
2024年8月21日~25日、ドイツ・ケルンにて、ヨーロッパ最大規模のゲームイベントgamescom 2024が開催。
THQ Noricの『REANIMAL』は、前夜に行われたオープニングイベントの“gamescom Opening Night Live(ONL)2024”にて発表されて、注目を集めたタイトルのひとつ。『リトルナイトメア』シリーズを開発していたスウェーデンのTarsier Studios(ターシア スタジオ)による新作ホラーアドベンチャーだ。どのような経緯で本作が生まれたのか、ナラティブディレクターのDavid Mervik(デイビッド・メルヴィック)氏に聞いた。
THQ Noricの『REANIMAL』は、前夜に行われたオープニングイベントの“gamescom Opening Night Live(ONL)2024”にて発表されて、注目を集めたタイトルのひとつ。『リトルナイトメア』シリーズを開発していたスウェーデンのTarsier Studios(ターシア スタジオ)による新作ホラーアドベンチャーだ。どのような経緯で本作が生まれたのか、ナラティブディレクターのDavid Mervik(デイビッド・メルヴィック)氏に聞いた。
広告
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/aed6869f01d267ca15246f4a4142ec797.jpg?x=767)
David Mervik氏(デイビッド・メルヴィック)
Tarsier Studios ナラティブディレクター
『REANIMAL』というタイトルは1年以上かけてつけた。そこに込めた思いをあれこれ考えてみてほしい。
――開発状況はいかがですか?
デイビッド
まさに開発真っ最中で、プリアルファの段階ですね。
――本作開発の経緯を教えてください。
――本作開発の経緯を教えてください。
デイビッド
Tarsier Studiosがエンブレーサーグループ(THQ Nordicの親会社)に買収されて、新しいIPを作っていこうという話になりました。ご存じの通り、もともと私たちは『リトルナイトメア』シリーズを開発していたのですが、子どもが主人公の作品を作りたいという気持ちは引き続きあり、“子どもたちが、怖くて居心地の悪い環境に放り込まれたらどうなるのか”という世界観のゲームを作りたいと思っていました。
子どもと不気味な世界というのは、魅惑的なコントラストになります。さらに新しいことに取り組んでいきたいということで、協力プレイモードも入れることにしました。
子どもと不気味な世界というのは、魅惑的なコントラストになります。さらに新しいことに取り組んでいきたいということで、協力プレイモードも入れることにしました。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/8709b309b70bb43135064e745b0f0a7d.jpg?x=767)
――言ってみれば、『リトルナイトメア』シリーズの魅力を踏襲しつつ、新しいものを……ということですね。
デイビッド
『リトルナイトメア』シリーズを手掛けたのと同じスタッフが関わっているので、自分たちのソウルに忠実に……となると、似た雰囲気は出てくるのかなと思います。ただ、同じものを作るのではなくて、さらにいいものを作るというのは、スタジオとして重要なことです。それは目指しています。
子どもを主人公にしたいと思ったのは、子どもたちをこういった怖い環境に放り込むと、大人よりもより無防備でプレイヤーもより感情移入しやすいからです。彼らの行く末が心の底から気になる、という状態になる。本作と『リトルナイトメア』とのあいだに似た部分があることを感じる人もいるかもしれませんが、リアリティーの構築の仕方はまったく違ったものになっています。
怖いモンスターが出てくるというのは踏襲していますが、『REANIMAL』のほうがより地に足のついたリアリティーのある世界観になっているということは言えると思います。
――本作でとくに取り入れた新しい要素を教えてください。
子どもを主人公にしたいと思ったのは、子どもたちをこういった怖い環境に放り込むと、大人よりもより無防備でプレイヤーもより感情移入しやすいからです。彼らの行く末が心の底から気になる、という状態になる。本作と『リトルナイトメア』とのあいだに似た部分があることを感じる人もいるかもしれませんが、リアリティーの構築の仕方はまったく違ったものになっています。
怖いモンスターが出てくるというのは踏襲していますが、『REANIMAL』のほうがより地に足のついたリアリティーのある世界観になっているということは言えると思います。
――本作でとくに取り入れた新しい要素を教えてください。
デイビッド
『リトルナイトメア』では、子どもの視点に近いカメラアングルで映像がずっと展開していたのですが、今回はふたりのキャラクターを同じフレームで見ているという状態になります。カメラがすごく広い絵を撮っているんですね。広い絵で、キャラクターたちのダイナミックな動きを捉えられるのです。たとえば、螺旋階段を登っていくシーンだったら、カメラが上から彼らを見下ろすような形で捉えたりとか。また、すごく広い引きの絵で彼らがぽつんと存在していることを見せることによって、孤独感や恐怖感などを表現することができています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/a40b018db74c4e941189d31da5cf34c6e.jpg?x=767)
――『REANIMAL』というタイトルがとても印象的ですね。造語だと思うのですが、このタイトルに込められた思いは?
デイビッド
タイトルを決めるのには、とても時間がかかっています。 “アニマル”というのはこのゲームで非常に重要な要素なのですが、それだけではなくて、もっと深みのあるタイトルにしたいと思っていました。レイヤーが感じられるような言葉ですね。
ただ、作品のソウルをよく表現しつつ、商標登録されていない言葉を見つけるというのが、すごく難しくて、1年以上の時間を費やして、私たちは言葉を探しました。けっきょく、“REANIMAL”という造語を作りにいたりました。
じつは、“REANIMAL”というのは、1回却下しようと思っていました。ただ、いろいろと考えた末に、やはり“REANIMAL”がいいのではないかという結論に落ち着きました。シンプルな言葉で口から発したときに気持ちがいいということもありますし、覚えやすい。“リアニメーション”(※)という言葉を少し連想させるということもあります。
※リアニメーションには、蘇生、復活、激励などの意味があるらしい。ただ、作品のソウルをよく表現しつつ、商標登録されていない言葉を見つけるというのが、すごく難しくて、1年以上の時間を費やして、私たちは言葉を探しました。けっきょく、“REANIMAL”という造語を作りにいたりました。
じつは、“REANIMAL”というのは、1回却下しようと思っていました。ただ、いろいろと考えた末に、やはり“REANIMAL”がいいのではないかという結論に落ち着きました。シンプルな言葉で口から発したときに気持ちがいいということもありますし、覚えやすい。“リアニメーション”(※)という言葉を少し連想させるということもあります。
――“リアニメーション”ですか?
デイビッド
いちばんは、プレイヤーの方がプレイしながら、「これはどういう意味のタイトルなのだろうか?」ということを考えながらプレイしてほしいということです。だんだん答えを見つけていってほしい。
私は小説を読むのが好きなのですが、いつも「作者はどうしてこのタイトルを付けたんだろう?」ということを読みながら考えるのが大好きで、本作では、そういう体験をしてほしいと思っています。
たとえば、“アニマ”という言葉があります。“魂”という意味なのですが、“REANIMAL”にはそういった言葉が含まれていたりとか……。タイトルの中のパーツパーツが、何かしらのゲームの大切な要素を表現するものであるということですね。
――“アニマル”が大きなカギを握ることは間違いなさそうですね。
私は小説を読むのが好きなのですが、いつも「作者はどうしてこのタイトルを付けたんだろう?」ということを読みながら考えるのが大好きで、本作では、そういう体験をしてほしいと思っています。
たとえば、“アニマ”という言葉があります。“魂”という意味なのですが、“REANIMAL”にはそういった言葉が含まれていたりとか……。タイトルの中のパーツパーツが、何かしらのゲームの大切な要素を表現するものであるということですね。
――“アニマル”が大きなカギを握ることは間違いなさそうですね。
デイビッド
そうですね(笑)。詳しくはお話しできませんが、大切な要素のひとつであることは間違いありません。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/af17bb779c9408e9c8ed78c61c9321382.jpg?x=767)
――ストーリーもとても気になるところですが、現時点でお話いただける範囲で、ストーリーはどのような感じになるのですか?
デイビッド
孤児になってしまった兄弟がメインキャラクターです。彼らはこの世界に放り出されるのですが、ここがどこなのかわかりません。もともと彼の家があった島みたいではあるのですが、彼らが意識をなくしているあいだに地獄のような場所に変わってしまっています。とにかく自分たちの家に帰り着きたい。
本作の物語の構造としては、キャラクターたちは何が起きたのか理由がわかっています。でも、プレイヤーはわかっていないという状況です。主人公たちは何が起きたのか知っているので、そのことについて会話を交わしたりするのですが、詳細なディテールが明かされることはない状態で会話が進行していくので、プレイヤーはふたりの会話を聞きながら「いったい何があったのだろう?」ということを自分で考えていくんですね。そして、この世界でモンスターと闘いながら、抜け出していくのです。このストーリーの作りかたは『リトルナイトメア』シリーズを踏襲していますね。
――なぜ、キャラクターたちがわかっていて、プレイヤーがわかっていないというシチュエーションにしているのですか?
本作の物語の構造としては、キャラクターたちは何が起きたのか理由がわかっています。でも、プレイヤーはわかっていないという状況です。主人公たちは何が起きたのか知っているので、そのことについて会話を交わしたりするのですが、詳細なディテールが明かされることはない状態で会話が進行していくので、プレイヤーはふたりの会話を聞きながら「いったい何があったのだろう?」ということを自分で考えていくんですね。そして、この世界でモンスターと闘いながら、抜け出していくのです。このストーリーの作りかたは『リトルナイトメア』シリーズを踏襲していますね。
――なぜ、キャラクターたちがわかっていて、プレイヤーがわかっていないというシチュエーションにしているのですか?
デイビッド
私たちは、もともとそういったストーリーの作りかたが好きなんです。そのことによって、ユーザーをより没入させて、ストーリーに引き込むことができると考えています。
何か断片的な情報を提供して、「その背後には本当は何があるんだろう?」と気にさせることによって、どんどんストーリーに引き込まれていく。内容が忘れられなくなっていく……ということを目指しています。
『リトルナイトメア』シリーズに関しても、ストーリーが進むごとにいろいろと考えて、「これはどういうことなのか?」「ああ、こういうことだったのか」ということを楽しんでいただけたのではないかと思っています。
ひとつ言えるのは、すべてがわかってしまったらのめり込めなくなってしまうということです。「これは何なのだろう?」という、興味を惹かれる要素がなくなってしまうと物語の推進力が弱くなってしまう。これは、ストーリーテリングの手法としても有効だと思っています。実際に私たちが生きている世界の中で、日々暮らしていてすべてをみんなが見せるわけではないですよね。
――まあ、そうですね。
何か断片的な情報を提供して、「その背後には本当は何があるんだろう?」と気にさせることによって、どんどんストーリーに引き込まれていく。内容が忘れられなくなっていく……ということを目指しています。
『リトルナイトメア』シリーズに関しても、ストーリーが進むごとにいろいろと考えて、「これはどういうことなのか?」「ああ、こういうことだったのか」ということを楽しんでいただけたのではないかと思っています。
ひとつ言えるのは、すべてがわかってしまったらのめり込めなくなってしまうということです。「これは何なのだろう?」という、興味を惹かれる要素がなくなってしまうと物語の推進力が弱くなってしまう。これは、ストーリーテリングの手法としても有効だと思っています。実際に私たちが生きている世界の中で、日々暮らしていてすべてをみんなが見せるわけではないですよね。
――まあ、そうですね。
デイビッド
どちらかと言うと、断片的な情報を積み重ねて、「この人はこういう人なのだ」と推測していく。断片的な情報から点と点をつなぐような形でストーリーを作っていくというのは、人間の本能だと思います。
人間は本能的にミステリが好きなのだと思います。謎を解くという。ミステリ小説やテレビドラマは人気がありますよね。
――本作では協力プレイも楽しめるとのことですね。
人間は本能的にミステリが好きなのだと思います。謎を解くという。ミステリ小説やテレビドラマは人気がありますよね。
――本作では協力プレイも楽しめるとのことですね。
デイビッド
はい。オンラインとオフライフでできます。ソロでもできますし、その場合はAIに仲間になってもらうことができます。
私たちが目指す恐怖の方向性というのがあります。ひとり孤独に恐怖するのではなくて、友だちといっしょに身を寄せ合いながら、恐怖するというシチュエーションです。「怖いね」と言いながらホラー映画を観るような感じを目指しています。だからこそ、協力プレイでは画面分割にしないで、ふたりが同じフレームの中で、いっしょにプレイすることにしているのです。
私たちが目指す恐怖の方向性というのがあります。ひとり孤独に恐怖するのではなくて、友だちといっしょに身を寄せ合いながら、恐怖するというシチュエーションです。「怖いね」と言いながらホラー映画を観るような感じを目指しています。だからこそ、協力プレイでは画面分割にしないで、ふたりが同じフレームの中で、いっしょにプレイすることにしているのです。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/add9f0231fbdd9cafa6cb2218bf445df4.jpg?x=767)
――ちなみに、“Opening Night Live 2024”では、奇しくも『リトルナイトメア3』の最新映像が公開されましたが、どのようにご覧になりましたか?
デイビッド
皆さんと同じくらい、『リトルナイトメア3』にはワクワクしています。私たちは『3』がどのようなものになるのか、まったく知らない状態で映像を見たのですが、自分たちが別の道を歩んだ後に、自分たちが作り上げたIPがさらなる新しい道を歩んだことに、非常に喜びを感じています。
実際のところ、私たちは何年か前にまったく同じ境遇に立ったことがあります。『リトルビッグプラネット』をメディアモリキューさんから引き継いで、タイトルを進化させて『リトルビッグプラネット PlayStation Vita』(2012年)を作ったんですね。その状況は何となく理解できます。
私たちは私たちで、『リトルナイトメア』の世界から進んで、さらなる怖い世界が始まろうとしています。ファンの方たちにとっても、『リトルナイトメア3』と『REANIMAL』という、怖い世界観のゲームが出てきたことは、非常に喜ばしいことなのではないでしょうか。私たちもすごくワクワクしています。
実際のところ、私たちは何年か前にまったく同じ境遇に立ったことがあります。『リトルビッグプラネット』をメディアモリキューさんから引き継いで、タイトルを進化させて『リトルビッグプラネット PlayStation Vita』(2012年)を作ったんですね。その状況は何となく理解できます。
私たちは私たちで、『リトルナイトメア』の世界から進んで、さらなる怖い世界が始まろうとしています。ファンの方たちにとっても、『リトルナイトメア3』と『REANIMAL』という、怖い世界観のゲームが出てきたことは、非常に喜ばしいことなのではないでしょうか。私たちもすごくワクワクしています。
――最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
デイビッド
私たち自身も日本のコンテンツの大ファンです。皆さんがこのゲームを楽しんでくださることを楽しみにしています。東京ゲームショウにも参加する予定ですので、そこで皆さんとお会いできるのを楽しみにしています。
![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/15410/a2071f820466f4ce6926ff2dbd24570d2.jpg?x=767)