ニトロプラスとNetEase Gamesより2025年4月17日に発売された、Nintendo Switch、プレイステーション5、PC(Steam)用2.5Dサイドスクロールアクション『Rusty Rabbit』(ラスティ・ラビット)。
本作は人類が地球を捨ててから数千年後の世界が舞台。地上では過酷な環境に適応したウサギたちがまるで人間のように暮らしている。プレイヤーは主人公の中年ウサギ・スタンプと彼の愛機である二足歩行メカ・ポンコツを操って、ガラクタだらけの“エントツ山”を探索していく。
行方不明の娘の足取りを追うスタンプの哀愁漂う物語や、キュートな見た目のウサギたちが織りなすかわいらしいやり取り、そして、エントツ山でくり広げられるポンコツを使った骨太アクションが魅力の一作だ。
今回はそんな本作の原案・脚本を担当した虚淵玄氏(ニトロプラス)にインタビューを実施。いまだからこそ話せる開発裏話を語っていただいた。なお、開発の経緯などについては過去に行われたメディア合同インタビューの記事をチェックしてほしい。
※インタビュー中でゲーム内容に言及している箇所があります。![[IMAGE]](https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/famitsu/45219/a07fbd542c59f9dc66e587364006e4cbd.jpg?x=767)
虚淵玄氏(うろぶち げん)
ニトロプラス所属のシナリオライター、小説家、脚本家。クリエイターとして、『魔法少女まどか☆マギカ』(脚本)、『PSYCHO-PASS サイコパス』(ストーリー原案・脚本)、『翠星のガルガンティア』(原案・シリーズ構成・脚本)、『Thunderbolt Fantasy Project』シリーズ(原案・脚本・総監修)など、さまざまな作品を手掛けている。本作では原案・脚本を担当。文中は虚淵。
当初のコンセプトは壺オジのようなハード系山登りゲームだった
――本作の発売から2ヵ月ほどが経ちました。現在の率直な感想をお聞かせください。
虚淵
無事にゲームを発売できてよかったという気持ちが強いです。また家庭用ゲームの開発に携わるのは久しぶりで、時代が変わったなとしみじみ感じました。
――と言いますと?
虚淵
動画サイトで自身のゲームプレイ動画を配信したり、実況したりする文化が当たり前のようになっていることに驚かされました。個人的にゲームはプライベートな娯楽という印象が強かったので、遊んでいるさまを人に見せてなおかつそれが芸として成り立つというのは、知らなかったわけではないのですが、けっこうな衝撃でした。
動画投稿サイトに投稿されている『Rusty Rabbit』のプレイ動画や実況を見ることができたのもうれしかったです。
――たしか本作はもともと虚淵さんがUnityを使って趣味で作っていたゲームが元になっているんですよね。そのゲームが世界中の人に遊ばれていて、しかもその様子を手軽に見られるようになったというのはたしかに感慨深いですよね。当初からガラクタの山を掘り進めていくようなゲームだったのでしょうか?
虚淵
はい。ですが、当初はいまほどバトル要素がなく、ひたすらブロックを掘って壊し、邪魔になる敵がたまに出てくるという感じのスカベンジャー性の強いゲームでした。
ダンジョンは美観を完全に無視したランダム性の強い構造で、全体的に斜面が多く、登り切れずにズルズルと滑り落ちる場所もあり、山登りのような内容でした。いま思えば壺オジ(『Getting Over It with Bennett Foddy』)みたいなゲームでしたね(笑)。NetEase Gamesさんには山登り要素を削ってもらって、もっと痛快に動き回れる形にしてもらいました。
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――ランダムダンジョンはやり込みモードとして、製品版にもありますよね。
虚淵
そうですね。個人的にランダム生成ダンジョンが好きなので、せっかくアセットが揃っていてある程度の手間で実装できならお願いしたいという思いがあって、実装にいたりました。
――開発中にゲームシステムのことで何かオーダーは出したのでしょうか?
虚淵
スキルツリーで解放できるスキルの順番や使い心地など、アクション・育成の面に大きな影響を与えるスキルの要素にはあれこれ突っ込みを入れました。開発チームの方々がうまく調整してくれたおかげで、かなりボリュームのある内容に仕上がったと思います。
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――実装したくてもできなかったシステムはあったのでしょうか?
虚淵
ポンコツの強化要素にローグライクのようなランダム性を設けて、どの能力を選ぶのかという取捨選択の葛藤や難しさを導入したかったです。
しかし、製品化するにあたって、本格的なアクションやスキルによる育成など、やれることが広がったため、これ以上プレイヤーに余計な要素を強いるのはよくないと思い、あきらめました。
――ゲームのボリュームを考慮した結果ということですか?
虚淵
はい。ゲーム開発において、クリアーまでの時間とそれに見合ったコンテンツの量というのは非常に重要な要素です。たとえば、オープンワールドゲームやソーシャルゲームのように、貪欲にお客さんの時間を食い潰していくという意欲を持ったコンテンツであれば、あれこれ要素を追加するのはありだと思います。
しかし本作は開発の初期段階から、そこまで大きな規模のタイトルにはしないと決めていました。ですので、そこの見極めはかなり意識しました。
――料理を始める前に皿の大きさは考えたほうがいいということですね。時代とともにゲーム開発の考えかたも変わってきているのでしょうか?
虚淵
そうだと思います。昨今はゲーム配信や実況といった文化が定着しており、遊びかたの多様化を考えると、コンパクトだけどしっかり遊べるゲームを提供するのもありなのかなと。
――たしかに。配信を意識したようなタイトルが増えている気がします。
虚淵
配信者の方たちには、30分から1時間でサクッと片がついて爽快に遊べるゲームのほうが好まれますよね。
配信や実況というカテゴリーがさらに盛り上がっていくかはわかりませんが、僕の想像を超えた文化として成立しているのはたしかです。今後は大量にあるゲームをアラカルト的につまんでいくという遊びかたも生まれるかもしれません。
虚淵氏のサイドスクロールアクションへのこだわり
――そもそもサイドスクロールアクションにした理由は何だったのでしょうか?
虚淵
メガドライブの『ザ・スーパー忍』や『シャドーダンサー』のように、真横からステージやキャラクターを眺めながら、楽しく操作できるゲームが大好きなんです。
ステージやキャラクターの美観を堪能しつつ、動かしていて楽しいスタイリッシュさというのはTPSやFPSなどにはできないゲーム性かなと思っています。そういった理由から、本作もサイドスクロールアクションにしました。
――サイドスクロールはひとつの画面にゲームの魅力が凝縮されていますよね。
虚淵
さらに奥行きのある2.5Dにすることで、キャラクターやステージの美観を細部まで観察できますし、アクションの幅も広がります。個人的にゲームが持つ美しさとおもしろさをわかりやすく表現できるのは、サイドスクロールアクションやメトロイドヴァニアなのではないかなと。あと2.5Dはキャラクターの横顔がずっと見えるのもいいですよね。
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――ということはキャラクターデザインのやり取りも結構されたのでしょうか?
虚淵
こちらから要望をお伝えして、デザインを協力してくれたカナバングラフィックスさんにいろいろなデザイン案をいただきました。キャラクターの等身・表情が見える大きさのバランスや動作のコミカルさ、引きの画面でもわかる特徴付けなどを重視した結果、製品版のデザインに落ち着きました。
――背景デザインのやり取りも同じような感じだったのでしょうか?
虚淵
背景に関しては事前にNetEase Gamesさんから「スチームパンク路線かつコミカルなコンセプトにしたいです」と提案をいただいていたので、すべてお任せしました。できあがった背景デザインは作品の世界観や2.5Dのゲーム性とマッチしていて非常によかったので、こちらから何かオーダーをすることはありませんでした。
――今回の開発を経て「より新しいアクションにも挑戦してみたい」という思いが生まれたりは?
虚淵
じつはアクションゲーム作りは趣味で継続していたりします。
――もしかしたら新しい作品が世に出る可能性も?
虚淵
誰かに見せるチャンスがあれば可能性はゼロではないと思いますが、どうなんでしょうね。いわゆる同人気分で作って楽しいものと、人を集めてチームを組んで企業の製品として売り出すものは、企画の段階から意識してコンセプトを変えるべきなのでは、と二足のわらじを履きながら思っています。
――『ザ・スーパー忍』や『シャドーダンサー』といったサイドスクロールが好きとおっしゃっていましたが、ほかにも好きなゲームはあるのでしょうか?
虚淵
見下ろし型やTPS、気が向いたらレースなどいろいろなジャンルのゲームをプレイします。ゲームはひとりで物思いにふけりたいときに遊ぶことが多いので、対戦型やマルチプレイといったゲームをプレイするのは二の足を踏んでしまいますね。
ファミコンのころのゲーマーなので、ゲームを通じて世界中の人とコミュニケーションを取るという遊びかたは、僕の年だと追いつけないかなと。なにせ下手をすると、ほかのプレイヤーに迷惑をかけてしまうのが申しわけなくて(笑)。自分のペースで遊びたいんですよね。
――その気持ちわかります。先ほどキャラクターが観察できてアクションがおもしろいゲームへのこだわりを語っていただきましたが、最近のゲームでそういった気持ちにさせられたものはありますか?
虚淵
『ステラーブレイド』ですね。「俺はこの美女を魅せるぜ」という開発の主張があったうえで、ちゃんとステージの美観も維持していてコンセプトの一貫性を強く感じました。個人的に『ステラーブレイド』は予想を凌いだ奇跡の一作ではないでしょうか。
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スタンプやBB団の誕生経緯
――主人公スタンプはオジサンらしさ全開で印象的でした。スタンプをオジサンにした経緯を教えてください。
虚淵
2020年の自粛タイミング中に、新型コロナで父親を亡くしまして。そのときの自分の気持ちと折り合いをつけるために“年老いた孤独な男の話”を書きたいという衝動がありました。
とはいえ、個人的な動機をいきなり活かせる企画なんてそうそうないので、あくまで趣味の範囲として始めたのが、Unityでのゲーム作りでした。当初は日記帳感覚でゲームに気持ちをぶつけていました。その名残が製品化するにあたって、スタンプというおじさんにつながっていったのかなと。
――スタンプはお父様の人間性が色濃く反映されていると?
虚淵
スタンプは“老いた人物についての想像力”を膨らませていく中で生まれたキャラクターなので、父親とはまったく別の人物になります。
――スタンプと言えば、プレイヤーに語りかけるような描写が印象的でした。なぜあのような台詞、演出を盛り込んだのでしょうか?
虚淵
ネタバレになってしまいますが、本作はスタンプが乗っていたマシン“ポンコツ”の情報をプレイヤーが読み取っているというテイの物語になっています。
劇中でスタンプがガラクタ(残骸)やかつての人間たちの痕跡を読み解きながら物語を進めていったように、プレイヤーもポンコツをとおして、スタンプの痕跡を追っているというギミックの伏線が、あの演出に繋がっています。
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――メタフィクションっぽさを感じたのですが、そこは意識したのでしょうか?
虚淵
本作はメタフィクションというほど凝ったものでないと思います。もっと意識的に読者や視聴者を巻き込んでいくのが、メタフィクションだと思うので、小説まで噛んだことある人間としてはこのぐらいは序の口でしょみたいな気持ちはあります。
――本作はポンコツのアクションに始まり、レストア、錆獣など、“機械”の要素が多かったと思います。機械に対しては何か強いこだわりをお持ちだったのでしょうか?
虚淵
ガラクタを掘っては考え込むというスタンプの物語をわかりやすく表現するために、何から何まで機械で埋めました。
――なるほど。物語と言えば、スタンプの独り言の多さも見どころだと思います。原案の段階から独り言の要素はあったのでしょうか?
虚淵
独り言の多いオジサンという設定は最初からありました。当初はBB団が存在しなかったので、ただただ穴を掘りながら、ウサギが独り言をつぶやき続けるという内容でした。
――BB団はどのタイミングで誕生したのでしょうか?
虚淵
NetEase Gamesさんから「ストーリーの中で、ダンジョンのギミックを説明するキャラクターをこちらで考えていいですか?」と言われてオーケーした結果、生まれたのがBB団でした。
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――ああ、そうだったのですね。
虚淵
いまとなっては陽気な集団のBB団ですが、当初は役割を全うしたら死んでしまうという役どころでした。しかもムービーまで作るぐらいできあがっていて。
――えぇ~。
虚淵
まさか死ぬとは思いませんでした。潜水艦で溺死するレッキスとかありましたよ。
――“死”という結末は虚淵さん側のオーダーではなかったと。
虚淵
NetEase Gamesさんからは「ストーリーの邪魔にならないように作ります」と言われていたのですが、当初は想像以上のインパクトでしたね(笑)。
――さすがにBB団のメンバーが死んでいくという展開は許容できなかったと。
虚淵
そうなんです。若いメンバーがどんどん倒れていくなかで、娘の行方を追いながら過去を振り返る、なんていう余裕はないだろうなと議論しました(笑)。
――たしかに(笑)。
虚淵
でもBB団はダンジョンギミックの説明役として必要な存在でもあるので、外すわけにもいかず……結果、残り10日というタイミングで、BB団にまつわるストーリーをすべて書き直しました。
――10日間でですか(汗)。
虚淵
そういった事情もあって、BB団をスラップスティック(ドタバタギャグ)なキャラクターにするしかなかったんですよね。
――BB団のコミカル路線の誕生経緯は、死んでしまうという設定を回避するためのものだったのですね。
虚淵
ギミックで死なず、すぐに病院から退院したと言い張るにはギャグにするしかないかなと。違和感がないようにするために、BB団が出てくるところはひと通りコミカルにしました。
――BB団と言えば、メンバーのほとんどが団の正式名称“ブラックベリー団”を間違えているというネタが印象的です。
虚淵
BB団がおもしろ枠であることをアピールするために盛り込みました。シリアスなキャラクターと勘違いされちゃうと、途中でドジを踏んだときにがっかりされるので。公式サイトのキャラクター紹介にもそのネタを盛り込んで、最初からドジな奴らであることを印象づけるようにしました。
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――個人的にネザーランドのオチが好きです。当初の彼はどんな結末を迎えることになっていたのでしょうか?
虚淵
ネザーランドはアナと恋仲になって心中するというすごく重っ苦しい設定でした(笑)。当初の結末を変えつつ、神父というキャラクター性を活かすためには、どうすればいいか悩んだ末に製品版のオチを思いつきました。
――ちなみにコミカル系のネタはお好きなのですか?
虚淵
好きですよ。本編のスタンプとディータムのやり取りもオジサンの思い込みを笑いにしている部分が多くあったので、じつはBB団のコミカル路線がまったくかみ合わない訳でもなかったんです。
――結果的には本編との親和性が生まれたということですね。
虚淵
そうですね。BB団のストーリー修正で大きく舵を切りはしましたけれど、“娘の行方を追う哀愁漂うオジサンの物語”と“コミカルなBB団のテイスト”が最終的にかみ合って、いい具合に落ち着いたと思います。
――BB団の死亡ムービーがすでに作られていたとのことですが、そこはどうしたのでしょうか?
虚淵
死ぬシーン以外は可能な限り盛り込みました。たとえば、ボーリッシュがダンジョン内のアームでやられるシーンは使っていますが、そのあとにボーリッシュが死ぬ描写は没にしています。幸い流血描写などがなかったので、大部分のムービーをそのまま使うことができました。
――BB団含め、本作はスタンプ役の黒田崇矢さんや、ジェド 役の杉田智和さんなど、声優さんのキャスティングもすごかったですよね。
虚淵
よくこんなすごい人たちを連れてきたなと驚かされました(笑)。そもそも僕が提案したキャラクターはディータム絡みの面々であるスタンプ、ジェド、バウアーだけだったので、初期のストーリーのころと比べるとホントににぎやかになったと。
完成したムービーを見たときに、声優さんに声を吹き込んでもらったことで、作品が化けたと思いました。あとキャラクターの表情付けもよかったですし、モフモフの毛並みもしっかり表現されていて大満足でした。
――声を聞いて印象に残ったキャラクターはいましたか?
虚淵
BB団は声が吹き込まれたことでキャラクター性が増して、全員愛おしい存在に仕上がっていると思います。強いて挙げるなら、意外性とおもしろさを両立させたネザーランドやしっかりとしたリーダー性を感じられたアナが印象的でした。
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――BB団は虚淵さんにとっても印象的な存在だったのですね。
虚淵
BB団は僕の引き出しの外にいたキャラクターだったので、彼らのキャラクター性やストーリーを書き直したことで僕自身がお客として楽しめました。予想外のトラブルってたいへんですけど、楽しいんですよね(笑)。
――さすがです(驚)。BB団のストーリーを修正するうえで、いちばんたいへんだったことって何でしたか?
虚淵
宇宙ステーションでのBB団の扱いですかね。物語の都合上、軌道エレベーターの上までBB団を連れて行く訳にはいかないのですが、宇宙ステーションでギミックを説明する役は必要なので、苦し紛れに発信器をつけて対応しました。
やはり中盤までのギミック説明をBB団に務めてもらった以上は、最後までBB団にやってもらうしかないよねって思いました。そういった都合もあって、レッキスがかなりチートキャラクターになりましたね(笑)。
没になった会話で狂うウサギたち
――個人的にダイナーでの会話イベントもおもしろかったです。
虚淵
ダイナーはNetEase Gamesさんが追加した要素です。じつは難易度次第で会話の内容がガラりと変わる構想もありました。
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――難易度設定ですか。
虚淵
はい。ゲームの難易度ではなく、村人とのコミュニケーションの難易度です。イージー、ハード、ルナティックの3段階に分かれていて、難易度が上がるにつれて村人ウサギの反応が悪くなったり、狂ったりというコンセプトがあり、個人的にもおもしろいと思いました。
ただ文量がたいへんなことになると思って、友人の江波光則さん(小説家。サブライターとして本作のシナリオに参加)に手伝ってもらって、全部の難易度のシナリオを書き上げました。でもけっきょく、諸般の事情でシナリオの3分の2が実装できず、製品版にはイージーの会話のみが実装されています。
――あのかわいいデザインで狂うウサギ、見てみたかったです。
虚淵
ダイナーの本領はハードとルナティックの会話だと思います(笑)。実装できなくて残念です。ちなみにダイナーの会話の中で選択肢があったと思いますが、あれは難易度設定の名残です。
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――ダイナーにそんな秘密が隠されていたとは。レストアもかなり力が入っていましたよね。
虚淵
レストアはどういった修正をするかも含めて江波さんにすべてお任せしました。容量の都合で本編に盛り込めなかったスタンプのキャラクター性を僕以上に掘り下げてもらえたのが大きかったです。かなりボリュームもあり、レストアを読むだけでもスタンプの人となりがわかるデータアーカイブ感が出ていたのもよかったです。
レストアの最後にスタンプが、亡き奥さんのバイク(ウィドウメイカー)を修復したら、スタンプの願望が入り交じったぜんぜん違うものができあがってしまうという心憎い話も印象的で、さすが江波さんだなと思いました。
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――ちなみに『Rusty Rabbit』の続編の予定はあるのでしょうか?
虚淵
いまのところ開発の予定はありませんが、僕は滅茶苦茶作りたいです。
――構想はあるのでしょうか?
虚淵
本作と同じサイドスクロールアクションで作るなら、つぎの主人公はレッキスで3~4年後の世界が舞台になると思います。大人になって錆掘りになったレッキスとエンディングで運び込まれたダフネがタッグを組んで、ウサギだけどふたりはプリキュアみたいな(笑)。そういうノリのおもしろかわいい話を作りたいです。
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――スタンプが主人公として続投する可能性は?
虚淵
錆掘りとしてのスタンプの物語は本作で完結しているので、やるのであればウィドウメイカーで旅に出るようなレストアパートの延長戦上の物語がいいのかなと。
――どちらの構想も気になりますね~。では最後に、読者のかたにメッセージをお願いします。
虚淵
美少女ゲームを作っていたころから、世の中が大きく変わり、ゲーム作りがますますおもしろくなる世界になりつつあります。
アニメや小説、漫画の楽しみかたは昔とそれほど変わっていませんが、一方でゲームは作りかたや遊びかたがどんどん化けていく未知の分野に突入していて、これからゲームの大航海時代がやってくるという期待感があります。そういったワクワクやこれまでにないアイデアを、作り手としても、受け手としても、楽しんでいきたいと思います。
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