『エルデンリング ナイトレイン TRPG』戦闘は緊張の連続、モブ戦は一瞬。探索はサイコロの出目。マジカル無頼漢もいる。アクションが苦手でもこっちの『NIGHTREIGN』なら大丈夫

『エルデンリング ナイトレイン TRPG』戦闘は緊張の連続、モブ戦は一瞬。探索はサイコロの出目。マジカル無頼漢もいる。アクションが苦手でもこっちの『NIGHTREIGN』なら大丈夫
 『エルデンリング ナイトレイン』(以下、『ナイトレイン』)のおもしろさとは何か。
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 もちろん答えは人によって異なるだろうけど、筆者としては「高いリプレイ性だ」と答えたい。豊富なランダム要素が生み出す、プレイごとの違った展開。“強化”ではなく、“経験”を積み重ねていく感覚。それこそがおもしろい部分だと。
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 『ELDEN RING NIGHTREIGN TRPG』(エルデンリング ナイトレイン TRPG)には、そんなおもしろさがぎゅっと詰め込まれている。もちろんTRPGなので、アクションゲームの腕前は関係なし。サイコロとペン、そしてルールブックさえあれば、『ナイトレイン』の世界を誰でも堪能できるのである。

 このTRPGは2026年6月19日発売予定。ルールブックは400ページを超える大ボリュームで、“深き夜”モードやDLCの夜渡り(キャラクター)、エネミーたちもしっかり収録し、価格は4950円[税込]。原作ファンもTRPGファンも、この体験リポート記事を読んで本作をお待ちいただければ幸いだ。
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遊び方はマンガでわかりやすくまとまっている。全体的に初心者でも遊びやすい作りになっているので、TRPGに不慣れでも安心。

成長は完全ランダム。武器の取得もスキルの強化も、そのとき限りの楽しさを

 世界観は『ナイトレイン』と同様だ。狭間の地・リムベルドにて、滅びの大雨が降る“夜”に抗う夜渡りたちの物語。彼らの目的は、この大雨を世界にもたらした“夜の王”を打ち倒すこと。

 夜渡りたちは3人のパーティーを組み、リムベルドを駆け回って夜の王の打倒を目指す。雨の影響でだんだんと狭くなるフィールドを駆け回り、強力な敵を打ち倒し、使えるアイテムがないか探索し……制限時間である3日間を生き抜いて、最後のボスを目指すのである。
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ルールブックの中には『ナイトレイン』のプロローグも掲載されている。誌面で確認できるのはこれが初かも。
 TRPGとは電源を使わないアナログゲームの1種。その種類はさまざまだが、この『エルデンリング ナイトレイン TRPG』は、ダイス(サイコロ)を用いてゲーム内のランダム要素を再現したもので、比較的オーソドックスなスタイルと言える。

 たとえば『ナイトレイン』では“潜在する力”などから入手できる武器がランダムに決定されるが、このTRPGではダイスを振ってその内容を決める。まずひとつダイスを振って、出た目が5以上ならレア武器。さらにダイスを振ってレア武器の中身を決めて……といった具合だ。
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武器の種類や性能などは、ルールブック内に記載されている。
 戦闘でどれだけダメージを与えられるのか、敵からどれぐらいダメージをもらうのか。そういったランダム要素はダイス任せ。実際のゲームのようにキャラクターを動かすアクション要素を楽しむわけではなく、ダイスの出目に基づいたシミュレーションを楽しむようなイメージになる。

 エネミーを操作したりルールブックを参照して裁定を下したりするゲームマスターと、キャラクターを操作するプレイヤーに分かれてゲームを行う。本作ではプレイヤーの参加可能人数は1人~4人。とはいえ原作が『ナイトレイン』なので、3人がもっともバランスの取れている状態とのこと。
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『ナイトレイン』といえば3人1組。だけどTRPGでは4人プレイも可。その辺りはアナログゲームなので、急に人が増えても対応できるように余裕を持たせた形だろうか。
 ダイスのほかにはトランプを使う。トランプを並べて疑似的なマップを作り、その上で進行していくのだ。どこに進むのか、何をするのかをプレイヤー間で相談しつつ、行動をゲームマスターに伝える。その行動に対して「いまこういうことが起きましたよ」とゲームマスターが返し、ダイスを振ったり振らなかったりしながら進める。「敵がいたから戦闘です」とか、「宝箱が奥にあるけどで敵を無視して取りに行きますか?」とか。

 そうしてルーンや装備を稼ぎながら敵を倒していき、最終的に夜の王を撃破、あるいはパーティーの全滅で、1セッション(1プレイ)が終了。リアルな空間で行うゲームなので、会話での相談や視覚的な楽しさが大きな魅力のひとつだ。
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みんなで協力しながら準備を行うことも。「ハートの9探してー!」などと言いながらゲームマスターがマップを作るのを手伝ったりして、全員でゲームを作っていくのも醍醐味。
 やはりポイントは、『ナイトレイン』でありつつも、アクションゲームではないということ。それは果たして『ナイトレイン』なのか……と、疑問を持つ方もいるだろうが、その点に関しては自身を持ってこう答えさせてほしい。「間違いなく、『ナイトレイン』であった」と。

 ……なんだか『ナイトレイン』『ナイトレイン』と言いすぎてくらくらするが、とりあえず“らしさ”を随所に感じたことは確かだ。

 その大きな理由はシステム面。『ナイトレイン』におけるプレイアブルキャラクターである“夜渡り”の成長は、パーティー全員が倒される(失敗)か、夜の王を倒す(成功)かすればリセットされる。攻撃力などは拾える武器によってかなりの差が出るものの、いい武器が出るかどうかはランダム。武器ではない恒久的な強化もあるが、その内容もプレイごとに違っている。

 ランダムな強化を積み重ね、プレイするたびに強化内容はリセットされる。つまり『ナイトレイン』はアクションゲームでありつつも、“ローグライト”的な側面が強いタイトルでもある。
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 『エルデンリング ナイトレイン TRPG』も、その気質を引き継いでいる。敵を倒してルーン(経験値)を稼いで、レベルアップで成長するという要素は変わらないものの、その強化内容がランダムに決定されていくのである。

 レベル3までは各夜渡りの持つスキルやアーツを習得していくのだが、レベル4以降は2個ダイスを振って出た目によって、パッシブスキル(恒久的な強化)や新しい技を習得していく。
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この“キャラクターシート”に、自分が使うキャラクターの成長を書き込んでいく。
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レベルアップで強化される内容などは、すべてキャラクターシートに書いてある。ルールブックを参照せずともいいのが気楽だ。
 これは武器においても同様。フィールド探索の結果や、敵を倒すとときおり入手できる“潜在する力”などから武器が手に入るのだが、この種類や等級もランダムで決定。プレイヤーそれぞれが選択した夜渡りごとに“得意武器”としてある程度の指向性はあるものの、望みの武器が手に入るかは運次第。ダイスの出目であらゆる強化内容が決まっていく。
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消耗品や武器など、なにが出るかは完全に運。『ナイトレイン』で拠点をあさる楽しさを思い出す仕様に。
 これがまあ、なんともおもしろい! 成長のたびに、武器を新たに獲得するたびに、「つぎは何が出るんだろう」というワクワクが止まらない。

 それに、強化にともなう会話がすごく『ナイトレイン』っぽい。「俺この技手に入ったからめちゃくちゃ強くなったよー!」とか「この武器ヤバい! 超強い!」というポジティブな報告が飛び交ったり、中には「ぜ、全然ほしい武器来ないんですけど……」と落ち込む人を励ましたり。TRPGっぽさと『ナイトレイン』らしさを両立したゲーム体験が味わえる。
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もしかしたらこんな風に、いっぱいのレジェンド武器が入手できるときもあるかもしれない。ランダムって楽しいよね。
 レベルアップごとのランダムな成長は『ナイトレイン』になかったものではある。これはゲームプレイ後に手に入る、ランダムで性能が決定される装備である“遺物”の要素を落とし込んだもの。「どういう遺物が手に入るかな~」というワクワクを、ゲームプレイ中に味わえるように工夫されているわけだ。

 TRPG的にはポピュラーな、いわゆる“表からの抽選”で、原作の持つランダムの海を泳ぐ楽しさを的確に表現している。これこそが『エルデンリング ナイトレイン TRPG』のもっとも大きな特徴である。

炸裂! マジカル無頼漢殺法! 雑魚には魔術で、ボスには筋肉で。

 さて、ここからは実際のゲームプレイに沿って各要素をお伝えしていこう。まずプレイヤーはそれぞれプレイする夜渡りを選択。筆者は無頼漢を選び、ほかのふたりは追跡者と鉄の目を選んだ。

 前述した通り、成長や武器は抽選で決定される。だがその傾向は夜渡りごとに違っており、たとえば追跡者は大剣が出やすく、鉄の目は弓が出やすい。無頼漢は“ジャンプ攻撃”や“タメ攻撃”など、彼を象徴するような行動を成長によって習得できる。

 そして、その情報はすべてキャラクターごとのシート(プレイヤーの情報を書き込む紙)に刻まれている。「このキャラのレベルアップ報酬はこれ。潜在する力から入手できる武器はこれ」といった具合に。
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というわけで、筆者が選んだ無頼漢のシートを見ていただこう。おや? 得意武器欄に杖の文字が……。
 そう、筆者の無頼漢はただの無頼漢ではない。知力の高いナイスガイ。通称“マジカル無頼漢”である。

 なんと本作では、各夜渡りに通常バージョンと暗黒スキンバージョンの2種類のシートが用意されている。この無頼漢(暗黒)は、通常の無頼漢に比べてHPが低くて特大武器を手に入れにくいものの、知力による補正が高く魔術を使ったトリッキーな戦いが可能。原作の遺物“精神力/知力上昇、生命力/持久力低下”の要素を落とし込んだものだと思ってほしい。
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通常無頼漢のキャラクターシートの全体はこんな感じ。
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HPと加護(ダイス振り直し用のリソース)が暗黒よりも高く、得意武器も違う。得意武器とは「探索中この種類の武器を集めやすいですよ」ということだと思ってほしい。
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本作を手掛けたゲームデザイナーの加藤ヒロノリ氏がゲームマスター(進行役)を務めてくださった。「マジカル無頼漢は通常型に比べると修羅の道ですよ(笑)」と言われたが、『ナイトレイン』本編で暗黒スキンを愛用している身としては選ばざるを得なかった。
 マップはトランプを使った3×3の9マス。すべて裏向きで置き、隣接のマスに設置されているトランプを表向きにする。そのとき表示されたトランプの数字によって、その位置にあるのが教会なのか、遺跡なのか、はたまた砦なのかがわかる仕組みだ。

 マスにはそれぞれ祝福や商人など、原作にも登場するさまざまなオブジェクトがイベントとして配置される。こちらはトランプの面に依存しないオープンな情報として扱われる。
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スタートは右側(画像奥側)に置いたハートのAから。わかりやすいようにコマを置いて開始。
 各マスで各種の行動を取るごとにタイムロス(時間経過)が発生。一定のタイムロスが発生するたびに、フィールドを雨が覆う。原作では円形に縮小する形だったが、本作では処理をシンプルにするために開始地点に近いマスが3つ雨により潰されていく。上の画像だと、右から3マスが潰されてしまう形だ。

 では右側に配置された地形は絶対に探索できないのかというと、まったくもってそんなことはない。というのも、1日目と2日目ではスタート地点と雨の侵攻もまったく逆方向になるからだ。1日目で早々に潰されてしまったマスは、2日目にゆっくり探索できる場所になる。原作ほど地形や雨のランダム要素に翻弄されることはないものの、“マップの状況を見て作戦を立てる”おもしろさはしっかりと再現されている。
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タイムロス時には敵が強化される、聖杯瓶(回復アイテム)の使用数が少なくなるなど、“脅威”と呼ばれるこちらにとって不利な効果が発生する。
 戦闘はとてもシンプル。敵と遭遇したら各夜渡りに応じた“アクション”のダイスを振り、それらを使って自分の行動を決めていく。『ELDEN RING TRPG』を触っている方には“スタミナダイス”と言えば通りがいいだろうか。
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無頼漢の場合はダイスが5つ。初戦闘ではこんな感じの出目だった。
 攻撃など戦闘中の行動には、それぞれ最初に振ったダイスの出目を使用する。たとえば“無頼漢の大斧”で攻撃をする場合は、合計が7以上になるようにダイスを消費しなくてはいけない。

 上記のようなダイスの出目(2、3、3、5、6)の場合は、5と3(合計値8)、6と2(合計値8)といった組み合わせでダイスを使えば、無頼漢の大斧で2回攻撃ができる、といった具合。攻撃のダメージや使うダイスの出目は、武器の種類によって変わる。

 これは戦技や魔術も同様。“バックラーパリィ”などの強力な戦技は、発動にダイス2個の連番(1と2、3と4など)が必要になり、ただ大きな出目を出すよりも運が絡むものになっている。
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実際に攻撃のコストとしてダイスを使った場面。1HIT=コスト7なので、5と3、6と2を支払って、2HIT攻撃を使っている。
 自分の攻撃ターンが終了すると、相手の攻撃ターンに。先ほど自分の攻撃で使わなかったダイスはここでガードや回避、防御用の戦技などに使用する。より大きい出目を残していたほうが体力を残しやすいので、攻撃と防御でどうダイスを配分するのかを考えるのがとても重要。

 敵の攻撃は非常に、非常に強力。夜の王ともなれば、一撃で全部の体力を持っていかれることもザラにある。「回避もガードもせずにフロムの敵が倒せるわけないだろうが!」ということだろう。もしプレイするならば、ちゃんと防御用のダイスは確保しておくことを強くオススメする。
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ちなみに雑魚敵と戦闘をする場合、自分の攻撃ターンが終わった時点で戦闘が終了する。そのときは相手の残った体力量に応じてパーティー全体がダメージを受け、ササッと戦闘が終わる仕組みになっている。
 とはいえこのゲームは『ナイトレイン』だ。もし倒されてしまっても、攻撃を味方に当てることで蘇生することができる。もちろん蘇生に必要なダメージは倒れるたびに上がっていくので、何度も倒されないようにはしないといけないが。

 アーツを使えば、敵に大きなダメージを与えつつ味方を蘇生することも可能。このあたりも熱い原作再現だ。
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最初の復帰は20ダメージを3回。つぎは30ダメージ、40ダメージ……と、つぎつぎ上昇していく。
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アーツは1日に1回だけ使用できる。とても強力な代わりに、『ナイトレイン』のように「雑魚狩りに使っちまえー!」とはいかない。
 自分たちの攻撃ターンと相手の攻撃ターンが交互に行われる関係もあり、戦闘の裁定はとても簡単だ。プレイヤーは自分の消費するダイスとダメージを伝え、ゲームマスターはその合計値から敵のダメージを計算するだけ。

 その裁定をより簡単にしているのが“モブ”システム。『ナイトレイン』では群れで戦うエネミーも、このTRPGでは単体の敵として処理する。その代わり、たくさんの敵を引き連れて戦うタイプのエネミーはモブという特殊な追加体力を持つ。これで群体っぽさを表しつつ、「この敵にこれぐらいダメージを与えて~……」という、複雑な裁定をなくしている形だ。

 原作で広範囲に攻撃できる魔術や戦技は、直接モブ自体を削れる追加効果を持つ。群れの敵を強力な単体攻撃で少しずつ削っていくとたいへんだが、範囲攻撃なら楽。初心者でもマスタリング(ゲームの進行)がしやすいようにしつつ、それでいて原作らしさを失わない、とてもいいシステムだと感じた。
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前衛/後衛の概念もある。慣れないうちはHP管理など戦闘をわかりやすくするシートを使って、丁寧に戦闘を進めるとわかりやすいかも。
 筆者が“マジカル無頼漢”でプレイしていたことも、このシステムのよさを深く感じられた要因に思う。

 というのも、道中で“輝石のアーク”がついた死王子の杖を獲得できたためにモブ削りで大活躍できたのである。
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輝石のアークは、原作でも超低燃費で雑魚を一掃できる便利な魔術。このTRPGでもその強さは健在だった。
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『エルデンリング ナイトレイン TRPG』でも燃費のよさは健在。FP消費が少ないので、無頼漢でもモブとエネミー本体に複数回の同時攻撃が可能。
 そして当然、無頼漢でもあるので単体攻撃はとても強い。このゲームにはいわゆる“強靭削り”があり、特大武器などの重たい武器はエネミーを攻撃してガードを削り、味方全体のダメージを底上げできる。

 これにレベルアップで習得できる“ジャンプ攻撃”を組み合わせることでさらに相手のガードを崩しやすくなり、対ボスなど単体相手の戦闘もお手の物だった。
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ジャンプ攻撃は、サイコロを2個使用するものの相手のガードをさらに削る効果を持つ。特大武器との組み合わせがとても強力。
 もちろんスキルである“逆襲”も強力。ダイスを使わずに相手の攻撃を受けられるので、攻撃でダイスを使いつくしても安心。

 最終的には一心不乱に杖を振り回して雑魚敵を処理し、ボスだけになったら今度はぴょんぴょんどすどす飛び上がりながら強靭を削る。相手の攻撃ターンは逆襲で耐えて……と、やたら有能なマジカル無頼漢ができ上がっていた。紙とペン、サイコロでの戦いなので、生命力や持久力が減ったことによるつらさをあまり感じなかったのも大きいだろうか。

 筋力の高さも知力やFPの高さも無駄にしない、おもしろい戦いができたと思う。筆者は『ナイトレイン』ではもっぱら筋力もりもりの無頼漢で遊んでいたので、マジカル無頼漢で存分に遊べたのは本当に楽しかった。
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ずっとこんな感じで遊んでいたので……。マジカル無頼漢、楽しそうだし今度『ナイトレイン』でもやろっと。

「またやりたい!」と思わせてくれる、『ナイトレイン』らしい楽しさで駆け抜けた2時間半。

 そんなこんなで夜の王も討伐。3日間をがっつりプレイするとそれなりに時間がかかってしまうので、1日目をプレイした後は簡易的な処理で2日目を通過。最後は筆者だけ“夜の獣、グラディウス”に倒されるものの、危なげなく討伐してクリアー。セッションは終了となった。
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終了後にあーだこーだと全員で感想と雑談をする。こういう時間が楽しいよね。
 相手に与えるダメージを底上げするスキルを持つ鉄の目、初期装備から相手の攻撃を完全に打ち消せる“バックラーパリィ”を持ちつつ高火力を出せる追跡者と、味方もそれぞれの夜渡りらしい動きで戦闘を進めていたことも印象に残っている。

 それでいて、パッと見た限りでは進行がそこまで難しくないように見えたのもおもしろい。『ナイトレイン』のファンかつTRPG初体験の人でも遊べるように配慮して製作しているとのことだが、その狙いはうまくいっているのではないだろうか。

 ちなみに、前述した簡略的に2日目を終わらせる方法もルールブックに細かく記載されている。これなら初心者でも3時間半ほどでプレイが終わるため、手軽に1セッションを遊ぶことも可能だ。
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最終的に魔術を撃ち終わったらトロルハンマーを両手で持ってジャンプ攻撃しまくる人になっていた。ボスに倒されはしたけども、とても楽しいひとときだった。
 遺物がない(正確にはレベルアップの報酬に含まれている)ため、セッションごとの成長はとくにない。つまりはルールブックさえ持っていれば、どこでも誰でも、同じ条件で好きに遊べるということ。愛用のキャラクターを育てて遊ぶのも楽しいが、この“その場限り”感がなんとも『ナイトレイン』である。

 なにより、成長のランダム性がとてもおもしろい。ランダムな代わりに成長報酬や武器の性能などが強めに調整されているようにも感じたので、運が悪くてもまったく戦えないということはなさそう。もちろん運がよければ強いキャラクターでサクサク進める楽しさも味わえる。
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 装備など、各種データが膨大なので、そこはプレイしていてたいへんかもしれない。しかしそのデータが充実しているからこそ「これは『ナイトレイン』だ!」感があるとも言える。そこは一長一短だろうか。

 今回は遊べなかったが、DLCに登場したマップ“大空洞”や、より高難度なコンテンツ“深き夜”のモードもあるという。深き夜は難しくなる分、自分でレベルアップ時の成長報酬を選べるので、より柔軟にビルドを組めるようだ。

 筆者はこの日、3時間ほどプレイしただけの身だが、正直いま原稿を書いていて「ぜひとももう1回プレイしてみたい……ッ!」という気持ちに支配されている。とくに深き夜の追加要素はとても気になるところ。

 そんな『エルデンリング ナイトレイン TRPG』の発売日は2026年6月19日。価格は4950円[税込]。かなり遊びやすく作られているように感じたので、ぜひとも「『ナイトレイン』はやったことあるけどTRPGは未経験で……」という人にも触ってみてほしい。

「深き夜でぽんぽん死ぬようじゃないと、真の『ナイトレイン』とは呼べない」加藤ヒロノリ氏インタビュー

 プレイ後には本作のルールを作ったヒロノリ氏にインタビュー(文中では加藤)。『ナイトレイン』をTRPGに落とし込む際に苦労した点などを伺った。
――製作期間はどれぐらいでしょうか。

加藤
 『ナイトレイン』自体の発売が2025年の6月で、7月ぐらいからぼちぼちと作り始めて……1年はかかってないくらいでしょうか。締め切りがだいたい2026年3月前後だったので、前年12月に発売されたDLCの内容を詰めるのはたいへんでしたが、瓦礫の王や学者、葬儀屋などの要素も全部入れてあるので、ファンの方々には喜んでいただけるではないでしょうか。

――TRPGというジャンルに落とし込む際に苦労した点はありますか。

加藤 『ナイトレイン』って、すごく展開が速いじゃないですか。それこそ景色を堪能している暇もないぐらいに。でもその“速さ”がおもしろいと思ったので、その速度感を表現することがいちばんのテーマでしたし、同時にいちばん苦労した部分でもありますね。

――先ほど遊ばれていた際にも、「けっこういろいろな部分を削った」と話されていました。具体的にどういう部分を削ったのかをお聞きしても?

加藤
 最初はマップがもっと複雑だったんですよ。それこそゲーム内に準拠した円形のマップで考えてまして。

 でもそれだと雨の表現がすごく難しかったんですね。しかも1日が終わるまでどれだけ時間がかかるかわからない。最初なんて、6時間ぐらいプレイしてもまだ1日目が終わってませんでしたから(笑)。ですので、マップ部分の表現は「物足りない」と感じないくらいのギリギリまで削って、いまの3×3の形にしました。

――短縮版のチャートもありましたが、それも短く遊ぶための気遣いというか。

加藤
 TRPG的には、だいたい3時間ちょいくらいで遊べるくらいがいいと思うんですよ。本作の場合、ゲーム内の1日がちょうどそれくらい。原作は3日間ありますので、それをすべて表現すると、どうしても6時間以上かかってしまいます。なんとかもっと時間を短縮できないかと考えたんですが……。

 これ以上削っちゃうと、TRPGもへったくれもない、ただの記号のぶつかり合いになっちゃうと思うんですよね。そうならないギリギリで、かつ『ナイトレイン』らしい探索の醍醐味も残しつつ……となると、これが限界かなと思います。

――逆に、絶対に削れなかった部分ってなんでしょうか。

加藤
 フィールドの探索感ですね。戦闘はたぶん、限界まで削っていると思います。

 とはいえシナリオをくり返して遊んでいくと、どうしても同じロケーションに行くことになると思うんですよ。「ああ、また炎属性の大教会か」みたいな。でもそこはシナリオごとにランダムに決定することもあるようにしたりして、なるべく違った体験ができるように工夫しています。「お、今回はこうなったか」という感覚で、『ナイトレイン』っぽさを味わってもらえるんじゃないかなと。

――たしかに。このシステムだと毎回違った遊びが楽しめそうですよね。

加藤
 ……本当はシナリオごとに全部のロケーションで違った展開を書こうと思ってたんですけど、さすがにページ数が足りるわけないので。ただ、全員分のジャーナルは初めからエンディングまで全部が載っています。最初はセリフも含めて全部小説風に書いてたんですけど、「あれ、これ1キャラ20ページぐらいかかるぞ!?」と気付いてやめました(笑)。その分しっかりセリフなどは抽出して載せているので、読むだけでストーリーを追体験できるものになっているかと。

――載っているイラストもすごく力が入ってますよね。

加藤
 そうですね、イラストレーターさんががんばってすばらしい絵を仕上げてくれました。
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夜渡りイラスト:NIRA
――データの種類も膨大でしたが、原作からはどれぐらい網羅されているんでしょう。

加藤
 武器の種類は、松明を除いてほぼ全部入っています。盾だけすごく数が多かったので、表に収まるレベルにまとめてはいますが、それでも5個入っていないぐらいだったかと。

 戦技は武器ごとに6個まで厳選しているので、いくつか原作からは削っている状態です。

――今回TRPGを製作するにあたって、遺物を獲得する方式じゃなくしたのはなんででしょう。

加藤
 キャラシートに書き込む形で再現できなくもないとは思ったんですが、そうするとゲームプレイ後の遺物獲得抽選とか、それを記録する手間とか、つぎのキャラに当てはめとか考えると2時間ぐらいかかっちゃうんですよね。それにページ数も、遺物だけでかなりのページを割くことになりかねない。

 遺物による強化が加わることで、シナリオが進むごとにキャラクターが強くなってしまうと、それ用にエネミーやイベントを調整するルールが入ってきたりして、GMの負担が増えます。今回はキャラクターシート自体も遊びやすいように工夫して作ってあるので、そこに直接書き込んでもらうのもプレイヤーがたいへんだろうと。いろいろと検討はしたのですが、今回は“レベルアップ遺物”という形に落とし込みました。

――であれば恒久的に強化される要素は一切なく、セッションごとの強化のみだと。

加藤
 そうなります。キャラクターシートに書き込んで~……みたいなものは、全部“深き夜”の強化要素に回しました。ぜひともこちらは一度遊んでいただきたいなと!

――ちなみに、深き夜はどれぐらい難しいのでしょうか。

加藤
 タイムロスでどんどん追加されていくペナルティ(聖杯瓶の減少や敵のダメージ増加など)があったと思うんですけど、あれらが最初から発動した状態でのプレイになります。深度に応じて、最大5個なにかしらのペナルティを背負った状態でのスタートですね。

 それと、敵に赤いやつ(変異体)が出るようになります。倒せば赤い武器も手に入りますが、ダメージが高い代わりにマイナス効果がついているので、使いどころが難しい。

 そのぶん付帯効果もたくさん身に付けられたり、レベルアップ遺物を自分で選べたり、プレイヤー側はカスタマイズが豊富になっていくんです。たとえば隠者だと、魔術のダメージがすごく高くなる代わりに加護(ダイス振り直し用のリソース)がゼロになるピーキーなビルドもできますよ。

 実際、歴戦のテストプレイヤーたちも、深度5ではぽんぽん死んでました(笑)。でもそれぐらいじゃないと、真の『ナイトレイン』とは呼べないと思います。

――難度の向上を“ビルド”というプレイヤースキルで埋めるというのもいいですね。

加藤
 多少強くなりすぎても、『ナイトレイン』の場合1回のプレイで終わるからいいと思うんですよ。これが『ELDEN RING』だと、ずっと引き継ぐことになってしまう。なのでバランスがちょっとざっくりでも、みんなが楽しめるほうがいいかなと。

――そこも『ナイトレイン』ならではですね。前回の『TRPG ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』のときにも思いましたが、今回もプレイしていて、本当にすばらしい再現度だと思いました。

加藤
 ありがとうございます! 原作『ナイトレイン』とまったく同じ体験……とまではいきませんが、原作を遊んでいる皆さんに「おお! それっぽい!」と喜んでいただけることを目指してがんばりましたので、いろいろな方に遊んでいただけるとうれしいです。
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