- ドリームキャスト最後期の超大作
- より広くなったマップ、香港・九龍・桂林の地を旅する
- 美女! おじさん! 愛すべき友!
- さらにパワーアップしたミニゲーム&アルバイト
- 衝撃のエンディング。そして『シェンムーIII』へ
- まとめ:最後まで見せたドリームキャストらしさ
ドリームキャスト最後期の超大作

『シェンムー 一章 横須賀』がどんな作品で、どのように作られたかはファミ通.com別稿をご覧いただければと思う。
より広くなったマップ、香港・九龍・桂林の地を旅する

“旅行”と“旅”を分けるものは苦労の総量の差であると筆者は思う。その点において芭月涼の旅ほど旅らしい旅もない。
詳しいあらすじは本稿では紹介しないけれども、『II』ではマップが『一章』より格段に広くなり、画面に登場するキャラクター数も増加。
プログラムも『一章』から根本的に見直され、その甲斐あってさらにボリュームのある冒険が楽しめるようになっていた。

舞台もさまざまに変わっていき、返還前香港から始まり……、


かつて実在した“魔窟”と名高い九龍城では激しい戦いを経て……、

“深山幽谷”という表現がじつにぴったりくる桂林へといたる。当時のゲームディスクの容量の都合により、物語が進み舞台が変わるたびにディスク(GD-ROM)を入れ換える必要があった。
そのため、『シェンムーII』は本編ディスクだけで4枚組、初回限定版には『バーチャファイター4』関連の特典ディスクも同梱されていたので都合6枚組という、いま考えるとすごい商品になっていた。


美女! おじさん! 愛すべき友!
紅秀瑛



薫芳梅(声:大谷育江)
とくに香港地域では“父親の敵討ち旅”がありながら、“ドキッ! 海外で美人お姉さん宅に居候してたらお手伝いの芳梅とも仲よくなっちゃって!? ~でも俺には花屋の幼なじみもいる~”という、ラブコメと言ってもいいくらいの展開もあるっちゃあるのだ。
(なんでも、当時のスタッフが「どうしても入れたい」と強い意欲を持っていて、好感度システムの仕様が加わったらしい)。


その他のかわいいキャラクター



さらに、香港で出会うジョイや、噴水の前で出会うアイリン、コンビニでバイトする日本人学生の高野和泉などのサブキャラクターも忘れられない。


街に住む人々も、やはり開発が進んでスタッフたちのスキルが上がっているからか、かわいい女の子はよりかわいく、汚いおじさんはより汚く、どの人物も息吹を感じるようで、全体的にレベルアップしている気がする。
レン

涼と出会い、鏡に隠された秘密を知ることでいっしょに行動することとなる若きギャング。金にがめつく卑怯なことも平気でできる。涼とは真逆の性格で、そのぶんいい仲間となって物語を進めてくれた。涼といっしょに手錠でつながれ監禁されて、ビルから飛び降りて九死に一生を得た。

徳林さん

さらに、『シェンムーIII』には彼の兄弟も登場してファンを喜ばせた。
さらにパワーアップしたミニゲーム&アルバイト
荷物運び

『一章』の段階でガチャガチャが遊べたりゲームセンターで実在のゲームが遊べたりと、ミニゲームが充実している本シリーズ。『II』ではさらにパワーアップして、ガチャガチャやゲーム内ゲームはもちろんのこと、ミニゲームやアルバイトも増えている。

想い出深いのが港での荷物運びで、徳林さんと息を合わせて方向キーを正しく入力し、荷物をパレットの上まで運ぶというもの。たくさん運べば運ぶほど多くのバイト代を手に入れられる。
落とし玉の店番

街なかには多くのギャンブルが用意され、画期的だったのはその胴元に頼まれてバイトの店番ができたこと。うまく客を勧誘して儲からないと「バイト代はなしだ」と来たもんだ。

アヒルレース


隠し要素として、自分のアヒルを捕まえて、アヒルレースで勝っていくという要素もあった。ライバルは同じアヒルやカルガモの親子、最後にはペンギンに打ち勝つ必要があるという、セガらしい遊び心のある隠しゲームだった。ライン取りやスタミナ管理など、ミニゲームとしてはかなり作り込まれていて、最後のレースに優勝するには訓練を必要とした。
ストリートファイト

物語を進めると、九龍の実力者を倒してストーリーを進めるというパートがあるのだけど、その前の香港編では隠し要素として先述のアイリンや、なぜか高野和泉と戦える場所があった。
しかも、ふたりともかなり強く、高野和泉は作中最強キャラクターではないかというバランスになっていた。もしこれから『シェンムーII』を遊ぼうという方はチャレンジしてみてほしい。

本の虫干し

厳密に言うとミニゲームというよりは、ストーリー進行に必要なミニゲーム要素のあるパート、という感じなんだけど、とにかく『シェンムーII』では倉庫にある古い本を朝運び出して並べ、虫干しをしなければならない要素がある。
ゲームとしては歩いていくと画面上に方向が指示されるので、それを入力するというシンプルなQTE。落とすと「しっかりしてくださいよ……」とため息をつかれたりする。
さらに、最速で干すためには歩きではなくダッシュで行なうほうがいいのだけど、そうすると涼がグラグラ揺れてQTE発生率が増えるのでリスクが高まる。いわゆる“リスクとリターン”というゲーム性の基本がしっかり形作られていて、個人的にはこの“本の虫干し”はけっこう好きだ。
だって『シェンムーII』以外で本の虫干しやったことないもんな。そんなことを体験させてくれるゲームです。
ちなみにこの後、九龍や桂林でも歩いているうちに矢印が出て進むというQTEが登場する。いま思うとこの虫干しがその予行演習になっていたのだ。
そのほかのミニゲーム(?)

そのほかのミニゲーム(?)としては、4つの茶碗を決まった形に設置することで武術家どうしにしか通じない合図を行なう“茶碗陣”などもあった。該当するお店で正しく置けると物語が進行する。
ちなみにこの茶碗陣は、ゲームの創作ではなく“茶陣”というのがかつて実際に存在していたそうで、“桃園結義茶”や“梅花陣”など、100種類以上の陣形が存在したとされている。へえ。

さらに“大小”・“上でやったり”といったサイコロ系ギャンブルのほか、腕相撲などがあって、お金稼ぎのいち方策となっていた。この豊富なミニゲームや遊び要素も『シェンムーII』の魅力と言えるだろう。
衝撃のエンディング。そして『シェンムーIII』へ

九龍城での強敵との対決後、舞台は桂林へ進む。そこで莎花(シェンファ)と出会うのだけど、この莎花、『一章』からオープニングムービーやCMで大々的に登場していたものの、実際に本編に登場するのはほんのちょっとだけ。
だからいよいよもって出会ったときは「おお! ようやく!!」と驚いたものだ。その莎花と涼は桂林の山をいろいろなことをしゃべりながら歩き、ようやく莎花の家にたどり着く。

そして、父の不在を訝しがる莎花とふたりで石切場に到達するのだが……。
※この後『シェンムーII』のエンディングのネタバレが含まれます。
そこに待ち受けていたのは、謎の剣、七星剣。莎花の家の家宝なのだという。
それを謎の仕掛け……“謎の仕掛け”と呼ぶほかない、謎の仕掛けに設置し、さらに涼が持っていた鏡をはめ込むと、明かりが灯り壁に彫られた巨大な鳳凰鏡と龍鏡の意匠が闇の中に浮かび上がった。さらに、七星剣が光をまとって浮かび上がり、空中でくるくる回り始めたではないか!
謎の装置で謎の剣が謎の光とともに謎に浮かび上がり、光り、回り始めた、のだ!

……何これェ?
当惑というか困惑というか混乱の中でその後『シェンムーII』プレイヤーは続編を待つことになり、それが実現するのは2019年の『シェンムーIII』となる。18年この状態で待たされることになるとは露ほども思わず、それはそれでもうすごい別の話なので別稿をご覧になっていただきたいのだけど。

まとめ:最後まで見せたドリームキャストらしさ
本当はもっと語るべきことはたくさんあって、藍帝とオネエキャラクターのユアンが声は同じ櫻井孝宏さんであるとか、秀瑛さんの出自や生き別れた兄のことや、物語の本筋についても語りたいのだけど、今日はこのあたりで筆を置こう。


『シェンムー』全体のストーリーから俯瞰すると、鏡のヒミツが明らかになり、莎花と出会い彼女の不思議な力も示唆されて、いよいよクライマックスが近づいてきた! ……と感じたところで衝撃のエンディングを迎えた。その続きを遊ぶには18年待たなければならず、そういう意味でもやはり『II』もかなり伝説的な作品だった。
いまではPS4版『シェンムー I&II』が発売されていて格段に遊びやすくなっており、『III』に続く物語として、ぜひ一度遊んでみてほしいと思う。
なんかねえ、楽しかったね、楽しいゲームでしたよ。
有り金全部盗られたり盗人を追いかけたり、チンピラに袋叩きにされたり美人な老師に助けられたり、本を虫干ししたり落ち葉をつかんだり、茶碗陣したり悪友と出会ったり、いろいろな要素が詰め込まれていて、“思い出”がたくさんできるゲームだったという気がする。それは、ゲームの中でいろいろな“経験”ができる、やっぱりちょっと変わった、つまるところ、ユニークなゲームだったということなのだろうな、と思う。そして僕はそのユニークさが、何より大好きだ。

















