『ブループロトコル:スターレゾナンス』CBTを古きよきMMORPG好きがレビューしてみた。強敵に殴られたら瞬殺。容赦のなさとオート戦闘の便利さと絶妙さと

byカイゼルちくわ

『ブループロトコル:スターレゾナンス』CBTを古きよきMMORPG好きがレビューしてみた。強敵に殴られたら瞬殺。容赦のなさとオート戦闘の便利さと絶妙さと
 “古きよきMMORPG”という言葉を聞いて、あなたはどう思うだろうか。「懐かしい、興味が湧く」と感情が揺れ動く人は筆者と同じ古参MMORPGおじさんだろうか。「また言ってるよ、不便なだけだろ」と思う人は、近年のMMORPGをよくプレイしている人かと思う。
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今回の記事では“古きよきMMORPG”という言葉をあえて使わせていただく。
 2025年11月6日~11月20日の期間、クローズドβテストを実施中の『ブループロトコル:スターレゾナンス』。対応プラットフォームはPCとスマートフォン(iOS/Android)で、2025年内のリリースが予定されている。

 テストで初めてPC版に触れたとき、まずは衝撃を受けた。本作は日本で生まれた施策“PROJECT SKY BLUE”の世界観をベースとした新作MMORPG。筆者がめちゃくちゃプレイしていた『
ブループロトコル』(BLUE PROTOCOL)と同じく、惑星レグナスを舞台としている。
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街に出た瞬間、「うわぁアステルリーズだ!」とリアルに声が出た。
 世界観が似ているとはいえ完全新作である。最新ゲームとしての手触りが感じられて、さあ冒険の始まりだと期待が高まる。同時に、古参MMORPGおじさんとしての心も刺激される。きっと筆者は心のどこかで“古きよきMMORPG”を求めているのだと思う。

 昔ながらのMMORPGの記憶と新作の手触り。相反するふたつの異なる要素に挟まれたことで、はっきりとわかったことがある。
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 筆者は“古きよき”大好きおじさんではあるが、正直に言うと、最新の便利システムの方がストレスなく楽しめる。オートバトルやクエスト追跡の自動移動に対して「味気ない」、「便利になればいいってもんじゃない」と忌避するような言葉を口にしたこともあるが、めちゃくちゃ便利なのは事実だから。

 MMORPG黎明期、何時間も高レベル狩り場にこもりながら「この狩り場でBOTみたいに自動狩りができればなぁ」と無心で狩りを続けていたあの懐かしい日々。便利機能を享受していると、そんな記憶が甦る。
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 では、『ブループロトコル:スターレゾナンス』は“かつて我々が熱狂したMMORPG”を感じさせないゲームなのか。……そんなことはない気がするのだ。MMORPGというジャンルが持つ懐かしさがそうさせるのかと最初は戸惑ったが、それも違う。しっかりと伝統のおもしろさが遺されているように思う。
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“いまどき”のMMORPGは望まれた進化を遂げた。
 伝統と最新が共存する本作。公式では“アニメに入ったような体験”をうたっていて、その部分の評価を求める人が多いのもわかる。ただ、この記事ではクローズドβテストで感じられた“絶妙さ”について語らせてほしい。

 なお、あくまでテスト段階の内容であり、正式リリース版では仕様が異なる可能性がある点はご了承いただきたい。

広がる自由な冒険世界、強敵に殴られれば当然瞬殺

 惑星レグナスはかつて栄華を極めた“バファリア神族”の遺跡が各地に残る世界だ。冒険者たちが集う都市アステルリーズを中心に、記憶を失った主人公=プレイヤーによる冒険が描かれていく。
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主人公はなぜ記憶を失ったのかなど、物語は謎めいた展開から始まる。プレイヤー視点から見ても「どういうこと?」となるこの雰囲気、じつにいい。
 アステルリーズでは古代の遺跡の力を活用しており、人々の暮らしは活気にあふれている。アニメ調のグラフィックで表現された街並みや外の世界は、ほどよくなじみやすい。リアルさによる没入感と、ライトさによる遊びやすさ、そのちょうどいい中間といった感覚だ。

 リアルさと没入感を重視するタイトルよりも、“ゲームを楽しんでいる”、あるいは“アニメの世界にいる”といった感覚が強い。
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神殿やアリーナなど、風光明媚な要所も街中いたるところにある。まずは街中すべてを散策して回った。
 アステルリーズから出たところに広がるアステリア平原は、ひとつのフィールドとしてほどよく広い。乗り物“マウントイマジン”に乗って移動しても踏破にはけっこうな時間がかかるが、ファストトラベル可能なポイントが多数あるので移動に不便は感じなかった。
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 ファストトラベルポイントを解放して回るために、マウントイマジンに乗ってひたすらフィールドを走り回るとき、懐かしい記憶が甦る。黎明期MMORPGでも見知らぬ土地を好奇心に任せて走り回っていたなぁ。

 未知の地域を行くワクワク感は大切だ。世界からは広がりが感じられ、意外なところに宝箱が置いてあったり、ときには見知らぬギミックが用意されている。冒険が楽しい。
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フィールドで使用可能な特殊スキル“環境共鳴”を習得すると、風に乗れるようになって移動範囲が広がる。
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環境共鳴はフィールドを冒険して習得する。冒険が楽しいMMORPGは筆者の大好物だ。
 そして、強敵に殴られると問答無用でやられる。レベルが上の強敵にケンカを売ると、当然のようにこちらが瞬殺される。プレイヤーを甘やかさないこの感覚に、黎明期を生きたプレイヤーの筆者は実家のような懐かしさを感じてしまった。

 昔のゲームと比べてやさしくなっている点もある。わりと厳しいのに経験値が減るようなペナルティーはないのだ。だから、ノリと勢いに任せて格上に挑んだり無茶も可能。ありがたい時代になった。
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強敵が意外と手を出しやすいところにふつうにいたりする。これがいい。
 こうした危険がしっかりとある。だからこそ、この空の向こうには何があるのか、マップに表示されている知らないアイコンの地点には何があるのか、先へ先へと進みたくなる。筆者が古い人間だからだろうか、アニメの少年主人公のような気持ちを味わえてこその冒険だと思う。

 手ごたえのある冒険は、ファストトラベルポイント解放や新スキルの習得によって、ひとつの線としてつながっている。便利さで支えているのが最近のゲームといったところか。じつにバランスがいい。
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昔は残るものがなくても無謀な旅を楽しんだが、いまはちゃんと見返りがある。時代の変化を感じるおじさんなのであった。

オートバトルは好きなぶんだけ。フル手動は超骨太

 ついしみじみと語ってしまった。伝統と最新の融合は戦闘システムからも感じられた。昨今のゲームらしくオートバトル機能があるのは当然ながら、スキルをどの順番で使うかなど、いわゆる“スキル回し”もしっかり楽しめる仕様なのだ。

 テスト時点でクラスは8つ。それぞれ通常攻撃用、特殊攻撃用、ド派手な必殺技“究極スキル”の3つの基本スキルに加えて、8つのマスタリースキルから4つをスロットに登録して使用可能。さらにボスなどの素材から製作する強力なスキル“バトルイマジン”を最大ふたつまでスロットに登録できる。

 なお、クラスはゲームを進めると専用カウンターを訪れることで変更可能になる。キャラクターのレベルはクラスごとではなくキャラクター本人のものである“冒険者レベル”を参照するので、クラスごとのレベリングは不要だ。
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8つのクラスは、近接戦闘、遠距離戦闘、回復・支援と大きく3タイプに分かれる。
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戦闘中、最大で9つのスキルを使用できる。どのマスタリースキルを登録するかは戦略しだいだ。
 オートバトルでは、スキルとイマジンの自動使用について個別に設定可能。オート使用設定にしたスキルは、クールタイムが終了しだい即座に発動する。オートバトルに頼りながらも、ここぞという場面では手動でスキル発動するといったプレイが可能だ。

 クラスごとに独自のリソースがあり、そのリソースを溜めるスキルや、リソースが溜まっていると強化されるスキルなどがあるので、全部はオートにしたくはないという人も多いはず。自動使用の有無を個別で設定できるほか、どの位置のスロットにどのスキルを入れるかも自由。使いやすい順番に並べたい。
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 いざ全部マニュアルで操作すると、これがなかなか忙しい。敵にロックオンできるので照準の手間はないものの、WASDキーで移動しつつ9つのキー、あるいはマウスボタンの押し分けが必要だからだ。一方、オートで全スキルをぶっ放すと、バトルがびっくりするくらい楽に感じる。

 ここにスキル回しのテクニックも絡んでくるため、しっかりとアクションRPGを遊んでいる感覚がある。 理想のスキル使用順を考えた後、好きなだけオート使用を混ぜていけるので、自分の操作テクニックの度合いに合わせた調整ができるのもありがたい。
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骨太なスキル回しも好きな分量で楽しめる。全部オートだとさすがに味気ないように思うから、これくらいがいい。
 戦闘では敵の攻撃をタイミングよくダッシュ操作で回避する“ジャスト回避”が大切。攻撃はすべてオートにすれば、ジャスト回避狙いに専念できるのもいい。ジャスト回避に成功すると、つぎの自分の通常攻撃が強力な攻撃に変化するので、狙えるところでは確実に狙いたいのだ。
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筆者のようなおじさんには、ジャスト回避に集中できるという点でもオートバトルがありがたい。
 重ねて言わせていただくが、筆者は古きよきMMORPG大好きおじさん。“オートバトルで全戦闘が片付くのを眺めるだけ”というMMORPGにはもやっとするものがある。その点、本作のオートバトルはちょうどよかった。ゼロか100かではなく、自分が必要なところだけ便利に使えば機能のありがたみも感じられる。

 オートバトルがあってもいいと納得させられたのだと思う。マニュアル車に乗ってオートマ車を見下すような嫌なおじさんにならなくて済んだ。車だってカーナビやドライブレコーダーといった最新技術を活用したほうがいいだろう。それと同じだ。

昔もいまもおもしろいMMORPGをいま一度感じよう

 ほかにも昔ながらのMMORPGらしい要素がたっぷり用意されている。採取や製作といったメインとは異なる点にレベルがあり、毎日回復するフォーカスポイントを消費してレアな素材を集めたりといった、ギャザリングとクラフトが楽しめるのもそのひとつだ。
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ギャザクラは系統も数多く用意されている。煩雑に見えるが、やってみると好きなものを集めたり作ったりするだけなので簡単。
 マルチプレイコンテンツのパーティーマッチング時間中のヒマつぶしなどに便利なコンテンツも多く用意されている。わかりやすいところでは釣り。なかには巡回する兵士のそばにいればOKだったり、指定されたコスチュームを着てステージに立っているだけで一定時間ごとに報酬がもらえる要素もあった。

 MMORPGを遊んでいると、何もしないのがもったいない時間が発生しがち。マッチング待ちはその最たる例だが、レベルアップ可能なスキルがあるかどうか確認したり、メニュー画面を開いて報酬を受け取ったり、こういった作業の裏側でコンテンツをこなせるのが好印象だった。時間になると“移動しますか?”と、コンテンツの開始場所に直行するガイドが表示されるのも便利だ。
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一定時刻のたびに開始されるイベントが多く、いわゆる“やることがない時間”がほとんどない。
 サブクエストが発生する頻度もちょうどいい。一気に大量の新サブクエストが並んだりすることはめったになく、メインストーリーを進行していくと適宜2、3個ずつ出現する場合がほとんど。いにしえのMMORPGでは、画面端に表示された大量のサブクエアイコンから「やれ」と言わんばかりの圧を受けたものだが、その感覚がない。
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サブクエのアイコンがマップを埋め尽くしていたのは、いまや昔の話。
 やることがない暇な時間がなければ、サブクエ圧もない。これは最近のMMORPGをプレイしている皆さんからすると当然のものだろう。むしろあったら、運営に改善を訴えて当然と思われているかもしれない。筆者のようなおじさんゲーマーは、こういった部分も「MMORPGってそういうものだから」と受け入れているところがある。もちろん、ないほうがいいのだけど。
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昔からよく“不便さも楽しむ”と言われるものだ。マウントに乗ったまま採取などができるが、昔はリアルを重視してか、できないMMORPGも多かった。
 アニメ調グラフィックや世界観の演出とストーリー、戦闘バランス、キャラの愛で方などを評価するレビューはいくつもあると思う。筆者は“古きよきMMORPGを求めるプレイヤー”としての感想を書いてみた。古ければいいというわけではなく、最新ゲームの中にかつてのエッセンスを感じ取りたかったのだと思う。

 本作には、古きよき部分といまどきの部分がいいバランスで盛り込まれている。だからだろうか、おじさんとしても不便さを受け入れるのにはちょっと納得できず、直してほしいと思う部分もある。

 たとえば、UIの表示。筆者は最初、オートバトルのON/OFFがキーボードのHキーで切り替えられることや、パーティーから脱退するのにIキーを押してパーティーメニューを表示するという点が画面のガイドに表示されていないためわからず、やや混乱した。
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Hキーの存在を知らないと、オートバトルをON/OFFするために、わざわざ設定画面を開かないとならない。
 もっとも、いまはテスト段階なのだからそこまで気にするタイミングでもない。不便な部分はプレイヤーからのアンケートなどの声によって適宜修正してもらえるのも昨今のMMORPGの特徴だ。すぐに直せないこともあるだろうが、プロデューサーレターやロードマップなどで、いずれ直すという意思表示をしてくれるだけでもプレイヤーは安心できる。

 昔からのMMORPGプレイヤーは、そうした不便さを補うテクニックを自分たちで編み出してきた。遊んでみた感じ、本作にはそんな昔ながらの解決法も模索できそうという信頼感がある。そこに柔軟な運営サポートが加わってくれれば、要所要所の改善については安心できそうだ。
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MMORPGで操作キーがわからないときは、キーやボタンの設定画面で確認するのが手っ取り早い。筆者もこれで自己解決した。
 こうして本作をプレイしていると、自分が古きよき大好きおじさんから最近のMMORPGプレイヤー側へと移行しつつあるのを感じる。いま黎明期のMMORPGを当時の仕様でイチから遊べと言われたら、たぶん1日ももたないだろう。

 それは当然のこと。本作、ひいてはMMORPGの基本形は、長年のプレイヤーからのフィードバックを通じて進化してきた。「これが古きよきMMORPGだ」と胸を張っているだけでは、いまのゲームとして成り立たないのだろう。また車のたとえになるが、最新フル電化の電気自動車にガソリンを入れて走らせようとしても無理な話ということ。ガソリンエンジンと電動を両立したハイブリット車のようなありがたみを本作に感じる。
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アステルリーズがMMORPGの“いま”を改めて教えてくれた。
 これはMMORPGに限った話ではない。ゲーム全体を見渡すと“古きよき”と“現代的”の塩梅はよく問題なる。『モンスターハンター』シリーズでは、暑い場所対策でクーラードリンクを飲むような仕様がなくなったとき、その後で復活したとき、いずれのタイミングでも不満意見が噴出した。どっちなんだと言いたくもなるが、人間はそういうものという気もする。

 筆者は本作にそういったバランスのちょうどよさを感じられた(まだテスト段階だが)。最近はリアル調グラフィックのMMORPGが多い中、アニメ調で描かれる世界が入りこみやすい点もいい。正式リリース時には本作を通じてMMORPGを楽しみ、このジャンルの“いま”を感じ取ってもらえれば幸いだ。

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