2024年8月21日~25日、ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大規模のゲームイベントgamescom 2024が開催。
会期中にBlizzard Entertainmentで『ディアブロIV』を開発するゼネラルマネージャー、ロッド・ファーガソン氏とエグゼクティブプロデューサーのギャビアン・ウィショー氏に単独取材する機会を得た。2023年6月5日にリリースされ1年が経つ『ディアブロIV』だが、10月8日には初の大型拡張パックである『憎悪の器(Vessel of Hatred)』が発売され、新クラスの“スピリットボーン”が追加されるなど、何かと慌ただしい。両氏に『ディアブロIV』のいまとこれからを聞いた。
Rod Fergusson (ロッド・ファーガソン)
Blizzard Entertainment ゼネラルマネージャー。(写真右・文中はロッド)
Gavian Whishaw(ギャビアン・ウィショー)
Blizzard Entertainment エグゼクティブプロデューサー。(写真左・文中はギャビアン)
私たちのビジョンは、プレイヤーのために素晴らしいコンテンツを作り続けること
――『ディアブロIV』がリリースされてから1年経ちますが、手応えかいかがですか?
ロッド
現状にはとても満足しています。これまでずっとプレイヤーの方たちの、「こうしてほしい」というフィードバックには熱心に耳を傾けてきましたし、それに対してシーズンごとに多くの変更を加えてきました。今回リリースする『憎悪の器』は、そういった変更の集大成と言えるでしょう。
そもそも最初の時点から、『ディアブロIV』をどういうゲームにしたいのかという確固たるアイデアはありましたが、さらにユーザーの声に応える形で進めてきました。すばらしい変化をユーザーの皆さんに楽しんでいただけているのではないかと思います。
私たちは、まだまだ大きな変更を行っていきます。シーズン4、5とさらなるアップデートを行いましたが、シーズン6では、さらに推し進めるつもりでいます。8月30日(日本時間)には配信を予定しているのですが、パラゴンシステムや難易度、レベリングなどの大きな変更について、たくさんお話する予定です。私たちはこの1年で多くのことを学び、シーズンを追うごとにゲームを改善し続けています。
――『ディアブロIV』の進化の道筋は、ユーザーのフィードバックを最大限に重視したものになるのですね?
ロッド
そうですね。ライブサービスゲームであるということは、作り手がプレイヤーの声にいかに応えていくかが重要なポイントだと思っています。このゲームを立ち上げたとき、私たちは素晴らしいフィードバックを得ました。時間が経つにつれて、私たちはソーシャルメディアやアンケート、座談会、対面での会話からフィードバックを得ることができるようになりました。もちろん、皆さんがどのようにプレイしているかのデータも集まってきますし、そういったことを積極的に反映させています。リリース前にはテストプレイなども行い、その意見も反映しています。
その一例として、シーズン4から追加された“ヘルタイド”があります。最初にこれを導入したときは、残酷で血なまぐさい、まさに地獄のような世界で、少し手強いモンスターが出現するだけでした。私たちはプレイヤーの「もっと激しい闘いをしたい」「もっとたくさんのモンスターを倒したい」という要望に応える形で、対応してきました。そういった面から見ていただくと、シーズン1から5にかけて、どういうふうに進化しているかがわかっていただけるかと思います。
――初の大型拡張コンテンツ『憎悪の器』を開発するにあたってのコンセプトを教えてください。
ギャビン
基本的にはこれまでと同じキャンペーンをプレイしていく内容なのですが、新しいクラス“スピリットボーン”が加わっています。また、新しいフィーチャーとして“傭兵システム”があります。それぞれの傭兵にはクエストがあって、それをアンロックすると、彼らはプレイヤーのチームに加わります。
ロッド
新しいクラスでオリジナルのストーリーが楽しめるわけです。さらに、ふたつの新しいモードも用意しました。ひとつは、“ダークシタデル”と呼ばれる初の協力プレイのダンジョンです。マルチプレイヤーダンジョンで、最低ふたりでいっしょにプレイしないとクリアーできません。そしてもうひとつは、“クラスト地下都市”と呼ばれるダンジョンです。こちらは、基本的に街の地下に潜るもので、モンスターを相手にして、ボスを倒して報酬を得るという、タイムアタックダンジョンです。
ギャビアン
『憎しみの器』の舞台は、プレイヤーが見たことのない新しい地域で、新しいモンスターがたくさん登場することも言っておかなければならないですね。
それはジャングルです。大部分は暗くて不吉なジャングルなのですが、赤い岩でとても美しいところもあります。
ロッド
ナハントゥですね。そこは『ディアブロII』にも存在した地域で、『ディアブロII』ではメフィストがソウルストーンで閉じ込められていた場所です。ですので、メフィストがナハントゥに戻ってくるということは、私たちの物語にとって重要なことなのです。
――ナハントゥの広さはどれくらいなのですか?
ロッド
それぞれのリージョンとだいたい同じくらいです。
――傭兵システムについて教えてください。“傭兵は心強い仲間としてともに戦い、成長するにつれてさらに強力になり、戦闘時に独自の能力で支援してくれる”とのことですが……。
ギャビアン
傭兵にはそれぞれクエストがあり、それを遂行にして味方にする必要があります。味方にしたらいっしょに冒険に出られるのです。それぞれの傭兵にはスキルツリーがあり、スキルがレベルアップしていき、戦闘中の行動を選択することができます。傭兵には、“盾持ちのラヘア”、“呪われた子供オルドキン”、“故老の狂戦士ヴァリアナ”、“賞金稼ぎスーボ”などがいるわけですが、それぞれ異なるスキルを持っています。
ロッド
傭兵モードにはふたつのプレイの仕方があります。仲間としていっしょに行動をともにしながら戦うこともできますし、その傭兵との関係性を築いてしまえば、困ったことがあったときには“援兵”として助けてくれます。怪我をしたときに盾にもなってくれますよ。
――基本はソロプレイで楽しむモードなのですか?
ロッド
ソロとマルチどちらでも楽しめるように作っています。たとえばソロでプレイするときは傭兵とパーティーを組んで楽しむことも、“援兵”を依頼することもできます。まあ、ソロプレイだと自分のプレイスタイルに膨らみを持たせることができるということは言えると思います。なぜかというと、もしプレイヤーが攻撃的で防御が弱いスタイルだったとしたら、ディフェンスが強い傭兵にお願いすればいいわけです。
――ちなみに、『ディアブロIV』はソロプレイで遊ぶ人が多いのですか?
ロッド
大多数のプレイヤーはソロでプレイしています。でも、パーティーで楽しむ方もいますし、画面分割をして、複数人で楽しむ人もいます。ちなみに『憎しみの器』に合わせて新しく加わる機能として、“パーティーファインダー”というのがあります。この機能を使って、仲間を探してプレイすることも可能です。
――『憎悪の器』において、開発者目線で楽しんでほしいポイントはどのあたりになりますか?
ギャビアン
いちばんの魅力は完全に新しいプレイスタイルですね。新クラスの“スピリットボーン”は、まったく新しいスキルも持っています。言ってみればこのクラスは、いま存在する4つのクラスがすべて集まったような感じです。ジャガー、ゴリラ、イーグル、センティピードの守護精霊の力を顕現させられるので、すばやいジャガーと屈強なゴリラといった具合に、それぞれの要素を組み合わせることが可能です。
――上級者向けのクラスなのですか?
ギャビアン
必ずしもそういうわけではなくて初心者から上級者まで、幅広く楽しめます。コアなプレイヤーはどんどん可能性を深めていくことも可能ですし、そうではない方もバラエティー溢れる要素を自分でマッチさせて、組み立てていくという楽しみかたがあります。
――新登場のペットがかわいらしいですね。彼らはゴールドや素材集めを手伝ってくれるとのことですが、そのほかに活躍してくれますか?
ギャビアン
ありがとうございます。ペットの役割はおもにゴールドや素材集めの手伝いで、もともとプレイヤーが自分で集めていたものをペットが変わってくれることで自分がバトルに集中できるようになっています。言ってみれば、“生活の質”を向上させるための役割ですね。
――それでペットを登場させたのですね。
ロッド
『ディアブロIII』にもペットは存在していましたし、ペットは、自分のキャラクターをさらにパーソナライズできるようにするものと言えます。たとえば、どんな服を着て、背中に翼や何かをつけたければどんな翼をつけ、何に乗るのか……。ペットもその一部で、そのために、ゲームをプレイしている人なら誰でも犬を利用できるようにしたのです。『憎悪の器』のアルティメットエディションを予約購入すると、ユキヒョウの“アルコル”、犬の“フラルティ”、虎の“ナターリャ”の3種類のペットをすべて手に入れることができますよ。
――『憎悪の器』に以外に、これまでの仕様から変更されている要素はありますか?
ロッド
はい。先ほどお話しした“パーティーファインダー”はそのひとつです。8月29日にお話しするシーズン6でも非常に大きな進化があります。ひとつお気に入りの機能があります。これまでは長押しすると近くの街にテレポートする機能があったのですが、これからは近くではなくてもどこへでもテレポートできるようになります。
画面は英語版。
――せっかくの機会なのでうかがいます。『ディアブロIV』で、今後どのようなことをしたいと考えていますか。
ロッド
私たちのビジョンは、プレイヤーのために素晴らしいコンテンツを作り続けることなので、『ディアブロIV』は今後も何年もサポートするつもりです。シーズンや拡張パックを作り、プレイヤーの皆さんに新しい遊びかたを見つけてもらうことができるのも、ライブサービスゲームの魅力のひとつです。
『ディアブロII』から『ディアブロIII』のあいだには10年ありました。『ディアブロIII』から『ディアブロIV』までは10年の開きがあります。プレイヤーの方たちはやることをやり尽くしてしまって、新しい機能や要素を求めるようになるでしょう。私たちの使命は、これから先も『ディアブロIV』でつねにやることがあるようにすることです。
――『憎悪の器』を楽しみにしている日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
ギャビアン
『ディアブロIV』プレイしてくださってありがとうございます。本当に皆さんに感謝しています。『憎悪の器』をプレイして、皆さんがどのように感じられたかフィードバックをお聞きすることをとても楽しみにしています。
ロッド
日本のプレイヤーの皆さんに本当に感謝しています。皆さんのフィードバックを見たり聞いたりしていますし、今後も皆さんの声を聞きながらいくことを願っています。『憎悪の器』でお会いできるのを楽しみにしています。