ツアーは10月まで、全17公演(昼夜の公演をそれぞれカウント)にもわたる長丁場。本公演はその幕開けとなるものである。そして、『学マス』にとってはまさに“初”となる記念すべきライブ。そんな本公演の様子をお届けする。
■出演者(敬称略)
- 長月あおい(花海咲季役)
- 小鹿なお(月村手毬役)
- 飯田ヒカル(藤田ことね役)
『学マス』開幕前の会場ではすでに楽曲が流れており、『世界一可愛い私』が流れた際にはしっかりとコールを行うプロデューサー(※『アイドルマスター』シリーズのファンのこと)たちの姿が。『学マス』初ライブを盛り上げようという、会場の熱量が伝わってくるようだった。
開幕の挨拶は学園長である十王邦夫(声:大塚明夫さん)。「元気にしておったか?」との呼び声に、大きな歓声があがった。その後の諸注意はあさり先生こと根緒亜紗里(声:古賀葵さん)が担当。確認のたびにプロデューサー陣の「はい!」という元気な声が鳴り響く。「アイドルにとって一生一度のデビューライブ、しかとその目に焼き付けるんじゃぞ!」という学園長の一声に、開演前から会場のボルテージはマックスに。
そして、Kijibatoさん制作のオーバーチュア『DEBUT LIVE 初 TOUR -序曲-』とともに、小鹿さん、飯田さん、長月さんの順番で登場。それぞれが演じるアイドルを象徴するようなポーズを決め、楽曲へ。
オープニングはやはりというべきか、全体曲である『初』でスタートとなった。3人の気合いのこもった“行くよ”とともに元気いっぱいにステージが開幕。
ライブ披露が初めてとは思えないほど堂々としたパフォーマンス。そして息ピッタリのコール&レスポンス。『学マス』ライブツアーの頭を飾る一曲として、このうえないステージとなっていた。
続いて間髪入れずに『Campus mode!!』。バトンを渡すような仕草、2番の歌詞にもある挑戦と一礼など、ステージ上を賑やかフリが彩る。最初の勢いのまま駆け抜けていくような、全力のステージにプロデューサーたちのコールもどんどんと熱が上がっていく。
その後のMCでは、3人とも「会いたかったです!」という思いを口にした。登場前は、3人で手を握りながらお互いの緊張をわけあうほどドキドキしていたそうだが、裏で開幕前の『世界一可愛い私』のコールを聞いたときには思わず笑ってしまい、緊張がほぐれたという。
その後、曲に繋がるフリで間違ってしまうという初々しいトラブルがあったものの、にこやかにMCは終了。つぎは花海咲季のソロ楽曲『Fighting My Way』が披露された。長月さんは激しい振り付けを交えての楽曲披露でありながらも、最後まで笑顔を絶やさず、咲季顔負けの堂々としたステージに。Cメロのクラップから繋がるラスサビではいっそう振り付けが強くなりながらも、見事にソロ曲パートのトップバッターを務め上げた。
続く『Luna say maybe』は開幕の“あのね。”から手毬のような小鹿さんの表情が印象的。ときには笑顔で、ときには真剣な顔で、ステージ上で歌唱しながら手毬を感じさせるパフォーマンスに。そしてもちろん、ゲーム内でも象徴的だった“あのクラップ”も。プロデューサー陣との一体感がますます上がっていくような内容に。
そんな一体感の増したステージで、つぎに披露されたのは『世界一可愛い私』。ステージ中に響き渡る「かわいい!」の洪水に、思わず心が揺らされる。盛り上がる会場に負けじと、飯田さんの声量とフリもより大きなものに。最後には大きくジャンプし、ラスサビ後のクラップにはノリノリで応じていた。
その後のMCでは、『世界一可愛い私』のコールについて、思わず長月さんも「ゲームのライブ映像よりもすごくなかった?」と、会場の一体感を喜ぶような発言も飛び出した。コールがあってこそ完成する曲であり、飯田さん自身も「もっともっとパワーアップしていきましょう」と、今後の意気込みを見せてくれた。
ここで会場である名古屋の話も、小鹿さんは名古屋育ちであり、なんと昨日が誕生日だったのだそうで、会場中から「おめでとう」の声があがった。
名物の話では、飯田さんがSNSでよく見る“ことねの海老天化したイラスト”について言及。しかし自身はエビアレルギーなのだそう。ただ、そんな飯田さんでも食べられるようにケータリングには“うなぎの天むす”が用意されていたとのことだ。
そして(こんどは息ピッタリの)「続いての曲は?」のフリが入り、咲季のふたつめのソロ曲である『Boom Boom Pow』がスタート。テンポはゆっくりながらもノリやすい楽曲であり、会場全体が揺れていた。かわいく、強気な咲季らしいステージに。会場中が、手で、コンサートライトでその思いを強く表していたのが印象的だった。
では最初に披露したソロ曲の順番通りなら、つぎは手毬の楽曲が……? という予想を裏切り、続いたのは『Yellow Big Bang!』。ステージの端から端まで動き回り、大きくジャンプする元気な姿を披露してくれた。『世界一可愛い私』と同様にコール&レスポンスの多い曲だが、こちらもプロデューサーたちは全力で応対。またまた一体感の素晴らしいステージに。会場全体が“アドレナリン全開”となった一曲だった。
ソロパートラストとなる『アイヴイ』は激しいレーザービームとともに展開。楽曲のイメージともピッタリのクールでカッコいいステージがくり広げられた。キレキレのパフォーマンスに魅せられるような、シメに相応しい一曲となった。
その出来栄えは、思わず長月さんも「観客席で見たかった」と言ってしまうほど。小鹿さん曰く、『アイヴイ』はクールでかっこよく歌う手毬を意識して歌唱したようだ。フリの途中で目が合った方は手を上げてほしい、と言われた際は、会場の全員が手を上げていた。
このMCパートでは衣装の話題も。恒例の「まわってー」コールで一周し、『初』を完全再現した衣装を見せてくれた。ちなみに飯田さんは、衣装に書かれた“REALIZE”の意味を急に尋ねられていたが、「それは、プロデューサーさんとの秘密です」とかわいく受け流していた。
つぎに披露されたのは、『キミとセミブルー』。3人のセリフによるフリ、そしてゲーム内では聞けない咲季、手毬、ことねの3人による歌唱ということもあり、会場は大盛り上がりに。かわいくも騒がしい、夏の学園生活が思い起こされるような爽やかな楽曲は、今日の炎天下も吹き飛ばすような勢いを持っていた。
そして、その流れで全体曲が続くかと思いきや「私のエゴを聞きなさい!」と一声とともに、まさかの咲季の新曲『EGO』が初披露。ふだんのダンサブルな楽曲とはすこし毛色の違う、サックスの音色が響くジャジーで大人な雰囲気の一曲に。全体の印象として、咲季の持つ“わがままなかわいさ”が凝縮されたような一曲となっており、ステージ上での長月さんも、そんなかわいさを体現したかのような表情を見せてくれた。
MCでは、新曲である『EGO』の話題になり、メンバーそれぞれが、楽曲の中で好きな部分を語りあう、微笑ましいやり取りが行われた。そして本編最後の楽曲として、発表されたばかりの『がむしゃらに行こう!』を披露。間奏では会場全体が大きく手を振り、なんだか見ているだけで気持ちがうれしくなるようなステージで締めくくった。
そして、プロデューサーたちの熱のこもったアンコールに応えるように3人が再登場し、『冠菊』を披露。キレのあるフォーメーションとポージングもとともに夏の夜長に相応しいステージとなっていた。
この『冠菊』で最後かと思いきや……まさかのもう一曲。本公演最後の楽曲は、最初にも披露された『初』。十分に温まったステージで披露される『初』は、それだけで最初に披露されたものとはまた違ったものに。長月さん、小鹿さん、飯田さんも最初以上に感情が載せられているように感じられた。
同じ曲、同じ歌詞ながらも違った印象を与えられるステージ……これはまるで『学園アイドルマスター』におけるゲーム体験をそのまま落とし込んだかのよう。最高潮の盛り上がりの中「これからも、アイマスですよ、アイマス!」の挨拶とともに、3人はにこやかに退場。
そして、最後には十王邦夫学園長、あさり先生が音頭を取り、一丁締めにて終了となった。
……と思いきや、そのあと小美野プロデューサーがまさかの登壇。口頭にて今後の告知事項を伝え、本公演は終了。
ついに開催された『学マス』初のライブ。最初のライブながらも3人のパフォーマンスは堂々としたもので、会場にいるプロデューサーたちの一体感も素晴らしく、この夏を忘れるぐらいの“熱”がこもったものに。これから先、公演を重ねていく毎にこの熱がもっと高いものになっていくのかと思うと、なんだか恐ろしいぐらいである。
『学園アイドルマスター』としてのつぎのライブは、2024年8月18日に梅田クラブクアトロで行われる初声公演が開催予定。今回のライブを経て、つぎはどのようなステージを見せてくれるのか、楽しみでしかたがない。また、もしかしたら本公演における『EGO』のような、新楽曲の公開もあるのでは? と思うと、ワクワクして来週まで眠れない日々が続きそうである。
“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初声公演-(名古屋会場)セットリスト(敬称略)”
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Campus mode!!(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- Fighting My Way(長月あおい)
- Luna say maybe(小鹿なお)
- 世界一可愛い私(飯田ヒカル)
- Boom Boom Pow(長月あおい)
- Yellow Big Bang!(飯田ヒカル)
- アイヴイ(小鹿なお)
- キミとセミブルー(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- EGO(長月あおい)
- がむしゃらに行こう!(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 冠菊(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)
- 初(長月あおい、小鹿なお、飯田ヒカル)