
ようやく春らしい穏やかな気候になってきた今日このごろ。筆者がここ1年くらい眠れないときに行っていた“深夜の散歩”がしやすい季節の到来です。
凍えるような寒さの冬の夜は、理由もなく外に出る気力はさすがに出ませんでしたからね。あとはもうちょっと花粉が気にならなくなってきたら完璧です。
凍えるような寒さの冬の夜は、理由もなく外に出る気力はさすがに出ませんでしたからね。あとはもうちょっと花粉が気にならなくなってきたら完璧です。
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深夜の散歩の醍醐味は、なんといっても現実感が薄れる感覚です。あまり遠くが見通せない暗い道は、ふだん通らない脇道にちょっと入ってみただけで、途端に方向感覚を失うことも。「こっちに進めばそろそろ知っている道と合流するはずなのに、どれだけ進んでも見知らぬ道が続いている」。誰ともすれ違うことのないような時間帯だと、不安はいっそう募ります。
やがて「いつの間にか知らない世界に迷い込んでいても不思議ではないのではないか?」なんて空想も頭をよぎるのです。でも、心細さとともに味わえる慌ただしい日常とは切り離されたようなふわふわした感じが、なんだか堪らないんですよね。
TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025でデモ版をプレイした『A Passing in the Night』と、その後にうかがったゲーム本編のコンセプトは、冬のあいだご無沙汰だったそんな感覚を呼び覚ましてくれるものでした。
やがて「いつの間にか知らない世界に迷い込んでいても不思議ではないのではないか?」なんて空想も頭をよぎるのです。でも、心細さとともに味わえる慌ただしい日常とは切り離されたようなふわふわした感じが、なんだか堪らないんですよね。
TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2025でデモ版をプレイした『A Passing in the Night』と、その後にうかがったゲーム本編のコンセプトは、冬のあいだご無沙汰だったそんな感覚を呼び覚ましてくれるものでした。
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本作は“心の痛みと希望”をテーマとした、サイコスリラーとオカルトチックな要素を含んだ三人称視点のアドベンチャーゲーム。戦闘や駆け引きなどの要素はないので、“ウォーキングシミュレーター”と呼ばれるジャンルにも近い体験となっています。
ゲーム本編は午前3時~4時ごろの1時間の出来事を描いており、今回出展されていたデモ版は、そのプロローグとなっているとのこと。このデモ版の範囲に関しては、なにやら深夜ではない時間帯が舞台のように見えますが……?
ゲーム本編は午前3時~4時ごろの1時間の出来事を描いており、今回出展されていたデモ版は、そのプロローグとなっているとのこと。このデモ版の範囲に関しては、なにやら深夜ではない時間帯が舞台のように見えますが……?
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ゲームが始まると、ロングコートを着た男性を操作することに。綺麗に舗装された広い歩道に、団地のような建物。ベッドタウンらしき住宅街をさまよいます。しばらくするとスマホに電話が掛かってきて、出ると女性の声が聞こえてきました。声の主はどうやら、この男性のお姉さんである模様。
姉への返事の言葉を2択の選択肢から選んだりしつつ、とりとめのないやりとりを聞き流していると、だんだんと周囲の光景の違和感に目が行きます。まず自身が操作しているこの男性、よく見ると裸足なのです。さらに道端には遠く離れて暮らしているはずの姉の名前が書かれたノートが落ちている。何故?
姉への返事の言葉を2択の選択肢から選んだりしつつ、とりとめのないやりとりを聞き流していると、だんだんと周囲の光景の違和感に目が行きます。まず自身が操作しているこの男性、よく見ると裸足なのです。さらに道端には遠く離れて暮らしているはずの姉の名前が書かれたノートが落ちている。何故?
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こういった“些細な違和感”を入り口に、プレイヤーの前にはさまざまな奇妙で不気味な出来事が巻き起こります。
ちょっと驚かされるような要素もゼロではないものの、ホラーテイストというわけではなく、現実世界とはズレた位相にある世界へと迷い込んだようなシュルレアリスム的な体験です。
ちょっと驚かされるような要素もゼロではないものの、ホラーテイストというわけではなく、現実世界とはズレた位相にある世界へと迷い込んだようなシュルレアリスム的な体験です。
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こうした印象は、細部が曖昧にぼやかされた独特の映像表現と、バックで流れる少し不穏な音楽の力も大きいように感じます。
輪郭がぼやけていて、自身とその外側にあるものの境界さえ曖昧になっていくような感覚……“深夜の散歩”で方向感覚を失ったときの心細くもどこか安らぎも感じられる瞬間と似ているような気がします。
輪郭がぼやけていて、自身とその外側にあるものの境界さえ曖昧になっていくような感覚……“深夜の散歩”で方向感覚を失ったときの心細くもどこか安らぎも感じられる瞬間と似ているような気がします。
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耳元では姉が電話越しにとても現実的な話題をまくしたてている中、目の前では現実とは思えない状況がくり広げられている……それは、「知らない世界に迷い込んでしまうのではないか?」という空想のまさにその先を体験しているのかもしれないと感じました。
途中での出来事をある程度伏せつつラストだけお伝えすると、午前3時に自室のベッドで目覚めたところでデモ版は終了。ここから本編での“深夜の散歩”が始まるようです。そしてまたしてもこの男性は、奇妙な世界へと迷い込む模様。果たしてどこまでが現実で、どこからが空想の世界なのか? それともそんな境界なんて、じつは最初から存在しないのか……?
途中での出来事をある程度伏せつつラストだけお伝えすると、午前3時に自室のベッドで目覚めたところでデモ版は終了。ここから本編での“深夜の散歩”が始まるようです。そしてまたしてもこの男性は、奇妙な世界へと迷い込む模様。果たしてどこまでが現実で、どこからが空想の世界なのか? それともそんな境界なんて、じつは最初から存在しないのか……?
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このデモ版でも選択肢や進む道によって遭遇するイベントが少々異なっていたようなのですが、本編もまた約1時間のプレイ時間の中で進んだ道のりや対話した相手、そこでの行動によりその後の展開が分岐、エンディングも変化するとのこと。
また、すべてが言葉で説明されるのではなく、一連の奇妙な体験を通じてそれらに込められた“意味”をプレイヤーに委ねるようなストーリーテリングが取り入れられているということでした。
また、すべてが言葉で説明されるのではなく、一連の奇妙な体験を通じてそれらに込められた“意味”をプレイヤーに委ねるようなストーリーテリングが取り入れられているということでした。
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開発している.irisのおふたりに影響を受けた先行作品を尋ねてみると、『ゆめにっき』と『Firewatch』を挙げてくださいました。たしかに作品コンセプトやゲームデザインにおいて、共通項が見て取れます。
あの、いつの日かの夜に抱いた空想の“その先”、不安と心細さと安らぎを超えた場所で、何が待っているのか? ひとりの“深夜の散歩”愛好者として楽しみです。
あの、いつの日かの夜に抱いた空想の“その先”、不安と心細さと安らぎを超えた場所で、何が待っているのか? ひとりの“深夜の散歩”愛好者として楽しみです。