バンダイナムコエンターテインメントのフライトシューティング最新作『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』。そのNintendo Switch版移植作である『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン デラックス エディション』は2024年7月11日に発売日を迎える。
発売直前を記念して、移植版のプロデューサーである萩原隆之介氏への一問一答を行った。Nintendo Switchで空や雲の表現はどこまで再現されているか、オンライン対戦はどのような仕様か……など、気になる質問にお答えいただいたので、ぜひ目を通してほしい。
萩原隆之介氏(はぎわらりゅうのすけ)
Nintendo Switch版『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン デラックス エディション』プロデューサー。
――Switch版のプロジェクトが決まってから、どのように開発されていったのでしょうか?
萩原
2022年ごろに世界中でユーザー調査を実施しまして、その結果、より多くのお客様に『エースコンバット』の英雄体験を楽しんでいただくため、ほかのプラットフォームでの展開の検討を開始しました。
その後、技術検証を通じて最も大きな課題であった『エースコンバット7』のリアルな雲の描画をSwitch上で担保できることがわかり、開発をスタートさせました。以降の開発期間では、ゲームプレイを損なわないようにフレームレートを確保する方法を長期間にわたって試行錯誤し、協力会社様の技術力と強い想いにも助けられ、製品版の品質に到達することが出来ました。
――そもそも、なぜ、本作をSwitchで発売しようと思ったのでしょうか?
萩原
世界中で『エースコンバット』に関するユーザー調査を行った際、“『エースコンバット』に興味はあるものの、ゲーム機を所持していないために遊ぶことができない”というお客様がいらっしゃることがわかりました。そこで、シリーズ最新作をより多くの方に楽しんでいただくために、Switch版のリリースを決めました。
――Switch版には、他機種版でのダウンロードコンテンツ6種やスキン、エンブレムなどが最初から含まれることにも驚きました。ボリュームはもちろん、SPミッションでの大規模ドッグファイトの再現も、Switch版への移植で苦労されたのではないでしょうか?
萩原
SPミッションや大規模なドッグファイトのミッションに限らず、ゲーム全体で『エースコンバット』としてのグラフィック品質とパイロット体験を損なわないフレームレートの両立に試行錯誤を繰り返しました。
各ミッション、ステージそれぞれの問題を個別で分析し、順を追って最適化を行うことで、『エースコンバット』ならではの英雄となる体験を楽しんでいただける作品として移植できました。
――Switchではどれくらいのフレームレートをターゲットにしているのでしょうか?
萩原
30FPS(可変)となっております。
――移植版の発表時に、ブランドディレクターの河野一聡氏が「もし雲や雷の再現性が著しく低いなら途中で開発をストップさせていました」とおっしゃっていました。開発中はまるで懲罰部隊が挑むミッションのように綱渡りだったと想像してしまいますが、実際のところどうでしたか?
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萩原
河野ブランドディレクターの発言にもありましたが、『エースコンバット7』では雲のリアルな表現やリアルタイムに臨場感への影響を与える天候がひとつの特徴となっております。今回のSwitch版でもオリジナル版で再現されていたリアルな天候表現は大切にしています。どうすれば変わらない感覚でお楽しみいただけるのか、世に出すべき品質足り得るのか、そういったことを時間をかけて確認し、移植開発を行いました。
『エースコンバット』シリーズの歴代スタッフとの議論、調整を重ね試行錯誤し、お客様に楽しんでいただけるものとしてSwitchへの移植を実現しました。
――Switch版では携帯モードで遊ぶ人も多いかと思います。そういったプレイシーンも想定されていましたか?
萩原
今回のSwitch版は“部屋でも、外でも”エースパイロット体験をお楽しみいただけることが大きな特徴だと思っております。例えば、飛行機に搭乗しているときに窓の外の大空を眺めながら遊ぶなど、Switchだからこその楽しみかたで『エースコンバット』を楽しんでいただければと思っております。
――第2報のリリースでは新規ユーザーに向けて本作の解説が行われました。そこで“クルビット軌道の再現”を入れたあたりにこだわりを感じましたが、どういった経緯で入れたのでしょうか? ゲームをプレイするだけならマスターしなくてもいい要素のはずですが……。
萩原
『エースコンバット7』はグラフィックだけでなく、操縦体験にも細部までこだわって作られた作品となっております。今回初めて『エースコンバット』を知る方の中には大ヒットした映画『トップガン マーヴェリック』をご覧になられて戦闘機に興味を持った方もいるのではないでしょうか。映画の印象的なシーンのように『エースコンバット7』でも自分の操縦でカッコイイ戦いができることをお伝えしたかったのです。
――本作はオンライン対戦も魅力のひとつですね。ところで、Switch版は独立したサーバーなのでしょうか?
萩原
オンラインマルチプレイモードに対応しておりますが(※)、クロスプラットフォーム対戦には非対応となっております。是非世界中のエースパイロットと腕を競い合い、Switch版世界最強を目指していただければと思います。
※オンラインプレイにはインターネットに接続できる環境とNintendo Switch Onlineへの加入(有料)が必要です。――そのほか、移植にあたって苦労されたことをお聞かせください。
萩原
『エースコンバット』シリーズが長らく任天堂様での展開を行っていなかったこともあり、チーム内にSwitchタイトルの開発ノウハウがほとんどない状態で開発がスタートしました。そのため予期しないトラブルなどもありましたが、協力会社様や社内スタッフの知見のおかげもあり、シリーズとしては12年ぶりに任天堂様ハードでの展開を実現することが出来ました。
――他機種版をすでにプレイ済みのファンの中にも、改めてSwitch版を購入する人は多そうですね。ところでゲーム中、カットシーンのひとつに犬が登場し、その背景には感動的なストーリーがありますが、このキャラクターに対するファンの反応はどうでしたか?
萩原
ファンの皆さんに喜んでいただいているのももちろんですが、亡くなったトラジ(犬の名前)の在りし日の姿をゲームの中で見ることが出来るのを、飼い主様がいい思い出として喜んでくださっていることも非常にうれしく思います。
――『エースコンバット』シリーズには多くのキャラクターが登場しますが、ファンの間で最も人気があるのは誰だと思いますか?
萩原
完全な独断と偏見になってしまうのですが、私自身は『エースコンバット7』のカウントがお気に入りです。序盤から登場する個性の強いキャラクターです。最後にプレイヤーにとってどんな存在になるのか、ネタバレにならないよう詳細な説明は省かせてください。ぜひ皆様にも実際に遊んでみていただきたいです。
――今後のシリーズの展望を聞かせてください。
萩原
1995年にスタートした『エースコンバット』シリーズはまもなく30周年になります。いまでは親子2世代にわたって楽しんでいただいているお客様もいます。我々としては50周年を親子3世代で楽しんでもらえるシリーズとして成長させていきたいと考えています。
――そのほか、シリーズの将来について何かお話しできることはありますか?
萩原
まだ世界中の皆様にお伝えすることのできる情報はないのですが、私も参加してチーム一丸となって鋭意開発中ですので、もう少しお時間をいただければ幸いです。
――Nintendo Switch版で初めて『エースコンバット』作品に触れるゲームファンも多いと思います。これから飛び立つ読者に向けて、メッセージをお願いします。
萩原
『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン デラックス エディション』はリアルな空を追求したグラフィック空間を、愛機を駆って360度自由に飛び回る爽快感と、自らの状況判断で敵を選択して次々と撃破する快感、数々の難局を乗り越え英雄となる達成感が楽しめるフライトシューティングゲームとなっております。
Switch版はゲーム本編に加え、“オリジナル機体セット3種”+“SPミッション3種”やその他コンテンツを同梱しているお手に取りやすい豪華版となっておりますので、この機会に是非、壮大な空で体感する手に汗握るドッグファイトをぜひ、Nintendo Switchでお楽しみください!