Johanna Faries(ジョアンナ・ファーリーズ)
2024年初頭にBlizzard Entertainmentの社長に就任。現在は、開発、パブリッシング、事業戦略、テクノロジー、ストーリーおよびフランチャイズ開発を含む、Blizzardを代表するゲーム・ユニバースやIPのグローバルポートフォリオ全体を統括している。(文中はファーリーズ氏)
『StarCraft』、『ディアブロ V』の発売時期に踏み込んだ理由とこれからのBlizzConのありかた
歴史的に見ても、かつてのBlizzardはイベントなどで華々しく発表を行いながらも、実際のリリース時期が見当もつかないという状態に陥ることがありました。今回の発表は、そうしたアプローチからの転換でもあります。
「いつ出荷できるのか」について高い確信を持ち、時計の針を合わせられるほど正確な計画を立てること、そして大規模にローンチをし、これから数年間かけて熱気を高めていく姿勢を、チームとコミュニティの双方に向けて明確に示しました。
ゲーム開発のタイムラインにおいて、2029年は決して遠い未来ではありません。瞬きをしているあいだに2030年がやってきます。チーム自身も「遠くもあり、同時に決して遠い未来ではない」と感じながら、最高の作品をお届けするための万全の体制を整えています。
—―BlizzConについて伺います。かつては毎年恒例のイベントでしたが、今回は3年ぶりの開催となりました。今後は再び毎年開催に戻る計画があるのでしょうか? それとも不定期な形が続くのでしょうか?
3年間のブランクがあったことで、ファンコミュニティの期待が凝縮され、どのゲームファンにとっても熱狂できるコンテンツが満載のイベントとなりました。詰め込みたいものが多すぎて困るほどでしたが、これこそがBlizzConに対して抱えていたいという、うれしい悩みですね。
そのため、今後は“発表のラインアップに合わせたBlizzCon”へとシフトしていくことが重要だと考えています。チームが万全の自信を持って情報を共有でき、足を運んでくださるファンの皆さんにも「参加すれば必ずすばらしい発表が待っている」と確信していただける状態を作りたいのです。次回の開催時期については、適切なタイミングで改めてお伝えします。
—―BlizzCon以外にも、『オーバーウォッチ』や『ディアブロ』シリーズのスポットライト配信など、独自の大型情報発信が増えています。BlizzConとこうした各種ショーケースのバランスはどのように取っていくのでしょうか?
たとえば『オーバーウォッチ』チームが独自のスポットライト配信を行ったり、2027年に向けて『World of Warcraft: Midnight』をはじめとする最新情報を順次お届けしたりと、発表に最適なタイミングに合わせて柔軟に展開できます。
2027年初頭に向けても、すでにつぎの展開を準備しています。BlizzConが開催されない期間であっても、こうしたデジタルショーケースを通じてコミュニティとつねにつながり続けることができます。リアルイベントとしてのBlizzConと、臨機応変なデジタル配信が相互に連携するこのモデルは、スタジオにとって極めて強力だと考えています。
歴史的な労働協約の批准と、Xbox新体制下におけるスタジオの変化
これは私たちが目指してきた極めて重要な到達点であり、このように歴史的な形で前進できたことを全員が喜ばしく思っています。過去数年間にわたり何ヵ月もの時間を費やし、この枠組みを形作ってくれたスタッフ全員に心から感謝しています。今回の合意は、Blizzardが未来へ向かって進むための非常に強固な基盤になると確信しています。
—―前回のBlizzCon 2023は、MicrosoftによるActivision Blizzardの買収完了から3週間後の開催でした。その後、Xbox側も新体制となり、環境が大きく変わりました。昨日会場にはXboxの新CEOであるアーシャ・シャルマ(Asha Sharma)氏も来場されていましたが、新体制となって以降、Xboxとの関係性や開発環境にはどのような変化がありましたか?
もうひとつの大きな利点は、Xbox傘下の多種多様なスタジオどうしが知見や学びを共有できるネットワークです。スタジオごとに直面している課題や環境は異なりますが、つねに対話を続け、密接に連携しようというオープンな文化が育まれています。Blizzardとしての独自のアイデンティティや創造性を保ちながら、ひとつの大きな集合体としても活動できるこの関係性は、今後も続いていくはずです。

彼らはゲーム内のあらゆるピクセル、細部にいたるまで徹底的なこだわりと配慮を注ぎ込みます。他社との大きな違いを生み出してきた圧倒的な完成度と芸術性を追求する姿勢が、スタジオのDNAとして深く根付いているのです。
そして文化的には、チーム全体が非常に謙虚で、互いへの敬意と優しさに満ちている点が挙げられます。私はアーティストやクリエイターの情熱に寄り添いながら、戦略・計画・運用とのバランスを取り、会社全体が持続的に成長できる環境を守ることに強いやりがいを感じています。

『オーバーウォッチ』に見るカルチャライズ戦略と日本のゲームスタジオへのメッセージ
重要なのは、その地域に適したサポートを提供することです。コンテンツの差別化を図ることもあれば、現地のクリエイターやストリーマー、あるいは異なるブランドと手を組むこともあります。
今回のBlizzConでも、世界中のプレイヤーがこの場に集い、“Overwatch World Cup”のハーフタイムショーをYOASOBIが飾るなど、音楽やカルチャーが交差する光景を目にすることができました。これは「機能しているものを積極的に追求しよう」という私たちの姿勢の表れです。日本のコミュニティに響いている要素があるのなら、世界のほかの地域と無理に揃える必要はありません。地域に合わせたカスタマイズを迅速に行える運用モデルを維持し、ファン層との絆をより深めていきます。
—―『オーバーウォッチ』ではYOASOBIやLE SSERAFIMなど、アジア圏のアーティストやIPとのコラボレーションが目立っています。開発チームからこうしたコラボレーションの提案があった際、経営陣としてはどのように判断されているのでしょうか?
もちろん、開発チームの創造性を妨げないよう、戦略的に足並みを揃えるためのフレームワークを用意します。開発、プロモーション、事業運用など各分野のチームが一堂に会し、「どこに好機があるのか」、「深めるべきパートナーシップは何か」を結束して話し合います。そして、その試みを成功へ導くための戦略的基盤を整えることこそが、私の責任です。
――日本には世界的に著名なゲーム会社が数多く存在します。将来的な協業やパートナーシップについて、日本のゲームクリエイターや企業に向けたメッセージをいただけますか?
私たちは日本のパートナーへの投資を継続することに極めて強いコミットメントを持っていますし、お互いにポジティブな効果を生み出せるのであれば、新たなパートナーシップを模索することにも非常に前向きです。Blizzard単独では届かない新しい領域へと挑戦するためにも、日本の皆さんとの関係をさらに深めていきたいと考えています。
――最後に日本から会場へ駆けつけたファン、そして日本から見守っているファンに向けてメッセージをお願いします。
そして、日本から配信を視聴し、BlizzConをともに盛り上げてくださったすべてのプレイヤーの皆さんにも、深い感謝をお伝えしたいです。世界中のコミュニティの情熱があってこそ、過去最大のBlizzConを実現することができました。皆さんが注いでくださる熱量に、私たちは全力で応え続けます。これからもBlizzardのタイトルをよろしくお願いいたします。
















