本ツアーは10月まで続くが、長月さん、小鹿さん、飯田さんの3人組でのライブは本公演がラスト。名古屋公演から始まった3人のライブがどのような形で千秋楽を迎えたのか、その様子をリポートする。
- 長月あおい(花海咲季役)
- 小鹿なお(月村手毬役)
- 飯田ヒカル(藤田ことね役)
残暑にも負けない“熱”。とにかく走り回り、声を上げたアイドルたちの姿が目に焼き付いた昼公演
Kijibatoさん制作のオーバーチュア『DEBUT LIVE 初 TOUR -序曲-』が鳴り響き、ステージ上に飯田さん、小鹿さん、長月さんが登場。じつに4公演目ともなる渋谷会場では、いままで以上に堂々とした表情をしていたように思える。
そして、公演の最初はやはり『初』から! もはやおなじみの流れとなった1曲目だが、壇上の3人はもちろんのこと、観客席の一体感までツアー開幕の名古屋公演とはもはや別物。息ぴったりのコールにキレキレな3人のパフォーマンス。会場全体が一体となり、8月の残暑を吹き飛ばすかのような盛り上がりを見せてくれた。
温まった会場をさらにアゲていくのは『Campus mode!!』。“そう君が勇気をさ 元気をさ くれたんだよ 何度も何度も何度もありがとう!”の歌詞で客席を指さす振りを見ていると、不思議と涙が出てくるようだった。そしてラスサビでは飯田さんの気合いの入った“だからCampus modeでもういっちょ!”からの大ジャンプに呼応するような会場の「いえーい!」に、すぐさま会場のボルテージは最高潮に。
その後のMCでは、それぞれ“最後まで”というフレーズを入れつつの挨拶をしているのを聞いて、なんだか引き締まるような思いに。そう、今日は最終日なのだ。ちなみに、壇上の3人も、“いままででいちばん熱い”と語るほどの熱気だったようで、小鹿さんは追加での水分補給を行っていた。
その後は飯田さん、小鹿さんが渋谷の広告を見たあとに、なぜかたこ焼きを食べたというエピソードを披露。なぜ東京でたこ焼き? とは思ったが、なんとまさかの“大阪公演では食べなかったほう”のたこ焼き屋さんが東京にあったとのこと。ちなみに肉まんのお店も近くにあったそうだが、そちらは売り切れだったらしい。大阪公演の際、小鹿さんは豚まんを6個買って帰ったそうだが、「12個にすればよかった」とコメントするほどお気に入りだったようだ。
長月さんは、ふたりよりも先にひとりで渋谷のライブ広告を見に行ったそう。有志のプロデューサーが出していた、咲季の応援広告もいっしょに見たそうで、たくさん写真を撮っている人がいてうれしかったと明かしていた。
MCを終え、ここからはソロ曲が続く。まず幕開けとなるのは咲季の『Fighting My Way』。2会場での公演を経て、さらに自信をつけたことが伺える、強気のパフォーマンスをレーザーライト飛び交うステージの上で披露した。本楽曲はコールをする箇所がないものの、そのぶんプロデューサー(※『アイマス』シリーズのファンのこと)は、コンサートライトとクラップによる応援で本ステージを盛り上げる。
続く、手毬の『Luna say maybe』。“分かってる、分かってる、解ってる、わかってるよ!”から感じる激情。“Luna say maybe……”から感じる諦め、辛さ。そしてラスサビで楽しそうに、笑顔のまま120%で歌う様子……最高に感情の籠った『Luna say maybe』に、会場のクラップにも熱が入る。曲の後、髪が乱れたまま正面を見つめる小鹿さんの姿は、言葉では言い表せないほどのかっこよさが感じられた。
つぎに披露されたのは『世界一かわいい私』。名古屋公演、大阪公演とどんどんコール&レスポンスの声量が上がっているような感覚があったが、東京公演でもその流れは変わらない。飯田さんのパフォーマンスに吊り上げられるように、大きな声で「かわいい!」を届けるプロデューサーたち。間奏中にはステージ中を走り回り、ラスサビでは息を切らしながらも笑顔で歌いきり、最後まで“かわいい”を切らさないプロ意識が光っていた。
MCでは、それぞれがソロ曲への思いを語る。長月さんにとって『Fighting My Way』は「何度泣かされたかわからない」というほどの難度の高い楽曲だったものの、咲季の“敵が強いほうがおもしろい”というマインドを宿しつつ、向き合っていったという。自身に溢れた表情の一端が垣間見えたような気持ちだ。
小鹿さんは、ゲーム中でも曲中にはいるクラップのあとに続く歌詞“キミのところにちゃんと届くまで”について言及。会場でのクラップがあることで、“キミ”への対象がすごくはっきりして、そのおかげで堂々と歌えるようになれたと振り返った。これから『Luna say maybe』のパフォーマンスが変わるかもしれないという少しうれしい言葉も。
『世界一かわいい私』を歌い上げた飯田さんは、最初に曲を聞いたとき「え? これを私が歌うの?」と思ったそう。また、ライブのレッスンを行うにあたって、改めてゲーム中のライブ映像をして、「私がこんなかわいいポーズをしていいの?」とも感じたそう。しかし、実際にパフォーマンスをくり返していくうちにどんどん自信がついていき、人としても成長させてくれた1曲だと感想を語っていた。
MC後もソロ曲が続く。いわゆる“SSR2週目楽曲”を披露するパートだ。まずは咲季の“私らしい”生きざまを歌うような『Boom Boom Pow』。激しい踊りやフリはないものの、堂々とした姿でステージに立ち、同曲を歌い上げる長月さんの姿から、MCで話していた “咲季のマインド”がすごく感じられた。
続いては『Yellow Big Bang!』。飯田さんが笑顔で体を跳ねさせながらステージを駆け回り、呼応するようにプロデューサーたちがコールを上げる。コールの完成度も『世界一可愛い私』と同じように過去最高のものに。ラスサビの直前、会場中の“嬉しい”と“楽しい”を詰め合わせたかのような飯田さんの表情からも、そのステージの熱量が伺える。
小鹿さんによる『アイヴイ』では、髪を振り乱しながらクールでかっこよく楽曲を披露。ときおり浮かぶ笑みからも、心の底からステージを楽しんでいるような気持ちが伝わってくるようだ。小鹿さんに煽られながらの間奏で響くコールも、そんなステージ上の姿に負けないような楽しさが込められているように感じた。
興奮冷めやらぬままMCパートへ。長月さんは、アイドル花海咲季の魅力を全部乗せという思いで歌っていたと心境を明かしていた。楽曲はフリがかわいく、レコーディングのときよりも、歌って踊っているいまのほうが好きになれたという。
飯田さんは「記憶がなかった」という衝撃の告白。プロデューサー陣のコールの仕上がりでテンションが上がり過ぎてしまったのだという。そんなプロデューサーに対して、感謝の気持ちが送られた。なお、『Yellow Big Bang!』は「お互いに元気をぶつけあう、大好きな曲」とのこと。
小鹿さんは『アイヴイ』の間奏に行く前の頭を振って会場を煽るところがお気に入りなのだそう。髪を切ってからは後ろ髪が邪魔になることもなくなり、パフォーマンスにも磨きがかかったという。
そして、恒例でもある衣装の話題へ。長月さんは、咲季の『初』衣装はベルトから漂う“優等生”っぽさがいいのだとか。アイドルとしては珍しいニット地だが、意外と涼しいらしい。小鹿さんは衣装でお腹が出ていることについて、手毬はどう思っているのかの考察を巡らせていた。アクセサリーが豊富なことについて触れられた際は、ネックレスを持ちながら「イヤリングも……」と語る小鹿さんをツッコむ飯田さんという、微笑ましい一面も見せてくれた。
MCパートが終わり、会場には潮騒が鳴り響く。アイドルたちのセリフによるフリから、最高の夏を歌う楽曲『キミとセミブルー』を披露。くるりと1回転してピースを見せたり、先生に抗議したり、“学生の夏”らしいかわいい振り付けに、会場も一気に夏模様に。
激しい楽曲のあとということもあり、息を整える時間が少々ありつつもつぎの楽曲へ。先日の大阪会場で公開された藤田ことねの新曲『ふわふわ』。“高校生の片思い”という藤田ことねの等身大な気持ちを歌ったような楽曲で、甘酸っぱい空気が会場に流れる。“いつだって褒められたい”と頭を撫でるような振りで、思わず体に“かわいい”が染み渡るような気持ちに。これまでのことねのソロ曲がダイレクトに伝えてくる“かわいい”とはまた違った趣だ。
コールもかなり仕上がっており、その後のMCでは「まだ音源とかも出ていないのに……」と、小鹿さん、長月さんが驚く場面も。アーカイブで予習したプロデューサーたちが大勢いたらしく、この日を心待ちにしていた様子がうかがえる。
さらに、飯田さんは『ふわふわ』について、だんだんと距離が縮まる様子が描かれているところが好きとのこと。“繋げるかな?”から続く最後の振りが手を繋いで歩くようなものになっている、というこだわりも語ってくれた。長月さんは、ミルクティーを頬に当てるような振り付けが好きとのこと。この部分は振り付けを担当された能登有沙さんと“アイスかホットか”をいっしょに考えたというエピソードも。なお、本公演ではアイスをイメージして踊られたようだが、これからの季節ではまた変わるかもしれないとのことだ。
そんな和気あいあいのMCがくり広げられたあと、アンコール前の最後の曲として、本公演の前日(8月24日)にいきなり公開された新曲『ミラクルナナウ(゚∀゚)!』を披露。コールたっぷりで盛り上がれる元気いっぱいな一曲だ。かわいい、かっこいい、ハッピー……そんな全部を一挙に味わえるような振り付けに、会場のコールも相まって、“最高のステージ”が“キミとデコレート”されていく。“ミラクルなナウ”、奇跡の一瞬を歌うこの曲は、まさにこの日のために用意されたような一曲となっていた。
そして、アンコール一曲目は『冠菊』。小鹿さん渾身の“遠雷に似た合図が響く”のソロパートには、思わず息を呑むような美しい伸びがあった。CD収録版ではことね(飯田さん)が歌うパートということもあり、ライブならではの演出と言えるだろう。歌唱はもちろんのこと、盆踊りを意識したような、楽しげかつかっこいい踊りに、会場のボルテージも最高潮に。
全力のパフォーマンスだったこともあり、最後のMCパートでは小鹿さんも少し息切れ。「熱い……」というぼやきには会場からも笑いが。
そんな小鹿さんは“初声公演”を通じて手毬の気持ちが少しわかったのだという。なにもわからないままにがむしゃらにパフォーマンスをした名古屋公演。プロデューサーたちの顔が見えるようになってきた大阪公演。そしてこの東京公演ではさらに視野が広がり、目の前で応援してくれる“キミ”のことをより強く感じられたのだという。信頼できる誰かのおかげで思いっきりパフォーマンスができる……そんな手毬の思いがわかったのかもしれない、とのこと。
そして、小鹿さんの「最後の最後の最後まで、盛り上がっていってくれますか!?」という問いかけに、大声で返すプロデューサー。そして、昼公演最後の曲である『初』が始まった。東京が初声公演での最後の会場ということもあり、飯田さんがセリフっぽく歌い上げる「次のステージ目指して」がとても刺さるものに。約束通りプロデューサーたちも最後まで盛り上げ続け、昼公演を締めくくる最高のステージとなった。
最後の挨拶も、また十王邦夫とあさり先生によるものに。このライブがどうだったかという呼びかけに応える声は大きく、本公演の満足感の高さがうかがえた。
園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初声公演-”東京・昼公演セットリスト(敬省略)
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Campus mode!!(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Fighting My Way(長月あおい)
- Luna say maybe(小鹿なお)
- 世界一可愛い私(飯田ヒカル)
- Boom Boom Pow(長月あおい)
- Yellow Big Bang!(飯田ヒカル)
- アイヴイ(小鹿なお)
- キミとセミブルー(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- ふわふわ(飯田ヒカル)
- ミラクルナナウ(゚∀゚)!(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 冠菊(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
夜公演でもさらに進化するパフォーマンス。“伝説の始まり”にふさわしい、“初声公演”の終幕
……のだが、そんな寂しさは開幕の『初』と『Campus mode!!』で吹き飛ばされた。公演を経るたびにどんどん進化していくパフォーマンス、そしてプロデューサーと一体になって作りあげるステージの光景を見ては、寂しさなんて感じられるはずもない。
その証拠に、“Campus modeで駆け抜けるぞ!”に対しての「いえーい!」のレスポンスは、どの公演にも負けない大歓声に。この全5公演で“アイドル”を“全力でマスター!”してきた3人の元気さに、先ほどまで感じていた寂しさはどこかに吹き飛んでしまった。頬に感じる熱さは、また別の要因によるものだろう。
恐ろしいことにまだ夜公演はまだ2曲目。続くMCでは長月さんの「千秋楽、楽しんでいきましょう!」の声に会場中が全霊で応じ、大きな歓声を送った。小鹿さんも会場の熱気に元気をもらったそうで、なかでも『Campus mode!!』は「みんなも歌ってね!」という気持ちでパフォーマンスをできるのがうれしいと語った。
その後は他公演と同様にソロ曲パートへと続く。『Fighting My Way』は全公演でも屈指の仕上がりになっており、楽曲の難しさなど微塵も感じさせない。少し不安そうだった名古屋会場での面影などは見る影もなく、見事に自身の曲へと昇華させたような自信たっぷりのパフォーマンスに、会場も大きく揺れる。
そして『Luna say maybe』では全身全霊の小鹿さんが。昼公演で語った「ライブを通じて手毬の思いに近づくことができた」という話を踏まえて見ると、また見えかたが違ってくるようだ。それにつられるかのよう、ラスサビ前のクラップが渾身の音で鳴り響いていた。
その後のMCでは、それぞれのソロ曲に対する思いが語られた。長月さんは『Fighting My Way』を歌う前には毎回緊張しているとのこと。咲季の自信をなんとかまとって、歌うことでなんだか少しずつ強くなれるような気がするとうれしそうに笑った。
小鹿さんは『Luna say maybe』のラスサビ “だからこの場所を大切にしたいの”という歌詞について。レコーディングの際にこの部分を1回、セリフとして歌ってみたものの、手毬は言葉では表現するのが難しいけれど、歌にすることで大切な人に思いを届けるのでは? という結論に至り、現在の形になったそう。ただ、今後も展開が続いていくなかで、もし、手毬が言葉でも素直な気持ちを表現できるようになったときには、この歌詞を(セリフっぽく)思いっきり叫びたい、という素敵な未来への展望を語ってくれた。
飯田さんも「何年経っても、ことねちゃんに世界一かわいいって言ってほしいです!」と豪語。もちろん会場からは「かわいいー!」の声が。ちなみに途中、「世界一かわいいわたくし」と言い間違えて「てへっ」とかわいくポーズをしてごまかすという一幕もあった。
未来のことを語り、なにやらもう終わりかのような雰囲気だったが、長月さんがMCを失敗するお茶目なところを見せ、会場も弛緩。そんななか、つぎの曲である『Boom Boom Pow』へ。長月さんは先ほどのちょっとしたミスなんて吹き飛ぶような、私らしく突き進む強さの中にもかわいさが見える1曲を見事に歌い上げた。
そしてソロ曲は『Yellow Big Bang!』へと続く。オーバーサイズのジャケットをはためかせながら全力で踊り歌う飯田さんを前に、プロデューサーも全力の大声で応じ、“最高の笑顔”が会場中に溢れかえる。初声公演としての最後の『Yellow Big Bang!』を惜しむように、曲の後もしばらく歓声が止むことはなかった。
そんな会場をクールダウンさせるのは『アイヴイ』。クールなイントロが会場に響くと会場はピタリと静まり、小鹿さんの歌を待ち侘びる雰囲気に。昼公演で“お気に入り”と話していた頭を大きく振り下ろす振りには、会場中の注目も集まっていたように感じる。一体感溢れる会場中のコールもあり、ソロ曲パートが終わっても会場中のボルテージは上がったままだ。
その後は恒例でもある『初』の衣装についての話題。長月さんはショートパンツとスカートの組み合わさった衣装の複雑さに再現できるんだという驚きがあったという。着るのもかなりたいへんらしく、衣装さんが毎回苦労しているのだとか。
……と、衣装さんの苦労が語られたあとで、本日の出演前にお弁当を衣装にこぼしてしまったことを告白。ちなみに衣装さんからは、「一生に一度の約束です」と言われながら衣装を汚さないことを約束させられたとのことで、おっちょこちょいのエピソードに会場の空気もやわらいだ。
そんな衣装に関するMCが終われば、もちろん来るのは最高の夏。夜公演の『キミとセミブルー』は、昼以上にオーバーな演技を交えながらの歌唱となっており、(8月後半ながら)これから始まる夏のワクワクを感じさせるようなパフォーマンスに。
そしてなんと……いや、当然というべきか。昼公演に『ふわふわ』が、先ほど『Unhappy Light』が披露されたということは、もちろん咲季の新曲である『EGO』も披露。名古屋公演ぶりのパフォーマンスながらも、咲季が持つありったけのかわいさを載せたEDM調の一曲に、会場のテンションも最高に。終了後のMCで長月さんが感想を求めると、会場中から「かっこいい!」、「かわいい!」が飛び交っていた。
さらに小鹿さんからは、『Unhappy Light』がかわいすぎるというエピソードが。会場からも小鹿さんに「かわいい」コールが飛び、飯田さんから「(かわいいを)貸してあげるよ、いまだけは」という言うやりとりもあった。
そして、つぎが最後の曲だと宣言されると、客席からは「もう一周!」の声が。そんな要望に対して、「もしやるなら烏龍茶たくさん必要になるね」とゲーム内のネタを交えつつ、アンコール前最後の曲『Howling over the World』へ。
『Howling over the World』では、荒れ狂うレーザーライトの下、入れ替わり立ち代わりソロパートを歌うフォーメーションがキレキレな“かっこよさ”全振りのパフォーマンスを見せてくれた。そんな3人が笑顔で退場した後は、間髪いれずにアンコールが。その波はつぎつぎと伝播し、すぐに全公演でも最大の声量に。つぎを待ちきれないプロデューサーたちの思いが、どれだけ強いかを物語っているようだ。
そんな思いに応えるかのように、「ありがとう!」の大きな声とともにアンコール1曲目の『冠菊』が始まる。和ロックらしい、雅さを感じさせながらもスタイリッシュな一曲が、花火のように色とりどりなライトともに会場を彩る。最後の最後まで目を逸らせない、そんな千秋楽のアンコールにふさわしい曲となっていた。
そして、最後のMCへ。飯田さんは終わりを悲しく思いつつも、ライブの楽しい思い出を語った。なんとライブ前には練習が足りないと感じ、追加のレッスンを提案したのだという。そんななかで、「ことね役をやってくれてよかった」という声も励みになり、ここまで楽しく、後悔なくライブができたと、『学マス』を愛しているプロデューサーに対しても感謝を語っていた。
小鹿さんは、月村手毬役としてライブをするということがすごくプレッシャーであったと振り返る。しかし、手毬がアイドルという目標に向かって一直線に行く子だと感じ、小鹿さん自身もステージに向かって全力でやろうと思ったのだとか。途中言葉につまるような場面もあったが、最後は、これからも手毬と二人三脚で走って行ければと笑顔を見せてくれた。
長月さんは、プロデューサーさんにいいものを届けたいという一心でいろいろな準備をして、その準備も含めて忘れられない記憶になったという。ステージ上から見る景色は素晴らしいもので、咲季はこんな景色を見ていたんだと、自身の担当するアイドルと同じ目線に立てたうれしさを語ってくれた。
最後は自分たちの公演の終わる寂しさを語りつつ、いまも全力でレッスンをしている初心公演や初恋公演のメンバーにしっかりバトンタッチしたいというこれからの仲間を気遣うような言葉も。最後には『初』の歌詞を引用しつつ、「“これから始まる私たちの伝説”をいっしょに歩んでほしいです」という、学年主席らしい言葉を贈っていた。
そして最後の曲である『初』が始まる。長丁場の最後にも関わらず、最高の笑顔を保ちながらのステージを展開。3人のパフォーマンスに呼応するようにコンサートライトを掲げながら送る声援も最高潮に。飯田さんの感極まるような“あなたでよかった”に会場からは大きな声が。
最後は「これからもアイマスですよ! アイマス!」と恒例の挨拶で締めに。退場のギリギリまで笑顔で、感謝の言葉とともに名残惜しそうに手を振りながらステージを降り……と思いきや、はしっこ急に始まる作戦会議。なにやら相談しているなと思ったら、客席に向き直り、3人で「プロデューサーさん、大好き!」と大きな声で最後の挨拶が。そんなかわいらしい“伝説の始まり”を見たプロデューサーからは、惜しみない拍手が送られた。
そして最後には、十王邦夫学園長とあさり先生による一本締めで無事ライブが終了……かと思いきや、名古屋会場に引き続き、再度ステージに小美野プロデューサーが登壇。モニターがない中、パネルを用意して画像を出すというアナログな手法での告知となった。告知では、“初星学園放送部”についての続報や、咲季の私服が初公開となる“初声公演”の描き下ろしイラストなど、会場のプロデューサーを熱狂させる情報が目白押しとなっていた。
といったところで、本公演は改めて無事終了。1ヵ月のあいだに3会場を回る“初声公演”が終わりとなった。しかし、これは長月さんの語っていた通り“伝説の始まり”に過ぎないだろう。
この公演を通じて見ることができた3人のパフォーマンス、そして現場でのコールが洗練されていき、どんどんとライブの内容がよくなっていく様は、まさに『学園アイドルマスター』そのもの。この後のツアーはもちろんのこと、きっと予定されているであろう今後のライブの開催もより楽しみになる公演となっていた。
“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初声公演-”東京・夜公演セットリスト(敬省略)
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Campus mode!!(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Fighting My Way(長月あおい)
- Luna say maybe(小鹿なお)
- 世界一可愛い私(飯田ヒカル)
- Boom Boom Pow(長月あおい)
- Yellow Big Bang!(飯田ヒカル)
- アイヴイ(小鹿なお)
- キミとセミブルー(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Unhappy Light(小鹿なお)
- EGO
- Howling over the World(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 冠菊(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)