『ARC Raiders』脱出シューターだと思ったらSFスリラーかもしれない。フェイスハガーっぽい敵に荒廃した終末世界、遠くで鳴り響く銃声と爆発音、不穏な機械音にビビりまくる

by友野辰貴

『ARC Raiders』脱出シューターだと思ったらSFスリラーかもしれない。フェイスハガーっぽい敵に荒廃した終末世界、遠くで鳴り響く銃声と爆発音、不穏な機械音にビビりまくる
 3人称視点のPvPvEアクションサバイバルシューター『ARC Raiders』。謎の機械“ARC”により荒廃した終末世界を舞台に、“レイダー”として危険な地上で物資を集めて脱出を試みる、いわゆるタルコフライクと呼ばれる作品なのだが、これがめちゃくちゃ怖い。

 当初はロボットの敵や地下世界などSF(サイエンスフィクション)のエッセンスが大きな特徴だと思っていた。だが、気づいてしまった。「SFというよりホラーかスリラーなのでは……?」と。プレイテストに参加し、緊張感のある作りにビビり散らかしたひとりの男の記録をお届けしよう。
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システムはシンプル……でもビビる

 『ARC Raiders』はネクソンの子会社“Embark Studios”が開発を手掛ける新作だ。対応プラットフォームはプレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam/Epic Games Store)。

 最初の印象をストレートに書くと「かなり遊びやすいタルコフライクゲームだな」といった具合だった。PvPvE、つまりプレイヤーどうしだけでなく対コンピューターとの戦闘も発生し、独特の緊張感で近年とくに人気のジャンルである。

 シンプルな操作感、わかりやすい洗練されたUI、整理整頓を気にしなくてもいいバックパック、拠点で楽に補給できる消費アイテムなどなど。かなりとっつきやすいシステムで、地下世界、銃のデザインなどSF的世界観も好印象だった。
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 だが、はっきり言っておく。筆者はこのゲームにかなりビビらせられた。

 まず違和感を覚えたのは探索フィールドに出た瞬間だ。「スチームパンクやディストピアみたいな感じかと思ってたけど寂れた雰囲気なんだな」のような所感だった。
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 広がる砂漠、壊れた建物、整備されていない道。全体的に暗くBGMがないのも相まってSFよりもゾンビアポカリプスを思わせる不穏な雰囲気。自分の足音と風の吹く音だけが寂しく聞こえる。

 しかし、物資を集めるという使命があるためそんなことで足を止めていられない。嫌な予感はするが目の前の巨大施設に入ってみた矢先、銃声と爆発音が奥の方から鳴り響いた。
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扉の向こうから派手な音……開けたくない……。
 そう、確実に敵がいる。死ぬかもしれない場所にこれから入らなきゃいけないなんて嫌すぎる。というかもう入っている。勘弁してほしい。

 最初はそれでも探索しなきゃと使命感に駆られていた。いたんだが「ピポピピッ」といった感じの機械音とともにクモ型ロボが落ちてきて顔に取り付いたり、爆音で警告音がなる監視カメラがあったり、プレイヤーをビビらせるギミックがつぎつぎに発動。しまいには「ガシャンガシャン」みたいなデカいなにかの足音が近づいている感じもする。もう一度言うが勘弁してほしい。
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カシャカシャと音を鳴らし暗い場所で迫るミニロボ。ふつうに怖い。
 ビビりながらも探索を続けて物資を集め、気付けばバックパックがパンパンに。怖いので「こんなヤバいとこ、さっさとずらかるぜ」と急いで出口に向かう。が……そこにはデカい足音の主(ドデカい多脚戦車)が構えていた。
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デカくてヤバいやつが右奥にいる。怖くてこれ以上近づけない。
 硬くて分厚そうな装甲で守られガトリング砲を構える敵に対して、こちらはボロボロのポンコツアサルトライフル一丁。「これでどうやって戦えばいいんだ」状態である。

 しかし出るしかない(と、このときは思っていた)ので、意を決して飛び込んでみた。その瞬間、こちらへ振り向きモノアイが赤く光りガトリング砲が高速で回り始める。「うん、絶対に無理だ」と後悔したのは死んだ後の話だ。

 ここだけ聞けば「巨大施設がヤバいなら小さめの建物を狙えばいいのでは?」と思うだろう。筆者も最初はそう思っていた。上空からスキャンしてくるドローンが来るまではね。
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小さく見えるのは遠いから。ふつうにデカいので喧嘩を売りたくない。
 「ブゥーン」といった重低音を鳴らしながら地上を探す姿を見たとき、地上に安全な場所はないと理解。「見つかったら絶対に死ぬじゃん」という意識が探索の手を重くし足を引っ張る。
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目の前をスキャンされてビビり散らかした瞬間。この後、急にこちらへ方向転換する。
 念のため言っておくと倒すのが比較的楽な敵もちゃんといる。1体1体しっかりとちゃんと対処すれば初期装備でも勝てるぐらいのやつらだ。

 しかし残念ながらそういう敵は徒党を組んでいることも多い。しかも、そういったやつらを相手にしていると、ほかプレイヤーとの接敵も増えるため、あまり相手にしたくないというのが正直なところだ。どうしてもこの手のPvPvEは血の気の多いプレイヤーが多め。筆者を殺したあの野郎だけは絶対に許さん。
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十数分の探索が水の泡に……。
 だからこそ生還したときは超爽快だった。地下へのエレベーター(脱出地点)に到着した際は安堵とともに変な脳汁がドバドバ。ここでひとつ宣言しておこう。筆者を苦しめたロボたちには装備を整えたうえで絶対に復讐してやる。
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マップ上に複数用意されたエレベーターのひとつ。呼ぶと派手な音を鳴らすして敵を呼ぶという嫌がらせのようなシステムを搭載している。
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リザルト画面。レアアイテムを回収できるとうれしい。
 それはそれとしてフェイスハガーみたいなクモ型ロボが出てきたり、『宇宙戦争』を彷彿とさせる雰囲気だったり。「これって実質SFホラースリラー作品なのでは?」と思ったのはここだけの話だ。
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よりにもよって顔にとびついてくる。

アイテム調達が楽

 商人との取引、クエスト(要するにタスク)、アイテムの管理などができる地下世界の拠点。なかでもワークショップステーションのシステムは好印象だった。

 ワークショップステーションでは素材を消費してさまざまなアイテムを作成可能。これさえあればお金がなくても回復用を含む消費アイテムの調達が楽になるのだ。
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体力回復に役立つ包帯。序盤は必須級かもしれない。
 これは常々思っていたタルコフライクの(あくまで個人的な)不満点なのだが、初心者ほど回復アイテムが必要なのに初心者にはその回復アイテムの調達が難しい場合がある。そうすると満足にアイテム収集ができない→回復アイテムが不足する→また収集がキツイという負のループにハマってしまい、結局離脱の原因になってしまうのだ。

 しかしワークショップがあればそれらも緩和。最低限のアイテムをそろえやすくなっている。

 最悪の場合でも無料装備(本当に必要最低限だけど)を用意してもらえるし、探索に出さえすればペットのニワトリが素材を集めてくれる。アイテム不足を解消しやすいシステムなのはありがたい。
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ニワトリのスクラッピー。訓練して性能を上げられる。
 また、研究を進めれば新たなワークショップステーションも製作可能。初期では最低限のものだけだが、専用ワークショップならレア度高めの強いアイテムや装備も作成できる。やりこめば強装備をそろえやすくなる玄人向けの仕様でもあるようだ。
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強い装備の制作には設計図が必要らしい。
 もちろん高レアリティアイテムの制作にはそれなりの素材が必要なようだが、装備を失ってしまいがちなタルコフライクにはありがたい機能であることには変わりない。ちなみに、倒されてしまってもアイテムが手元に残る“安全(セーフ)ポケット”といった機能もある。
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右下の欄が安全ポケット。どうしても失いたくないアイテムが見つかったときは、優先していれるべし。
 アイテム補充や装備の調達が楽、アイテムを失いづらいなど安心安全の設計。タルコフライク初心者にはおすすめの一作と言える。

ストーリー面の展開にも期待

 リリース後の展開によるストーリーや世界観の広がりが個人的に大いに期待しているポイントだ。

 世界が滅んだ経緯、謎の機械“ARC”の正体、地下世界誕生の歴史、高度な文明を感じる地上世界など気になる点も多い。プレイを進めていくことで少しずつ情報が開示される形式はロマンがあって個人的に好みだが、まだよくわからない。そのあたりは今後の展開を楽しみにするほかないだろう。
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 なお、本日2025年4月30日から5月4日まで一般向けプレイテストが開催される。本稿で気になってプレイしてただけたなら喜ばしいことこのうえない。

作品概要

  • タイトル名:ARC Raiders
  • 発売日:未定
  • ハード:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC(Steam/Epic Games Store)
  • ジャンル:エクストラクション・アドベンチャー
  • 開発:Embark Studios
  • 公式X(Twitter)@ARCRaidersGame
  • 公式サイト
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集計期間: 2025年05月01日04時〜2025年05月01日05時