“人狼ゲーム”を題材にしたノベル系アドベンチャー
『レイジングループ』はケムコから発売されたテキストアドベンチャー。ディレクターとシナリオライターを務めるamphibian氏の紡ぐ物語が口コミで評価されていき、コンシューマー移植や小説化など多彩な展開へと広がった作品です。
本作は“汝は人狼なりや?”……いわゆる人狼ゲームを題材にしたノベル系アドベンチャー。物語は、主人公の房石陽明(ふさいし はるあき)がバイクで旅をしている最中に“黄泉忌みの宴”と呼ばれる殺人儀式が行われる“休水”という集落に迷い込むところから始まります。
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黄泉忌みの宴は村の住人の中に潜んだ“おおかみ”を探し出して、くくり殺さねばならないというもの。信心深い老婆や年端もいかない少女など、さまざまな人物が宴に参加するなか、話し合いでおおかみを探っていくことに。
紛れ込んだ“おおかみ”のほか、他者がおおかみか住人かを知ることができる“へび”など加護持ちの人物も。実際の人狼ゲームのようにおおかみが加護持ちだとウソをつくこともあります。
それぞれ自分の命が懸かっていることもあり、住人たちの話し合いのシーンにはとても緊張感があります。くくる(村のために犠牲にする)人物を選ぶシーンはとても重く、そのシリアスな物語に引き込まれていきますね。特殊な信仰がある村とはいえ、生きている人間なので簡単に死を受け入れられるわけではありません。
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宴でくり広げられるそれぞれの心理戦や策略も見どころです。主人公の陽明は頭がいいので“なんでここでこういうことを考えないんだろう”というストレスを感じることもありません。一方で主人公が冷静かつドライすぎてビックリすることもあります。とはいえ、物語を読み進めていくうちにそんな彼が頼もしく好きになる……ハズ。
また、本作のルールが特徴的なのは、宴で勝利すればいいということではないこと。じつは陽明は死ぬとループし、最初からやり直すことになってしまいます。ループから抜け出すためには、なぜ休水でこのような儀式が行われているのか、なぜ自分がループに巻き込まれているのかといったことを探っていく必要があります。本作では新たなルートに進むとキャラクターの役職が変わるため、つぎは誰がどの役職なのか探る楽しさがあり、さらになぜ宴が行われているのかという世界観の謎を解いていく楽しさもあります。
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物語を読み進めていると、“?”と表示されて選べない選択肢が出てくることも。これはバッドエンドで新たな情報となる“KEY”をゲットした際、そのKEYに対応した選択肢が選べるという仕掛けです。
この仕掛けの作りかたが絶妙で、随所で物語の気になっていた伏線を回収してくれるのでプレイの止めどきが見つかりません。自分は物語に集中しすぎて徹夜してしまいました……。なお、ヒントをオンにしておくことで、つぎに取るべき行動を教えてもらうこともできます。物語に集中したい人も安心です。
老若男女、個性的なキャラクターが物語を盛り上げる本作ですが、各ルートにはメインヒロイン的な立ち位置となる女の子が登場。物語の中で主人公の陽明といい感じの展開になるので、ギャルゲー的なドキドキも楽しめます。筆者のお気に入りは回末李花子(うえまつ りかこ)。ミステリアスな女の子に見えてドジな一面もあって、そのギャップが好きです。
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さらに、一度クリアーしてからのお楽しみ要素も。2周目から登場人物の心境や主人公不在のシーンが追加される“暴露モード”が実装されるので、キャラクターがどういう心境や戦略で宴に参加していたのかわかるようになります。かなりのシーンが追加されるため、新鮮な気持ちでゲームをプレイできますよ。
本作は2017年1月11日にプレイステーションVita版、同年3月1日にプレイステーション4(PS4)版、同年8月3日にNintendo Switch版、同年8月24日にPC版が配信。さらに、2024年8月30日にはプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、Xbox Oneでも配信されました。さまざまな機種でプレイできるのでぜひチェックしてみてくださいね。














