2024年11月7日、SNKとタニタのコラボが格闘ゲーマーを困惑させた。話題の中心は『マルチ周波数体組成計 THE KING OF FIGHTERSモデル(MC-980A-N plus-KOF)』。いわゆる業務用の体組成計なのだが、なんと『ザ・キング・オブ・ファイターズ '98』(KOF '98)をプレイできるのだ。
これだけ聞くとエイプリルフールのネタのようだが、いたってまじめなプロダクト。タニタの業務用体組成計フラッグシップモデル『MC-980A-N Plus』の内部に『KOF '98』を搭載した本モデルは、お値段なんと220万円[税込]!
220万円の業務用『マルチ周波数体組成計 THE KING OF FIGHTERSモデル』。両腕、両脚の筋肉量まで測定できるすごい機器。
報道機関向けに行われた体験会では、SNK代表取締役社長・松原健二氏とタニタ代表取締役社長・谷田千里氏が実際に対戦を行った。業務用体組成計にはゲームパッドが接続され、ふだんは体重などのデータが表示されるモニターを見ながらプレイ。なかなか理解が追いつきにくい状況だ。
両社の社長が楽しそうに対戦。改めて書いておくが、おふたりが操作しているのは業務用体組成計である。
眼前で実演されてしまったので、体組成計でゲームを遊べることは認めるしかない……。
体験会では、からだづくりや健康づくりを専門とするタニタの研究員が『KOF』キャラの筋肉量や体脂肪率といったデータ分析の結果も報告された。たとえば、チャン・コーハンの基礎代謝量は8322kcal。一般的な成人男性で1600~1700kcalなので、およそ5倍だ。体組成の計算にはかなりの時間と労力が必要らしく、タニタの本気度の高さが伺える。
草薙京はアスリート並みかそれ以上に筋肉質。
なぜこのような一見奇抜なプロダクトが生まれたのだろうか? また、ベースモデルの体組成計と内部構造は異なるのだろうか? 謎は深まるばかりなので、松原氏と谷田氏へのインタビューで真相に迫ってみた。
記者会見では『3Dセンサー搭載歩数計 NEOGEOモデル』と、『デジタル温湿度計NEOGEOモデル/KOFモデル』も発表された。これらはすべて3520円。
ところで、体組成計を使ったことがない人はピンと来ないかもしれない。インタビュー本編に入る前に使い方を解説します(モデル:ファミ通.com ミス・ユースケ)。
手と足の裏から微弱な電流を流して各種のデータを計測するのが基本的な仕組み。電極が肌に触れるように、靴と靴下を脱ぐ。
足のつま先とかかとが電極につくように乗り、タッチパネルで性別や年齢などの基本データを入力して計測を開始。
画面の説明どおりにセンサーを手に持つ。その際、腕をぶらーんと伸ばしておく。腕が曲がっていると筋肉が縮んでしまい、正しい結果を計測できないため。
数十秒で結果表示。全身の体脂肪率、筋肉量、基礎代謝量だけでなく、腕や脚ごとの脂肪率や筋肉量、基礎代謝量、身体水分率、一般の平均値との比較などをチェックできる。220万円の体組成計はめちゃくちゃスゴい!
計測が終わるとゲームを遊べる。計測するとクレジットが入ると考えるとわかりやすい。設定を変えると遊び放題にもできる。
コラボのきっかけは社長同士の個人的なお付き合いから
――とてもおもしろいアイテムを発表されましたが、そもそもSNKとタニタの関係はいつから始まったのでしょうか?
谷田
個人的にお付き合いさせていただいたのは、かなり昔からですよね?
松原
はい、そうですね。私がまだSNKに入る前かと。
谷田
松原さんがセガの社長だったころ、セガが運営していた“シュミカツ!”というサービスで、協力してビジネスを展開しようというお話をいただいたんです。これは松原さんと私が直接関わったのではなく、セガの事業部門とタニタが行っていました。
松原
“シュミカツ!”は、シニア層に向けた情報発信&コミュニティサービスです。いまは閉じてしまいましたけどね。
谷田
当初、私たちはこのコラボレーションについてはお断りしようと考えていました。でも、セガさんは「お願いします!」と、しつこく迫ってくるんです!(笑)
谷田
あまりにも連絡が来るから、「じゃあ条件をつけてくれたら考えます」と。
――その条件とは?
谷田
「社長が出てきてくれるなら」と伝えてもらいました。「これで絶対に断られるだろうな」と思っていたのですが、意外なことに承諾されてしまった……。
松原
(笑)
谷田
その後、両社のスタッフで契約締結のために集まりました。たしか西麻布の飲食店だったと思います。そういう場所ですし、いきなり契約の話をするのも堅苦しいので、ご飯を食べながら談笑していたんですね。松原さんが連れてきた方はもちろん、私が連れて行った人間も全員がゲーム好きで、ゲームの話でめちゃくちゃ盛り上がりました。
――それは楽しそう! ですが、契約のお話は?
谷田
気がつけば、“シュミカツ!”の話はいっさいせずに、ゲームの話だけで盛り上がってしまいました(笑)。あの席がとても楽しくて、松原さんとはそれ以来ずっとお付き合いさせていただいています。
――そもそも、谷田さんは昔からゲームがお好きなのでしょうか?
谷田
ええ。好きなんですよね。私はいま52歳なのですが、ファミコンから遊んでいるので、もう40年くらいゲーマーです。上手ではありませんが、ゲームで遊ぶのは大好きです。
その席で、私が昔から大大大好きな『電脳戦機バーチャロン』(※)が新たに発売されるとの情報を聞きました。ですが、みんなお酒を飲んでるし、私を喜ばせるために冗談を言ってるんだと思って信じませんでした(笑)。
※電脳戦機バーチャロン:1995年稼働のアーケードゲーム。ちなみに、タニタは“TANITA CUP”という『電脳戦機バーチャロン』大会を主催している。松原
谷田さんが『バーチャロン』を愛してると知ったので、それを伝えたら一気に火がついちゃって……。
谷田
いや、もう! びっくりしましたよ! うれしくなって、契約の席ではしゃいでいたかもしれません(笑)。
松原
それがきっかけで、後日『バーチャロン』のコントローラー『ツインスティック』を作りたいというお話を持ってきていただきました。「え? タニタさんが作るの?」と、驚きましたよ。
※関連リンク
タニタ『バーチャロン』専用ツインスティックをレビュー! 一般販売決定を記念して、実機の魅力や使用感などをあらためて紹介!!
谷田
あのときはうれしかったなあ……。私は父の跡を継いでこの仕事をしていますが、セガさんもそうですし、今回のSNKさんもそうですし、ゲームメーカーさんとコラボするなんて想像していませんでした。人生って、何があるかわかりませんね(笑)。
松原
私も同感です。セガでタニタさんといっしょに仕事させていただいて、いまSNKで再び、こうやってごいっしょできてますから。何があるかわかりませんね(笑)。
始まりは「驚かせたい!」というサービス精神から。根底に流れる “モノを作る精神”は業界問わず共通
――業務用体組成計と温湿度計、歩数計の3商品でSNKとのコラボ商品が発表されました。この3種類にした理由は?
谷田
健康づくりに大切な“計測、環境、運動”を考えて選択しました。この3種類の商品は、弊社の主軸商品ということもあります。からだの健康は、測定しただけでは意味がありません。結果をもとに、環境を整え、さらに運動していただかなければ健康を維持したり増進したりすることにつながりませんからね。この3つのアイテムがあれば、健康に気を使いやすくなると思います。
左から、『デジタル温湿度計NEOGEOモデル』、『3D(3軸加速度)センサー搭載歩数計NEOGEOモデル』。
――目玉は『KOF '98』が遊べる業務用体組成計『マルチ周波数体組成計 THE KING OF FIGHTERSモデル』だと思います。開発の経緯をお聞かせください。
谷田
松原さんとお会いするときに「何かを持って行って驚かせたい!」と考えたんです。最初は業務用体組成計に『KOF』の装飾をしただけだったのですが、それではちょっと物足りない。社内のスタッフに正直に伝えたら「考えてみます」といったん持ち帰ったんですけど、そしたらうちのエンジニアが、いつの間にか(Steam版の)『KOF '98』が遊べるように魔改造していたんです。これにはさすがに私も驚きましたよ。
――どうしてそんなことしちゃうの。
谷田
社内用の“Slack”で開発について呼び掛けたらゲーム好きなスタッフがたくさん集まりました。私が何か言うたびにアイデアを出してくれるんです。
――すごい。ノリがいい。
谷田
ノリノリか……私の強権によるものか……。わかりませんけどね(笑)。
松原
タニタさんはそういう社風がすばらしいんです。昔から幅広い製品を作ってますから技術力もある。以前、パーティーにお招きいただいたとき、タニタ製のトースターがあったんです。いまのタニタさんのラインナップからは信じられませんが、昔は発売されてたんです。
自前の工場をお持ちで、いろいろなものを作っている企業はやっぱり違いますよ。社内でアイデアを思いついたら、外に頼むのではなく「自前でやってみよう」というマインドを感じます。
谷田
そういう土壌はあると思いますね。
松原
おそらく、アイデアだけで終わってしまったものもたくさんあるんだろうと思います。これは我々のゲーム業界でも同じです。
ゲームは大量のアイデアのなかから、現実的なものをちょっと作ってみて、そこからさらに開発が進むか、打ち切るかを判断します。タニタさんはハードウェア中心、ゲーム業界はソフトウェア中心。製品に大きな違いはありますが、根底に流れる“モノを作る精神”は似ていると思いました。
業務用体組成計のCPUは意外とハイスペック! 特別な改修なしで『KOF '98』を遊べる
――そもそも、どういう理由で『KOF '98』を選んだんですか?
谷田
やはり『KOF』シリーズの中でも超名作なのが『KOF '98』ですからね。これは社内でスタッフの意見が一致しました。
――『マルチ周波数体組成計THE KING OF FIGHTERSモデル』は『KOF '98』をプレイできますが、通常販売されているモデルとは構造が異なりますか?
谷田
内部は何も変えていません。従来のモデルも体組成計のシステムをWindowsで動かしていますし、10.4型のモニターを搭載しています。なので『KOF '98』を動かすために機械的に特別なことは行っていなくて、ソフトウェア側の改修だけで済みました。
――なるほど。Windows系のOSで動いているから、理論上はゲームを遊ぶことも可能であると。基板やCPUなどは、まったく同じなのですか?
谷田
はい。業務用の体組成計はもともと高性能なんですよ。『KOF '98』は問題なく動きましたし、耐久テストもクリアー。実験当時はヒヤヒヤしてましたけどね(笑)。
ゲームパッドはUSB端子で接続しています。本来、この端子は計測したデータを取り出したり、プリンターや周辺機器を接続したりするときに使います。USBは汎用端子なので、そこにゲームパッドを接続すればゲームができる。
――先ほど行われたデモンストレーションでは、計測結果をプリンターで印刷していました。体組成計を運用するとき、プリンターは必須なのでしょうか?
谷田
いえ、必須ではありません。計測結果の情報は、すべて本体のモニターに表示されます。それを印刷して自宅に持って帰りたい場合に、印刷していただきます。たとえば病院で計測した場合、たくさんの情報をすべて読むのは時間がかかりますよね。そういうときに、印刷して自宅に持ち帰り、ゆっくり読んでいただきます。
――では、スピーカーと映像出力は?
谷田
スピーカーは製品版には付属しません。映像の外部出力はデモンストレーション用の特別仕様です。
当日はデモのため、スピーカーが搭載されていた。製品版には付属しない。
タニタの研究者が徹底調査! 『KOF』キャラの健康状態が明らかに
――基本的な質問で恐縮です。体組成計は、どのような仕組みでデータを計測しているのでしょうか?
谷田
基本的な仕組みは、みなさんがご家庭で使われてる体組成計とほぼ同じで、からだに微弱な電流を流して計測しています。『マルチ周波数体組成計THE KING OF FIGHTERSモデル』は手で握るセンサーも備えているので、より詳細なデータを計測できるんです。
まず体重計部分に乗って、手でセンサーを握っていただきます。計測を開始すると、体重を量るのと同時に足の裏と手の電極から微弱な電流を流します。脂肪は電気をほとんど通さず、筋肉は電気を通すという特徴があるんですね。これにより、さまざまな部位から(からだに)電流を流したときの電気抵抗値がわかります。
業務用体組成計には1万4000人の生体データから開発したタニタ独自のアルゴリズムを搭載しています。具体的にはDXA(X線を使った骨密度測定)や密度法(体積の測定)などから得たデータなどですね。計測したデータをこのアルゴリズムで解析して、計測結果をお知らせします。
――計測しているだけじゃないんですね。1万4000人のデータがあればサンプル数は十分ということですか?
谷田
弊社はノウハウがあるので、この人数で正しい結果を示せます。身体のデータは性別や年齢だけでなく、人種によっても大きく異なるんです。そのため、大量のデータが必要でした。この人数のデータがあれば誰でも同じようなアルゴリズムを作れるかと言えば、それは不可能でしょう。アルゴリズム開発にここまで投資している企業は、なかなかないと思います。私たちは一般の方だけでなく、アスリートの方々も計測していますから。
――記者会見中に発表された、『KOF』キャラクターの体組成のデータがおもしろかったです。ゲーム制作の場合、キャラクターの設定はここまで考えて作りますか?
タニタの研究員が導き出した、キャラクターの体組成データ。
松原
ゲーム開発時には、キャラクターの身長や体重、テクスチャーなどは作ります。ですけど、当然ながら筋肉や脂肪率など、人体の細かいデータまでは作りません(笑)。
もちろん3Dモデルのボーンとリグデータは作るときにある程度は想定していると思いますが、筋肉量までは考えません。今回、タニタさんにデータを出していただいたときは興味深く拝見いたしました。まさか我々のゲームキャラクターの健康データが見られるなんて。
谷田
楽しんでくださったなら、よかったです。私もゲーマーなので、「体組成計で計測したようなデータをゲームに実装してくれ!」なんてことは言いません。格ゲーを遊んでいて、「この筋肉量でこの技は出ないだろ?」とか、「そろそろ疲れてきたから技のキレが悪くなるべきだ!」とか、考えたくないですからね。せっかく現実を忘れてゲームを遊んでるのに、健康状態まで気になっちゃうゲームなんて、ちょっといやですよ(笑)。
――今回、4キャラクターの体組成を発表しましたが、全キャラクターを見たい……と思いました。
谷田
そう言っていただけるのはうれしいのですが、じつはあのデータを導き出すのはけっこうたいへんなんです。研究者が時間をかけて割り出しているので。
――それは失礼しました……。もしもこのデータをゲームにフィードバックしたら、どうなると思いますか?
松原
実現は難しいでしょうけど、私も興味はありますね。キャラクター担当やアーティストたちが、どのような要素を加えてくれるのか。想像がつきません。
近年コラボ展開が目立つタニタ、人気タイトルと連携する同社の狙い
――今回はSNKの『KOF '98』とのコラボ商品ですが、タニタさんはさまざまなIPとコラボを展開しています。どういった意図があるのですか?
谷田
私の持論が、「新しいものを出すには、新しいフィールドの企業と組んだほうがいい」なんです。新規IPとタッグを組めれば、新たなユーザーを獲得できますしね。もちろん、ビジネスを考えたらコストも考えなければなりません。製造業の観点から言えば、同じ金型を使って異なる商品を売りたいという意図もあります。
――なるほど。ビジネス的な視点でコラボ相手を考えているのですね。
谷田
はい。そうなのですが……正直に言いますと……。私の趣味もあります!
一同 笑
――回りくどい聞き方で申し訳ありません。その答えを聞きたかったんです。
谷田
私も大人なので言わないようにしていたのに(笑)。もちろん、私だけじゃなくて社員が楽しんでくれる案件もありますよ。ふだんからスタッフには「楽しいことをしよう」と伝えていますから。
――楽しいことが仕事になるのはいいことだと思います。今回はちょうど“KOFシリーズ30周年”ということで、お祭り感もありますよね。
松原
そうなんです。なので、いいタイミングでお話をいただけました。弊社では去年からKOFシリーズ30周年を盛り上げるために、いろいろ考えてきました。新作がいちばんというのはわかっていますが、『KOF XV』を出してまだ2年しか経ってないので、さすがにすぐには出せません。そういう点で、タニタさんといっしょに30周年を盛り上げられるのはうれしく思います。
――松原さんは記者会見中に、『マルチ周波数体組成計 KOFモデル』は“ネオジオの新ハード”を名乗っていいと仰っていましたが……?
谷田
そうです! 松原社長からお墨付きをいただきましたから、この業務用体組成計はネオジオの新ハードです。TANITAのロゴを消してNEOGEOロゴを入れてもいいくらいです。記事に「ネオジオの新ハード発売!!」と書いてください(笑)。
松原
ファミ通さんにそんな記事が載っちゃったら、エイプリルフールのネタかと思われますよ(笑)。
楽しくゲームを遊ぶにも本気でeスポーツに取り組むにも、健康が大事
――長くゲームを遊ぶには、健康であることは大事だと思います。谷田社長の趣味はゲームですが、やはり同じようなゲーマーのみなさんには、健康を気にしてほしい?
谷田
もちろんです。たとえば、プロのeスポーツ選手の方々は、食べるものや運動、睡眠に気を使っている人も多いと聞きます。健康の維持こそが、長くゲームを楽しむ秘訣ですよ。なので一般のゲーマーの方々も、少しでも健康に興味を持ってほしいという想いはとても強いです。
――なるほど、eスポーツとの関わりも大事ですよね。SNKとして、今後はどういった取り組みを想定されていますか?
松原
私たちは独自に“SNK World Championship”を毎年開催しています。eスポーツを事業として見ると、私たちのIPをファンの方々が広げてくださり、活性化していただいています。これは本当にありがたいこと。この大会だけでなく、eスポーツ大会は、若者がスポーツとしてのルールを学んだり、対戦相手をリスペクトしたり、人生を豊かにするさまざまな経験を積めるコンテンツだと思っています。
――eスポーツ大会は、単にゲームの腕を競うだけの場ではない、と。
松原
はい。そう思います。昨年(2023年)は“第2回東アジアユース競技大会(2023/ウランバートル)”が開催されました。これはJOC(日本オリンピック委員会)がeスポーツチームを派遣した初めての大会です。この大会に『KOF XV』が採用されて、ジャパンユニフォームのふたりの高校生が戦ってくれたのは、感慨深いものがありました。
松原
あの大会を見て、“eスポーツが世の中に新たな広がりを見せている”と感じました。eスポーツ業界は、パブリッシャーが単独で盛り上げるには限界があります。今後はゲーム業界以外の企業さんに参加していただくのが重要だと思います。タニタさんもゲーム大会“TANITA CUP”を開催されていますよね。ほかの企業さんにも参画していただき、いっしょにゲーム業界を盛り上げていきたいです。
谷田
ゲームが好きな人って、健康器具売り場なんてなかなか行かないと思います。今回のコラボをきっかけに、少しでも「健康かぁ……」と思っていただけるだけでも、効果があるのではと。
松原
ゲームは“遊びながらほかの体験を楽しめる娯楽”です。格闘競技や冒険、勉強、ダイエットなど、さまざまな体験ができるゲームがありますよね。私たちゲームメーカーは、ゲームを飽きずに楽しく遊べるように、一生懸命努力して作っています。それが今回のコラボのように、ゲームを遊びながら健康のお役に立てるのであれば、とてもうれしい。先ほど谷田さんが仰ったように、健康に意識を持ってもらうだけでもゲーマーのみなさんにとってプラスに働くと思います。
――今回は『マルチ周波数体組成計 THE KING OF FIGHTERSモデル』を発売しましたが、今後の展開は考えていますか? たとえばほかのタイトルですとか……。
谷田
好評で要望があれば検討していきたいですね。売る前から大きな口を叩くつもりはありませんが。
谷田
まずはこの製品を多くの人に使ってもらってからですね。業務用の体組成計は病院などに導入されているんですけど、稼働していない時間の方が長いんですよ。計測は短時間で終わってしまいますからね。でも、病院の待合室を見ると、何もできずに待っている患者さんが多いじゃないですか?
そんな方々に、遊んでいただきたいんです。待合室の片隅にある体組成計で計測してもらい、その後はゲームを楽しんでもらいたい。お会計を待っている間にワンプレイできたら楽しいじゃないですか?
――それはいいですね。コミュニティーが広がる可能性もありそうです。
谷田
病院の待合室だったら、もしかしたら『KOF '98』ではないタイトルの方が向いているかもしれない。そういうことは考えています。今後の展開も考えたいので、いい記事を書いてください!(笑)
おまけ:楽しいSNK社内
完全に余談だが、発表会とインタビューはSNK東京支社で実施。社内にはこれまで手掛けてきたゲームやコラボ商品、フィギュアなどがずらりと並んでいた。
SNKの基板”マルチビデオシステム(MVS)”のロムが積まれていた。
SNKグッズに囲まれてはしゃぐ。SNK×ハードコアチョコレートコラボパーカーがかっこいい。
SNKの会議室にはゲームタイトルの名前がつけられていた。