カミカゼ
Today's text 中目黒目黒
朝11時くらいだったろうか、「あーしまったー!」と突然同僚のたぐちんがオーバーリアクションぎみに頭を抱えだした。何やらノートPCを忘れたらしい。「仕事道具を忘れるなんて不謹慎!」なんてじーっと白い目を向けたら、またも大声を出しながら悶絶している。
「今日からテクニカルテストなのに乗り遅れる!」
テクニカル? なんだ? テクニカルテクニカルテクニカル……記憶を手繰ること十数秒。「うわ! 今日から『モンハン フロンティア オンライン』のテクニカルか! 下手こいたー!!」。スケジュール変更の記事、俺が書いたんだけど、土日の深酒ですっかり記憶から抜けて落ちてた。
その時だった。モニター越しに何やら殺気を感じたので見てみると、”軽蔑”という言葉をそのまま形にしたような大塚角満の冷めた白い目が……ご、ごめんなさい。
気を取り直してテクニカルテストを説明すると、文字どおりしごく技術的なもので、今回はゲームサーバーを一時的に開放して接続状況や負荷テストを行うのが目的。簡単に言えばβのβという感じか。本日6月25日から3日間、いずれも午後7時〜9時(延長される場合もあり)に行われる。
午後6時50分。「グゥ〜」という正確な腹時計とともに(いつもこの時間に昼食? 夕食? とにかく2回目の食事を取る)、『モンスターハンター フロンティア オンライン』を起動する。もう仕事が手に付かない。20秒おきくらいに時計をみてしまう。いよいよ午後7時00分。ちょっとフライングぎみだったかもしれないがボタンを連打開始〜〜! ってか、連打しなくてもいいんだけどこの表現がしっくりくる(笑)。認証、アップデートがスムーズに進む。キャラクターを制作し、待ち合わせ場所のモデストに直行!! いざメゼポルタ広場。
「接続に失敗しました(みたいな言葉)」
ガーン。大塚角満と女尻笠井は入れた模様。「当てつけだろ!」と怒りたくなるくらいの甲高い声で「うひょー」とか奇声をあげている。怒りに火がついた僕は、仕事じゃ考えられないくらいのスピードと効率の良さでキャラクターを作り再度挑戦! 待つこと数秒、メゼポルタ広場だ。やっとこ降り立てた!
先に接続に成功していた大塚角満と女尻笠井が立ってチャットしている。チャットウィンドウに「キター!」という文字が飛び交う。編集部での3人の座席は半径2メートル以内。話したほうが早いのに、黙々とチャット。これぞオンラインゲームの醍醐味。
角満 「そーいえば、これ、どうやってセーブするの?」
笠井 「ベッド?」
目黒 「いや、いま来てみたけどできねーぜ」
笠井 「じゃ、いちど俺、落ちてみますわ。そんときセーブできるかも」
角満&目黒 「あ、そうかもね。よろしくー」
笠井 「では、つぎきたらクエストいきましょー」
……その言葉を最後に笠井二等兵、帰還できず。ここで俺らの心はひとつになった。セーブの仕方をさぐるべく一致団結。特攻兵(順番が違うが)目黒が、ベッドに寝ることで夢の中で武器の練習できる”睡眠学習”に、大塚角満大尉が”特産キノコを手に入れろ”のクエストにそれぞれ散っていく。狙いはハウ トゥー セーブ。両者とも「クエストが終了したときにセーブができる」という作戦にかけたのだ。
睡眠学習は、密林の10番を舞台に、ウヨウヨとモスやアプトノス、ケルビがいて、武器の練習ができるというもの。まずは小手調べに笛を選択し(選択ミス)、ブンブン振り回していたら、どこかのボタンを押して笛モードに(キー設定してなかったのでわからず)。セーブデータのことなんて忘れて「ぶえーぶえー」とひとり演奏にふけってしまう……。一方の角満は、『モンスターハンター フロンティア オンライン』のために購入した東芝のモニターの繊細さにうっとり気味。
「ちゃんと調べくださいよ! 俺はもう入れません(涙)」
と涙ながらに訴えかけてくる笠井。「はいはい」とため息交じりの返事で、角満と目黒もクエストを終わらせる。いよいよ緊張の一瞬!! 「これでセーブができる」と俺らは半ば確信していた。
数秒後……。
「接続に失敗しました(みたいな言葉)」
ま、テクニカルテストだからね(笑)。明日もがんばります!