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OVA『戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡』の主要キャスト&監督に聞く
ゲーム PSP アニメ インタビュー●OVA『戦場のヴァルキュリア3』の見どころなどを直撃
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セガから発売中のPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフト『戦場のヴァルキュリア3』。同作をアニメ化したOVA『戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡』(全2話)が今春より展開開始開始となる。監督・近藤信宏氏、脚本・大野木寛氏、制作・A‐1 Pictures、制作協力ブリッジによるOVAでは、ゲーム中盤以降の一期間を切り取ったオリジナルストーリーが展開されるという。ファン期待の『戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡』だが、先日都内にて前編のアフレコが行われ、合同取材の機会が設けられた。ここでは、その模様をお届けしよう。出席者は、クルト・アーヴィング役の中村悠一さん、リエラ・マルセリス役の遠藤綾さん、イムカ役の浅野真澄さん、そして近藤信宏監督だ。
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――ご自身が演じたキャラの感想を教えてください。
中村 今回OVAということで、ゲームにリンクしたエピソードになっているのですが、そうなるとゲームのどの辺の話か……というのが演じる上で重要になってきて、難しい点でもありました。クルトとほかの仲間の距離感や信頼関係がどこまで築けているか……とか、そういうところを探りつつ演じていくことに力を入れました。
遠藤 リエラに限らずクルトもイムカもそうだと思うのですが、もともと他人とそんなに会話のできる人ではなかったのが、OVAでは時勢的にもけっこう会話ができているので、その時間軸、背景も意識しつつ演技をしました。ほかのシリーズの人たちに会えて楽しかったです。
浅野 OVA『戦場のヴァルキュリア3』をやるというお話を聞いたときから、とにかくアフレコが楽しみでした。今日、たくさんのキャストの皆さんと集まっていっしょに録れたのが、まずはうれしかったです。あと、ゲームだと想像でしか補えなかった部分も多かったのですが、アニメだとみんながいっしょになって動いたり、戦ったりすることで、「ああ、こういう世界なんだ」ということが感じられてうれしかったです。とにかく、どのシーンも興味深いなと思いました。とにかく、イムカは動いてもかわいかったです!(笑)
――監督はアフレコに立ち合われていかがでしたか?
近藤 『戦場のヴァルキュリア』シリーズには、これまでテレビアニメやゲームでも、仕事としては直接的に関わっていたわけではなかったのですが、世界観がしっかりと構築されていると思いました。アフレコで生きているクルトやリエラ、イムカに会えた……という感じはしました。
――作品の見どころを教えてください。
浅野 さっきから“自分好きー”みたいな発言が続きますが、とにかくイムカがかわいかったです(笑)。イムカは、ゲームの中でもずっとツンとしていて、ときどきデレっとなるところがかわいいのですが、そこがOVAでもちゃんと描かれていて、うれしかったです。イムカはもともと寡黙なキャラなので、そんなにたくさんしゃべるわけではないのですが、イムカ的なおいしいシーンも入っていたので、「ありがとうございます!」という感じで演じさせていただきました(笑)。
遠藤 リエラもすごくかわいかったです。リエラは、イムカとは対照的な性格だったりキャラ設定だったりするのですが、すごく女性っぽい見た目で、本編のほうでも顔を赤らめたり、女の子っぽい表情も見られたりします。一方で、戦うときはしっかりと戦うので、そのかっこよい部分と女の子っぽい部分というのを、ぜひ見ていただけたら……と思います。
中村 クルトやリエラ、イムカはゲームでイヤというほど目にする機会が多いと思うのですが、ゲームでプレイヤーの方がしっかりと追いかけていかないとわからないような、ネームレスのほかのメンバーがキャラ立ちしてしゃべっているところが、ひょっとしたらプレイしている方には、新しい発見もあったりしておもしろいのかな……と思っています。
近藤 キャストの皆さんが見どころをおっしゃってくださって、ほっとしています(笑)。OVAの制作にあたっては、ゲームとはまた違った感じでの世界観を作ったつもりなので、その辺に注目していただきたいです。もちろん、銃の持ちかたとか、細かいディテールにもこだわっていますので、そういったところも見てもらいたいです。あとは、キャラクターの配置。こんなにたくさんキャラが出てくる作品をやったことがなかったので、名前を覚えるのもたいへんでした(笑)。現場もたいへんだったと思うのですが、皆さん、うまく演じていただけてうれしかったです。その辺も見どころのひとつです。
――OVAでは、戦闘シーンが多くなるとのことですが、キャストのみなさんは演じてみてどうでした?
浅野 相当リアルな演出をされているということで、私たちが置かれている状況もすごくリアルに伝わってきて、より深く世界観に入れる感じがしました。
遠藤 ゲームの収録時から、重さのある世界観というのはしっかりと感じていたのですが、こうして映像として見たときにも、“戦場にいる”というリアル感が、より伝わってくるのではないかと思っています。生っぽい感じを出すような伝えかたを心がけました。
中村 今回のOVAでは戦いの真っ只中を描いているので、気が抜けなかったり、つねに敵と遭遇するかもしれない……という緊迫感はシリアスに描かれていると思います。一方で、リエラとイムカのふたりに関しては、“ヒロインとしての魅力も見せる”というシーンも盛り込まれているので、あまり固くなり過ぎずに……というところも意図されているのかなという気はしました。
――監督には、そういう意図が?
近藤 ゲームを含めた『戦場のヴァルキュリア』という世界においてのリアルさは、ある程度追求したというのはあります。戦争にもいろいろ違いがあって、表現するのが難しいのですが……。戦争が日常化しているところでの日常感というのが、『戦場のヴァルキュリア』のリアルさだと思うのですが、そのへんが「固いだけではない……」というところに結びついていくのかなと。生きていくにあたっては、緊張感だけではなくて、食事をしたり、寝たり……という日常も必要になるわけですが、本作ではそんなところが出せれば……と思っています。
――キャストの皆さんが一堂に介する機会は今回が初めてだと思うのですが、そのご感想をお聞かせください。
中村 ゲームを収録する際には、やはりリエラとイムカは掛け合うシーンも多かったので、人となりやキャラもわかったのですが、ネームレスのほかの人物たちに関しては、深くつきあう部分での収録シーンはなかったんです。音声なしでの部分ではあったのかもしれないのですが、僕らが関わった部分ではなかった。それで、OVAの収録をして、「こういう人物なんだ」とか、「こういうクセモノがいるんだ」という部分が見えたのはすごくよかったです。そういう意味では、僕らのネームレスのキャラとの関わりは、プレイされた方よりも関係性が薄いのかもしれないのですが、そこが自分の中で補完できたような気がして楽しかったです。
遠藤 私もやっぱり、こういう仲間たちがいて、こういう役割があって……というのが、わかりやすくて楽しかったです。3人以外も後編でどういうふうに関わっていくのかな、というのがより楽しみになりました。
浅野 OVAでは、ネームレスのみんながひとつにまとまっていく瞬間も見られておもしろかったです。私たちは特殊な集まりなので、ミッションなどもひとクセもふたクセもあることが多いんですね。遂行に困難を伴うことが多かったりするのですが、みんなで集まって「よし、やろう!」と団結していくところが、「ネームレスっていいな」って感じました。
――今回、戦闘シーンを演じることのたいへんさはありましたか?
中村 たいへんです。たとえば、僕自身が戦場に身を置いて、みんなに「早く行け!」といったようなことを死に物狂いで言うのならいいのですが、それにキャラを加えて、なおかつ皆さんにお見せするものなので、何をしゃべっているかわかるように伝えないといけない。それを考えるとすごく難しいなと思いました。やはり、日常的じゃないことをやるわけじゃないですか。それに加えて、さらに日常ではないキャラクターを乗せたりすることで、非常に難しいものだな……と思いました。
遠藤 私はあまり戦っていないのですが、ちゃんと言わないとユーザーの方に伝わらない……ということを考えると、言葉のリアルさだけじゃダメというのは感じます。あと、がや(群衆シーン)も一筋縄ではいきませんでした。銃とか、弾とかの専門用語も必要になりますし。
浅野 イムカには凄惨な過去があったりするのですが、戦闘においては、過去の体験が彼女の中でフラッシュバックすることもあるんだろうな……ということを念頭に戦闘シーンを演じさせていただきました。イムカは、寡黙な人なので、シーン中にモノローグが入ったり、セリフに出たりするわけではないのですが、「絶対に何かを感じているはずだ!」と思って、セリフの中に少しでも思いを込められたらいいな……と思いながら、戦っていました。
――自分のキャラ特有の楽しさ・難しさはありましたか?
中村 クルトは状況にもよるのですが、基本「クールに……」という思いがありました。ただ、クールだと熱くならないのかというと、そうではないですし、クールの中にも持たないといけない芯というものがある。それがとくに戦闘シーンになると、どこまで(熱さを)出すとキャラは崩さずに維持できるのかとか……いう、バランスもあります。その辺のバランス感覚は、ゲームの収録でもそうだったのですが、「難しいものだな」と思いながら、やらせてもらいました。
遠藤 リエラは、自分が所属している部隊が、全滅してしまってもリエラだけが生き残って“死神”と呼ばれてしまう。それでネームレスに来ているんですね。でも、ネームレスにいることによって、自分の居場所を見つけることができて……という流れがある。ただ、女の子が戦場にいるという感じだけは残したくないと思ったので、その辺は難しかったです。きっと、後編で何かいいシーンがあるのでは……と期待しているのですが。
近藤 あります!(笑)
遠藤 そこで本領発揮をすると思います(笑)。リエラなりに戦っているしぐさは、かわいらしいし、かっこいいと思います。演じていて楽しかったのは、クルトにムキになっているところです。戦いのシーンから、ふっと離れることができたので、そういう日常のシーンはやっていて楽しかったです。
浅野 イムカは寡黙なキャラクターですので、そんなにべらべらしゃべるわけではないのですが、短いセリフやちょっとしたリアクションとかに、イムカが考えていることを入れられたらいいなと思いました。イムカは、昔自分が住んでいた村を、ヴァルキュリアに焼き尽くされて、自分だけが生き残ったというすごく重たい過去があるのですが、イムカの言葉や行動のひとつひとつは、全部自分の体験がもとになっての感情やリアクションだったりすると思うんですね。そういうことを考えながら演じました。まだ前編しか録ってないのですが、後編ではどんなイムカが出てくるか、楽しみです。
――それでは最後に、『戦場のヴァルキュリア3』を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。
近藤 ゲームはだいぶ評判がいいみたいなので、OVAもみなさんに楽しんでもらえるといいなと思っています。OVAは、ゲームを遊ばれた方へも意識して制作しているのですが、そういう意味では非常に濃いドラマになっていると思います。その濃さを楽しんでいただければ、と。あと、『戦場のヴァルキュリア』シリーズは世界観の切なさが特徴だと思うのですが、その部分もある程度作ったつもりなので、それを垣間見ていただきたいですね。
浅野 アフレコの前にゲームもプレイさせていただいたのですが、すごくおもしろくてやり込みたくなる要素がぎっしりと詰まっていました。ゲームのアフレコをしているときから、ストーリーがとにかくおもしろくて、キャラも魅力的だなと思っていたのですが、それがそのままOVAになっていますので、ゲームもOVAも楽しんでいただけるのではないかと。どちらも楽しんでください。
遠藤 ゲームのPVを観させていただいたときに、すごいストーリーがあって深い世界観が感じられて、これを絶対にアニメでも観たいなと思っていたのですが、それが叶うものになったので、純粋にうれしいです。ゲームも少しプレイしてみたのですが、戦闘シーンでは、ゲームと同じような行動をアニメでも再現していたので、感動してしまいました(笑)。きっと、ゲームをプレイしてアニメをご覧になる方は、私と同じ感動を味わっていただけるのでは……と思いますので、ぜひ両方とも楽しんでください。そして、後編にも期待していただけたらと。
中村 ゲームを『3』から始める方もいるでしょうし、シリーズを通して遊んでいる方もいると思いますが、OVAは、すべての『戦場のヴァルキュリア』ファンの方に満足していただけるのではないかと思います。ひょっとするとOVAから『戦場のヴァルキュリア』を知るという方もいると思うのですが、その場合は、OVAでは各キャラの顔見せになっているキャラもいて、ゲームを遊ぶことでよりドラマに対するおもしろさも深まるようになっているのではないかと思います。そのへんを追っていただけるとより『戦場のヴァルキュリア』の世界にハマっていけるので、ゲームとOVAと両方セットで楽しんでもらえるといいかなと思っています。
▲豪華キャストが集結したOVA『戦場のヴァルキュリア3 誰がための銃瘡』。『3』自体が『1』と同じ時代のお話ということで、OVAにはウェルキン・ギュンター役の千葉進歩さんやアリシア・メルキオット役の井上麻里奈さんなど『1』のキャラも参加している。どのようなドラマが展開されるのか? |
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