2026年1月24日、25日に日本武道館での単独公演“OathONE”を控える、765プロダクション所属のアイドル・如月千早。彼女は、バンダイナムコエンターテインメントが手掛ける『アイドルマスター』(以下、『アイマス』)シリーズで活躍するアイドルのひとりで、歌を愛し、つねに高みを目指してストイックに音楽に向き合う姿勢と、卓越した歌声は多くのファンを魅了している。
そんな千早の単独公演を記念して、千早を演じる声優の今井麻美さんと、千早の楽曲の作詞を数多く担当する作詞家・森由里子さんの対談をお届け。単独公演の前に、ぜひチェックしてほしい。
※今井麻美さんのソロインタビューも要チェック。今井麻美さん(いまいあさみ)
5月16日生まれ。山口県出身。声優としてはもちろん、歌手やVTuber・詩趣ミンゴスなど、多岐にわたって活躍。出演作は『シュタインズ・ゲート』(牧瀬紅莉栖役)、『グランブルーファンタジー』(ヴィーラ・リーリエ役)、『超次元ゲイム ネプテューヌ』シリーズ(ノワール)など多数。文中は今井。
森 由里子さん(もりゆりこ)
作詞家。東京都出身。フェリス女学院大学国文科卒業。1986年、テレビアニメ『ドラゴンボール』の主題歌『魔訶不思議アドベンチャー!』で、作詞家としてメジャーデビュー。以後、J-POPやアニメ、ゲームなどの楽曲を多数担当し、これまでに約1300曲の作詞を手掛けている。文中は森。
運命的だと感じた歌手と作詞家の出会い
――初めてお会いしたときのことを覚えていますか?
森
私が初めて作詞した『蒼い鳥』のときは麻美ちゃんと会えなかったので、うれしかったのを覚えています。「やっと会えたね」って。
今井
私が智秋ちゃん(三浦あずさ役のたかはし智秋さん)とやっていたラジオで歌を収録することになって、そのレコーディングに由里子さんが遊びに来てくれましたよね。スタッフの方が私に内緒で由里子さんを呼んでくれていたので、すごくビックリしました!
森
麻美ちゃんと初めて会ったときの笑顔も印象的で、いまでも鮮やかに思い出せるから。
今井
でも、あのときはめちゃくちゃ緊張していました。由里子さんはレコーディングにもちゃんと来てくださる方だと後で知りましたが、当時は由里子さんのような著名な作詞家の方が、私のレコーディングに足を運んでくださるなんて思いもよらなかったので。
当時の由里子さんの印象は、中森明菜さんの『TATTOO』を作詞したすごい方でしたから。テレビで中森さんが歌われるときに、作曲家さんと作詞家さんの名前が曲名といっしょに表示されるじゃないですか。それで由里子さんのお名前を拝見していました。中森さんの作詞を担当されていたから、声がかかったんですよね?
森
そうそう。私が中森さんの作詞を担当したこともあって、椎名さん(椎名豪氏。『蒼い鳥』の作曲を担当)が『蒼い鳥』の作詞をオファーしてくれました。
今井
中森さんだけではなく、『ドラゴンボール』の主題歌『魔訶不思議アドベンチャー!』の作詞を担当されているのも後から知ってビックリしました。ジャンルがぜんぜん違うのに「すごい!」って。それに、由里子さんには運命的なものも感じたんですね。私が声優になったきっかけが野沢雅子さん(声優。『ドラゴンボール』シリーズでは孫悟空、孫悟飯、孫悟天などを演じる)だったので、呼ばれているというか、運命的だなって。
森
私も麻美ちゃんとの出会いには運命を感じていたのでうれしいー。先ほどお話しましたが、『蒼い鳥』を作詞したときは麻美ちゃんにお会いしていなかったので、千早ちゃんのこともそこまで詳しく知らなかったんですよ。それなのに、完成した曲を聴いたら想像以上に世界観とピッタリで、声に魂がこもっていて、麻美ちゃんの歌唱力の高さには本当に驚きましたね。
今井
ありがとうございます!
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お互いが考える歌声と歌詞の魅力は……
――今井さんが考える、森さんが作詞する千早の楽曲の魅力はどういったところだと思いますか?
今井
私は『アイマス』関連の楽曲では、由里子さんが詩を手掛けられている曲を歌わせていただく機会が多いのですが、由里子さんが作詞をした楽曲は、どの曲もメロディーと詩のマッチングがすばらしいんです。訴えたいことがちゃんと伝わるようになっているのに、無理矢理なところがひとつも感じられなくて、本当に歌いやすいし、覚えやすくて。
それに歌っていると、由里子さんが詩で描かれる世界が、“音”と密接していることを感じられるんです。これは千早の楽曲だからというわけではなくて、『アイマス』という世界を描き出すうえで、由里子さんの詩は現実世界とつないでくれる存在なんだなという感覚があります。そのアイドルのために書き下ろしてくれたというよりも、世界を1歩先に広げてくれていると感じています。
森
ありがとうございます。
――では、森さんが考える、今井さんが千早として歌う歌の魅力はどういったところだと思いますか?
森
千早ちゃんは16歳だけど、大人びているじゃないですか。その理由は悲しみを知っているからなんですね。悲しみを乗り越えて、歌に昇華している。麻美ちゃんは、千早ちゃんのすべてを包括しているというのかな……。千早ちゃんのすべてを歌の中に込められる存在だと思います。だから、声が、声量とか物理的な距離ではなく、遠くまで響き渡る感じがするんですよね。歌姫という言葉がピッタリな感じがしていて、麻美ちゃんの声にも切なさを感じられるから、奇跡的なほど千早ちゃんにマッチしているんじゃないかな。
――森さんは、今井さんのアーティストとしての活動にも歌詞を提供されている楽曲が数多くありますが、やはり千早として歌うときと、今井麻美さんとして歌うときとでは、印象は変わりますか?
森
そうですね。麻美ちゃんは大人ですし。麻美ちゃんの曲を作詞するときは、麻美ちゃんらしさを表現できるように心がけています。麻美ちゃんと千早ちゃんの作詞を担当できると考えたら、私はすごくラッキーですよね。歌う人は同じなんだけど、ふたりの歌姫の異なる魅力を引き出す詩を書かせていただいているというのは、ものすごく作家冥利に尽きるなと思います。
今井
そう言っていただけてすごくうれしいです。
――一発撮りのパフォーマンスを鮮明に切り取るYouTubeチャンネルの「THE FIRST TAKE」では、千早によって森さんが作詞をした『約束』も披露されました。森さんはご覧になりましたか?
森
もちろんです! 何度も何度も観返しました。本当にすばらしかったです。実現したこともすごいなって感動しました。
今井
スタッフさんたちの無邪気なパワーのおかげです(笑)。「THE FIRST TAKE」のスタッフさんも全力で作ってくださいました。『アイマス』のアニメを観ていた方もいて、「アニメで見た千早の先を表現するお手伝いができたことをうれしく思います」と声をかけてくれて。心のなかで「よかったね、千早!」と何度も思いました。
とてもうれしかった一方で、私はいまも冷静に考えることができなくて……。うまく表現できない、不思議な感覚をずっと引きずったままでいますが、多くの方が動画を観てくださった結果(※2026年1月23日現在、再生回数は884万回を達成)、いろいろな方から感想をいただく中で、ありがたい言葉もたくさんいただきました。
なかでもいちばんうれしかったのが、「千早だからこそですね」と言われたことです。私にとってはいちばんの褒め言葉と言いますか……。右も左もわからないところから千早といっしょに歌ってきましたが、多くの歌手が夢見る日本武道館で単独公演を行えるまでになりました。武道館に立つ歌手として千早が相応しいと思ってもらえたんだなって考えると感無量です。
森
『約束』の配信を見たら、もう、武道館の公演がますます楽しみになりますよね。
――そもそも『約束』は、テレビアニメのエピソードで、765プロのアイドルたちが、歌えなくなってしまった千早のために作詞した曲でした。森さんが作詞するときは、そういった設定も意識されたのでしょうか?
森
もちろん意識しています。この歌詞は765プロのアイドルたちが作詞した歌ということなので、わかりやすい言葉で、10代の女の子たちが等身大で書いた歌詞だと感じてもらえるようにしています。そのうえで、1番の最初は、天国の弟からのメッセージ、その後、仲間たちからの友情のメッセージで、サビに入ります。2番は千早ちゃんからのアンサーで、サビからは、千早ちゃんと大切な人たちとの「約束」が伝わればと思って作詞しました。
今井
『約束』の歌詞からは、765プロのみんなが千早のことを思って書いた姿が浮かんできますよね。由里子さんのすごさをまざまざと感じる楽曲のひとつだと思います。千早が『約束』をうれしそうに歌っている姿を客観的に見ると、本当に感無量以外の言葉が出てきません。
森
『約束』には、少しだけ大人になった千早ちゃんが悲しみを乗り越えて前を向いて進んでゆく姿が凝縮されていますよね。
今井
「THE FIRST TAKE」の『約束』は、プロデューサー(『アイマス』シリーズのファンのこと)以外の方々もたくさん観てくれて、「すごくいい」と心に響いているようでした。『約束』は万人受けする楽曲なんだなっていうのを改めて感じましたね。
森
夢を持って仲間といっしょに進んでいくのは普遍的なテーマなので、多くの人が共感してくれたんだと思います。
――そうですね。こういう機会もあまりないと思いますので、お互いに聞いてみたいことはありますか?
今井
『眠り姫』は、どうやって詩を考えたのかお聞きしたかったです。『眠り姫』は最後までうねるようにストーリーが進んでいくんですけど、メロディーラインは歌詞を載せるのが難しいですよね?
森
そうですね。だって、椎名さんの作曲だもの(笑)。
今井
(笑)。それなのに、ほとんどくり返しがなくて、物語を読んでいるようにどんどんイメージが変わっていく。本来なら歌うのが難しいはずなのに、自分の中でどんどん情景がイメージできて自然と歌えるんです。それがすごいなと思っていました。
森
『眠り姫』の詩は、麻美ちゃんと千早ちゃんにインスパイアされて考えたから、歌いやすかったのかもしれません。私も麻美ちゃんに聞いてみたいことがあって、私は詩を書くときに感情移入するタイプなんですね。でも、作詞家の中には理性的に書く人もいて。麻美ちゃんは歌うときに感情移入しているんだけど、大げさにしないのがすごい、バランスがいいなと思っていましたが、意識しているのかどうかを聞いてみたかったんです。
今井
デビューした当初は意識できていませんでしたが、途中から意識するようになったと思います。私はよく「絵を描く」と表現するのですが、歌うときに音と歌詞の世界感を頭の中で俯瞰して絵を描くようにイメージしています。このように楽曲と向き合うようになったのは、いま思えば『眠り姫』からかもしれません。
『眠り姫』のレコーディングのときに、私は喉を壊してしまって2回しか収録のチャンスがなかったんです。収録には由里子さんも立ち会ってくれて、心配してくれたのを覚えていますが、テストで1回歌った後、2回目で本番に臨んで歌い終わって由里子さんを見ると、ボロボロ泣いてくださっていたんですよ。
森
思い出した。だって泣けてきちゃったんだもん(苦笑)。
今井
それまでの収録では、納得できるまで何時間でも収録に臨んでいましたが、2回しか歌えなかったことで、俯瞰して見るという自分のスタイルが確立されたと思います。『眠り姫』は、最後までストーリーを描き切るんだという確固たる意志を持たないと歌えない曲だったからこそ、その後のレコーディングに対する姿勢がすごく変わりました。
森
麻美ちゃんに出会えてうれしいし、今日は大切な宝物をいただいたような気持ちです。ありがとうございます。
今井
ありがとうございました!
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1月22日発売の週刊ファミ通では如月千早を大特集
2026年1月22日(木)発売の週刊ファミ通2026年2月5日号(No.1932)では、如月千早を18ページにわたって大特集。特集では、公演の準備に密着した取材の様子や、彼女の楽曲に数多くの歌詞を提供している作詞家の森由里子さんへのインタビューなどを掲載しています。
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