今夏にプレイステーション5/Xbox Series X|S/PCで発売予定のサバイバルホラーゲーム『The Sinking City 2』。本作のPC版プレビューデモをプレイしたので、その内容をご紹介しよう。 なお今回プレイしたバージョンは英語だったが、製品版は日本語にもテキストで対応予定となっている。
ラヴクラフト的世界をさまようコズミックホラー
さて本作は、2019年発売の『The Sinking City』の続編。H・P・ラヴクラフトらが生み出したクトゥルフ神話の作品群に影響されていること、水没した街を舞台としていることなどは共通しているが、主人公の設定などに直接的な繋がりはない(世界設定は繋がっていたりするのかもしれないが!)。

前作に引き続きボートが水没中の街での重要な足となるのだが、後述するようにゲームの進行の作りは前作と異なる。
今作の主人公となるのは、オカルト研究者のカルヴィン・ラファティ。儀式の失敗により昏睡状態に陥っている彼女フェイを救う手掛かりを見つけ出すため、水没した街アーカムを冒険していくことになる。今回のデモでは、最序盤のミスカトニック大学の別棟と洪水で孤立した教会の探索、そして製品版ではもっと後のパートにあたるエイクリー記念病院での探索を体験できた。
一応書いておくと、前作プレイヤーである必要はないし、別にクトゥルフものに詳しくなくても単体のホラー作品として楽しめるはずだ(筆者もそこまで詳しくない)。……しかし、恐らく上の説明で気付いた人も少なくないかと思うが、クトゥルフ作品にちなんだ固有名詞や場所などはいろいろ出てくるので、詳しい人は詳しいなりにニヤリとできるだろう。

エイクリーってもしかして……とか、詳しい人は考察が捗るかも。
不完全なオープンワールド推理ゲーから、よりモダンなサバイバルホラーに
本作を開発するFrogwaresは、シャーロック・ホームズの推理アドベンチャーゲームを数多く手掛けてきたスタジオ。そんな経緯もあってか、前作は推理アドベンチャーの土台に不完全なオープンワールド要素とTPS要素がついたような、良く言えばチャレンジング、悪く言えばちょっと中途半端な作りなのは否めなかった。
しかし今回は、一般的なサバイバルホラーにかなり振り切った内容だ。前作のようにオープンワールドの街を調査を進めながら行ったり来たりするのではなく、プレイした限りではセーフルーム以外は常にサバイバルの舞台で、目的地や目標はいつも割とはっきりしており、ほぼストーリーを軸にぐいぐい進行する。
公式には開発は“セミオープンワールド”と表現しているのだが、これは恐らく、ある程度のルートの幅がある中でサイドコンテンツにも挑めるあたりを指しているのだろうと思う。

序盤パートの教会も、謎を調べていくと当初の目的外のやばーい事になったりする。(実は先に進むのに必須の要素ではないらしい)

病院パートはルートがいろいろ入り組んでて、ちゃんとサバイバルホラーの舞台してる。誤解を恐れずに言えばバイオっぽい。
ホラーゲームとしてのクリーチャーデザインなどは素晴らしい
ではサバイバルホラーゲームとしてどうなのか? まずはホラーの部分から行こう。先日公開されたゲームプレイトレイラーなどでもわかる通り、クリーチャーデザインはなかなか名状しがたい感じにグロくてキモく、大変よろしい感じだ。
さらにサバイバルホラーらしい謎ガジェットとか仕掛けも、“通れる人物の生首が表示されている謎テクノロジーの顔面認証ゲート”のような奇怪なものがあり、入手した特定人物の顔の皮をマスクに貼り付けると通れるようになるんだけど、わざわざ貼り付ける時に「ぬちゃっ」となったりしてイヤーン、最高。

本作の至る所にいるワームのような生物“Slither”(スリザー)は、死体を乗っ取って周囲の生者を襲うゾンビのようにしてしまう。

オーバーテクノロジーな嫌デバイス、好き。
一方で、前作にあった“正気度が削れると視界に幻覚がオーバーレイされる演出”がなくなってるのは少し残念だけど、発動時の画面の強烈な歪みとかがキツかった人も少なくないようなので仕方なしといったところか。もちろん邪悪なものを幻視してしまうような描写がないわけではなく、それはカットシーンなどを通じて行われるものとなっている。

両眼からワームを生やしてるマンは敵ではなく、意外と話が通じるヤツ。まぁそれでもなかなかキちゃってるので、カルヴィンを誘い込んでいるのかもしれないが……。

カットシーンでの会話などもなかなか不気味でよろしいです。
戦闘アクションも改善。リソース管理はちょい厳しめ
次にサバイバルホラーとしての戦闘要素は、雑魚敵の体にボコッと飛び出た腫瘍のような弱点を狙っていく新要素が個人的には結構楽しい。ダウンした敵に駆け寄って踏みに行くなどのリスクを取る選択肢や敵の攻撃に対するドッジ(回避アクション)などもあって、モーションにはちょっともっさりしてる部分もあるが、前作と比べるとスタンダードな形になってかなり良くなっていると感じた。
戦闘物資のリソース管理はちょっと厳しめだ。ジャンル的によくあることだけど、物を持てるインベントリには制限があり、武器や各種弾や素材だけでなくクエストアイテムでも埋められていく。
クラフト素材の種類が前作より減ってるようなのは幸いだが、物資の乏しい序盤パートではマジで弾がまったくなくなりそうになったし、逆にクエストアイテムが増える病院ステージの後半ではアイテムが出た場所と荷物を預けられるセーフルームを往復する始末(せっかく増えたサブマシンガンを使うのを諦めたぐらい)。ちょっと極端な感じがしたけど、まぁこのあたりは、製品版を通しでプレイしたらもうちょっと違った印象になるのかもしれない。

スリザーに乗っ取られた敵は腫瘍が弱点。一度破壊すると場所が移動するので注意。

飛びかかり系の攻撃を持っている敵はドッジでうまく避けたいところ。食らうとQTEに移行する。
調査/推理要素はライトになりつつ引き続き存在
前作では現場検証からの状況の再構築や公共機関での資料調査を行ったりして手掛かりをつかみ、アクションが起こる場所に向かうという感じだったが、先に触れたように今作ではサバイバルな時間が増え、推理系の要素の比重はかなり変わっている。
それでも推理要素がなくなったわけではなく、探索中に得られた文書などの手掛かりを組み合わせて謎解きの答えを割り出したり、次に求められる行動を推測したりするような形で引き続き存在する。
開発によると、メインストーリーを追うのに必要な以上にディープに調べていくと、追加のリソースや経験値を得られたり、別ルートを開拓できたり、特定の敵を倒すヒントを得られたりする、プラスアルファの役割を担っているようだ。

集めた手掛かりでオカルティックなオブジェクトで謎アイテムをチャージしたり、楽しい。

手掛かりを組み合わせると謎解きのヒントなどが得られるだけでなく、報酬も得られる。

マスクにPerk(能力ボーナス)をセットして強化するというシステム。追加のスロットを開けるのに結構ポイントが必要なので、探索&推理はできるだけやった方が良さげかなという印象。
まとめ: 製品版でより深遠に迫ってみたい意欲作
というわけで本作、ベースのコンセプトを活かしつつ、本当にやりたかったことを整理して、よりモダンなサバイバルホラーのフォーマットに落とし込んだ作品という印象だ。
遊びやすくなった分“普通のサバイバルホラー”になってしまう危険性もあるけれども、プレビューを遊んだ限りでは「やりたいことやってんねぇ!」と開発のワクワクが感じられる所が端々に見られるし、ちょっとしたテキストやイベントから漂ってくるラヴクラフト的魔力も利いている感じがした。製品版を通しで遊ぶのを期待して待ちたい。