『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』が発売された日。荒廃した世界でバーテンダーに。さあ、一日を変え、一生を変えるカクテルを!【今日は何の日?】

byカワチ

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『VA-11 Hall-A ヴァルハラ』が発売された日。荒廃した世界でバーテンダーに。さあ、一日を変え、一生を変えるカクテルを!【今日は何の日?】

客にカクテルを提供することでストーリーが進行するアドベンチャー

 いまから8年前の2016年(平成28年)6月21日は、PC用ソフト『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』が発売された日。

 
『VA-11 Hall-A: Cyberpunk Bartender Action』(以下『VA-11 Hall-A』)はベネズエラのクリエイターが開発したインディーゲーム。ディストピアと化した近未来都市グリッチシティを舞台に、女性バーテンダーのジルとなって、お店に訪れてきた客にカクテルを作って出すという内容です。
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2016年6月21日に発売されたPC版は収録言語が英語のみ。日本語版は2017年11月16日にリリースされた。
 グリッチシティの情勢は悲惨なほどに不安定で、つねに外では銃声が鳴り響き、死体も転がっているような状況ですが、ゲームのメインとなるのはあくまでもバーでの会話劇。外で大きな事件が発生してもジルが直接関わることはなく、陰謀を暴くような話にも発展しません。断片的に散りばめられた情報でプレイヤーが状況を推測するだけですが、そのことが逆に想像力を掻き立てられます。

 また、どんな悲惨な状況であっても人々の日常は続いていくことが伝わる内容にもなっています。サイバーパンクな世界観が魅力であるものの、キャラクターの抱える後悔や悩み、前向きな希望は普遍的なものなので共感することができました。
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 物語は、客と会話をして注文通りに材料を組み合わせてカクテルを提供することで進行していきます。カクテルのリストと作り方のガイドが見られるので迷うことはありませんが、「いつもの」と注文してきたり、謎かけのような注文をされることもあるので、それを当てるようなゲーム性もあります。

 なお、注文を間違ってもゲームは進行しますが、売り上げが下がって家賃が払えなくなるとバッドエンドに。世知辛い。
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 客として登場するのはアンドロイドの娼婦であるドロシーやプロの殺し屋であるジェイミー、私生活を24時間生中継しているストリーマーのすとり~みんぐチャンなど、個性的な人物ばかり。ドロシーは外見は幼い少女でありながら話す話題がドギツイ下ネタばかりでギャップに笑いますし、すとり~みんぐチャンは登場するたびにニコニコ動画風の弾幕エフェクトが飛び交うのでとても印象に残ります。

 ほかにも人間の言葉をしゃべる犬だったり、脳みそだけの存在だったりと、インパクトのある客ばかりで飽きさせません。また、会話を聴いているなかでキャラクターの意外な繋がりがわったりするのもおもしろいです。ジル自身の悩みや葛藤も物語の中で描かれますし、プレイしているうちにすべてのキャラクターが好きになるはずです。
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 現在は2017年11月16日に発売されたPS Vita版および、2019年5月30日に発売されたPS4版とNintendo Switch版でも遊ぶことができます。日本語版は武藤陽生さんが翻訳を手がけていますが、丁寧に手がけてくれているのでこちらも安心して遊べます。

 そんな本作の内容やシステムに感銘を受けたクリエイターも多く、カフェのバリスタになる『コーヒートーク』をはじめ、フォロワーのゲームが多数生み出されています。
『VA-11 Hall-A』も続編である『N1RV Ann-A』が2020年に発売予定でしたが、同年末に無期延期に変更。これはクリエイターの心身的なものが理由であることが説明されているので、ファンは復調を信じて静かに待ちましょう。
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