
使用可能なキャラクターは“血族”と呼ばれ、今回は6名を体験可能。なるべくじっくり触りたいので、おもにプレイするのは半分の3キャラということにしてみた。この選択はある意味で大正解。全員変というかぶっ飛んでいるというか、クセが強いキャラクターばかりだったのだ。対人戦を含むPvPvEということで緊張していた筆者の肩から力が抜けるどころか、肩が吹き飛ぶレベルのインパクト。問答無用でゲームの独特な世界観に引きずり込まれた。
何が変かというと、具体的には、
- 空を自由に飛び回りながら狙撃する
- 元恋人を探して花を渡し、プロポーズする
- ロボ(?)がロケットで突っ込んで頭突きする
こんな3本立てだ。どこの奇祭だ。ほかのプレイヤーと戦うのは緊張するなぁとか言っている場合じゃなかった。
以下、クセ強3名のプレイフィールを中心に試遊会のリポートをお届けする。本作のディレクターである宮崎英高氏へのインタビューなどとも併せてご一読いただければ幸いだ。
戦いかたが無数にあるPvPvE
各血族はさまざまな効果を持つ“血族技”をふたつ備え、独自の勝利条件を設定できる要素“烙印”や固有能力を付与する“権能”を入れ替えるといった、さまざまなカスタマイズ要素を有する。ただし今回のバージョンでは、プリセットキャラをそのまま使用する形となった。

フェイズ1(制限時間6分)
次以降のフェイズに備えて戦力を強化する。脱落者はなし。
フェイズ2(制限時間6分)/フェイズ3(制限時間5分)
一定時間経過でフィールドに“儀式場”が出現。フェイズ終了時、スコアポイント“美徳”が少ないプレイヤーから脱落していく。
フェイズ4(制限時間10分)
最終フェイズは“美徳”が高い3名による決闘。各プレイヤーは1回のみ復活可能で、2回倒されると脱落。生き残ったプレイヤーが勝者となる。
美徳は多種多様な方法で獲得できる。フィールドを徘徊する強敵や、強力なボスエネミーである“侵略者”を倒すことで入手できる“討伐の美徳”、特定の遺体に灯をともすと手に入る“灯の美徳”といった探索型のものや、烙印の条件達成で手に入るもの、さらに各フェイズ終了時に敵をより多く倒したプレイヤー2名に贈られる“血の牙の称賛”と、より多く新しいアイテムを入手した2名に贈られる“蒐集家の称賛”など、その種類はさまざまだ。
フェイズ2とフェイズ3に出現する“儀式場”では、美徳をより多く獲得できる。他プレイヤーを倒すことで手に入る“剣の美徳”と、儀式場にある“血族誓柱”に誓って占有状態を維持することで入手できる“誓約の美徳”があり、これで多少の点差は覆せる。

ほかの強化要素としては、共闘してくれるNPC“眷属”と契約が可能。各地にある光の柱の下にある魔法陣で1体のみ召喚可能で、倒されても一定時間経過で再召喚が可能。心強い味方になってくれる。
ほかにもフィールド各地には武器に属性を付与できる“錬金炉”や、血族技を強化する素材を落とすエネミー“血袋翁”など、強化につながる要素が数多く点在している。美徳集めと強化を、並行して進めていくわけだ。

立体的な機動はじつに気持ちいい。戦闘中も自由自在な移動は変わらずで、落下ダメージもない。敵の激しい攻撃も大ジャンプで空に逃れればまったく当たらない。移動に関しては探索、戦闘の両方で、本当にストレスフリーだった。

プレイヤーキャラクターの血族は吸血鬼。吸血攻撃は威力絶大で、一部のエネミーを味方に変えることができる。相手に攻撃を加えたり、攻撃を“叫び”で遮ったり(いわゆるパリィ)など、相手の体勢を崩すと使用可能だ。
同盟は、出会った他プレイヤーに協力関係を申し込むこと。同盟を承諾するとお互いの攻撃は当たらなくなり、儀式場で得た美徳を半分ずつ分け合うことになる。さらにアイテム“団結のメダル”で同盟相手のところにワープできるようになり、共闘によって生存戦略がまた大きく変わる。

今回の体験会では、後半に異なるルールの“血盟ルール”でのプレイも体験。このルールでは最初から他プレイヤー1名と“血盟”を組んで対戦に臨む。最後の決闘も2対2の戦いとなるため、終始同盟状態でのプレイとなり、仲間の大事さをより痛感した。
変なキャラを通じて見えてきたおもしろさ
以下、今回プレイさせていただいた3キャラのそれぞれのプレイリポートを通じて、烙印や各キャラのプレイフィールについてお伝えしていきたい。
元老サミール=パトレス:まさかの婚活
- 血族技1:血の刑柱(敵の足元から血の柱を吹き上げる)
- 血族技2:恐竜化(恐竜に変身して敵に突撃する)
- 烙印:儚い恋の烙印(対応した烙印が刻まれた他プレイヤーと恋人同士になる)
まず紹介したいのが、元老サミール=パトレス。レイピア(刺剣)で戦うその姿や、戦技“王朝剣技”に似た動きなどから、『エルデンリング』の“血の貴族”を連想させるキャラクターだ。近接戦では強化されたガードカウンターも交え、遠距離戦では連射はできないものの敵を追尾する“霊鳥”を飛ばして戦う。
ここまで聞くと、エレガントに戦う紳士的なキャラクターに感じられるだろう。ただ、今回のプリセットで設定されていた“儚い恋の烙印”がそのすべてを霞ませていた。その内容は以下のとおり。
「“儚い恋の受動烙印”が刻まれたプレイヤーを見つけ、ふたたび恋人になってともに最終フェイズまで到達することが目標」

恋人と出会い、なおかつプロポーズに成功し、ふたりで最終フェイズに勝ち残る。とんでもなく困難だが、そのぶん得られるものも多いこと間違いなし。なるほどと理解してみると、プレイ中にこの烙印のことがつねに頭から離れない。
「我が恋人は、花嫁はいずこ!?」
貴族のような優雅さよりも、元恋人を探し求めるロールプレイが前に出る。エネミーを倒したり、灯の美徳を探しているうちは問題ないが、他プレイヤーと接敵したときが困りもの。全員恋人に見えてしまうのだ。
「ふたたび恋人になって~」ということは、離れ離れになった恋人との再会が目的なのだろう。一途なはずなのに、自分が節操のないろくでなしに思えてくる。「おまえ恋人か!?」と血眼になるあまり、出会うプレイヤーすべてにエモート“花をどうぞ”をくり出す婚活老人が爆誕してしまった。当然のように1回も成功しなかった。

そんな戦闘型キャラでも、烙印ひとつで立ち回りがまったく異なるものになる。恋人を探し求めるプレイは一般的なPvPvEとは完全に別物だ。これがじつに新鮮で、何度も「なにやってんだ私」と吹き出しそうになるのをこらえつつ楽しませてもらった。テーブルトークRPGの感覚に近いかもしれない。
狙撃手レイラ:これ無傷で全エネミー狩れませんか
- 血族技1:ネブラの消失(姿をくらませながら高速移動)
- 血族技2:ヴァルドの機銃(ガトリングを連射する)
- 烙印:旧き友の烙印(対応した烙印が刻まれた他プレイヤーと共闘する)
つぎに触れたのは狙撃手レイラ。血族技“ヴァルドの機銃”で腹の中からガトリングを取り出して連射する、エキセントリックなキャラだ。権能で自動回復できたり、回避時の攻撃が強化されていたりといった点もおもしろい。
近接戦ではカタール二刀流を、遠距離では狙撃銃を駆使して戦う血族だ。血族技“ネブラの消失”で姿をくらませながら高速移動が可能で、敵から距離を取ったり背後に回り込んだりといった動きが可能。
特筆すべきは狙撃銃の存在だ。狙撃銃の射程はとんでもなく長く、たいていの建物の屋上から地上にいるエネミーに届く。取り出してから構えたり、弾をリロードしたりといった動作中は隙だらけだが、これらの動作を空中でも実行可能。つまり、大ジャンプと空中ジャンプで逃げながら射撃やリロードをすれば、ノーリスクで多用できるのだ。

通常エネミーどころか強敵や侵略者も大ジャンプ狙撃で安全に攻撃できる狙撃手レイラは、討伐の美徳(強敵や侵略者を倒す)や血の牙の称賛(より多くのエネミーを倒す)といった美徳を非常に稼ぎやすい。烙印の効果を活用し、侵略者を旧き友といっしょに倒せばさらに追加の美徳まで得られる。ガトリングも高火力で(ただし連射中は隙だらけ)、侵略者に対するダメージ貢献度も稼ぎやすかった。
個別の接近戦は苦手だが、そもそもそういう状況に陥りにくい。同盟を組めば美徳を分け合えるので、他プレイヤーからすると“同盟になってくれたらおいしい”キャラなのだ。1対1の対人戦になると工夫が必要になるが、他者も巻き込んだ独特な勝ち筋があるという点では、元老サミール(儚い恋の烙印)と同じくらいおもしろいキャラになっていた。
ゾーク:なんだこのヘンなロボは
- 血族技1:ミサイル(背中からミサイルを連射)
- 血族技2:人間ロケット(ロケット推進で突っ込む)
- 烙印:旧き友の烙印(対応した烙印が刻まれた他プレイヤーと共闘する)
最後に紹介したいのが、このゾークという血族。見た目は完全にロボで、近接戦では放電する海底ケーブルをぶん回すパワーキャラ。遠距離戦ではハープーンガンを通常射撃と溜め射撃(着弾後、一定時間で爆発して相手をひるませる)の2種類で使い分ける。もはや生き物かどうかも怪しいが、ちゃんと吸血攻撃で相手の血は吸っていた。権能で一時的に相手の最大HPを奪えたり、“叫び”を一瞬ではなく継続して放ったりできたのも印象的。
ふたつの血族技はさらに輪をかけておかしい。発動すると短時間その場で浮遊。ひとつは背中から山なりの軌道で飛ぶ誘導弾を連射する“ミサイル”。もうひとつは、超高速で前方に突進する“人間ロケット”である。『アーマード・コア』みたいだ。前者は垂直ミサイル、後者はアサルトブースト。

近接、遠距離ともに攻撃の隙が大きいものの、狙撃手レイラと同じく空中から射撃したり、空中から急降下攻撃をくり出したりすればフォローは可能。動きの遅さからレイラとはまた違った意味で1対1に工夫がいるキャラだが、本作の高機動力+パワフル攻撃で不思議なプレイ感覚を味わえる。全身重量級のフルハベル装備やフル大山羊装備のキャラが、『SEKIRO』みたいな高速機動をし始めたような感覚だ。

今回のプリセットでゾークにセットされていた烙印は、レイラと同じ“旧き友の烙印”だった。もしこれが“儚い恋の烙印”だったら、たまらなさのあまり試遊会の時間すべてをゾークでのプレイに費やしていただろう。危なかった。冷や汗を拭くとともに、烙印カスタマイズの可能性を大いに感じた。

改めてレイラを使い、最終フェイズで他ふたりに集中砲火されて3位に終わったりしながら試遊会を終えて浮かんだ筆者の第一の感想は、「なんだこの変なゲーム。楽しいぞ」だった。
現時点でも十分にPvPvEとしての完成度が高いように思う。ふつうにエネミーを狩ってファームするPvPvEのセオリーはそのまま通じたし、そういったジャンルのゲームとしても大いに楽しめた。
だが、記憶に強く残ったのはそこじゃない。高熱で寝込んでいるときや、ストレスが溜まっているときに見る荒唐無稽な夢。ちょっともどかしかったり、よくわからなかったりするが、不思議とスッキリするあの感覚。あれがいちばん近いかもしれない。

ネットワークテストでも、婚活したりむやみに同盟申請したりと、変な楽しみかたをしてみたい。この文面だけでは伝えづらい、実際にプレイして頭上に「?」を出さないとわからない魅力が、少しでも多くの読者諸兄に伝わればと願う。










