うだるような暑さが続く今年の夏。猛暑から逃れたいなら、屋内でミステリー作品に没頭するのも一興だ。そこでうってつけなのが、2025年7月11日発売のPC(Steam)用インディーゲーム『超探偵シャーロックちゃん ~掟破りのミスディレクション~』。
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本作は、主人公で女子高生探偵の今井沙羅子(シャーロックちゃん)が難事件を解決するビジュアルノベルである。今回、先行プレイする機会をいただいたので、極力ネタバレのない範囲でその魅力をお伝えしていこう。
「この超探偵シャーロックが、全ての謎を解き明かす!」
物語は、今井沙羅子が助手の和十村潤(ワトソンくん)とともに慰安旅行として冬の山荘を訪れるところから始まる。コナン・ドイルの小説『シャーロック・ホームズ』シリーズを想起させるネーミングが楽しい。
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超探偵力という特殊能力を持つ主人公。事件を解決するまで何度も時間がループするが、記憶は引き継がない。“ヒラメキ”(プレイヤーの推理)が事件解決へと導く。
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助手の和十村潤。特務捜査官で、分析力に優れる。シャーロックちゃんに片想い中。
舞台となる山荘の名前は米井香荘(べいかそう)。こちらはシャーロック・ホームズが住む“ベイカー街”にちなんでいるのだろう。山荘にいたのは、顔を見せないオーナーと看板娘の八木沼雛乃、さらに遠野真人と太陽と名乗るふたりの男性客、そして素性不明の女性客がひとり。
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夕方になり雪が降り出すと、ロビーのモニターにはオカルト系VTuber・中島ほのかのライブが映し出された。なんと、ほのかも吹雪で閉ざされた山荘に宿泊しているらしく「そういえば謎の女性客がいたはず!」と、まだ何も起こっていないのに、あたかも殺人事件が発生しているかのように推理を開始してしまった筆者がここにいる。
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事件がいつ、どこで起きるのかと期待を膨らませながら物語を進めていると、来客へ対応するためにほのかがライブが中断し、そのまま配信が終了してしまう。
不穏な幕切れにシャーロックちゃんたちが驚き、筆者が「これは……いよいよか?」とワクワクするなか、山荘は夕飯の時間へ。雛乃が客を呼びに行くと、ついに事件が発覚した。旧館の部屋に、無残な遺体が転がっていたのだ。やっぱり!
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被害者の名前は我龍院月(がりゅういんるな)。現場には配信機材などが設置されており、彼女がほのかの“中の人”である可能性が浮上する。凶器は? 動機は? そして、いったい誰が犯人なのか……。
容疑者は第一発見者の雛乃に加え、真人と太陽の計3名だ。彼らは互いを疑い、バチバチにいがみ合う。事情聴取で裏の顔や“秘密”が明らかになるうえに、彼らの心の動きがはっきりと表現されている点がおもしろい。
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ちなみに、本作のテキストはほぼ会話劇で成り立っているため、ものすごいボリュームのセリフを読み進めていくことになる。こう聞くと退屈してしまいそうだが、本作のセリフの掛け合いはテンポがよく、キャラクターの書き分けが非常に明瞭だ。細かく章立てされ、物語がどんな局面を迎えているか把握しやすいのもいい。
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声優陣の熱の入った演技により、プレイヤーはさらに本作の世界観へと引き込まれていく。
シャーロックちゃんの大食い設定や、報われないワトソンくんの恋にもクスリとさせられる。また、コミカルな演出、“バシッ”、“ピキーン”などの小気味のいい効果音なども楽しく、本作は殺人事件をテーマにしてはいるが全体的に重くなりすぎず、肩の力を抜いてプレイできるものとなっているのだ。
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ワトソンくんが描くクセが強いイラスト。要所要所にユーモアが散りばめられており、怖がりの筆者でも楽しくプレイできた。
捜査と3人への事情聴取がひと通り終わると、お待ちかねの推理フェーズ“読者への挑戦状”へ。これまで集めた証言や証拠をもとに選択肢を選び、画面内の怪しい場所をクリックして犯人を特定するという、王道のシステムに安心感を覚えた。
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もちろん、探偵ものには欠かせない決めゼリフも!
980円という価格で、クリアーまで3~4時間と手軽に遊べるものの、きちんと没入感を味わえる本作。現在、“読者への挑戦状”の章までをプレイ可能な体験版も配信中だ。
この記事で結末を述べることはできないが、ひとつだけ付け加えるならば、本作の真相は決してオーソドックスなものではない。ぜひ“ヒラメキ”としてシャーロックちゃんの推理を正解へと導き、真実へとたどり着いてほしい。