“ときメモ”の愛称で知られる『ときめきメモリアル』。その第1作は、私立きらめき高校に入学し、自分を磨きながら個性豊かな女の子たちと学園生活を過ごすゲーム……らしい。

そんな漠然とした気持ちを抱いていたところに『ときメモ』ライブのお誘いだ。受け取ったメッセージはまったく仕事の依頼という感じではなさそうだったが、真意はどこにあるのか。「お前に足りないのは“ときめき”だろう」ということか。ひと周り以上も人生経験のある先達が考えることだ、きっと何かあるに違いない!
というわけで、『ときメモ』知識ゼロの状態で、大事な30周年ライブにお邪魔させていただいてしまいました。結果、忘れられない思い出となったことを記すべく、こうして筆を執っている次第でございます。


『ときメモ』同窓会
現場で編集者と落ち合って開口一番そう言われてしまった。なんで呼んだんだ。
今回お邪魔したライブ“ときめきメモリアル 30th ANNIVERSARY LIVE ~forever~ presented by TOKYO MX 30th”は、2025年5月17日~18日の2日間にわたって開催。お邪魔したのは2日目だ。
編集者は『ときメモ』と青春を過ごした古参ファン。開場待ちの人々を目にしたとたんにテンションが上がったようで、声を掛けまくっていた。写真を撮ったり好きな女の子の話をしたりとその様子はまさに同窓会。

「鏡さんと紐緒さんと伊集院が好きなんだよね恋愛ゲームにとってこの3人はツンデレというものを形作った始祖かもしれない当時はそんな言葉なかったけど僕らのハートはギャップに持っていかれてしまったのだから」
などとまくしたてる。こういう話をファンの方ともしていて、「大人の女が好きなんですね」と見抜かれていた。そうなんだ。
「これは学校説明会だから」
会場全体が同窓会のような空気に包まれていたが、それだけではない。5月8日にリマスター版となる『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』が発売されたからだ。前回とは異なり、今回は新入生歓迎会の雰囲気も帯びている。
実際、新入生らしき印象の参加者が会場内にちらほら。メッセージボード(スマホからデジタルで書き込める)への書き込みにも、新参・古参問わずさまざまな内容が見られた。



会場では有志制作のコール本(※)が無料配布されており、おしゃれなフラワースタンドやプレゼントの山からメモラーの熱量の高さがうかがえる。隣には早くも涙ちょちょ切れさせながら、シャッターを切り続ける漢の姿があった。
さまざまな愛のかたちはフラワースタンドとなって顕現。格言を引用していたり、ドレスをかたどっていたり、ジオラマだったり。なんとなくその女の子の愛され方を想像でき、フラスタが並ぶ空間に圧倒されっぱなしとなった。え、紐緒さんって悪の科学者なんですか(編注:紐緒さんは世界征服を目標としているけどその世界はきっとすばらしいから悪じゃないよ)。



そう考えると、アウェーの空気を全身に(勝手に)感じながらも、いったい何が始まるのだろうかという期待感が同時に溢れてくる。ステージには生演奏用の楽器群がセットされており、開演前のワクワク感をいっそう高めてくれていた。
編集者 へぇー。今年は生バンドの演奏なんだ。去年よりパワーアップしてる。

そして筆者は学校の特色を知るべく、ペンライト……ではなく、ペンとノートを手にしながら、開演を待つこととした。
躍動する先輩たちと32曲を浴びる

恐る恐る参加したライブ。結論から書くと、めっちゃ楽しめた。初めての楽曲の数々に聞き惚れる時間が続く。加えて、今回は初の試みらしい、バンドによる生演奏でのパフォーマンス。体に響く振動がより気分を弾ませてくれる。
MCパートでも演者の魅力が爆発。知識ゼロの状態でキャスト陣のやり取りを眺めることになったが、これがまたおもしろい。
自己紹介を聞きながら、“早乙女さんは妹キャラ”、“片桐さんと言えば海外留学”。ふむふむとメモを取っていると「安心してください、はいてますよ」と安村さん……ではなく清川さん。演じる笹木綾子さんがおもしろい人だということはすぐ理解できた。美樹原さんはどういう女の子なんだろう。かわいい歌からキャラクター像が膨らんでいく。





鏡さん演じる五十嵐麗さんは、ご本人もキャラもいかにも大人! な印象。「~~ね、みんな」の呼びかけに来場者(親衛隊らしい)が「はい、鏡さん!」と返すやり取りはお決まりなそうで会場の一体感がすごい。
編集者 このひと言でみんな親衛隊の一員になるからね。ここにいる全員が仲間よ。
それがうれしいのだという。笑顔になる気持ちもわかる。

そして何より、ステージで歌う彼女たちの姿は本当に圧巻だった。聴いていると、簡単な語彙しか出てこない。おもに「歌うめー」「かわいい」「きれい」「かっけー」「生演奏スゲー」だ。
この日、単独曲のトップバッターは首のスカーフが素敵なよしきくりんさん。歌唱する『元気満タン!恋模様』は早乙女さんの「大好き!」がどストレートに響く。続く菅原祥子さん演じる、虹野さんの『エール!は君のために』はノリノリな応援ソング。


「へえ~これが往年の名曲ってやつかあー!」と、初っ端からテンションは最高潮だったのだが、聞くに上記2曲は新曲だという。懺悔すると、筆者は『ときメモ』のことを30年前の“古いゲーム”だと思ってしまっていた。だが、それは少し違う。恋愛ゲームの先駆けはいまも最前線を走っているのである。令和のこの時代に、平成を彩った『ときメモ』がキャラクターソングの新盤をおろしているだなんて。
先輩メモラーたちはもちろんのこと、新入生にとってコンテンツをリアルタイムに追えることはどれほどの喜びか。今回のメモリアルライブを“新入生歓迎会”とも表現しているのは伊達ではなかった。この学校の校風、すごくいいと思います。




認識を改め、楽曲に向き合う。個人的にいちばん印象に残ったのは、鉄炮塚葉子さんが歌唱する朝日奈さんの曲だった。キャッチーな曲調の『超(今世紀最大級)LOVE』からは、自己紹介パートで感じた印象と同じく、元気そうな少女像が浮かんでくる。しかも鉄炮塚さんに手を振ってもらえた気がする! なお、かろうじて残せたメモは“指パッチンがかわいい”だった。
『Ring Ring Train』はライブにとても向いた、コールの楽しい楽曲。やっぱり元気な曲で、朝日奈さんを中心にみんなの笑顔が弾けていくような盛り上がりが忘れられない。いまも脳裏で「リンリントレイントレイン」が鳴っている(編注:わかる)。


女の子たちのキャラクター性と曲にあわせて、立ち上がって盛り上がったり、座ってしっとりと聴いたりと、先輩方の自然な立ち回りもお見事。
やさしく座らせてくれる美樹原さんの楽曲で、会場みんなの気持ちが安らぐ。『Sweet Heart』を歌唱する栗原みきこさんが感極まっているのを見たとき、この会場にいる人たちが重ねてきた年月に少し触れた気がして、こちらの胸にも暖かさが宿る。それは1年生が3年生の集大成を目の当たりにしているような感覚で……もう本当の学校とか部活とおんなじだ。

そして、筆者が勝手に抱いたイメージ通りの楽曲が披露されることもあれば、いい意味での裏切りを見せてくれることもある。
たとえば、清川さんの楽曲は『春にきがえて』と『フォトグラフ』の2曲。春と夏を感じる歌だった。笹木さんはMCパートの印象から、おもしろい人のイメージが優勢だ。一方で、パフォーマンス中は優しげな声色とステージの幅をふんだんに使った動きに目と耳を奪われる。まるでミュージカルだと放心していたら、「舞台とかジャズダンスでも活躍されている方だからね」と編集者。納得だ。え、『フォトグラフ』も新曲なんですか。


古式さんは可憐なおっとり系というイメージ。だが黒崎彩子さんの歌唱が始まると、可憐さのなかに芯の強そうな印象も受ける。おっとりとしているようで力強さもあるような不思議な印象に変わっていった。本編やれば彼女のことがわかりますか? 『あなたとメリーゴーランド』では「かわいいー!」と熱い愛が飛び交っていた。この曲も新曲なんですか!


不思議な印象といえば、館林さんの楽曲はスケール感の大きさを感じるもので、歌唱する菊池志穂さん(館林さんとお揃いの髪型がとてもマッチしていた)もコアラを抱いているなど気になるところが多数。隠しキャラだそうだ。
可愛らしい歌声とその世界観に惹き込まれるようで、人となりをとても知りたくなる。なお、会場の先輩方は菊池さんに促されて飛び跳ねていた。すごい。



というか、伊集院は“そういうこと”なんですね。編集者は「前回も思ったけど、30年の時を経て、ついに……」と感慨深い様子でした。



紐緒さんは悪の科学者のわりに中友子さんの振付がかわいいぞ? 『幾何学リズムのプライド』のイントロがかっこよすぎる。如月さんは『空いっぱいの気持ち』が良い。歌唱する関根明子さんの動きだんだんが増えてくるところにストーリー性を感じるし歌詞が空いっぱい→胸いっぱいになるところも良い。片桐さん演じる川口雅代さんの英語かっこいい! 切ないけど前向きな『好きなままで好きでいい』のサビが最高だ……などなど。



撮影で忙しくしていた古参メモラーたる編集者は、鏡さん演じる五十嵐さんの思い出話を聞いて「やっぱり!」としきりに頷いていた。五十嵐さん曰く、かつてレコーディングの際に歌い方のサンプルとして中森明菜さんの音源を聞かされていたそう。編集者含め、会場の先輩方は腑に落ちた様子。
この日披露された鏡さんの楽曲は『水の都へ…』と『たとえば』(新曲)。指の先までかっこいい姿が印象的な五十嵐さん。その大人すぎる歌声のルーツがひとつわかり、早くも2曲を聴き返したくなった。


そして、単独曲の最後は藤崎さん演じる金月真美さんの『告白』。その透き通った歌声にひたすら聞き惚れる。心洗われるような曲に圧倒されていると、手に持っていたノートにビリビリと振動が伝わってきた。改めて、生演奏の迫力がすごい。
原稿を書きながら何度でも驚くが、その前に歌っていた『オレンジの空』も新曲らしい。会場のメモラーが戸惑わずペンライトを振っていた光景もあいまって、本当に最近生まれた楽曲なのかわからなくなってしまった。“これ新曲?クイズ”をされたら全問悩んでしまうくらいセットリストに馴染んでいるのは、自分が思っているよりも偉大なことなのではないか、と思う。


若造な筆者はKONAMIの昔にそれほど詳しくないが、“コナミ矩形波倶楽部”というバンドが社内にあったそうだ。1990年代後半からは『ビートマニア』をはじめ多数の音ゲーをリリースしているし、それだけ昔から音楽に真摯に向き合っているメーカーということなのだろう。

前回と違うのは、リマスター版である『ときめきメモリアル~forever with you~ エモーショナル』が発売した点。生演奏と歌唱のなか、先輩方に混じって新入生の方々も思い思いの色でペンライトを振っている。“これから”の展開に期待したくなる、楽しいひとときとなった。

余談だが、終盤ごろのメモには“アンコールを始める先輩たち”と書かれていた。これまで“来場者”と書いていたのに、いつの間にか“先輩”という表記になっている。このことに気が付いたとき、筆者自身が自然と皆に仲間入りしたくなっていたことを自覚した。
それにしても、アンコールを含めて演奏されたのは全32曲。多すぎる!! たっぷりと音を浴びたことで、心地よい疲労感と明日を生きる潤いをいただけた。

私立きらめき高校に入学します


志望動機は本稿にて十分として、このあたりで筆を置き『ときメモ』を始めます。ライブを経て朝日奈さんがすごく気になっています。何磨きから始めればいいのでしょうか!
そして『ときメモ』ライブよもう一度! 次回はその真のエモさがわかっていると思うから……本当によろしくお願いいたします。

セットリスト
- もっと!モット!ときめき(全員)
- 元気満タン!恋模様(よしきくりん)
- エール!は君のために(菅原祥子)
- 超(今世紀最大級)LOVE(鉄炮塚葉子)
- 春にきがえて(笹木綾子)
- 透明な仮面(津野田なるみ)
- 水の都へ…(五十嵐麗)
- 手のひらの革命(中友子)
- オールinワンダーランド(川口雅代)
- Sweet Heart(栗原みきこ)
- メビウスのループ(菊池志穂)
- THANKS SONG(黒崎彩子)
- 空いっぱいの気持ち(関根明子)
- オレンジの空(金月真美)
- Go! Go! パラメータ ~Shiori・Saki・Miharu~(金月真美、菅原祥子、菊池志穂)
- Ring Ring Train(鉄炮塚葉子)
- 幾何学リズムのプライド(中友子)
- 好きなままで好きでいい(川口雅代)
- スプリングフロート(よしきくりん)
- あなたとメリーゴーランド(黒崎彩子)
- UnSelfish(栗原みきこ)
- たとえば(五十嵐麗)
- 風よ(関根明子)
- フォトグラフ(笹木綾子)
- 出会えて良かった(菅原祥子)
- フィフネルの宇宙服(菊池志穂)
- あなたと紡ぐアルバム(津野田なるみ)
- 告白(金月真美)
- ♡のスタートライン~with you~(全員)
- 10th SMILE(=じゅうねんスマイル)(全員)
- サプライズは微笑みのあとで ~forever Smile~(全員)
- 二人の時~forever~(全員)
- もっと!モット!ときめき(全員)

















