本作のレビューと、本作の開発に関わったエーヴアウト・ヴァン・デー・ワーフ氏、ニルス・スリーカマン氏のインタビューをお届けします。
※本稿の画像はすべてPC版の画面を撮影したもの。※本稿はPLAYISMの提供でお送りします。影に宿る不思議な存在・スキム
本来、スキムたちはあらゆる影の中に存在していて、世界中のすべてのものが必ずひとつ、スキムを持っています。そして、子どものころはなんとなく見えていても、大人になれば見えなくなってしまう存在です。このあたりは“イマジナリーフレンド”の現象と共通するものがありますね。
宿主から切り離され、離ればなれになってしまったスキムの物語
とある人間の影に住んでいたスキムは、その影の中で、子どもの成長を見守りながら過ごしていました。そして彼が大人になったとき、転んだ拍子にスキムは彼の影から切り離されてしまったのです。







本作は基本的なチュートリアル以外、言語という言語は出てきません。しかし、ゲームをプレイしていれば、自然と物語の内容が把握できる作りになっています。オシャレ。
宿主の影から長時間離れてしまうのはスキムにとってよくないことです。それに、ずっと見守ってきた人間に対する愛着もあるでしょう。スキムのため、宿主の影への帰還を手伝うことに。
影から影へ、ピチョンと移動で大冒険
ジャンプの距離には制限があるので、たくさんの影を経由して進んでいく必要があります。一見すると影が途切れていても、見る角度を変えればジャンプできそうな影が見つかることも! 困ったときは視点を操作して角度を変えてみるのが吉。


また、物体によってはインタラクトできるものも存在します。たとえば、踏切の影に飛び移れば遮断機の操作ができますし、信号機の影に飛び移れば赤、青と色を変えることができるのです。
動く人間や動物、クルマの影に飛び移ることができれば、かなりの長距離移動が可能に。なんだかヒッチハイクをしている気分です。あながち間違ってはいないのですが。



余談ですが、攻略に直接関係がない物体にもインタラクトが可能です。ゴミ箱の影でインタラクトすればフタがバコッと浮いたり、自転車のベルを鳴らしたり、水飲み場の蛇口を捻ってみたり……ときには、スキムの行動に対して人間たちがリアクションを取ってくれることも。こういう細かい作り込みもいいですね。気分はポルターガイストを起こす側の幽霊です。

ときには先住民よろしく、ほかの影に潜むスキムたちと出会うことも。スキムどうしで、コミュニケーションを取るんでしょうか? 「あ、ちょっとお邪魔します……」、「あ、どうも……」みたいな。
伝承によるとスキムは妖精のような存在ですが、どういった生態系なのかも気になりますね。光合成ならぬ“闇合成”でエネルギーを生成していたりするんでしょうか。

デザインのよさ、そして歯応えのあるアクション
没入感を高めるためにスッキリとしたUI、スキムが移動するときのピチョンという音の気持ちよさ、テキストを最小限に抑えることでどの国のどんな人が見てもなんとなく理解できるストーリーライン、配慮された色覚デザインなどなど。時間帯によって影の伸び率に変化があるのも細かい。



まさにシンプル・イズ・ベストと言いたくなる洗練されたデザインです。それでいてかわいいんですよね。シンプルでスタイリッシュならまだしも、シンプルでかわいい、を作るのは難しい作業だと思います。
もうひとつの感想は、アクションゲームとしての歯応えもきちんとある、ということ。
本作の基本動作はジャンプのみ、というシンプルな作りですが、ところどころきちんと難しい。とくに動いている物体の影に飛び移るとき、飛び下りるときのタイミングがめちゃめちゃ難しいんです。
あれを思い出しました。小学生のときにやったクラス対抗の大縄飛び。肌で入るタイミングがわかる子もいれば、毎回縄ビンタを食らう子もいる。私は比較的縄ビンタを食らう子どもでした。
『SCHiM - スキム -』はクラス対抗じゃないし、タイミングを逃してもシームレスにすぐリトライできるのが救い。
話が逸れてしまいましたが、アクションゲーム好きでも満足できる難易度となっていますので、気になる方はぜひ遊んでみてください。
開発者インタビュー:プレイヤーの想像力をかきたてるデザインを意識

Ewoud van der Werf(エーヴアウト・ヴァン・デー・ワーフ)
オランダ在住。本作ではディレクターを務め、プログラムや3Dモデリングを担当。文中はエーヴアウト。(写真左)
Nils Slijkerman(ニルス・スリーカマン)
本作の共同ディレクター。レベルデザイン、ストーリー、モーションキャプチャーを担当。文中はニルス。(写真右)
もともとは短いゲームを作るつもりでしたが、X(旧:Twitter)のポストがバズったことで、いくつかのパブリッシャーが興味を示してくれました。それで、『SCHiM - スキム -』をもっと大きなものにできると確信し、いまにいたります。

『SCHiM - スキム -』の世界では大人には見えないけれど、子どもや動物には見えるので、ファンタジックで、定義できないような生き物を目指しました。つまり、子どものような想像力と、目の端で何かが動くのを見たときのような経験が、スキムのインスピレーションのもとになっています。
――ステージでは自由に影を移動する野良スキムのような子もいましたが、影の中であれば宿主から離れても大丈夫なのでしょうか。
たとえば、木のスキムは自分の影から飛び出すことはなく、自分の影と同じ場所にいるのが好きです。一方、遊び好きで元気な猫には、影から飛び出して好奇心旺盛なスキムがいるかもしれない。宿主を見失ったスキムは、戻る道を探しているか、あるいは戻るための適切な機会を見つけるまで隠れているでしょう。もちろん、影から長く離れすぎるのはよくないよ!

明確な答えではありませんが、私たちはゲーム内の細かいところに、こうした疑問へ光を当てるようなポイントを加え、そこに労力と時間をかけました。私たちにはまだまだ語りたい物語がありますし、将来のコンテンツでこのことをもっと語る方法を検討するかもしれません。
――アクションゲームとして、本作は操作技術が求められるシーンがいくつかあると思います。操作難易度はどのあたりのプレイヤー層を想定して作られたのでしょうか。
――ただ影を移動していくのではなく、影の持ち主(物体、動物など)にインタラクトできるのが印象的でした。信号機やクルマ、跳ね板などの攻略に必要な物だけでなく、それ以外の物にもインタラクトできる仕様にした理由があれば教えてください。
ですが、実装しました。なぜなら私たちは、プレイヤーの方々がいろんな影にインタラクトして、どんな効果が出るのか試す姿を見るのが大好きだから。何でもクリックできる、何でも起こりうるというゲームがいいと思ったんです。メインストーリーやミッションではないことを試して報酬を得るのは、とても楽しいですからね!
――チュートリアルを除いて、本編では言語を使用せずにストーリーが描かれていましたが、このようなデザインにした理由を教えてください。
私たちはモーションキャプチャースーツを手に入れ、ゲーム内のほぼすべてのアニメーションを自分たちで収録しました。世界中の老若男女がゲームで何が起こっているのか理解し、自分なりに解釈できるでしょう。

このゲームの重要なテーマのひとつは、子どものような遊び心です。私たちは世界中のプレイヤーから、“影のみを踏んで移動する”など、架空のルールのゲームを誰もが遊んだと聞いています。具体的なルールは文化によって異なりますが、想像上のゲームは世界共通のようですね。世界を遊び場としてとらえることができるのは、『SCHiM - スキム -』と共鳴するものがあります。
――日本のゲームファンにメッセージをお願いします。
『SCHiM - スキム –』

- 対応プラットフォーム:Nintendo Switch、PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC
- 発売元:PLAYISM
- 開発元:Ewoud van der Werf / Extra Nice
- 発売日:2024年7月18日
- 価格:ダウンロード版:2750円[税込]、パッケージ版:4400円[税込]
- ジャンル:アクション
- 対象年齢:CERO 全年齢対象
- 対応言語:日本語、英語、中国語(簡体字、繁体字)、韓国語ほか全31言語対応予定



















