会場では、2023年10月から2024年9月までの期間中に発売され、全世界売上の上位3タイトルに贈られる“GRAND AWARD(グランドアワード)”を受賞した『ファイナルファンタジーVII リバース』の浜口直樹ディレクターへ囲み取材が行われたので、その模様をお届けする。
浜口直樹氏(はまぐちなおき)
スクウェア・エニックス 『ファイナルファンタジーVII リバース』ディレクター
チーム全体が『FF7』にリスペクトを持って開発に取り組んでいる
――まずは、“GRAND AWARD”および“USERS’ CHOICE AWARD”(※)の受賞について一言お願いします。
――『FF7 リメイク』から続く二作目となるタイトルですが、前作のノウハウから本作の制作に活かされたポイントがあれば教えてください。
――前作をプレイしたユーザーからのフィードバックを受け、本作で反映した部分がありましたら、具体的にお教えください。
ただ、ストーリー体験は重要だけれど、ゲームの中でどう自分らしく世界観に触れ合えるか、という点もいまの時代では求められるとも思います。そこは、私自身も作りながら感じていたことですし、『リメイク』を出した後に、ミッドガルを自由に探検したかったというところはありました。
ですので、二作目においては、ワールドマップに出て、非常に広大な世界を冒険できるようになるので、そこの中でユーザーの観点で自由に探検してもらい、自分なりに攻略してもらうというのを実現したかったということが、二作目を作る際に非常に強く思ったところです。
開発チームも私と近い年代が多くて、子どものころにプレイして、影響を受けてクリエイターになったという人が、日本人だけでなく海外のスタッフにも存在します。チーム全体が『FF7』にリスペクトを持っていますので、そういった意味でも、プレッシャーよりも、楽しんで開発しているというのが正直なところですね。
――本作では、広大なフィールドが用意されていたりなど、一作目と異なる部分も多いと思いますが、最もチャレンジングだった部分とそれに対する手応え、ユーザーの反応についてお教えください。
ですので、そこに対してのチャレンジというのは、すごくプライオリティを高く開発してきました。開発当初の試作段階の際には、ワールドマップの広さをしっかりと定義して、そこにどれくらいのコンテンツ量を置くかをあらかじめ決める作業を、すごく時間をかけてやりました。
近年では、特定の区画で区切ってこの広い空間を自由に探索できる、というようなオープンフィールドなゲームが多数ありますが、本作は原作ありきのものですので、全世界を冒険しながら探索していくということを実現する必要がありました。
とはいえ、実際の世界スケールの広さをゲームで実現することはなかなか難しいです。ですが、いろんな大陸を渡っているなということを感じる広さを構築するために、実際に開発できるギリギリのラインを定義するというのは非常にチャレンジングでしたし、楽しい業務でもあったなと感じています。
結果として、ワールドマップを自由度を持って探索できて、そこに対してコンテンツやミニゲームなどいろんなものがあったという点が、多くのユーザーやメディアからよい評価を受け、手応えを感じましたので、その点を次回作にも活かせるようにしたいなと感じています。
――伝説的なタイトルである『FF7』を再構築する上でもっとも重要視した点をお聞かせください。
ただ、それがパロディというか、これまでの『FF7』とまったく違うものになってしまわないようにすごく気を付けました。原作の要素をリスペクトしつつ、当時のハードでは表現できなかったものも現在のハードではよりディテールを表現できますので、懐かしくも新しい魅力を届けることを重要視して、一作目と二作目を作りました。
ですので、三作目も同じ心意気で作る必要があると考えていますし、最終作という位置づけですので、どういった結末になるかも含めて、多くの方の期待に応えられる作品に仕上げたいという想いで開発を進めております。
――本作では、作中のゴンドラデートにおいて、ティファと好感度をマックスにすることで、クラウドとのキスシーンが描かれました。これは初代『FF7』発売から約27年間ではじめてのことであり、ファンに大きな衝撃を与えました。どのような意図でこのキスシーンを実装したのかお聞かせください。
――『リバース』発売後のユーザーの反響を受けて、三作目の開発において元の構想から変えた部分はありますか?
ただ1点、『リバース』でものすごく反省して、三作目で直さなければいけないと思ったものがあります。『リバース』はゲームのコンテンツ量が多くて、それをすべてのユーザーが全コンテンツをプレイするという割合が非常に少なかったんです。それ自体は間違っていなかったと思うのですが、そことトロフィーをつなげてしまったので、トロフィーの入手率が2%とかに留まっていて、そこはやりすぎたなと反省しています。ですので、三作目ではもっと優しいプラチナトロフィーにしようかなと考えています(笑)。
――最後にユーザーの皆様へメッセージをお願いします。
現在三作目を開発していますが、多くの人の心に届くタイトルに仕上げて、三部作のフィナーレにしたいと思っておりますので、ぜひ期待してまっていただければと思います。