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『Screamer』は直観的な操作と一発逆転が可能な奥深いシステムが魅力のサイバーパンクな世界観のレースゲーム。キャラの群像劇が展開されるポリゴン・ピクチュアズ制作のアニメパートも見どころ

byNiSHi

by古屋陽一

更新
『Screamer』は直観的な操作と一発逆転が可能な奥深いシステムが魅力のサイバーパンクな世界観のレースゲーム。キャラの群像劇が展開されるポリゴン・ピクチュアズ制作のアニメパートも見どころ
 PLAIONとMilestoneは、プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC向けレースゲーム『Screamer』を、2026年3月26日に発売する。価格は8910円[税込]。

 1995年にPC向けに北米、ヨーロッパで発売されたレースゲーム『Screamer』。当時の最先端の3Dグラフィックと、圧倒的なスピード感で世界中のレースファンを魅了したアーケードスタイルの名作を完全リメイク。

 サイバーパンク風の近未来都市を舞台に、スタイリッシュに進化したマシンで白熱のレースが展開される本作は、オリジナルの爽快感を受け継ぎつつ、最新技術による圧倒的なビジュアルとスリルで再構築されている。

 そんな本作の日本メディア向けプレゼンテーションと試遊、そしてアニメーション制作を担当したポリゴン・ピクチュアズへのインタビューの機会を得たので、その模様をお届けする。
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PCレースゲームに革新をもたらした名作を完全リメイク

 1995年にリリースされたオリジナル版『Screamer』は、PCレースゲームに革新をもたらしたと言われるタイトル。欧米を中心に高評価を得た同作は、リアル系レースゲームの潮流を築き、後の『MotoGP』や『RIDE』シリーズへとつながる礎となった。

 このたび発売されるリメイク版『Screamer』は、オリジナル版の核となる“アーケード感+リアル感”を継承しながら、物語やアニメ演出を加え、現在のプレイヤーに向けて大胆に再構築されている。
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 とくに注目すべき点は4つ。1点目は、物語にフォーカスした点。原作にはストーリー要素はなかったが、キャラクターどうしのドラマや世界観を強化し、背景を持ったキャラクターたちがトーナメントに挑み、よりゲームプレイ中に感情移入できるような形となった。

 2点目は、アニメテイストのビジュアル。日本のアニメスタジオであるポリゴン・ピクチュアズによる、近未来のディストピア的世界観と、日本のアニメテイストを融合させた現代風のビジュアルを採用している。

 3点目は、アーケード風のデザイン。原作のスピード感と爽快感を忠実に再現し、プレイした瞬間にゲームセンターで遊んでいるようなアーケードの楽しさを感じられるような設計に。

 4点目は、ゲームプレイの進化。戦略性と操作感が融合した新システムを搭載しており、ツインスティックでの操作やエコーシステムといった新システムなど、従来のレースゲームにはない要素で没入できるようになっている。

 気になるストーリーに関しては、ミスターAという謎の人物が大会を開催され、全5チーム15キャラクターが参加するトーナメントが実施されることになる。宇宙開発をしている天才エンジニアや日本のポップアイドルグループ、犯罪組織に所属する伝説のレーサーなど、さまざまなバックグラウンドを持つキャラクターたちが登場する。
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 ゲームシステムとしては、左スティックでハンドル、右スティックでドリフト操作を行うツインスティック操作が採用。直感的ながら本格的なレースが楽しめる。

 コアとなるシステムとして、ECHOシステムも登場。レース中のプレイヤーの操作や時間経過で蓄積されるゲージを使用して、一気に加速するブーストを使えたり、相手の車両にぶつかって攻撃したり、敵車両からの攻撃を防ぐ防御を行ったりと、アクション性の高いレースが味わえるシステムとなっている。ストーリーモードでは、これらのアクションが段階的に導入されるので、アクションをひとつずつ覚えていきながらプレイを進めていくことが可能となる。

 ここまで紹介したところで、担当者は最後に、レースゲームの展開と随所で展開されるアニメーションを通じて、サイバーパンクな世界観で活躍するキャラクターたちによる、ドラマティックな群像劇を楽しんでほしいと締めくくった。
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プレイレビュー:本作的なレースが楽しめつつ、一発逆転も目指すことができる高いアクション性も魅力

 ここからは、実際に筆者が体験してみてのプレイレビューをお届けしよう。本作では、キャラクターによって運転する車両は決まっており、キャラクターと車両を自由にカスタマイズできるわけではない。代わりに、各キャラクターに専用スキルが搭載されているので、それぞれで異なる魅力を味わえるようになっている。

 担当者からオススメされたのは、プレゼンでも登場した、日本のポップアイドルをフィーチャーしたチーム“STRIKE FORCE ROMANDA”のアカネ。彼女の車両には独自のゲージが存在しており、満タンになるとブーストが発動可能。先に紹介したECHOシステムとは別扱いなので、双方駆使することでガンガンとブーストを使っていける点が持ち味だ。

 キャラクターが決まったところで、いざレースへ。筆者はレースゲームがそこまで得意ではないが、左スティックでハンドル、右スティックでドリフト操作を行うツインスティック操作はかなり手になじみ、初プレイながら意外とスムーズに走行できた。

 スティックの傾き次第で、ドリフトの角度は細かくコントロール可能。急角度のカーブだと、減速しながらスティック操作を行うのでなかなか難しいが、うまく決まったときはじつに気持ちがいい。シンプルで手になじむけど、本格的で奥深いシステムは、老舗レースゲーム会社のMilestoneらしい仕上がりと言えそうだ。
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 独自のECHOシステムは、時間経過で蓄積されるほか、走っている最中にタイミングよくボタンを押すことでゲージを増加させることができる。これで各種アクションが行えるのだが、レース展開は目まぐるしく変化するので、ゲージの使いどころが重要だ。

 敵車両が攻撃してきたときはシールドを張りたいし、敵車両が集団で固まっているときに攻撃すればまとめて吹っ飛ばすことができて爽快だろう。トップを走っているときはガンガンブーストを使えばレースを独占状態にできるはず。ゲージを最大限まで蓄積させれば、加速と攻撃を同時に行うオーバードライブと呼ばれる強力な必殺技も発動できるので、そこまでゲージを貯めて一気に開放したい。

 そうした思考がつねに頭の中に存在していて、ゲージの使いどころを見極めていくのが、戦略性が高くて楽しい。ゲージを効率よく貯めるためにはある程度プレイヤーの技術も必要になるので、ゲージの使いかたによって成長を実感できるのも魅力だ。
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 そのほか、キャラクターによってスキルが異なるし、コース次第で難易度も異なるので、遊び応えも十分。今回は自由にキャラクターとコースを選んでのプレイだったが、ストーリーモードでは物語のシチュエーションに合わせたレースが展開。本作のストーリーは、キャラクターどうしの物語がつながっていく群像劇となっているそうなので、各キャラクターに感情移入しながらのレースに非常に期待が高まるところだ。

 シンプルながら奥深いツインスティック操作と一発逆転も可能な戦略性を持つECHOシステムは、レースゲームに慣れていない筆者でも存分に魅力を体感できたし、熟練者にとってもテクニックを磨くのが楽しい仕上がりだ。

 今回は確認できなかったが、多様なキャラクターたちが織り成す群像劇は、アニメーションパートをポリゴン・ピクチュアズが担当しており、そのビジュアルから日本のゲーマーでも違和感なく没入できると感じた。レースゲーム惹かれる方、本作のサイバーパンクな世界観に惹かれる方、どちらも満足できるクオリティーだとヒシヒシと感じたので、興味が沸いた方にはぜひ手に取っていただきたい。
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インタビュー:キャラクターたちが織り成す群像劇を楽しんでほしい

 記事の締めくくりとして、本作のアニメーション制作を担当した、ポリゴン・ピクチュアズのキーパーソンへのインタビューをお届け。プレイレビューでは伝えきれなかったアニメーションの魅力を、インタビューから受け取っていただけたら幸いだ。
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写真左より、伊東克承氏、島村大輔氏。

島村大輔氏しまむら だいすけ

『Screamer』アニメーションディレクター。本作では絵コンテからアニメーション制作に関わる。

田中志保氏たなか しほ

2010年にポリゴン・ピクチュアズに入社。ラインプロデューサーとして、映画『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』、『パシフィック・リム:暗黒の大陸』、『ピングー in ザ・シティ』などを担当。

伊東克承氏いとう かつよし

2020年にポリゴン・ピクチュアズ入社。CGスーパーバイザー として、本作『Screamer』、映画『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』などに携わる。

――まずは、ポリゴン・ピクチュアズがアニメーション制作を担当することになった経緯を教えてください。

田中
弊社は、海外でのアニメーション制作も請け負っており、今回はMilestoneさんから、ゲーム内のアニメーション制作をご依頼いただきました。

 お話をいただいた当初は、弊社としては作画を希望していたのですが、弊社がCGアニメーションながら作画のようなルックで作品を制作していたということもあり、今回はそこも含めてアニメーション制作という形でお声がけいただきました。

――海外では、ポリゴン・ピクチュアズが手掛けている作品が高く評価されているのですね。

田中
弊社では、『トランスフォーマー』や『スター・ ウォーズ』シリーズ、最近では『スパイダーマン:フレンドリー・ネイバーフッド』も手掛けていまして、海外の方にも我々の作品を楽しんでいただいております。

 加えて、弊社は海外の方向けの窓口も設置していますので、そこから直接やり取りもしやすいということもあり、今回ご依頼いただけたのかもしれません。

――ポリゴン・ピクチュアズのハイクオリティーなアニメーション、そして海外の会社とも密なコミュニケーションができる環境を構築していたことが今回につながったのですね。本作のアニメーション制作は、いつごろからスタートしたのでしょうか?

田中
2023年末ごろからですね。脚本、キャラクターや車両の基本的なデザインはMilestoneさんのほうで制作されまして。そこから、日本ならではの作画やアニメーションに長けた監督のもと、絵コンテから映像の制作まで進めてほしいとお話をいただきました。

 そこで、ポリゴン・ピクチュアズで数々の作品を担当いただいている島村さんにご依頼し、監督として進行をお願いしました。

島村
私は、テレビアニメ作品の監督はこれまで担当していましたが、テレビゲームのアニメーション制作はかなり久々でした。とはいえ、オリジナルの作品で、デザインもベースのものが存在しているので、わりと自由度があり、挑戦し甲斐があると思いましたので、お受けしました。

――基本的なデザインがあり、そこからアニメーション制作を進めてほしいというご依頼でしたよね。

島村
ただそこから、日本のアニメーションっぽいキャラクターデザインにしてほしい、というオーダーもあったんです。いただいたデザインは、日本のなじみ深いキャラクター造形というよりは、海外らしい、彫りの深いキャラクターでした。

 Milestoneさんとしては、日本のアニメスタイルにしたいという方向性でしたので、大きく手を加えさせていただきました。ですので、当初のデザインとはかなり違ったものになっています。

 加えて、90年代のアニメと、今風のアニメの2種類の魅力が味わえるデザインをしてほしいというご要望がありましたので、ふたつをミックスしたルックをご提案し、進めていくことになりました。

――そこが、本作の魅力のひとつである、アーケード風デザインにもつながっているのですね。

島村
一方で、90年代のアニメのテイストを取り入れようとすると、やはり少し古めかしく、暗い味わいになりますので、そうなり過ぎないように、今風の派手なデザインもしっかりと取り入れることにしました。

 その結果、サイバーパンク風なデザインになりましたが、それが90年代のアニメデザインにもうまく融合したと感じています。

 本作の世界観自体が、わりとサイバーパンクでしたので、その雰囲気も崩さないように努力もしました。キャラクターたちも個性的でしたので、その個性も崩さないように制作しています。登場するキャラクターは人種も異なるので、それに合わせたキャラクター造形も意識しました。
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――アニメーション部分のボリュームは、どれくらいなのですか?

田中
オープニングを含めて、30分強ですね。

――アニメパートで、ゲームと補完しながら物語を描いていくのですね。

田中
ただ、アニメーションの制作と同時にゲームの制作も進んでいましたので、どのようなゲームになるかは、まったくわかりませんでした。

――では、車両のビジュアルなども詳細にはわからなかった?

島村
ある程度制作が進んだ段階でデータをいただいたので、途中までわかりませんでしたね。全貌は把握していないです。そのため、データが間に合った車両だけで、レースシーンを含めて制作しました。

 もっとも、アニメパートではレースシーンの割合自体は少なめで、メインはキャラクターたちによるドラマパートで構成されていますので、違和感のないように仕上がっていると思います。

 車両のデザイン自体は、著名なデザイナーさんが手掛けられているそうで、かなり華やかなものになっていますので、それに劣らないようなアニメーションになるように心掛けました。

田中
制作期間は1年と2ヵ月ほどで、かなりスムーズに制作は進んだ印象です。
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――伊東さんはCGのスーパーバイザーとして参加されているとのことですが、どのような業務を担当されたのですか?

伊東
デザインから3Dに起こす際に、顔の形状や仕込みの指示などを行って3Dオブジェクトを作りますが、その際の指示を行いました。その後、できあがった3Dオブジェクトで演技を行わせて撮影するのですが、脚本や絵コンテをもとに演技の方向性を撮影班に伝える役割も担当しました。

 技術面のサポートではなく、CGアニメーションを制作上での全行程にサポート、指示出しを担当した形となります。

――全行程でのサポートや指示出しは、相当たいへんそうだと想像できます。

伊東
アセットはポリゴン・ピクチュアズで制作しましたが、撮影はすべて海外の会社さんにお願いしました。そのため、日本のアニメーションスタイルを伝え、それを表現いただくことにはかなり苦労しましたね。

――では、島村さんも制作上でご苦労があったのでは?

島村
いや、私はまったく、ストレスなくやらせていただきました(笑)。ただ、3Dアニメーションの場合は、ひと通り制作した後、そこから味付けを行う際に、丁寧に進めないとガラッと雰囲気が変わったりします。伊東さんは、その点において、作品のテイストを崩さないように苦心したのかなと思います。

――ゲームでのアニメーション制作は久々とのことでしたよね。

島村
テレビアニメは、場所が頻繁に変わるわけではなく、比較的同じシチュエーションで進行していくと思います。ですが、ゲームはさまざまなロケーション、シチュエーションが存在します。キャラクターも多数いますので、撮影する際にどのような状況なのか把握するのはたいへんでした。

 加えて本作は、群像劇のように、各キャラクターどうしの物語がつながっているんです。境遇も違うし、違うチームに所属しているけれど、過去につながりがあり、それによって物語が表現されていく。ですので、キャラクターどうしの関係性を把握するのに、最初は苦労しました。

――関係性を匂わせるセリフなどもありそうですよね。

島村
そうなんです。それを理解しないと、絵コンテや映像に反映できないんです。クライアントとしてはセリフなども含めて物語を構築しているはずですので、そこは難しかったですね。

――30分強とのことですが、ドラマのような濃密な物語が楽しませそうです。制作の際には、やはり群像劇のようなイメージで進められたのですか?

島村
私はそのイメージでしたね。各キャラクターそれぞれの物語がひとつにつながっていて、一本筋の通ったお話となっていますので、そこはお楽しみいただけると思います。

――とくに、お気に入りのキャラクターはいますか?

島村
私は、“ANACONDA CORP”というチームが気に入っています。主人公たちのチームと敵対しているのですが、彼らは人間臭く、共感できる部分もありますので、そういった意味でも好きになったチームです。

伊東
私は、主人公チームの“GREEN REAPERS”です。とくに、ヒロシとロイシンのふたりが徐々に関係性を深めていく様子が非常に魅力的ですので、それも含めて楽しんでいただきたいです。

――アニメーションの中で、とくに注目して見てほしい点などはありますか?

島村
ドラマパートでしょうか。レースパートではわからないキャラクターの性格などは、ドラマパートで色濃く出ていますので、その点を楽しんでいただきたいです。

 あとは、オープニングです。かなり力を入れた部分でもありますし、レースゲームならではの迫力をオープニングに入れていますので、注目して見てほしいですね。

――最後に、本作を楽しみにしている読者の方にメッセージをお願いします。

田中
イタリアのゲーム会社であるMilestoneさんが制作されたかっこいいレースゲームの中に、日本のアニメーションが挿入されて、その中でキャラクターたちが出身国の言語を話すという不思議な世界観を楽しんでいただけると思いますので、ぜひゲームをプレイしてドラマも楽しんでください。

伊東
先ほど、私や島村さんが挙げたキャラクターのほかに、本作にはさまざまな魅力を持つキャラクターがたくさんいます。皆さんにお気に入りのキャラクターを見つけていただけるようにデザインをしましたので、ぜひキャラクターたちにも注目していただければと思います。

島村
90年代のアニメ風を感じられつつ、今風のデザインも取り入れたビジュアルを目指しました。海外の方はもちろん、日本の方にも受け入れていただけるように制作しましたので、日本の皆さんにもぜひ遊んでいただけるとうれしいです。
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