俺のガンランスさばきは
Today's text 大塚角満
世界最大級のゲーム展示会、東京ゲームショウ2007が幕を閉じた。じつは我々ファミ通猟団の面々は全員、ファミ通グループでゲーム関連の時事ニュースを担当する記者の集まりなので、東京ゲームショウの週は1年でもっとも多忙になるときだったりするのだ。今年ももちろん、9月20日〜23日までずっと、幕張メッセに館詰めになっていた。それはそれは刺激的な4日間で、『モンスターハンター』関連でもPSP用の新作『モンスターハンターポータブル 2nd G』が発表。全国のハンター諸君が見ても、じつじつに得るものの多い週末だったのではあるまいか。
そんなわけでここ1週間ほど、まともに『フロンティア』ができませんでした。
……冒頭でニュース記者らしいことを書いたのはこの言い訳がしたかったからか!! とお叱りを受けそうだが聞いてくれ! じつは『2nd G』の発表を目の当たりにしたらすっかり焼けぼっくいに火な状態になっちまって、しかも『2nd』と『2nd G』のあいだのデータコンバートは「ガッツリ行う!」(辻本良三プロデューサー・談)ということなので、こうしちゃいられねえ!! とばかりにラージャンやら黒グラビモスやらティガレックスやらに挑み始めたのであった。それにしても改めてふたつの『モンスターハンター』を並行して遊んでみると、『2nd』での我が分身の充実ぶりが浮き彫りになる。『フロンティア』では遥か彼方にありすぎて尻尾も見ることができない海皇槍リヴァイアサン、ガンチャリオット、ブラックゴアキャノンなんていう超絶兵器を何本も抱えている(全部ガンランスね)。『2nd』は現時点で600時間ほど遊んでいるが、『フロンティア』では同じだけの時間を費やしてもここまで充実した装備を身に纏うことはできないだろうなぁ……。『フロンティア』の地平の広さに改めて眩暈を覚えながらも、強力なモンハン愛に背中を押されて「ナンノナンノ」とメゼポルタに降り立つ大塚角満であった。
まあそんなこんなで昨日(9月24日)より、『フロンティア』に本格復帰を果たした。気がつくと、ずっと狩りに行きたかったクシャルダオラやラオシャンロンはとっくの昔にお帰りになられていて、彼らを狩らないことには寸止め状態から開放されない情けない武器・防具が、今週も倉庫の隅でホコリをかぶり続けることが早々に決定してしまった。毎度毎度、これは悲しいことである。『フロンティア』は傾向として、なかなかゼニーが貯まらず、貯まったとしても武具の強化にやたらと金がかかるので、「寸止め武具が完成するまでのつなぎにコレでも……」という話にはなかなかならない。なので倉庫の隅に転がっているこれらの武具を眺めては、「早く育ってくれヨ……」と日々悶々としているのである。
さて昨日。悶々としながら何人かの人々で賑わっているドンドルマの片隅で、親友のBとカンタロス狩りに精を出していた。もうすぐハンターランクが50になるので、50の試験用に強めのライトボウガンを作っておこうと思ったのである。目指すは超優良ライトボウガン、カンタロスガン。私見だが、最強ライトボウガンの双璧は"繚乱の対弩"と"ダークフリルパラソル"だと思うのだが、さすがにこのふたつの武器は作るためのハードルもそれ相応に高い。なのでそれらが作れるようになるまでは、"次点"と言える実力を備えるカンタロスガンを作るに限るのである。拡散弾レベル2が2発装填でき、麻痺弾レベル2も撃てるので、攻防両方で活躍できるのだ。
そんな感じでBとふたりでタロス狩りをしていると、ふいにドンドルマで個人チャットが飛び込んできた。
「かどまんさん、がんばってくださいね!」
とその人は言った。俺は今回はハンドルネームを公表しているわけではないのでちょっと驚きながらも軽薄に、「うは! よくわかりましたね!w」と返した。それが、Kさん率いる猟団との出会いだった。
Kさんたちはじつに気分のいい猟団だった。いつのまにか俺がいるドンドルマは彼らの猟団に占拠(笑)されており、15人規模の大チャット大会が始まった。聞くと、Kさんとそのお仲間、Nさんたちは俺のブログや拙著『本日も逆鱗日和』も読んでくれていて、(このハンドルネームはもしや……)ってことで話しかけてくれたということだった。じつに楽しい人ばかりだったので俺はすっかりうれしくなって、「ぜひいっしょに狩りに行きましょう!」と喚き散らした。Kさんたちはハンターランク40台から90台後半の人まで揃えるバラエティーに富んだメンバー構成で、どんなクエストにも対応できる陣容だった。なので「俺のヘボい腕でも誰かがカバーしてくれるべ」というじつに軽い気持ちで出撃できると思ったのである。
さっそく、「上位のフルフル亜種に行きましょう」という話になった。そしてNさんが「もちろん、角満さんはガンランスですよね^^」とうれしそうに発言した。……ガ、ガンランスか。じつは先日のコラムでもちょろっと書いたが、俺はここ何日か強い大剣ができたことがうれしくて、大剣ばかり振り回していたのである。『2nd』では相変わらずガンランスオンリーなのだが、『フロンティア』では浮気心が先行して、ガンランスは倉庫の壁に立てかけたままだ。
とたんに、俺は緊張した。せせせ、せっかく期待してくれているのに、「竜撃砲の撃ちかた忘れた!!」とか、「ガードってどうすんだっけ!!?」なんて喚くわけにもいかぬ。実際、猟団のメンバーのあいだで「きっとすごいガンランスさばきなんだろうなあ^^」、「ご参考にさせていただきます^^」なんて発言が飛び交っている!! そそそ、粗相をするわけにいかぬ!!! かか華麗なガガガガンスさばきを見せなきゃっ!!! しかも妙にガチガチになる俺に向かってBが、「平気へいき、1死までだったら面目保てるよwww」なんて抜かしやがる。余計なこと言うな!! 俺はそんなにやられるほうじゃないぞ!! なんて騒いでいるうちに、俺は知り合ったばかりの人々3人とともに雪山に降り立った。
しかし最初こそ緊張したものの、クエストは非常にスムーズに進行した。そして、とても参考になった。感心したのが、メンバーの中でいちばんハンターランクが低い女性狩猟笛使いの方の動きだ。「彼女はうちのメンバーの中でいちばんの初心者なんです」ということだったが、とにかく徹底して、笛しか吹かないのである。フルフル亜種の攻撃が当たらない場所に陣取って(たとえば、雪山の6だったら高台の上)、ひたすら攻撃力アップ、スタミナ減少無効といった効果的な音色を奏で続けていたのだ。狩猟笛をアタッカーではなく、サポートに徹底させる"白魔道士"の位置に立たせた戦いかたは、じつにじつに、余裕に満ちたものだった。攻撃の枚数が1枚減るのは間違いないのだが、彼女が奏で続ける音色はそれを補って余りあるものがあった。「この戦いかた、かっこいい!」と、俺は会社の自席で叫んだ。
こんな感じで簡単に、フルフル亜種の討伐に成功。俺もとくにひどい粗相をすることもなく、まあ無難に立ち回れたと思う。その証拠にNさんらは、「やっぱりうまいですねー」、「すごいですね。さすがです!」と口々に褒めてくれた。俺はついついうれしくなって、まわりで見ていた中目黒目黒や女尻笠井に、「おい!! 俺のガンランスさばき、うまいって!!」と目を血走らせて報告した。すると目黒と笠井は冷笑を口の端に浮かべて口々に、
「年配者が相手だと、彼らも気を遣いますね(冷笑)」(目黒)
「ホント、接待ってたいへんだなあ(冷笑)」(笠井)
などとほざいた。
……Kさんたち! 接待じゃなくて、ホントにそう思ったんですよね!? ね!? ね!?