ベセスダ・ソフトワークスより2023年9月6日発売予定の『Starfield』(スターフィールド)。対応ハードは、Xbox Series X|S(Xbox Game Pass対応)とPC(Steam、Microsoft Store)。『デジタルプレミアムエディション』以上のエディションはアーリーアクセスがあり、9月1日よりいち早くゲームを遊べる。

 本作の開発は『The Elder Scrolls』(エルダー・スクロールズ)シリーズや、『Fallout』(フォールアウト)シリーズを手掛けたBethesda Game Studiosが担当しており、2018年の発表から約5年の時を経て、ついに発売を迎える。

【Starfield】『スターフィールド』でできる50のこと【※ネタバレ注意】

The video could not be loaded.

 本記事では担当ライター・西川くんによるレビューをお届けする。

※以下にはゲームのネタバレが含まれるのでご注意を!※

宇宙版『フォールアウト4』的なゲーム

 いち早く宇宙での旅を楽しんでいる最中の西川くんです。いや、このゲーム、ボリュームがすごすぎてまだ終わってません。プレイ時間が100時間は超えても、まだ中盤かもしれないと思うほど、ビックリするくらいの物量です。

 『Starfield』の情報はこれまでにたくさん公開されていますが、要素が多すぎて、どんなゲームかまだわかっていない人も多いのではないでしょうか。

主観視点のFPSスタイルか……。
三人称視点のTPSスタイルを選んでプレイできます。細かい探索は主観にするなど、好みや状況で使い分けるのがオススメです。

 端的に言ってしまうと、本作は『エルダー・スクロールズ』と『フォールアウト』シリーズをミックスして、そこに宇宙船や惑星といった“宇宙”の要素を加えた作品という印象です。

 節々は異なるのですが、異常な数のアイテムや、人々との会話で生まれる選択肢などもあって、プレイフィールはふたつのシリーズ作品にかなり近いと思います。

 それでいて、ボリュームは過去最大級。いやもう2倍、3倍とかのレベルではないクラスの物量で、すべてを遊び切るには膨大な時間が必要になるでしょう。遊び応えについては、もう満腹を超えています。

 もちろん日本語に対応していて、デフォルト設定では英語音声ですが、日本語音声もあります。

会話量だけでも膨大。
多彩なアイテム群も。

PCユーザーはSSDが必須!

 今回はPC版を遊んだのですが、もしPCで遊ぶ人がいたら注意喚起をしておきたいです。

 本作はPCゲームでも非常に珍しく、必要最低スペックに“SSD必須”と書かれています。僕はそれを知らず、約125GBものインストールファイルが必要なこともあり、最初は空き容量の都合でSSDではなく空いているHDDにインストールして遊んでいました。

 遊べないことはないのですが、HDDだとおそらく音声のロードが遅くなり、音声の再生を待つためにゲームがちょこちょこストップしてしまうことがありました。いろいろ整理してSSDにインストールしてからは、問題ありませんでした。

 昨今はSSDを使っている人も多いでしょうし、価格も昔よりグッと下がっているので、導入のハードルは高くありません。ただ、まだHDDでPCゲームを遊んでいる、昔のHDDをそのまま使用しているという人も少なくないと思います。

 もしSSDが手元にない人は、『Starfield』のためにSSDを用意しておきましょう。安価な500GBのものでも『Starfield』を遊ぶだけならば、問題ない容量です。ただ今後、SSD必須のゲームも増えてくる(たとえば、某サイバーでパンクなゲームのダウンロードコンテンツとか)と思うので、今後のためにも大容量のものを買うのがオススメ。

謎を巡る宇宙冒険家の物語

 物語の舞台は、そこそこ未来の2300年代。人類は地球を離れ、外惑星に都市を建設したり、コロニーで暮らしたりしています。

 プレイヤーは、とある惑星で炭鉱夫として働いていたところ、謎の物質を偶然に発見。そのとき、謎のビジョンが脳裏に再生されます。

 “アーティファクト”と呼ばれる物質に触れたことで、主人公はアーティファクトの謎を探る冒険家集団“コンステレーション”に入団。さまざまな事件に巻き込まれていきながら、広く壮大な宇宙を旅していくことになります。

ある日、アーティファクトに偶然、触れた主人公。
謎のビジョンが、主人公の頭に飛び込んできます。
主人公は、アーティファクトを巡る物語に巻き込まれていくのです。

 主人公はキャラクタークリエイト方式で、顔のパーツや髪型など、さまざまな部位を変更可能です。また、“素性”と“特徴”を設定することで、主人公キャラクターの個性を自分で構成できます。

 “素性”には、もともと就いていた職業を決めることで初期スキルを3つ設定する意味合いがあります。特徴は、選択によってさまざまな効果を持つ特殊なスキルが設定できるもので、たとえば“コロニー連合出身”にすると、派閥のひとつ・コロニー連合のイベントで特殊な会話が発生するなど、特定の効果が得られます。

 ただ有利なものだけでなく、メリットがありつつデメリットも存在する“特徴”があります。ここはゲーム的に有利に進められそうなものを選ぶか、自分がなりたいキャラクターのロールプレイを重視するかで選ぶといいでしょう。

 「キャラクタークリエイトが終わらなくてゲームが始まらない!」という人もいるかと思いますが、本作の街には超高性能美容外科みたいなものがあり、お金さえ払えば容姿を変更できます。宇宙空間が冒険のメインゆえに、ヘルメットを被って顔が見えないことも多いので、最初はあまり悩まなくても大丈夫です。

地球へ行ったら砂漠地帯に!?

 ここからはプレイ日記的に、僕が体験した宇宙空間での旅の模様をお届けしたいと思います。主人公は“宇宙を股にかけるスゴ腕宇宙海賊が記憶を失くした”という設定で、まあ……自分を“コブ〇”だと思い込んでる人にしました(笑)。

船の名前はター〇ル号だし、相棒のレ〇ィ……じゃなかった、サラもいるしこりゃ最高だね! 左手で射撃するサ〇コガン的な武器には出会えていません。

 コンステレーションに入団するまではチュートリアルといった感じで、探索から戦闘、宇宙船での活動方法や惑星間の移動など、基礎的なことを学べます。入団後は、本当に何をしても自由です。

 コンステレーションのミッションは、いわゆるメインミッション。本作の大筋に関わるストーリーが展開されていきますが、別に進めなくてもオーケーです(ゲームは終わらないと思いますが)。犯罪行為に明け暮れるもよし、各派閥のミッションを進めるのもいいですし、たくさん用意されたほかのコンテンツを遊ぶのもいいでしょう。

 そんなわけで、まずは気になっていた地球へ向かうことにしました。本作は宇宙に点在する1000以上もの惑星に降り立つことができ、各惑星にはその大きさに合わせたオープンワールドが広がっています。つまりとてつもない広さの宇宙の中に、巨大なオープンワールドが1000以上あるわけで……。いやもう、冒険しきれません!

 ちなみに、全惑星に着陸できるわけではなく、生物が生存できないほど極寒の氷の惑星や、太陽のように全体が燃え盛る惑星などには着陸できません。

 惑星間の移動は宇宙船を使うのですが、自分で操縦して星系を移動するわけではありません。マップメニューから惑星へファストトラベルする形です。惑星ごとに宇宙空間が用意されており、そこにファストトラベルしたのち、中心にある惑星や周囲の衛星に目的地を設定して着陸するというシステム。宇宙船自体も操作できますが、これはおもに戦闘などで活用する要素で、移動では操作を要求されません。

星系マップ。ここから惑星または衛星にジャンプすることで、その外側にある宇宙フィールドに出ます(まだ着陸はしない)。
銀河マップ。銀河マップはシンプルで、惑星群の塊である星系にワープしながら移動します。

 太陽系にある地球へビューンと飛んでいき、いざ着陸。地球がどうなっているのかを見たところ……何もない。地球全体が砂漠や氷に覆われたような状態になっていて、海水すら1滴も残っていません。地球温暖化の進行か、はたまた別の原因か。地球は人間が住めない星になってしまったようです。このあたりの歴史も、ゲーム内のいろいろな場所に情報が散りばめられているので、地球がなぜこうなったのか知りたいところです。

地球は青かったはずでは……?
一面こんな感じ。何にもありません。

 何もないとは言いましたが、ほんの少しだけ痕跡が残っています。イギリスがあった場所に行くと、ロンドンのランドマークが建っています(“タスク”というプチミッションで知ったのですが)。そこに行くと、おそらく2013年に開業した高層ビルである、ザ・シャードが朽ちた姿でポツンと建っているのです。おみやげアイテムが得られるだけでしたが、なんだかしんみりしてしまいます。

 ちなみに日本があったであろう位置の、東京らへんにも行ってみましたが何もありませんでした。ほかに何かないかと、南米あたりに降り立ってみたら、洞窟を発見。本作の惑星には、それぞれに街・拠点・洞窟などが点在していることがあり、いろいろな場所に入ることができます。

 また、惑星調査という要素では、星の生態系などをスキャナーで調査していくと、その星で取れる資源など、さまざまな情報が判明。調査率が100%になると、経験値も得られます。サブミッションの目標になっていることもあります。

おそらく日本だった場所。ほかの国との位置状況のほか、本州と四国あたりの位置や形がそっくりなので、ここのはず。
惑星調査。

 さて、南米の洞窟に入ってみると、医療器具などが散らばっていて、何やらここで手術でもしたのかな、と予想しました。きっと洞窟で生活していたのでしょうが、何かしらの理由で他界したか、外惑星に脱出したのか……と想像を膨らませながら探索していたところ、“摘出された臓器”というアイテムを発見。

 いきなり臓器を手に入れてしまったのですが、これ、じつは宇宙法的なもので所持が禁止されているアイテムで、高値で売れる違法な物なのです。そうとは知らずに入手してしまいましたが、ここでいったい何が起きていたのでしょうか……。

洞窟内で臓器発見……何があったのでしょうか。

 さみしい地球探訪も終えて、さあメインミッションでも進めようかと、もともといた惑星に戻ったところ……僕はいきなり逮捕されてしまいました。

悪の海賊団に潜入捜査!

 有人惑星の一部には、しっかり警備隊が配属されており、訪れると船をスキャンされて持ち物検査が入ります。僕は違法アイテムの臓器を持っていたので、逮捕されたわけです。ちなみに、違法アイテムを検知されないように船を改造することも可能です。なお素直に同行に応じたから逮捕されたわけで、抵抗することももちろんできます。

すいません臓器が違法だなんて知らなかったんです……。

 いきなり逮捕されてしまったアウトローな僕。ここから刑務所(正確には、UC防衛システムという海軍の一部)ではどんなことが待っているのかドキドキしていると、予想外の展開に。なんと司令官から突然、海賊への潜入捜査を依頼されました。依頼をこなせば罪はチャラ、断れば当然ながら刑を受けることとなります。

 なんだかおもしろそうだと引き受け、僕は宇宙の中でも大規模な海賊団“紅の艦隊”への入団を目指すことに。一時的に宇宙海賊になるわけですが、中身は合法な警察的ポジションゆえ、多少の違法行為には目をつむりますが、殺人はご法度という立場です。

 紅の艦隊への接触を図るのですが、まずは火星で紅の艦隊の一員という男に接触。借金取りのような仕事を肩代わりすれば、艦隊のメンバーを紹介してくれるそうです。正義の心を持って挑もうということで、借金取りの仕事は自分がお金を払って助けてあげることにしました。もちろんほかの選択肢では、脅したりもできます。

 おもしろいのが、会話に仲間が参加してくる場合があること。本作はクルーという仲間を連れて冒険できるのですが、仲間がいた場合、会話に参加して取引などを手助けしてくれることがあるんですね。仲間によって反応が変わるので、仲間の数だけさまざまな反応が見られそうです。

火星。地上では暮らせないので、地下に都市を作っているようです。
相手と会話しているときに……。
クルーとなったサラが割り込んできました。このように、クルーが会話の手助けをしてくれたり、ツッコミを入れたりしてくれます。
ロボットのヴァスコも仲間になります。ここは説得中に、「じゃあ絶対ウソつかないロボットに聞こうぜ!」と言われ、ロボットゆえに信用してもらえたシーン。

 いざ紅の艦隊に接触すると、幹部のネイヴァという女性に出会います。ネイヴァは、紅の艦隊への入団テストとして、とある男の殺害を依頼してくるのです。しかし、殺害はご法度……。男を探し出し、船にドッキングして接触します。ちなみに、条件さえ合えばいつでもほかの宇宙船にドッキングすることも可能で、いきなり乗り込んで内部から宇宙船を乗っ取ることもできます。

 依頼通りにせず、僕は自分の正体を素直に明かして、男が狙われていることを教えてあげました。信頼してもらえるのか不安でしたが、信じてくれた様子。男の仲間が、男は死んだことにして、ほかの惑星に隠れるよう手配してくれるようです。

男を殺害しろと言われるのですが……。
会話でなんとか円満解決。

 依頼通りにしたというウソをネイヴァが信じてくれるのかも不安でしたが、なんとか入団テストを達成。ネイヴァのもとへ戻ると、なんとネイヴァが傭兵団に襲われています。ここから宇宙船でのバトルです。

 宇宙船の武装によって攻撃方法は異なりますが、レーザーでバリアを破り、本体にミサイルやバルカンといった実弾兵器でダメージを与えていくのが基本となります。

 イメージ的には飛行機で360度動けるフライトシューティングとほとんど同じで、難しい操作は必要ありません。唯一ややこしいのは、エネルギー配分について。船にはエネルギーがあり、武器やバリア、エンジンなどにエネルギーを割り振らないと性能を発揮できません。全要素にエネルギーをフルまで割り振るのは難しいので、どこかを削ってエネルギー配分を考える必要があります。

 戦闘で助けたこともあり、ネイヴァは自分を信頼してくれたようです。いよいよ、紅の艦隊の本拠地へ行くことに……といった感じで、紅の艦隊(潜入捜査)に関するミッションが進んでいきます。悪の海賊ですが、潜入していくうちにどんどん紅の艦隊のことが好きになっていくのが困りもので、とてもやりがいのあるミッション群でした。

 ほかにも、各派閥それぞれに長いミッションが多数存在します。試していないのですが、潜入ではなく紅の艦隊の一員に、真正面から入ることもできるかもしれません。いろいろやれることはありますが、本作はこれらのミッションをこなしていくことがメインの進めかたとなっています。

紅の艦隊へ入団後の展開は、ぜひご自身で楽しんでみてください。

自分だけの宇宙旅行を楽しもう!

 ほかにもやれることは盛りだくさんで、拠点建設や、海賊行為といった犯罪活動など、かなりの自由が楽しめます。とくに宇宙船のカスタマイズはかなり凝っていて、買ったものをそのまま使うのもいいですが、パーツそれぞれを組み換えられるため、自分だけのオリジナル宇宙船だって作れちゃいます。

 とにかくワクワク感がものすごく、これから何ができるんだろう、何が起きるんだろうと、宇宙の旅は神秘に満ち溢れていてドキドキします。ただ、SFモノとしてはかなり優等生かつマジメな作品で、突き抜けた要素はそこまでないので、SFな刺激が欲しい人には少しだけ物足りないかも。

拠点建設。
宇宙船のカスタマイズ・建造。

 アイテム収集は個人的にはかなり楽しく、食事類も豊富に用意されているのがうれしかったです。宇宙食などがメインになるのですが、中にはスシ、ウドン、ソバ、ノリなどといった日本食もあり、未来で日本の文化は消えていないようです。

ふつう(?)の食糧ももちろんあります。
こちらはウゲッと言いたくなるワーム食料。食糧難とか発生してそうですよね……。

 また、惑星の探索はおもしろくもありますが、惑星によっては本当に不毛で何もない場所もあるので、やることがない場合も。生物が住んでいる惑星や有人系の惑星は遊びがたっぷり用意されていておもしろいのですが、探索の意味が薄い惑星は退屈に感じてしまうかも。

 ただ、意外な出会いをすることもありました。重力が低い月ではジャンプもフワフワと浮くのですが、月で飛び跳ねるのは夢のひとつでした。これがゲーム内でできたのがなんだかうれしくて、月面をピョンピョン飛び跳ねていたところ、恐竜みたいなペットを連れた女性に遭遇。

 女性は行商をしているそうで、宇宙船とペットが母の形見なのだとか。たまたま月で出会った商人にも、しっかりバックボーンが用意されていることに驚きです。登場人物は非常に非常~~に多く、広大な宇宙で多彩な人物たちと出会えるはずです。

 外宇宙生物であるクリーチャーにも多数遭遇しましたが、ほかの惑星で人間に近い生態系を持つような、いわゆる“宇宙人”には遭遇していないので、今後出会うことがあるのか、気になるところです。

 あらゆる要素ひとつひとつのボリュームがものすごい本作。戦闘部分だけは、基本は射撃戦のみのかなりシンプルな作りなので、もう少し捻りが欲しかったなと思うところです。そのスケール感にハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、難しいゲームではありません。ゆっくり自分のペースで、宇宙での冒険を楽しんでほしいです。

ちなみに、日本食を展開しているオイシイブランドや……。
謎のジャズバンド“THE SHINJIRO 5”など、細かいところで日本文化が感じられます。