レトラさんらしい表現によって、かわいらしい楽曲にアーティスティックなエッセンスが加わり、高いオリジナリティを感じさせた。たとえるなら、冬の楽曲を代表するアーティスト・広瀬香美さんのような情熱的な響きを彷彿とさせる力強い歌唱だった。
振り返ってみると、武道館セトリのカバーではレトラさんと宇宙さんが多かった。千早と同じ“蒼”の系譜を背負う宇宙さんに対し、シンガーとしての共通点を持つレトラさんと、それぞれの文脈で千早の楽曲と向き合っている点は非常に興味深い。
今回紹介したカバーの中には、期間限定の有料配信で視聴が難しいものもあるが、千早のアーカイブを視聴中のプロデューサーには、ぜひ聴き比べてその魅力を再発見していただきたい。
そして、千早自身が武道館でほかブランドの曲をカバーしたように、原曲、千早バージョン、ヴイアライヴバージョンという3パターンの違いを楽しむのも、また一興だろう。







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