本記事ではメディア向けに実施された試遊会を通して、本作の試遊レビューをお届け。今回のバージョンは試遊専用のものとなっており、一部シナリオがスキップされる形で数時間体験できた。

- 恐怖に包まれたスコットランドの孤島
- 主観で描くサイレントヒル
- サウンドメインの恐怖体験
- 独特の要素・ポケットテレビ
- 謎解きはほどよいヒントあり
- シンプルでリスキーな戦闘
- 主観で恐怖も増すステルス
- やはり気になる、ストーリー!
恐怖に包まれたスコットランドの孤島



フラフラと町をさまようサイモンだったが、町は霧に覆われており、そして人の気配がない。何かに導かれるように一室に辿り着くと、そこでサイモンはCRTV(ポケットテレビ)を手に入れる。ポケットテレビからは謎の女性の声や映像が流れ、サイモンに何かを訴えかけていた。


ゾーイと呼ばれる女性を探して探索していくうちに、サイモンは巨大なクリーチャーや、人型のクリーチャーと出会ってしまう。しかも人型のクリーチャーはコチラを見つけると襲い掛かってくる。困難や謎を乗り越えながら、物語を読み進めていく。
以上がざっくりとしたあらすじ。だが、序盤を遊んだ限りでは物語はかなり複雑というか、予想ができない形になっており、なんとなくサイモンの置かれた立場・周囲の状況などはふんわり伝わってくるが、謎そのものはまだまだ見えない。

『SILENT HILL』シリーズはもうひとつの世界、通称“裏世界”に足を踏み入れることもあるが、体験した範囲では裏世界にはおそらく1~2回しか訪れることがなく、物語のフレーバーとして使われていたような印象。後半、赤くなった町並みも裏世界なのかはわからないが、前半に訪れた世界とはまた違う印象だった。




何かを匂わせるものはたくさん置かれているものの、サイモンに何が起きているのか、または過去に起きたのかなど、物語を知るにはもっと深くゲームを進めていく必要がありそうだ。


ちなみに難易度設定は存在し、今回はノーマルでプレイ。ほかには、より簡単になっている“ストーリーモード”と、歯応えのある“ナイトメア”、さらにパズル難易度には“ヒントあり”も用意されていた。
主観で描くサイレントヒル


最初は視界が狭まり邪魔にならないだろうか、と思っていたが遊んでみるとまったく気にならず、体力バーと武器の耐久度バーもそこに表示されたりする(うっすらと)。ゲームプレイ的に意味があるのか問われると、正直なところ違いはないのだが、UI(ユーザーインターフェース)表示が画面上を直接映さないことで、プレイ時の没入感を高める工夫なのかもしれない。

演出と没入感の話で言うと、サイモンの口数はかなり少ない。「何が起きたんだ?」みたいなセリフを放つことも少ない。代わりにサイモンが心の中で感じたことやセリフは画面にメッセージとして表示される。このあたりも主観視点だからこそ、サイモンとプレイヤーが一体になるための仕掛けなのだろう。

ゲームは目的地に向かって探索しつつ、謎解きや戦闘を経てストーリーを進めていく『SILENT HILL』シリーズと同じ流れ。セントアメリアはパッと見ると狭いのだけど、実際に探索すると入れる建物もたくさんあって(うれしい)、狭すぎず広すぎないという印象。また、サイモンはダッシュもできるので移動がストレスになることはなかった。


回復薬や読み物系のアイテムなども落ちているがたくさんあるわけではなく、要所要所に置かれている印象だった。遊び始めた最初は主観視点で細かなところまで見られるため、隅々までていねいに探索しがちだった。けれど、少し慣れると探索すべき場所が小さな●のアイコンで表示されるので「そこを見つけていけばいいんだな」と判明。スムーズに探索できた。



なお、クルマの窓ガラスをすべて割りながら探索したが、クルマの中にアイテムがあることはなかったので、もしかしたら『SILENT HILL 2』のジェイムスばりに車上荒らしはしなくていいかも(後述するが代わりに別の使い道がある)。


サウンドメインの恐怖体験
通常パートは霧がかった街を探索するが、おそらく昼というか明るい空間が多いので、暗さでの恐怖感はほとんどなし。屋内に入ると電気が通ってない場所がほとんどなので、ライトを照らしながら探索することになったりも。

恐怖的な演出やシーンはあまり盛り込まれていない印象で、たとえばいきなりクリーチャーが現れてドーン! みたいなシーンは体験した限りではなかった(立ち回りによっては遭遇するかもしれない)。代わりにサウンドで恐怖感を煽っている印象。何かが起きたかもしれない、何かがいるかもしれない、そんなことを予想させるようなサウンドがゲーム全体を包んでいる。

ただ正直言って、恐怖演出などが起きたことを視認できなかったシーンが多かった。どこかの部屋に入るときやドアを開けた際など、筆者はすぐさま屋内のどこに探索できる場所があるのか探すという効率重視のゲームプレイをしていた。そうすると、入室から数瞬後に確実に何かが起きたような音が鳴っていても、その方向に視点が向いておらず見逃してしまうということが多かったように思う(見ていないから、じつはシンプルに起きていなかったのかもしれないけれど)。
道を進んでいたら後方で物が崩れて道が塞がれた、みたいなシーンもあったが、そのときもサウンドだけで表現しており、サイモンの視点はプレイヤーに委ねられている。そのときは後方を見て確認できたのでわかったが、そのまま進めば道が塞がったことを視認せずに進むことにもなる。せっかくならば、何か起きた際はサイモンの視点(カメラ)をある程度ゲーム側で誘導してもよいのではないかな、と感じた。
独特の要素・ポケットテレビ


ひとつが、謎解きのヒントまたはつぎの行き先を示してくれること。謎の女性が、ふんわりどこに行けばいいのか教えてくれる。謎解きのヒントは明確に何かを教えてくれるわけではないが、テレビにチラチラと「ここを見ればいいですよ」みたいな場所を示してくれる。とはいえ、いい意味でものすごくわかりやすく作られてはいないため、プレイヤーがピンと来て気持ちよく謎を解ける余地がきちんと作られている。


もうひとつが、敵の位置を壁越しに確認できること。近くに敵がいるときだけ、敵の位置がわかるチャンネルがCRTVに表示される。チャンネルを合わせると、その敵がどこにいるのか方向が示され、そこにCRTVを向けると敵のシルエットが透けて見える。



ステルス要素などに使えるもので、本作は敵が近くにいるとなんとなくサウンドでわかるようになっている。そのときCRTVを構えていれば、敵がどこにいるのか把握できるため、曲がり角でいきなり襲われる、みたいなシーンは自分で減らせるのだ。“ビックリするシーンは少ない、人によっては起きることもあるかもしれない”と先述したワケはココ。

細かな部分で謎解きにCRTVそのものを使うシーンもあり、RGBを調節して鍵を開けるヒントを手に入れることも。ここはミニゲーム風になっており、ジャイロセンサーでコントローラーを傾けながらギミックに挑んでいく。ちょっとレトロな感じがCRTVにマッチしていて不思議と楽しさが感じられた。

CRTVは、ものすごく画期的な何かがあるかというとそうではないが、テレビに流れてくるちょっとした情報から謎を解くのは新鮮な楽しさもあった。重要なアイテムではあるが、事前情報よりも画期的だと感じた部分は少なかったので、おそらく物語を進めるにつれて重要度が増し、ポケットテレビだからこその演出も楽しめそうだ。
ちなみにCRTVとは関係ないが、舞台は1996年なのでパソコンはあるもののOSは古く、回線もダイヤルアップ。人のメールからヒントを探るシーンが多々あるのだが、初回起動時のみ「ピーガガー」とダイヤルアップ回線の音が流れてニヤリ。古めかしいガジェット好きにはたまらない要素がちらほらある。
謎解きはほどよいヒントあり

謎解きの難度自体は変わらないし答えを教えてくれるわけでもないので、人によってはつまずいてしまうかもしれない。実際、“ヒントあり”設定でもピンとこないと、何をすればいいのかわからないという場面も少なくなかった。ヒントから数字を予測して入力するものや、CRTVに映し出された場所を探して謎を解くなど、その手法はさまざま。

ユニークだったのは最序盤に“電力カードを差し込んで代金を支払い、電気を通す”といったシーン。そんな電力あるのかな、ゲームだからそうなってるのかな? と思っていたが、実際にスコットランドでは昔そういった形で電気代を払っていたのだとか。へえ。

シンプルでリスキーな戦闘


慣れてくると「ガードしてからその隙に殴ればいいんだな」と気づき倒せるようになったので、筆者は見かけ次第ガンガン敵を倒していった。が、本作はそれだけではどうしようもない部分があり、武器には耐久度があるのが厄介。殴ったりガードすると耐久度が減り、最後まで減ると武器が消滅する。


これは前作『SILENT HILL f』にもあった要素だが、あちらよりも武器はかなり貴重だ。(少なくとも試遊範囲内では)1本しか近接武器を持ち歩けず、壊れそうになったら探して交換するくらいしかできず、しかもたくさん武器が落ちているわけではない。
そのため、戦闘が起きそうになったら回避したほうが基本的には安全だろう。筆者は探索中に敵が現れたり邪魔されることがイヤなので、見かけたら全員倒していく蛮族スタイルで進めていたわけだが、肝心な時に貴重な角材が壊れてしまってどうしようもなくなったりした(武器がないと攻撃すらできないのだ!)。


ピストルも弾丸の数がかなり限られているほか、敵は頭に2発当てないと倒せなかった。そのため、外したら超もったいないし、発砲音が大きいのでほかの敵を呼びよせてしまう場合もある。ピストルは切り札でありながら、そんなに強くないという絶妙なバランス。リロードも1発1発リボルバーにゆっくり弾を込めるので、とにかく遅い。がんばれサイモン。



後半に体験した裏世界のようなパートから戦闘がより楽しくなった。大きなポイントは投擲武器が使えるようになったこと。レンガやビンなどを拾っておくと、いざというときに敵へ投げつけることでひるませられる。ひるませてから攻撃するもよし、そのままスルーして逃げてもいいし、道に投げつけて音を立て、敵を誘導することもできた。


今回体験した範囲で接敵したのは、頭に看板が刺さったような見た目のクリーチャーと、何かを飛ばしてくる遠距離型かつ近づくと拘束してくるクリーチャーの2体だけだった。もちろんこの2種類で全員だということはないだろう。しかし、クリーチャーも何かしらの意味を持っているというのがシリーズのお約束でもあるので、製品版でもそこまで大量の種類が現れるわけではないと思われる。

主観で恐怖も増すステルス
主観でしゃがみのステルス移動、というところで視界が悪くなりがちだが、本作には“のぞき見る”というFPSでの“リーン”のようなアクションがあり、身体の角度をある程度自由に操作できる。これによりただしゃがんでいるだけでは頭が出てしまうようなところも、より身をかがめられたりする。

“のぞき見る”状態ならば、こちらから敵がそれなりに見えていても、敵からはこちらを感知しにくい。CRTVで壁を透過した敵を見たり覗き込みで敵の位置を把握したりして隠れて進んでいくというのが基本となりそうだ。なお、敵に近づかれずに背後に回ったとしても、一撃で倒せるステルス攻撃のようなものは発動しないので、隠れて進む場合は徹底して気づかれないことが目標になっている。


先述した投擲武器で敵を誘導できるほか、町中のクルマのガラスを割ると警報が鳴るのでそれを利用したり、設置されたラジオを鳴らすなど、ステルスプレイに役立つギミックもいくつか用意されている。
見つかったときは発見音が鳴り、敵に気づかれたことがわかる。民家やロッカーに隠れることも可能で、うまく使えば発見されたあとも安全にやり過ごせる。ただ、サイモンのダッシュ速度は敵の速さとほぼ同等。走り回っているだけでは追いつかれてしまう。
扉や隙間などを活用すれば撒くことも可能だったのだが、見つかったらほぼ戦闘するしか手段はない。しかも敵の強さは油断できない……といった設計で、サバイバルホラーのような恐怖感はかなり強く感じる。
やはり気になる、ストーリー!
電話ボックスがセーブポイントになっているのだが、何かに電話をしてセーブする仕組みになっている。このあたりもきっと物語に関わるはず。ちなみに、電話ボックスは入れば無敵になる模様(助かる!)。敵に見つかったら逃げ込むのもひとつの手だろう。


情報が書き込まれていく地図とにらめっこしながら、町を探索していく感じはまさに『SILENT HILL』。まだ解いてない謎がある場所や目的地なども逐一メモされていくので、基本は迷うことなく試遊版の最後までゲームを進められた。
ちなみに、本作開発スタジオのあるスコットランドが舞台となっており、再現度もきっと高いと思われる。個人的にスコットランドらしい点はよくわからなかったのだが、クルマのナンバープレートの“正面が白色、後部は黄色”なのはスコットランド(というかイギリス)の特徴だという、某ゲッサー的な地理当てゲームで学んだ知識通りで、「ああ、これはイギリスのナンバープレートの特徴。スコットランドらしいな」と思えたのはおもしろかった。

マルチエンディングも採用されているとのことで、主観視点という新たなシステムを採用しながら『SILENT HILL』シリーズらしい魅力と霧に包まれた本作。発売を楽しみに待とう。












