
2026年にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より発売予定の、プレイステーション5(PS5)、PC向けタイトル『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』(マーベル トウコン ファイティング ソウルズ)。
アメリカンコミック(アメコミ)で知られるマーベルのキャラクターたちが集結した対戦格闘ゲームで、開発は『ギルティギア』シリーズなどを手掛けるアークシステムワークスが担当している。
2025年9月25日~28日までの4日間、千葉・幕張メッセにて開催される“東京ゲームショウ2025”(以下、TGS2025)の会期中、本作の開発陣へインタビューする機会をいただけた。本記事では、その模様をお届けしよう。
アメリカンコミック(アメコミ)で知られるマーベルのキャラクターたちが集結した対戦格闘ゲームで、開発は『ギルティギア』シリーズなどを手掛けるアークシステムワークスが担当している。
2025年9月25日~28日までの4日間、千葉・幕張メッセにて開催される“東京ゲームショウ2025”(以下、TGS2025)の会期中、本作の開発陣へインタビューする機会をいただけた。本記事では、その模様をお届けしよう。
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![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/53881/a653e02559245ca2d91d5fc992ae066f7.jpg?x=767)
山中丈嗣 氏(やまなか たけし)
アークシステムワークス プロデューサー
関根一利 氏(せきね かずと)
アークシステムワークス ゲームディレクター兼リードバトルデザイナー
リード・ベアード 氏
SIE PlayStation Studios XDEV シニアプロデューサー
――発表時のトレーラーでも語られていましたが、改めて本作の開発がどのようにスタートしたのか、より具体的な経緯を教えてください。
山中
あるとき、SIEさん所属の友人から飲みにいこうと誘われまして。雑談しながら楽しく飲んでいたのですが、まあ何か目的があることはわかっていました。そのなかで「アークさんで、マーベルの格ゲー作るの興味ない?」と誘われたのがきっかけです。マーベルのゲーム、しかも対戦格闘ゲームとなると、個人的にはやはりあの某シリーズが思い浮かびます。
格ゲーとしても“マーベル”という大きなIPとしても、深い歴史がありますので、非情に光栄なお話をいただけた、と感じながらも、正直ものすごくプレッシャーがありました。かのタイトルは、2017年を最後に長らくリリースされていないことも、当然わかっていましたから。ですから、私の判断だけで進められる話ではないなと、一度弊社に持ち帰りました。
そこから、上司や役員も含めて相談し、本当に我々がマーベル作品を作れるのか、そもそもほかのゲームも当然開発していますので、開発チームを結成できるのかですとか。いろいろと検討を進めつつも、社長(木戸岡 稔氏)から「ぜひ作ろう。やれるところまで準備をしてほしい」と後押しもしてもらって、とりあえず開発を引き受けることにしました。
――ではその時点では、どういった規模のものになるのかなど、細かい部分は決まっていなかったと。
格ゲーとしても“マーベル”という大きなIPとしても、深い歴史がありますので、非情に光栄なお話をいただけた、と感じながらも、正直ものすごくプレッシャーがありました。かのタイトルは、2017年を最後に長らくリリースされていないことも、当然わかっていましたから。ですから、私の判断だけで進められる話ではないなと、一度弊社に持ち帰りました。
そこから、上司や役員も含めて相談し、本当に我々がマーベル作品を作れるのか、そもそもほかのゲームも当然開発していますので、開発チームを結成できるのかですとか。いろいろと検討を進めつつも、社長(木戸岡 稔氏)から「ぜひ作ろう。やれるところまで準備をしてほしい」と後押しもしてもらって、とりあえず開発を引き受けることにしました。
――ではその時点では、どういった規模のものになるのかなど、細かい部分は決まっていなかったと。
山中
どこまでやれるのかはいったん置いといて、まずは最初の準備から始まりましたね。とにかく動き出すために、開発チームの座組を僕のほうで組んでいきました。
――そこからおそらく、関根さんがゲームディレクター兼リードバトルデザイナーを担当するなど、座組が決まっていったと思います。関根さんは「マーベルの格ゲーを作ろう」と聞いたとき、どう思われましたか?
――そこからおそらく、関根さんがゲームディレクター兼リードバトルデザイナーを担当するなど、座組が決まっていったと思います。関根さんは「マーベルの格ゲーを作ろう」と聞いたとき、どう思われましたか?
関根
(頭を抱えながら)「あぁ~、“マーベル”かぁ……」と(笑)。やはり、非常に長く歴史のあるIPです。世界中にファンの方々がいる中で、それをどう表現していくのがいいのか、とても考えることが多かったですね。
すごく難しい題材でしたが、引き受けた時点から「じゃあこうしよう、ああしたらいいのでは」と、ゲームの中身を考え始めていました。と言いつつも、やはり本当に難しくて(苦笑)。もうとにかく毎日“マーベル”の世界をどう表現したらいいのか、つねに向き合っていました。
すごく難しい題材でしたが、引き受けた時点から「じゃあこうしよう、ああしたらいいのでは」と、ゲームの中身を考え始めていました。と言いつつも、やはり本当に難しくて(苦笑)。もうとにかく毎日“マーベル”の世界をどう表現したらいいのか、つねに向き合っていました。
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――いちばんわかりやすい部分ですと、アークさんの得意とするアニメのような3Dグラフィックと、アメコミのタッチが融合したようなアートスタイルだと思います。最初からアニメ調にすることは決めていたのでしょうか?
山中
じつは当初、そのあたりのコンセプトも決まっていませんでした。マーベルさん、SIEさんへ僕たちが最初に提案したのは、アメコミをより再現したような、アメコミ重視のアートスタイルでした。それを一度お見せしたのですが、反応がよくなかったんですよね。
「もっと“アークシステムワークスらしさ”がほしい」と言われ、僕たちは勘違いしていたなと、ハッとしました。そこから、現在のスタイルにたどり着きました。本作全体のテーマとして掲げている“日本から世界へ”というワードに行きつくまで、かなり時間が掛かっています。
「もっと“アークシステムワークスらしさ”がほしい」と言われ、僕たちは勘違いしていたなと、ハッとしました。そこから、現在のスタイルにたどり着きました。本作全体のテーマとして掲げている“日本から世界へ”というワードに行きつくまで、かなり時間が掛かっています。
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――SIEさんとしては、そこに“アークシステムワークスらしさ”を強く求めたのはなぜだったのでしょうか?
ベアード
最初にアークさんへお願いすることになった狙いとしては、もちろんアークさんが持つ対戦格闘ゲームのノウハウが非常に深いという部分もあります。ただ、アークさんと言えばアニメのような美しいグラフィックも大きな特徴だと思います。我々としては、ご一緒に制作するからには、アークさんの魅力を最大限に出してほしいと考えていましたね。
“日本から世界へ”というワードにたどり着いてからは、より日本の作品であることを打ち出したかったので、『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』と、タイトルに“闘魂”という日本語を取り入れたりしています。
――日本が制作したマーベルのアニメ作品はいくつかあり、なかにはジャパニメーション色の強い作品もあります。といった前提はありながらも、世界中でどんな反応があるのか気になっていましたが、ほとんどの人が「これは新しいデザインで、すごくいい!」と好評だったように見ています。発表からの反応を、どう受け止めていますか?
“日本から世界へ”というワードにたどり着いてからは、より日本の作品であることを打ち出したかったので、『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』と、タイトルに“闘魂”という日本語を取り入れたりしています。
――日本が制作したマーベルのアニメ作品はいくつかあり、なかにはジャパニメーション色の強い作品もあります。といった前提はありながらも、世界中でどんな反応があるのか気になっていましたが、ほとんどの人が「これは新しいデザインで、すごくいい!」と好評だったように見ています。発表からの反応を、どう受け止めていますか?
山中
これは日本の古くからのファンの方々の反応も含めてなのですが、マーベル作品は非常に幅広く展開していながらも、基本的には“マーベル作品”としての色が強いです。それはもちろん、強い個性だと思います。ただ、古くからある伝統的な部分ですとか、アメコミはこうである、といった文法みたいなものが確立していながらも、いずれも基本に忠実といいますか。
ですから深いファンにとっては、いままでにないような日本らしさがとても強いアートスタイルは斬新でもあり、驚きながらも喜んでくださった印象があります。
――マーベルのキャラクターは、ひとつの作品だけ取ってみても、原作はもちろんありながら、コミックシリーズの展開も多彩ですし、デザインもバラバラです。もちろん、ステレオタイプのイメージはありますが。それでいて、ゲーム、アニメ、そして実写映画もあります。それらのエッセンスを、本作にはどのように取り入れていったのでしようか?
ですから深いファンにとっては、いままでにないような日本らしさがとても強いアートスタイルは斬新でもあり、驚きながらも喜んでくださった印象があります。
――マーベルのキャラクターは、ひとつの作品だけ取ってみても、原作はもちろんありながら、コミックシリーズの展開も多彩ですし、デザインもバラバラです。もちろん、ステレオタイプのイメージはありますが。それでいて、ゲーム、アニメ、そして実写映画もあります。それらのエッセンスを、本作にはどのように取り入れていったのでしようか?
山中
ベースとなるのは、やはり原作であるコミックシリーズです。そこをベースにしつつ、設定などから「これはいいよね」と思ったものは、積極的にメディアミックスされた作品からも取り入れました。ただ、コンセプトとしては、まずはコミックを原点に考えることを、チームとしての原点にもしています。
――なるほど。本作は4対4でありながら、2対2で最初は始まるなど、かなり独特のチームバトルシステムを採用しています。どうやって、このチームバトルを組み立てていったのでしょうか?
――なるほど。本作は4対4でありながら、2対2で最初は始まるなど、かなり独特のチームバトルシステムを採用しています。どうやって、このチームバトルを組み立てていったのでしょうか?
関根
いやぁもう、メチャクチャにたいへんでした。それはそれはもう、苦労しています(苦笑)。
――最初から4対4にすることは決めていたんですか?
――最初から4対4にすることは決めていたんですか?
関根
いちばん最初、というわけではないですが、早い時期から4対4にすることにしました。じゃあ4対4の格ゲーを表現するとなったら、どうすればいいんだ!? と悩んだわけです。
まず、我々アークが格ゲーを作るとなったら、これまでと同じようなゲームは求められていないだろう、ということはわかっていました。アークが作るからこそ、アークの意味を持たせなくてはなりません。我々のタイトルのどこが好まれるのかというと、目新しさや独自性の強い部分が大きいです。
そして、チーム方式の格ゲーは、いちジャンルとしてルールが固定化されていると感じていました。途中交代、ラウンド交代などの違いはありつつも、基本は1キャラクターずつ倒していって、相手チーム全員を先に倒したほうの勝ち、といったゲームがほとんどですよね。
ここを一度見直してみて、チームバトルとして楽しめる方法はほかにもあるんじゃないかと考えて、チームバトルを再定義することにしたんです。
――そこから、2対2から始まり、仲間がつぎつぎと合流する独特のバトルになったんですね。
まず、我々アークが格ゲーを作るとなったら、これまでと同じようなゲームは求められていないだろう、ということはわかっていました。アークが作るからこそ、アークの意味を持たせなくてはなりません。我々のタイトルのどこが好まれるのかというと、目新しさや独自性の強い部分が大きいです。
そして、チーム方式の格ゲーは、いちジャンルとしてルールが固定化されていると感じていました。途中交代、ラウンド交代などの違いはありつつも、基本は1キャラクターずつ倒していって、相手チーム全員を先に倒したほうの勝ち、といったゲームがほとんどですよね。
ここを一度見直してみて、チームバトルとして楽しめる方法はほかにもあるんじゃないかと考えて、チームバトルを再定義することにしたんです。
――そこから、2対2から始まり、仲間がつぎつぎと合流する独特のバトルになったんですね。
関根
たとえば、ピンチになったら強くなって、逆転するといったシステムは、ヒロイックではありますし、わかりやすいですよね。ただ、マーベル作品でよく見るのは、段々と仲間が集まっていって、最後に逆転するシーンです。「アベンジャーズ、アッセンブル」みたいな。
この表現をうまくチームバトルに落とし込めないだろうか、と考えて、チームメンバーが試合中に合流する仕組みを考えました。マーベル作品で描いている手法でもありますし、4対4のチームバトルでありながら、最初は2対2で始まって。仲間たちが合流して、最終的に4対4の最終決戦が始まるというのも、おもしろいんじゃないだろうかと。
この表現をうまくチームバトルに落とし込めないだろうか、と考えて、チームメンバーが試合中に合流する仕組みを考えました。マーベル作品で描いている手法でもありますし、4対4のチームバトルでありながら、最初は2対2で始まって。仲間たちが合流して、最終的に4対4の最終決戦が始まるというのも、おもしろいんじゃないだろうかと。
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――「ヒーローは遅れてやってくる」といった言葉じゃないですけれども、すごく世界観にマッチしていると思いました。かつ、4対4のゲームなのに、1キャラクターだけ使い続けてもいいという、シングル格ゲーのような作りになっているのも、驚きました。やはり、チーム格ゲーは複数キャラクターを使いこなす前提みたいなところがあるので。
関根
そこは最初からすごく、意識していたポイントです。チーム格ゲーは複数のキャラクターが使用できますので、使えるキャラクターがたくさんいるほど楽しいですし、戦略性もあります。いいところではありますが、キャラクターを複数使いこなさないといけないデメリットでもあります。
いくつかバランスを取る手法はありますが、たとえば1キャラクターごとの重みを落として、ちょっとしたところでキャラクターに個性を持たせれば、各キャラクターの覚えることが減り、プレイヤーの負担は減りますよね。ただ、アークのタイトルに皆さんが求めていることは、キャラクターごとの強い個性だと思っています。
独自性を落とす方向はナシとして、4対4のチームバトルを成立させるにはどうしたらいいか考えたときに、チームの体力を1本にまとめることにしました。矛盾した表現なのですが“チームバトルなのに、1対1で戦う”ことにしたんです。
まるでシングル格ゲーのような操作感でありながら、交代式のチームバトルにもできる。それでいて、最初は1キャラクターしか使えなくても、覚えていくうちに2キャラクター目も使えるようになれば、また戦略性も広がりますし、覚える順番としてもハードルは低いだろうと。
いくつかバランスを取る手法はありますが、たとえば1キャラクターごとの重みを落として、ちょっとしたところでキャラクターに個性を持たせれば、各キャラクターの覚えることが減り、プレイヤーの負担は減りますよね。ただ、アークのタイトルに皆さんが求めていることは、キャラクターごとの強い個性だと思っています。
独自性を落とす方向はナシとして、4対4のチームバトルを成立させるにはどうしたらいいか考えたときに、チームの体力を1本にまとめることにしました。矛盾した表現なのですが“チームバトルなのに、1対1で戦う”ことにしたんです。
まるでシングル格ゲーのような操作感でありながら、交代式のチームバトルにもできる。それでいて、最初は1キャラクターしか使えなくても、覚えていくうちに2キャラクター目も使えるようになれば、また戦略性も広がりますし、覚える順番としてもハードルは低いだろうと。
山中
そのあたりは、かなり初期から決まっていましたね。関根からコンセプトや手法を聞いて、私も「なるほど、それならば実現できそうだ」と納得していました。
――チームバトルのルールなどの斬新さはありつつ、細かいシステムなど、全体的な部分からはアークさんがこれまで作ってきた格ゲーの集大成のような感触でした。これは狙っていたというより、自然とそうなったのでしょうか?
――チームバトルのルールなどの斬新さはありつつ、細かいシステムなど、全体的な部分からはアークさんがこれまで作ってきた格ゲーの集大成のような感触でした。これは狙っていたというより、自然とそうなったのでしょうか?
山中
これは本作に限らずですが、もう何十年と格ゲーを作っていますから、結果的にはノウハウを詰め込むとそうなっていくんですよね。
――たとえば操作方法も比較的カジュアルで、いわゆるパッド操作でも遊びやすいです。昨今は当たり前になりつつある、いわゆるワンボタン必殺技なども当然搭載していますし。それでいて、やはりコマンド入力にも対応していて。といった部分からは、『グランブルーファンタジーヴァーサス』での経験が生きているように感じていました。
――たとえば操作方法も比較的カジュアルで、いわゆるパッド操作でも遊びやすいです。昨今は当たり前になりつつある、いわゆるワンボタン必殺技なども当然搭載していますし。それでいて、やはりコマンド入力にも対応していて。といった部分からは、『グランブルーファンタジーヴァーサス』での経験が生きているように感じていました。
関根
ここ数十年だけでも、『ギルティギア』シリーズ、『ブレイブルー』シリーズ、『P4U』シリーズ、『ドラゴンボール ファイターズ』、『グランブルーファンタジーヴァーサス』などなど、数々の格ゲーを手掛けてきました。その中で自分たちがやってきてよかったこと、足りなかったことなど、さまざまなノウハウが積み重なっています。
操作まわりで言えば、『グランブルーファンタジーヴァーサス』は僕がリードプランナーとしてバトルまわりを担当していたこともあって、似たような操作方法を本作にも採用しました。基本的な考えかたとしては“できないことを、作らない”ようにしたかったからです。
格ゲーはやはりコマンド入力ができないと、戦えないイメージがありますよね。昨今のタイトルは案外コマンド入力ができなくても戦えますが、やはり先入観として操作が難しいと思われているのかなと。ですから、どんな操作形態でも必ず技は全部くり出せるようにしたくて。それを実現しているのが『グランブルーファンタジーヴァーサス』の操作だったので、それを踏襲しています。
もちろん、遊んでみると皆さん「この〇〇は、あのタイトルの〇〇だな」みたいな部分も、たくさん感じられると思います。長く格ゲーを作り続けてきたノウハウがあるからこそ、好評だったシステムですとか、仕組みを多くの人に理解してもらった要素などを、多数取り入れていますから。
ですから、狙っているわけではないですが、我々の集大成と言っても間違いではないかもしれません。要は、開発経験を“アッセンブル”したわけです(笑)。
――すごく本作にマッチしたお言葉ですね(笑)。
操作まわりで言えば、『グランブルーファンタジーヴァーサス』は僕がリードプランナーとしてバトルまわりを担当していたこともあって、似たような操作方法を本作にも採用しました。基本的な考えかたとしては“できないことを、作らない”ようにしたかったからです。
格ゲーはやはりコマンド入力ができないと、戦えないイメージがありますよね。昨今のタイトルは案外コマンド入力ができなくても戦えますが、やはり先入観として操作が難しいと思われているのかなと。ですから、どんな操作形態でも必ず技は全部くり出せるようにしたくて。それを実現しているのが『グランブルーファンタジーヴァーサス』の操作だったので、それを踏襲しています。
もちろん、遊んでみると皆さん「この〇〇は、あのタイトルの〇〇だな」みたいな部分も、たくさん感じられると思います。長く格ゲーを作り続けてきたノウハウがあるからこそ、好評だったシステムですとか、仕組みを多くの人に理解してもらった要素などを、多数取り入れていますから。
ですから、狙っているわけではないですが、我々の集大成と言っても間違いではないかもしれません。要は、開発経験を“アッセンブル”したわけです(笑)。
――すごく本作にマッチしたお言葉ですね(笑)。
関根
まあ、作っている人間が同じなので、作り続けていたらそりゃそうなるのかな……とも思います(笑)。
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――細かいところですと、攻撃を当てたらダメージの数値がゲーム画面にも逐一出るので「これは『バトルファンタジア』のエッセンスなのでは!?」などと細かく楽しんでいました(笑)。
山中
関根
単純に数字としてダメージが見れたら楽しいよね、と思って取り入れた部分です。
――すみません、余談でした(笑)。そういった操作などの部分からも、全体的には初心者のことをすごく意識されているなと。
――すみません、余談でした(笑)。そういった操作などの部分からも、全体的には初心者のことをすごく意識されているなと。
山中
アーク全体としても、対戦格闘ゲームのジャンルを何度か見つめ直しています。たとえば、『ギルティギア』シリーズのなかに、『ギルティギア イグゼクス』といったシリーズがあります。キャラクターの強い個性、複雑だけど操作できれば楽しいバトルなど、これはこれで魅力があって、根強いファンもいます。
ただ、格ゲーとしてはかなり難しく、先鋭化しすぎてしまって、初心者などが始めにくい、カジュアルとはウソでも言えないようなシリーズになりました。そこから見つめ直して、操作の複雑さよりも、もっと対戦や読み合いの楽しさをフィーチャーしようと『ギルティギア イグザード』シリーズに発展していきました。
それが続いていった結果、我々のタイトルは、全体的に操作の複雑さでの楽しさよりも、格ゲーとしての攻防の楽しさ、そしてわかりやすさを重視するようになったと思います。
ただ、格ゲーとしてはかなり難しく、先鋭化しすぎてしまって、初心者などが始めにくい、カジュアルとはウソでも言えないようなシリーズになりました。そこから見つめ直して、操作の複雑さよりも、もっと対戦や読み合いの楽しさをフィーチャーしようと『ギルティギア イグザード』シリーズに発展していきました。
それが続いていった結果、我々のタイトルは、全体的に操作の複雑さでの楽しさよりも、格ゲーとしての攻防の楽しさ、そしてわかりやすさを重視するようになったと思います。
関根
という全体の考えはありますが、僕個人はコマンド入力にメチャクチャこだわりがあるので、コマンド入力はなくしません(笑)。本作は矛盾したテーマが多くて“複雑な操作を求めてはいないけれども、コマンド入力もできる”ようにしました。コマンド入力ならば、威力も少しだけ上がります。チームバトルなのに1対1で戦えることなど、相反するものをなんとか形にした、そのカオスな部分も楽しさのひとつなのかなと。
――簡単な操作で、格ゲーの楽しさを味わえつつ、チームバトル。しかもマーベルキャラクターたちが題材と、じつのところ非常にチャレンジングなタイトルでもありますよね。
――簡単な操作で、格ゲーの楽しさを味わえつつ、チームバトル。しかもマーベルキャラクターたちが題材と、じつのところ非常にチャレンジングなタイトルでもありますよね。
ベアード
本作は“アッセンブル”ボタンで交代やアシスト、さまざまなチームだからこそのアクションがくり出せます。ですが、全部を把握すると複雑なので、それぞれのシステムは理解すべき段階を分けて考えていたりします。また、シングルでも戦えるゲームですから、そのままだとチームメンバーの恩恵を受けずに戦うことになったりします。
そこはすごく議論を重ねていて、どのシステムを最初に理解すべきなのか、みたいな上下はとことんくり返しました。ただ、最初からSIEが大事にしたいと考えていたのは、チームバトルであることです。たとえば本作はボタン連打だけでコンボが出せるのですが、コンボ中にチームメンバーが現れて追撃してくれます。連打するだけでも、仲間と戦っている感を味わってもらいたかったからです。
そこはすごく議論を重ねていて、どのシステムを最初に理解すべきなのか、みたいな上下はとことんくり返しました。ただ、最初からSIEが大事にしたいと考えていたのは、チームバトルであることです。たとえば本作はボタン連打だけでコンボが出せるのですが、コンボ中にチームメンバーが現れて追撃してくれます。連打するだけでも、仲間と戦っている感を味わってもらいたかったからです。
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関根
単にアシストとして仲間を呼び出せるだけでは、どこで呼び出せばいいのかわからない、呼び出さないとチームバトル感が味わえない、といった意見もいただきました。だったら、任意で呼び出せるものもあれば、オートで仲間が出てきてくれる場合もあっていいんじゃないかと。それらを全部うまいことまとめられないかと、ここもバトルの仕組みをずーっと考えていた部分です。もっといい方法があるのではと、いまも考え続けていますが。
山中
プロデューサーとしては言うのは簡単で「簡単操作で、ド派手な画面で、しかも競技性が高くて、おもしろい格ゲーを作れ」って(笑)。当たり前ですが、まあ実現するのは難しいです。その挑戦をなんとか形にできたのは、関根たちが長くゲームのことを考えてくれたからです。
――今回のTGS2025試遊版で、これまで発表されたキャラクターはいったんすべてプレイアブルになりました。おそらく今後も、参戦キャラクターが続々と発表されていくと思いますが、どういった基準で参戦キャラクターを選んでいるのでしょうか? たとえば、今後の映画作品などの展開を踏まえた、マーベル側の狙いなども含まれていたり?
――今回のTGS2025試遊版で、これまで発表されたキャラクターはいったんすべてプレイアブルになりました。おそらく今後も、参戦キャラクターが続々と発表されていくと思いますが、どういった基準で参戦キャラクターを選んでいるのでしょうか? たとえば、今後の映画作品などの展開を踏まえた、マーベル側の狙いなども含まれていたり?
山中
そういった「映画をやるので」みたいな話は、我々のところには届いていませんね。基本、まず対戦格闘ゲームとして成立するキャラクターであること。そして、対戦格闘ゲームには多彩なキャラクターバリエーションが必要なので、表現やアクション性能の個性が立つキャラクターを選んでいます。
また、マーベル作品を扱うのだから「これは出さないわけにはいかないよね」といったキャラクターもいますよね。そういった部分を踏まえて、登場させるべきキャラクターを最初に埋めていきました。
そのあとで、基本はアーク主体の提案で「このキャラクターを出したいです」といったリストを作りました。マーベルさん、SIEさんに見ていただき、そこから3社で議論しながら、本作の登場キャラクターを選んでいます。ですから、押さえるべきところは押さえて、ほかはアーク側の好みみたいな感じです。
また、マーベル作品を扱うのだから「これは出さないわけにはいかないよね」といったキャラクターもいますよね。そういった部分を踏まえて、登場させるべきキャラクターを最初に埋めていきました。
そのあとで、基本はアーク主体の提案で「このキャラクターを出したいです」といったリストを作りました。マーベルさん、SIEさんに見ていただき、そこから3社で議論しながら、本作の登場キャラクターを選んでいます。ですから、押さえるべきところは押さえて、ほかはアーク側の好みみたいな感じです。
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――なるほど。また、いまのところは対戦格闘ゲーム部分のみが見えていますが、ほかのコンテンツは用意されていますか? たとえば、ストーリーモードですとか。
山中
明確にはお答えできませんが、当然格ゲーとして格ゲーファンが喜ぶだけの作品をお届けするつもりはありません。マーベルファン、そしてマーベルを知らない方々にも楽しんでほしいですから、何かしらのコンテンツはご用意しています。
――さきごろ(2025年9月6日~7日)に行われたクローズドベータテストの反響はいかがでしたか? アークさんとしては、おもにネット環境まわりを見ていたと思いますが、ゲームの感想などはどうだったのでしょうか。
――さきごろ(2025年9月6日~7日)に行われたクローズドベータテストの反響はいかがでしたか? アークさんとしては、おもにネット環境まわりを見ていたと思いますが、ゲームの感想などはどうだったのでしょうか。
山中
抽選式ではありましたが、本当に多くの方々にご参加いただき、ありがとうございました。アンケートも取らせていただきましたが、約95%以上のプレイヤーからポジティブな評価をいただきました。ビジュアル面や、格ゲーとしての出来栄えも評価していただきましたし、何よりネットワークまわりはとても好評で、ネガティブな意見をほぼもらわなかったです。
もちろん自信を持ってお届けしていますが、多少ネットワークまわりで何かあるだろうと想定しているからこそβテストを実施しているので、驚きました。ほぼ不具合も発生せず、「対戦がラグかった」といった意見は1個も届かなかったので、そこはワールドワイドでβテストを実施して、本当によかったことです。
もちろん自信を持ってお届けしていますが、多少ネットワークまわりで何かあるだろうと想定しているからこそβテストを実施しているので、驚きました。ほぼ不具合も発生せず、「対戦がラグかった」といった意見は1個も届かなかったので、そこはワールドワイドでβテストを実施して、本当によかったことです。
ベアード
海外大会でオフラインでの試遊をしていただきましたが、やはり会場に行けなかった人は遊べないですよね。そういった方々にも触れてほしかった側面もあってβテストを実施したので、すごく好評でうれしかったです。
――今後もβテスト、たとえばオープンβテストなどがあったりするんでしょうか?
――今後もβテスト、たとえばオープンβテストなどがあったりするんでしょうか?
山中
時期や規模などは明言できませんが、オンライン・オフライン含めて実施したいとは考えています。具体的なことは、いまのところお伝えできません。
――βテストや試遊で、ゲーム部分ではどのような意見がありましたか? 改善すべき点と思っている部分はありますか?
――βテストや試遊で、ゲーム部分ではどのような意見がありましたか? 改善すべき点と思っている部分はありますか?
関根
まず「トレーニングモードはないの?」といった意見はたくさんいただきましたが、もちろんトレーニングモードもあります。ただすみません、感想をいただく目的もありますが、βテストはネットワーク周りを見るためのテストでした。トレーニングモードが遊べてしまうと、もうそこだけで完結してしまうプレイヤーが多いことはわかっているのでお届けしなかったことは、ご容赦いただきたいです。
ほかにも、対戦に行くまでの導線がわかりにくいですとか、対戦部分のわかりやすさ、わかりにくさ、ボタン入力のあれこれですとか、さまざまな意見もいただいています。もちろんまだまだ開発中のタイトルですから、よかったところも伸ばしますし、悪かった点は改善していきます。
ほかにも、対戦に行くまでの導線がわかりにくいですとか、対戦部分のわかりやすさ、わかりにくさ、ボタン入力のあれこれですとか、さまざまな意見もいただいています。もちろんまだまだ開発中のタイトルですから、よかったところも伸ばしますし、悪かった点は改善していきます。
山中
アークのファンと言いますか、格ゲーファンはものすごくタイトルへの熱量が高いので、評価が賛否であろうと、ものすごく長い意見を皆さん書いてくださるんです。あまりに長すぎたとしても、我々は本当にすべて目を通しています。その中で、汲み取るべきところは改善しますし、我々の狙いから外れているものは、そこの魅力をさらに磨いて、見直してもらえるようにしたいです。
関根
TGS2025の試遊版も、ぜひ遊んだ感想をSNSなどに投稿していただきたいです。我々はすべてチェックいたしますので、ぜひたくさん意見をいただければと思います。ただその、「スパイダーマンは絶対に強くしろ!」みたいな意見は汲み取れませんが(笑)。
――あちらの世界から、デッドプールからの意見でしょうか(笑)。個人的に全体の反応を見ても、国内外問わず、かなり高評価だったように感じています。
――あちらの世界から、デッドプールからの意見でしょうか(笑)。個人的に全体の反応を見ても、国内外問わず、かなり高評価だったように感じています。
関根
細かい部分への意見や、さまざまな要望もいただきましたが、全体的にはまず「楽しかった!」といった言葉がすごく多かったです。我々の予想以上にポジティブな意見ばかりで。
山中
本当に、心配しすぎていたかなというくらい、お褒めの言葉ばかりでした。
関根
こんなに高評価で、逆に大丈夫だろうか!? と不安になるくらいで(笑)。これからもっとよくして、もっと楽しんでもらえるように努力しますので……みたいな気持ちでいたので、どんどん自分の中のハードルが上がっているのですが、同時にマーベルファンの皆さんの熱量・偉大さを実感している最中です。
――最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
――最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
ベアード
アークさん、SIE、そしてマーベルさんそれぞれ、もちろんマーベルというIPに愛を持って開発に取り組んでいます。それぞれいちファンとしての愛が“アッセンブル”したゲームになっていますから、ぜひ皆さんも愛してくださるとうれしいです。
山中
我々は、原作のある作品を対戦格闘ゲームとして開発することが多いですが、いずれもファンの方々に楽しんでいただくことを第一に考えています。今回はマーベルファンの方々がメインになると思いますが、我々ができる限りの力を尽くして、楽しんでもらえるように努力していきます。
関根
マーベルファンの皆さんが持つ解釈もありますし、我々が描く新たな解釈も含めて、マーベルの世界を表現していきたいです。本作は新しいチーム格ゲーでありながら、さらなるテーマは“新しいマーベル”なんです。そこを強く今後も押し出していきますので、引き続き応援をよろしくお願いいたします。
また、やはりアメコミが原点なので海外ファン向けのタイトルに見えがちですが、我々は日本のファンも当然大事にしています。ただ、アナウンスなどの部分で日本語での発信が疎かになっていることは、我々も認識しています。今後はそのあたりも注力していくつもりですので、ご期待願えればと思います。
また、やはりアメコミが原点なので海外ファン向けのタイトルに見えがちですが、我々は日本のファンも当然大事にしています。ただ、アナウンスなどの部分で日本語での発信が疎かになっていることは、我々も認識しています。今後はそのあたりも注力していくつもりですので、ご期待願えればと思います。
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