『真・三國無双 ORIGINS』レビュー。呂布戦は死にゲー。諸葛亮は当然ビームを撃つ。シリーズの魅力を昇華し、画面一杯ギチギチの兵士たちが、三国志ドラマを盛り上げる!

by西川くん

『真・三國無双 ORIGINS』レビュー。呂布戦は死にゲー。諸葛亮は当然ビームを撃つ。シリーズの魅力を昇華し、画面一杯ギチギチの兵士たちが、三国志ドラマを盛り上げる!
 コーエーテクモゲームスより、2025年1月17日発売予定の『真・三國無双』シリーズ最新作『真・三國無双 ORIGINS』。対応ハードは、プレイステーション5(PS5)、Xbox Series X|S、PC(Steam)。

 本作は
『真・三國無双』シリーズの原点回帰を掲げ、シリーズの持つ“一騎当千の爽快感”などの魅力はそのままに、より“三国志”のドラマを濃厚に描くなどの、これまでのナンバリングタイトルとは一味違った体験を楽しめる意欲作だ。

 本記事では製品版をクリアーまで遊んでの、プレイレビューをお届けしよう。
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赤壁の戦いまでを、濃密に!

 物語は“三国志”、“三国志演義”をベースに、“黄巾の乱”から“赤壁の戦い”までが濃密に描かれている。基本は原作通りといった感じで、そこにオリジナル主人公が介入する形で本作独自のストーリーが展開されていく。

 
『真・三國無双』シリーズは基本的に物語はステージベースで進行し、戦闘前のムービーシーンなどを挟みつつ、会話劇よりもバトルステージ中でのドラマがメインとなっていることが多かった。本作は物語も非常に重視されており、アクションのみならずドラマ性もこれまで以上に楽しめた。
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 語られる内容はとても細かく、“なぜこの武将たちは、このとき戦ったのか?”といった前提の話までしっかりと描かれていく。“三国志”ファンはもちろんのこと、「“三国志”のことはよく知らない」、「『真・三國無双』シリーズは好きだけど、じつのところ物語の詳細は知らない」といった人たちにも、“三国志”入門としてぜひオススメしたい。

 ユニークなのが、序盤はある程度リニアに進んでいく(具体的に言うと、董卓軍との戦いまで)が、ゲーム中盤からはそれまでに出会った英傑たちである曹操、孫堅、劉備の3陣営からプレイヤーがひとつを選び、物語が進んでいく点。
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 誰に付いていくのかは自由で、ゲーム的な選びかたとしては“その章で、陣営ごとの合戦(ステージ)をクリアー”すればいいだけ。必要達成数は陣営によって異なるが、全陣営の必要合戦をクリアーしてから選んでもいいし、選びたい陣営の合戦だけこなしてもいい。

 そして各陣営の目線から歴史を歩み、3陣営の決戦となる“赤壁の戦い”までを3ルートで楽しめる。歴史が大きく変わることはないが、細かな部分で歴史ifのような分岐も用意されているので、くり返し遊べるタイトルとなっている。
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 濃厚に“三国志演義”を描いているがゆえに、物語を知っている人には驚く展開もあまりないが、『真・三國無双』シリーズでストーリーをじっくりとシリアスに楽しめたのはなかなかに新鮮だった。

 ただ、やはり“赤壁の戦い”で終わってしまうのがすこし残念。題材は“三国志”だが、物語としてはここから“三国”が始まる、言わば序章のような立ち位置で物語は終幕する。ゲームを始める前からわかっていたことではあるが、「早く続きが見たい!」と思ってしまうのは高望みだろうか。

 とはいえ、序章から最後まで1ルート遊ぶだけでも、ボリュームは約30時間と多め(※筆者の場合)。このクオリティーと濃密さで三国志全体を描くとなったら、さすがに無理だっただろうと納得できた。
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無名の英雄が降り立つ

 本作では、プレイヤーはオリジナル主人公を操作し、三国志の物語を体験していく。しかし、もちろん物語上で目立つのは劉備などの英傑たち。ゲームの主人公としてはプレイヤーが操作するキャラクターなのだが、物語の主役となるのは、従来の“三国志”同様に曹操、劉備、孫家(孫堅、孫策、孫権)の3陣営だと筆者としては感じた。

 主人公は記憶はないが、平和な世界を目指す志だけは覚えており、武術にも長けた謎の青年。物語を進めていくことで、過去や素性などが明らかになっていく。
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主人公・無名(デフォルト名。変更可)
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ほかにも何名か、オリジナルキャラクターも登場する。
 主人公は戦闘中はかなりしゃべるが、基本はセリフがない、いわゆる無口系主人公。この手のオリジナル主人公は“歴史に名を残す英傑たちを影で支える英雄”であることが多いが、本作もそんな感じの立ち位置。描きやすいのは理解できるが、物語としては存在感の薄い主人公になりがちだ。

 しかし、本作の主人公は存在感がバッチリと感じられたのがとても好印象。武将たちとの交流もするし、合戦で活躍すれば褒めてくれる。ただの武力要員としてだけではない、人として頼られていく過程が描かれていく。セリフはないが、ある程度主人公の感情も感じ取れるように作られており、終わってみると「キャラクタークリエイトではなく、彼が主人公でよかった」と個人的には感じられた。

 プレイヤーの手によるところもあるが、基本はあらゆる陣営の形勢に関わるほどに活躍するため、「英雄すぎやしないか?」と、三国志ファンであればあるほど感じるかもしれない。そこはアクションゲームであることや、
『真・三國無双』シリーズであることでなんとなく咀嚼できるかも。ただ、主人公の記憶を取り戻していったときに、彼が持つ独特の“英雄感”についてはきっと納得できるはずだ。
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セリフはほぼないが、思いのほか表情豊かな顔に注目してほしい。
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ちなみに表情と言えば、本作は顔の演技がすごくいい。女性キャラクターも険しい表情を見せることも多く、個人的には注目ポイントだった。

大陸地図から始まる物語

 ゲームの基本は、“大陸地図”と呼ばれる大きなフィールドを移動しながら進めていく。難しい要素はほぼなく、基本は拠点やステージを選ぶために移動する。広さはそこまで大きくなく、ゲームとして快適に楽しみながらも、大陸の中を生きているような感覚をスマートに味わえた。
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 都市などの拠点では武器やアイテムの購入、書簡によって登場人物たちと交流が可能。ときには都市の周囲などに交流できる人物が登場することがあり、そこで会話をすると物語が進んだり、武将たちとの絆を深められたりする。

 探索要素もあるが、探しもの自体は“霊鳥の眼”と呼ばれるガイドシステムがあるのでさほど難しくはない。また、“絶対に集める必要がある”ものはごく一部のストーリーに関わるものだけなので、オマケ的な遊びに留められている。
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 合戦が物語を進めるメインステージで、ほぼ育成用の稼ぎのための小規模ステージ“突発戦”や、アイテムなどが手に入るバラエティー豊かな“任務”といったステージもある。突発戦は無視して進んでも問題ないが、任務については重要なものが手に入る場合が多いので、なるべく達成するのがオススメだ。
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 最初は時勢的に悲壮感すらある大陸地図だが、ゲームを進めていくごとに各地から聞こえてくる噂が豊富になっていき、大陸をただ歩いているだけでも楽しくなっていく。情勢やその都市に関する情報、あの武将がなぜあの異名を持っているのかなど、豆知識を教えてくれることも。

 とくに物語後半になるにつれてシリアス度がどんどん増していく。そういったプチ情報や、種類が多すぎるダジャレを言いまくる兵士たちの存在が少しだけ緊張感をやわらげてくれた。
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やり込みがいのある育成要素

 成長要素も豊富に用意されており、ただ敵を倒して経験値を得てレベルアップ……といったオーソドックスなものではない(敵を倒すだけなのは間違いないのだが)。そのため、システムは慣れるまで複雑に感じるかもしれないが、遊んでいくうちにシンプルに感じられるだろう。

 主人公は武器を自由に選択して使用可能。各武器種には“習熟度”があり、これが武器のレベルとなっていて、使い込むごとに新たなアクションなどが解放されていく。この習熟度の合計値が“境地レベル”と呼ばれる、いわゆる主人公のレベルとなる。武器の習熟度は高くなるほど上がりにくくなる(必要数値が多くなる)。
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 境地レベルは上げていくと基礎ステータスも上がるほか、いくつかのシステム解放にも使用される。また、一定値まで境地レベルを上げると、“スキル”を習得するためのスキルツリーも解放される。

ポイント:全武器種をまんべんなく使おう!

 いろいろな武器種を使い込めば主人公が強くなっていくため、基本的には全武器種をまんべんなく使っていくのがオススメだ。

 スキルは、一定数の敵を倒すなどの活躍で手に入る数値“武功”を消費して習得していく。武功は戦闘でも得られるが、どちらかというと武将たちから貰えるミニクエスト“修練”で得ていく。

 装備品もいくつか存在するが、基本的に頻繁に変更するのは武器だけでよく、成長要素で意識することは各武器を使いわけることと、修練を達成することだけでいい。といったところで、成長要素は多数ありながらもシンプルなシステムにまとまっていて、アクションに集中できるような作りだと感じられた。
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シリーズ屈指の完成度を誇るアクション

 さて、肝心なのは『真・三國無双』シリーズらしい、一騎当千アクションがどう進化したのか。ベースとなるアクションはかなり手触りがよく、シリーズ随一のアクションになっていると感じた。

 本作は一般兵の表示数がものすごく多く、シリーズ屈指の登場数を誇る。それでいながら、本作の敵兵士はかなりやる気に満ちていて攻撃頻度はとても高い。
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 一般兵が邪魔すぎると「こんなの無双じゃない」と言われがちで、かといって何もしなすぎると「一般兵がただ立ってるだけ」と言われてしまうなど、バランス調整の難しいシリーズ作品ながら、本作はうまく形できているように思う。敵の数がものすごいのに、一般兵が単なる“やられ役”になっていないのは、まさに“無双”の理想形だろう。

 “一般兵を蹴散らせる一騎当千の戦い”と、“武将との手に汗握る戦い”をバトルアクションと両立させるのは、“無双”と名の付くタイトルはいずれにしてもここの調整が難しいはず。本作はそこがしっかりと両立されており、一騎当千の爽快感も武将との骨太なバトルも同時にバッチリと楽しめる、進化した“無双アクション”の真髄を感じられた。
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 基本は通常攻撃と強攻撃を使い分けるシリーズ作品らしいシンプルアクション。そこにスキル攻撃の“武芸”やジャストガードの“弾き返し”、ジャスト回避の“見切り”などが加わることで、本作ならではの“無双アクション”を実現している。

 ちなみに、物語の中で、張角などの大物を相手とする場合、ゲームらしいボスステージになっている場合がある。ここもおもしろいところで、いわゆる“死にゲー”とまでは言わない……のだが、
『真・三國無双』シリーズを代表する鬼神・呂布との強制戦闘を強いられる場合に限っては、完全に“死にゲー”で驚いた(笑)。アクションは苦手だけど『真・三國無双』シリーズが好きな人でも、難易度選択があるのでご、ご安心…を……でも呂布だーッ!
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ポイント:収撃の使いどころが鍵!

 一般兵はストレートに攻撃をして体力を減らせば倒せるのだが、対武将戦は単純な攻撃だけではダメージを与えにくい。もちろん通常攻撃やいわゆる必殺技の“無双乱舞”でもダメージは入るのだが、威力はそこまで高くないのだ。

 敵武将は強さや戦意などで変わる“外功”というアーマーのようなものを身にまとっている。“外功”をまとっていると基本的に攻撃を与えても敵がひるむことはなく、通常攻撃でダメージを与える機会が少なくなってしまう。

 敵は攻撃の終わり際などに白く光るので、その隙を攻撃すると一定時間怯むようになり、そのあいだに攻撃すると“外功”も減っていく。また、“武芸”や“無双乱舞”のヒットなどでも“外功”は削ることが可能だ。

 “外功”をすべて削ると大ダメージを与える、もしくは倒し切れる場合にトドメの一撃を放つ“収撃”を決められる。この“収撃”がおもなダメージソースで、敵武将を倒すための鍵となっている。いろいろとアクションはあるがすべて使いこなす必要はなく、狙うことは“収撃”にまとまっているのもとっつきやすい部分だ。

 なお、トドメの一撃ではない“収撃”は、対集団戦での鍵にもなっている。大ダメージ版の“収撃”は、広範囲の敵を巻き込んで高威力の攻撃を仕掛けられる。しかも発動中は無敵で、攻撃をガードされることはない。複数の武将を相手にしているときは、“収撃”を連続で決めるチャンスでもあり、敵の大軍団をひとりで打ち崩す、独特の爽快感を味わえるのだ。
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ちなみに一時的に操作できる武将“随行武将”は、一撃で1000人斬りは余裕でできるほどに強い。主人公も終盤になればそれくらい強くなれる。

敵の数がものすごすぎる!

 『真・三國無双』シリーズ最高の敵兵士数を誇るが、すべてのバトルがそうなっているかというとそうではなく、ときにものすごい数の兵士数と戦うことになるというメリハリの効いたバトル展開が楽しめた。ここぞという大局面でのみ、敵軍団たちが固まって行動する“大軍団”と対峙することになる。

 “大軍団”に属する敵はいずれにしてもやる気に満ちており、ひとりで倒すのは困難。味方の軍団と連携して攻めることが攻略の基本となる、軍団と軍団のぶつかり合いを描いたようなシステム。ただ
『真・三國無双』シリーズなので、もちろんひとりで挑むことも可能。
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 敵味方問わず、大軍団はときどき“大戦法”といった計略を発動することがある。阻止の条件を満たさないと大きな損害を受けるので、敵の大戦法を阻止することがとくに重要となる。大戦法を阻止すれば敵の士気が大きく下がり弱体化できる。

 逆に阻止できないと窮地に立たされてしまう。不利な状況を武将の働きにより逆転するような戦場を描きつつ、バトルアクションとしてもメリハリが効いているシステムだと感じた。

 とくに終盤は大軍団どうしで大戦法の阻止と成功が何度も起きるような激しいぶつかり合いが描かれている。これがものすごい臨場感かつ、バトルアクションとして忙しすぎておもしろい!

 極まるとあまりにも兵士が多く、敵味方の一般兵と武将が画面いっぱいに表示されるので、もうハチャメチャ。ゲームがエラーを吐いて落ちるのではないかというレベルで超絶激しいゲーム画面となるのが、個人的には大興奮だった。
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静止画だと表示数が多すぎてもはや主人公がどこにいるかわからないと思うが、操作してみるとそれなりにわかりやすい。この数の中戦えるのが、とてもよかった。
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が、やはり視認しにくいこともある。関羽を操作しているのだが、伝わらないだろう。ちなみに発売日のアップデートで視認性は改善されるそうだ。

際立った“タクティカル”要素

 『真・三國無双』シリーズ初期は、ジャンルを“タクティカルアクション”と銘打つように、一騎当千の爽快感を味わいつつも、ステージが一種の箱庭となっていて、その中で自由に立ち回れるゲームだった。

 本作ではそこに原点回帰を目指しており、ステージが始まればいきなり総大将へ突っ込むこともできるし、味方をとにかく支援する、ひとりでコツコツ拠点を落とすなど、戦場での立ち回りはとても自由。

 ステージごとにイベントはたくさんあり、戦況に応じて驚くような反応が返ってきたり、はたまた思わぬ大苦戦を強いられたりなど、プレイするたびに驚いた。とくに一度クリアーしたステージを別の遊びかたで挑戦してみると、さらなる発見があるだろう。
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一騎討ちは基本任意で、挑んだり挑まれたりするが、受けるのも自由。ごく一部、強制一騎討ちがある。バトルシステムは通常戦闘と基本同じなので、シリーズ随一の一騎討ちになっていた。
 たとえば味方が策の準備に入ったが、その前に敵を倒すと「俺の準備は必要なかったな!」といったことを言われるなど、反応がとても細かい。イベントをうまくこなせなかったがために、敵の大軍団にほぼひとりで挑まなくてはいけないこともあったりと、プレイヤーによって体験は大きく変わるはず。

 アクションが得意な人はとにかく突っ込んでひとりで活躍すればいいし、イベントを楽しみたい人は各指示に従ったり、味方の援護に回ったりするのがオススメだ。とはいえ、敵味方の士気の変動は拠点の制圧のほか、イベントでも大きく変動する。奇襲や敵の作戦阻止など、イベントの成功有無で戦局が左右されていくため、基本はイベント達成を目指したほうがいい。

 なお、イベントがたくさん用意されているのはメインとなる合戦ステージで、中規模ステージ“任務”などは汎用的なセリフがほとんど。とはいえ立ち回り自体の自由度は変わらない。

 ただ、後半になるにつれてゲームは難しくなり、味方武将たちが頼りなくなっていく。敵が全体的に強く、ピンチになった味方武将は敗走してしまうので、必然的に助けに行かなければならない。とくに総大将など、敗北条件になっている武将は敗退しやすい印象だった。ミニマップに苦戦の“汗マーク”が出ている味方は、率先して助けたほうがいい。
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ポイント:戦法を駆使しよう!

 タクティカルアクション要素のひとつとして、護衛兵にアクションを指示する“戦法”が登場。自分の護衛兵に弓を撃たせたり、突撃させたりするアクションを命令する。いずれもクールタイムは長めで、ここぞというときに使うものとなっている。

 “戦法”の中には“特効”という、条件を満たすと敵の戦意を下げる、ようは弱体化させられるものがあり、これが非常に強力。敵の戦意を下げるには、イベント達成などが条件になっていることがほとんどだが、シチュエーションさえ満たせば自発的に敵を弱体化できるのだ。

 条件は比較的緩く、“騎馬突撃”なら遠くから発動するだけでいい。弓を放つ“斉射”は敵より高い位置から放てば効果を発揮するのだが、戦場のちょっとした起伏差でも成功扱いとなるので、使いどころは多い。

 
『真・三國無双』シリーズの初期ナンバリングではおなじみの護衛兵要素だが、本作ではカスタマイズ要素はない。本作の護衛兵は敵集団に当たれば即全滅も当たり前のように倒されるので、そこまで愛着を持たないほうがいいだろう。そのぶん、拠点に行けば補充できる仕組みになっている。
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三国志感の増した武将たち

 各陣営にさまざまな武将たちと出会い、絆を深めていくのも本作の魅力のひとつ。基本的にはその陣営に属している武将たちと仲よくなれるようになっていて、陣営を選んだあとにほか陣営との武将と絆が深まることはないようだ(ゲームシステム的な意味での絆)。

 いずれも仲が深まれば固い信頼関係を結べるようになり、ちょっと気恥ずかしくなるようなイベントもある。
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 本作は基本的に主人公を通してプレイするが、プレイヤーの相棒となる“随行武将”のみ各陣営3人ずつ使用可能。おもにメインステージとなる合戦で選べるが、物語によって毎回ずっと同じ武将を選べるとは限らない。また、ずっと随行武将に選んだからといってとくに利点はないように感じた。

 随行武将たちはもちろんほかの武将たちよりも物語が多く用意されているのだが、そこはおもにメインストーリーに関わる部分。仲のよさで言えば、ほかの武将たちも随行武将と同じくらい仲よくなれる。
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 なお、各陣営の情勢などは曹操、孫堅、劉備の3つの陣営の中で語られるようになっている。ほかの陣営で遊んでいると「あれ、孫堅じゃなくて孫策が出てきたよ?」、「夏侯惇が眼帯をしているけれども、何で?」と、もちろん“三国志”を知っている人ならば察しが付くが、知らない人からすると疑問に思うかも。

 おそらくそこは周回プレイを意識した要素で、あのときなぜこうなっていたのかは、各陣営を通すことで全体の物語を楽しめるようにしているのだと感じた。
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 またこれは仕方のないことだが、登場武将は、本作で描かれる物語の時期(“三国志”前半)的にも曹操陣営、孫堅陣営のほうが多く、劉備陣営は登場武将が控えめなので、少しだけ寂しさも感じられる。本当に仕方ない。

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武将たちのデフォルメ具合は丸くなっていて、多少誇張されてはいるものの、シリアスにグッと抑えられた。張郃は美しいものを好むが、決してギャグキャラクターのような性格ではない。
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月英は“開発好き”といった要素はあるものの、シリーズ作品で知られる虎戦車などの兵器はない(逸話となる戦いも本作ではない)。バトル中は基本シリアスなキャラクターになっているが、個人イベントはコミカル。
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ただ、バトル中やアクションは“無双”らしさ満載。諸葛亮だってビームを撃つ。もちろん。

『真・三國無双』の歩む、もうひとつの道

 いずれかのルートをクリアーすると、いろいろと解放される要素が登場。よりやり込みがいがアップし、周回プレイをさらに楽しめるようになる。シナリオ面で言うと、“好きな章からデータを引き継いでプレイ”が可能になるので、強い状態のまま他ルートに行けば、サクサクと物語を楽しめるだろう(さらに敵を強い状態にして、周回することも可能)。

 また、本作はバトルBGMがものすごくいい。
『真・三國無双』シリーズはBGMの秀逸さも特徴だが、本作ならではの曲や、シリーズ作品のアレンジBGMが多数収録されているなど、シリーズファンを喜ばせてくれる。メニュー画面を戦闘中に開けば、落ち着いたバージョンにシームレスに移行するなどの試みもおもしろいので、ぜひ拝聴あれ。

 数多の挑戦が取り入れられた本作ゆえに「大丈夫だろうか」と思っている人は、アクションやRPG要素、キャラクター性については間違いなく楽しめると思うので、ご安心を。いちばん不満にあがるであろう意見として、いままでのように各武将の視点から楽しみたいという人の気持ちもわかる。ただ、遊んでみると「ああ、これはオリジナル主人公を操作するゲームじゃないと作れなかったな」といった魅力にあふれているので、そこを噛みしめながら遊んでみてほしい。また、これまでとは異なる目線から、好きな武将たちと活躍を楽しんでみてはいかがだろうか。

 そしてまだ
『真・三國無双』シリーズを遊んだことがない、三国志を知らないという人たちには、間違いなくオススメできる1本となっている。この“無双”のスタイルが、今後の新機軸となるのか。いちファンとしてもどう評価されるのか気になるところだ。

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