
アメリカンコミック(アメコミ)で知られるマーベルのキャラクターたちが集結した対戦格闘ゲームで、開発は『ギルティギア』シリーズなどを手掛けるアークシステムワークスが担当している。
2025年9月25日~28日までの4日間、千葉・幕張メッセにて開催される“東京ゲームショウ2025”(以下、TGS2025)の会期中、本作の開発陣へインタビューする機会をいただけた。本記事では、その模様をお届けしよう。
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山中丈嗣 氏(やまなか たけし)
アークシステムワークス プロデューサー
関根一利 氏(せきね かずと)
アークシステムワークス ゲームディレクター兼リードバトルデザイナー
リード・ベアード 氏
SIE PlayStation Studios XDEV シニアプロデューサー
格ゲーとしても“マーベル”という大きなIPとしても、深い歴史がありますので、非情に光栄なお話をいただけた、と感じながらも、正直ものすごくプレッシャーがありました。かのタイトルは、2017年を最後に長らくリリースされていないことも、当然わかっていましたから。ですから、私の判断だけで進められる話ではないなと、一度弊社に持ち帰りました。
そこから、上司や役員も含めて相談し、本当に我々がマーベル作品を作れるのか、そもそもほかのゲームも当然開発していますので、開発チームを結成できるのかですとか。いろいろと検討を進めつつも、社長(木戸岡 稔氏)から「ぜひ作ろう。やれるところまで準備をしてほしい」と後押しもしてもらって、とりあえず開発を引き受けることにしました。
――ではその時点では、どういった規模のものになるのかなど、細かい部分は決まっていなかったと。
――そこからおそらく、関根さんがゲームディレクター兼リードバトルデザイナーを担当するなど、座組が決まっていったと思います。関根さんは「マーベルの格ゲーを作ろう」と聞いたとき、どう思われましたか?
すごく難しい題材でしたが、引き受けた時点から「じゃあこうしよう、ああしたらいいのでは」と、ゲームの中身を考え始めていました。と言いつつも、やはり本当に難しくて(苦笑)。もうとにかく毎日“マーベル”の世界をどう表現したらいいのか、つねに向き合っていました。
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「もっと“アークシステムワークスらしさ”がほしい」と言われ、僕たちは勘違いしていたなと、ハッとしました。そこから、現在のスタイルにたどり着きました。本作全体のテーマとして掲げている“日本から世界へ”というワードに行きつくまで、かなり時間が掛かっています。
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“日本から世界へ”というワードにたどり着いてからは、より日本の作品であることを打ち出したかったので、『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』と、タイトルに“闘魂”という日本語を取り入れたりしています。
――日本が制作したマーベルのアニメ作品はいくつかあり、なかにはジャパニメーション色の強い作品もあります。といった前提はありながらも、世界中でどんな反応があるのか気になっていましたが、ほとんどの人が「これは新しいデザインで、すごくいい!」と好評だったように見ています。発表からの反応を、どう受け止めていますか?
ですから深いファンにとっては、いままでにないような日本らしさがとても強いアートスタイルは斬新でもあり、驚きながらも喜んでくださった印象があります。
――マーベルのキャラクターは、ひとつの作品だけ取ってみても、原作はもちろんありながら、コミックシリーズの展開も多彩ですし、デザインもバラバラです。もちろん、ステレオタイプのイメージはありますが。それでいて、ゲーム、アニメ、そして実写映画もあります。それらのエッセンスを、本作にはどのように取り入れていったのでしようか?
――なるほど。本作は4対4でありながら、2対2で最初は始まるなど、かなり独特のチームバトルシステムを採用しています。どうやって、このチームバトルを組み立てていったのでしょうか?
――最初から4対4にすることは決めていたんですか?
まず、我々アークが格ゲーを作るとなったら、これまでと同じようなゲームは求められていないだろう、ということはわかっていました。アークが作るからこそ、アークの意味を持たせなくてはなりません。我々のタイトルのどこが好まれるのかというと、目新しさや独自性の強い部分が大きいです。
そして、チーム方式の格ゲーは、いちジャンルとしてルールが固定化されていると感じていました。途中交代、ラウンド交代などの違いはありつつも、基本は1キャラクターずつ倒していって、相手チーム全員を先に倒したほうの勝ち、といったゲームがほとんどですよね。
ここを一度見直してみて、チームバトルとして楽しめる方法はほかにもあるんじゃないかと考えて、チームバトルを再定義することにしたんです。
――そこから、2対2から始まり、仲間がつぎつぎと合流する独特のバトルになったんですね。
この表現をうまくチームバトルに落とし込めないだろうか、と考えて、チームメンバーが試合中に合流する仕組みを考えました。マーベル作品で描いている手法でもありますし、4対4のチームバトルでありながら、最初は2対2で始まって。仲間たちが合流して、最終的に4対4の最終決戦が始まるというのも、おもしろいんじゃないだろうかと。
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いくつかバランスを取る手法はありますが、たとえば1キャラクターごとの重みを落として、ちょっとしたところでキャラクターに個性を持たせれば、各キャラクターの覚えることが減り、プレイヤーの負担は減りますよね。ただ、アークのタイトルに皆さんが求めていることは、キャラクターごとの強い個性だと思っています。
独自性を落とす方向はナシとして、4対4のチームバトルを成立させるにはどうしたらいいか考えたときに、チームの体力を1本にまとめることにしました。矛盾した表現なのですが“チームバトルなのに、1対1で戦う”ことにしたんです。
まるでシングル格ゲーのような操作感でありながら、交代式のチームバトルにもできる。それでいて、最初は1キャラクターしか使えなくても、覚えていくうちに2キャラクター目も使えるようになれば、また戦略性も広がりますし、覚える順番としてもハードルは低いだろうと。
――チームバトルのルールなどの斬新さはありつつ、細かいシステムなど、全体的な部分からはアークさんがこれまで作ってきた格ゲーの集大成のような感触でした。これは狙っていたというより、自然とそうなったのでしょうか?
――たとえば操作方法も比較的カジュアルで、いわゆるパッド操作でも遊びやすいです。昨今は当たり前になりつつある、いわゆるワンボタン必殺技なども当然搭載していますし。それでいて、やはりコマンド入力にも対応していて。といった部分からは、『グランブルーファンタジーヴァーサス』での経験が生きているように感じていました。
操作まわりで言えば、『グランブルーファンタジーヴァーサス』は僕がリードプランナーとしてバトルまわりを担当していたこともあって、似たような操作方法を本作にも採用しました。基本的な考えかたとしては“できないことを、作らない”ようにしたかったからです。
格ゲーはやはりコマンド入力ができないと、戦えないイメージがありますよね。昨今のタイトルは案外コマンド入力ができなくても戦えますが、やはり先入観として操作が難しいと思われているのかなと。ですから、どんな操作形態でも必ず技は全部くり出せるようにしたくて。それを実現しているのが『グランブルーファンタジーヴァーサス』の操作だったので、それを踏襲しています。
もちろん、遊んでみると皆さん「この〇〇は、あのタイトルの〇〇だな」みたいな部分も、たくさん感じられると思います。長く格ゲーを作り続けてきたノウハウがあるからこそ、好評だったシステムですとか、仕組みを多くの人に理解してもらった要素などを、多数取り入れていますから。
ですから、狙っているわけではないですが、我々の集大成と言っても間違いではないかもしれません。要は、開発経験を“アッセンブル”したわけです(笑)。
――すごく本作にマッチしたお言葉ですね(笑)。
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――すみません、余談でした(笑)。そういった操作などの部分からも、全体的には初心者のことをすごく意識されているなと。
ただ、格ゲーとしてはかなり難しく、先鋭化しすぎてしまって、初心者などが始めにくい、カジュアルとはウソでも言えないようなシリーズになりました。そこから見つめ直して、操作の複雑さよりも、もっと対戦や読み合いの楽しさをフィーチャーしようと『ギルティギア イグザード』シリーズに発展していきました。
それが続いていった結果、我々のタイトルは、全体的に操作の複雑さでの楽しさよりも、格ゲーとしての攻防の楽しさ、そしてわかりやすさを重視するようになったと思います。
――簡単な操作で、格ゲーの楽しさを味わえつつ、チームバトル。しかもマーベルキャラクターたちが題材と、じつのところ非常にチャレンジングなタイトルでもありますよね。
そこはすごく議論を重ねていて、どのシステムを最初に理解すべきなのか、みたいな上下はとことんくり返しました。ただ、最初からSIEが大事にしたいと考えていたのは、チームバトルであることです。たとえば本作はボタン連打だけでコンボが出せるのですが、コンボ中にチームメンバーが現れて追撃してくれます。連打するだけでも、仲間と戦っている感を味わってもらいたかったからです。
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――今回のTGS2025試遊版で、これまで発表されたキャラクターはいったんすべてプレイアブルになりました。おそらく今後も、参戦キャラクターが続々と発表されていくと思いますが、どういった基準で参戦キャラクターを選んでいるのでしょうか? たとえば、今後の映画作品などの展開を踏まえた、マーベル側の狙いなども含まれていたり?
また、マーベル作品を扱うのだから「これは出さないわけにはいかないよね」といったキャラクターもいますよね。そういった部分を踏まえて、登場させるべきキャラクターを最初に埋めていきました。
そのあとで、基本はアーク主体の提案で「このキャラクターを出したいです」といったリストを作りました。マーベルさん、SIEさんに見ていただき、そこから3社で議論しながら、本作の登場キャラクターを選んでいます。ですから、押さえるべきところは押さえて、ほかはアーク側の好みみたいな感じです。
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――さきごろ(2025年9月6日~7日)に行われたクローズドベータテストの反響はいかがでしたか? アークさんとしては、おもにネット環境まわりを見ていたと思いますが、ゲームの感想などはどうだったのでしょうか。
もちろん自信を持ってお届けしていますが、多少ネットワークまわりで何かあるだろうと想定しているからこそβテストを実施しているので、驚きました。ほぼ不具合も発生せず、「対戦がラグかった」といった意見は1個も届かなかったので、そこはワールドワイドでβテストを実施して、本当によかったことです。
――今後もβテスト、たとえばオープンβテストなどがあったりするんでしょうか?
――βテストや試遊で、ゲーム部分ではどのような意見がありましたか? 改善すべき点と思っている部分はありますか?
ほかにも、対戦に行くまでの導線がわかりにくいですとか、対戦部分のわかりやすさ、わかりにくさ、ボタン入力のあれこれですとか、さまざまな意見もいただいています。もちろんまだまだ開発中のタイトルですから、よかったところも伸ばしますし、悪かった点は改善していきます。
――あちらの世界から、デッドプールからの意見でしょうか(笑)。個人的に全体の反応を見ても、国内外問わず、かなり高評価だったように感じています。
――最後に読者の方々にメッセージをお願いします。
また、やはりアメコミが原点なので海外ファン向けのタイトルに見えがちですが、我々は日本のファンも当然大事にしています。ただ、アナウンスなどの部分で日本語での発信が疎かになっていることは、我々も認識しています。今後はそのあたりも注力していくつもりですので、ご期待願えればと思います。
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